はてなキーワード: ミニキャブとは
アメリカでの軽トラ人気とかステランティス会長がEUに軽自動車規格導入しれ!と呼びかけたりと最近軽自動車周りの話題が多いね。
軽自動車=日本独自規格で輸出してないから右ハンドルだけ。そう思っていませんか?
ところが実は海外でも日本の軽はバリバリと走っているんだな。当然左ハンドルよ。
ただ網羅的ではないのと、増田の個人的趣向により軽トラ軽バン中心になるのはご容赦しておくれよ。あと、中国関連が決定的に弱い。
大宇、GM、GMシボレー、フォード(台)、マルチ(印)、ホールデン(豪)、ベッドフォード(英)、ボクスフォール(英)、三富汽車(台)、アストラ(インドネシア)、VIDAMCO(越)、ピアジオ(伊)
といったところ。3列目で頭捻った人多いかもしれないな。なんだよシボレー、フォードって。
大宇(Daewoo)とGMの合弁、GM大宇がスズキキャリーなどのライセンス生産権を取得。後に大宇とGMは合弁解消したのでその後は大宇の名前で製造販売していた。
キャリーの製品名はDamas ダマス。んで、これが世界中に広がるわけなのですよ。具体的には大宇とGM両方がライセンス権を持っていたのでそりゃもう複雑なことに。
また、亜細亜自動車がダイハツハイゼットをタウンナーの名で生産。後に起亜に買収されたので起亜タウンナーもある。南米市場の為にウルグアイでも生産していたようだ(詳細不明)。
三富汽車(Sanfu)がスバルサンバーなどをライセンス生産していた。
またフォードがスズキキャリーのライセンス権を取得。フォードプロントの名前で製造販売。で、こいつも世界中に広がっていくことになります。
CMC(中華汽車工業)が三菱ミニキャブなどをライセンス生産。現地名はCMC Veryca。この会社はミニカや他の三菱車も生産。
また、ベンツや大陸系中華バスメーカーを扱う東南汽車工業(Fujian)とCMCが提携していたこともあり、その時代は東南汽車のロゴを付けた三菱車が走っていた。つまり、三菱→CMCにライセンスorOEM→東南汽車という複雑な関係だ。
…ところがこの複雑な関係は海外軽では当たり前なんよね。世界中に販路持つアメ車メーカーにライセンスしたせいで。
この辺でライセンス生産とかノックダウンって何?について説明するぜ。
割って入って話が前後して悪いな。
殴る事。じゃなくて組み立ての事。IKEAの家具とかもノックダウン家具って言うやろ。
工業化最初の段階では部品製造能力が当地に無い。だから本国で部品を製造して組立だけを現地で行う。
結果、製品の価格はあまり下がらないので産業発展前の現地国民には購入できない。現地にサプライチェーンが置かれないので現地産業の発達に帰さない。長期的には簒奪的資本行為に映る。
現地企業と資本を出し合って共同経営にする。この段階では現地の中小企業を下請けにしてサプライチェーンを形成する。現地生産率が上がるので製造コストが下がる。
だが最初は技術や工作機械が足りないのでその技術指導をする必要がある。企業城下町を形成する。その為国力の底上げに寄与する。地元の経済と雇用を活性化する。
国策での合弁必須条項が無いので自前の現地法人を置くケース。あとは合弁のケースと同じ。
現地企業が特定製品の製造ライセンスを取得し、現地生産の全てを自前で行う。元の製造元にはライセンス料が入る。
製造ノウハウの授与や生産機械の譲渡(特に金型)が含まれることが専ら。
また型落ち製品の機械を売却する事でライセンス元業者はモデルチャンジでの損失を抑えられる、技術的に枯れている(問題が出尽くして対策のノウハウが蓄積されている)のでライセンシー社はトラブルが少なく利益を上げやすい。
だが、おっと番外があった。
ライセンス契約を結ばず製品を勝手にフルコピーして製造する事。正規ライセンス者が価格競争面で損失を被る。
最近だとホンダスパーカブの中華コピーなど。中国だけじゃなくてタイなど市場国でも売られて損失を被った。
ホンダは商標権訴訟で市場からパージすると共に違法コピーの下請け企業を自社下請けに勧誘するなどの努力で中国外の市場から追放しようとしている。
合法デッドコピーの例は、富士重工の初代ラビットスクーター。戦前の米パウエル社のスクーターのコピーを試作してその量産の可否をGHQに訊いたところ、軍需企業の平和産業転身の為と輸出しない事を条件に許可された。
先進国同士でも行われる。相手先ブランド供給。相手先ブランドや車名を付けたのをOEMメーカーが製造して納車。
先進国+途上国の関係だと、1に行くほど搾取的になり易く、3に近づくほど技術移転も多く国民感情と国際経済的によくなり易いって特徴がある。いつまでもノックダウンだけやってるとそのうち追い出されるか、環境が変わった時に相手国の協力が得にくくなって撤退の憂き目に至る。
この点、日本企業は企業城下町を築く事が多く概ね良好だった。それで90年代初期には「経済大東亜共栄圏」と揶揄混じりで言われていた。
あと同様に良好だったのがアメ車メーカー。これはこの後出てくる。あとイタリアのフィアットもライセンス含め海外生産の常連だ。
海外で売るんだから当然左ハンドルで製造する。軽なのに左ハンなんよ。
あと、ヘッドライトには焦点とカットラインと言うのがある。ロービームで壁を照らすと上側が暗くて左側が上がったラインが表れるでしょう?あれって対向車幻惑防止の為にレンズの形でああいう風にしてるのよ。
右側通行ではこれが反対になるからライトユニットも右側通行用のを作る。
日本の軽規格、660ccや550ccの規制が無い所に売るんだから余裕がある800ccとか1000ccとかのエンジンを積んでいる。でも別に日本の660ccよりパワーがあるってわけでもない。
と言うのも、カリカリにチューンしたエンジンよりパワーが余り出ないエンジンの方が長持ちするんですわ。カブのエンジンって遅いけど10万キロ以上走れるでしょ。ああいう感じ。
あと、国によってはガソリンの品質が悪い事がある。蒸留しただけの粗製ガソリンはオクタン価が低いので、ハイオク化剤を混ぜてオクタン価をあげてレギュラーガソリンにしている。
でもこのハイオク剤は有機化学産業が発展してないと安定的に供給できない。ガソリンのオクタン価が低いとエンジンがぶっ壊れる。そういうわけで圧縮費を下げざるを得ない。低圧縮比=低出力なので出力を補うためにも排気量は上げておいた方がいいってわけ。
1000ccとかだと660ccエンジンベースでは無理があるんで、「海外向けの軽エンジン」ってのを別に作って載せる場合が多い。
んで、その海外向け軽エンジンをライセンス生産している大宇などが自社ブランドで生産するんだが、完コピする必要も無いので日本の海外向け軽エンジンと形や仕様が違ってくる。
そしてそれが他国でのライセンス軽に載せられ…となって、海外軽には大宇のエンジンが載ってる事が多いのだ。
マルチは国営企業で、元はインディラガンディー次男が国民車を作る構想で設立したが頓挫していた。それまでは植民地時代の旧態依然の丸っこい英国高級車ばかりだったが高い上に古いそんなもんは庶民は乗れんし乗らん。
そこでインド政府は合弁路線で行く事にしてスズキを招致、アルトのインド版、マルチ800の製造を開始すると構想通りに爆売れ、国民車に。
その後もスズキの車を作り続けてる。
インド映画見てると警察や軍がこういうジープ乗ってる場面ってあるでしょ?
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c1/Maruti_jeep.jpg/330px-Maruti_jeep.jpg
軽トラのライセンス生産はこれくらいなんだが、その代わりに「軽トラ市場」とでも言うべきマーケットが出来ている。例えばこれはタタのトラック軍団だがいかにも軽トラっていうのが居るだろう?
https://trucksfloor.com/en/tata/pickup
またこれはマヒンドラ社のスプロミニってトラックだが、この軽トラっぷりを見て欲しい。
https://www.mahindrasupromaxitruck.com/supro-minitruck.aspx#homebanner
民族自決の雄にして敗戦後日本の国際社会復帰にも大きな影響を持ったインドネシア。そういうわけで古くから軽自動車のノックダウン→ライセンス生産をしている。
三菱ミニキャブを大陸中国企業の上海汽車集団とGMの合弁、上汽通用五菱汽車が生産。日本の軽トラを中国とアメリカの合弁企業がインドネシアで生産というゴッチャゴチャな関係である。
ダイハツハイゼットを、現地企業アストラとダイハツの合弁、アストラダイハツが生産。ここはトヨタの乗用車の生産もしている。
前述の韓国大宇とGMの合弁、GMDaewooがスズキキャリーのライセンス車、ダマスを生産。
また亜細亜自動車→キアがダイハツハイゼットライセンス車をタウンナーとして製造。
バイクメーカーだったP.T.スズキ・インドモービル・モーターがカリムン・ワゴンRを製造。これはインド生産のワゴンRのコピー。
つまり、スズキ直と韓国&米国連合のライセンス車がごっちゃに入り混じってる複雑な状態なんだな。
はいどーも。
実用的な電気自動車を初めて見たのは、鉄腕ダッシュだった。ダイハツのハイジェットを改造したソーラーカーだん吉号で、TOKIOのメンバーが日本を一周していた。テレビ番組なので、話半分でみないといけないけど、太陽光で充電して、短い航続距離をカバーしながら走っていた。
で、こいつは、今なら、三菱のミニキャブミーブを買うとご家庭でも真似ができる。軽自動車の電気自動車があればとか言っているブクマカが多いけど、ミニキャブミーブを買えば、軽自動車で電気自動車ライフを送ることができる。
さらにいえば、アマゾンあたりでソーラーパネルと変換器を買えば、だん吉号のようにソーラーパネルで充電することもできてしまう。20年前のテレビの企画はご家庭でできるところまで技術革新が進んでいるのだった。残念ながら、乗用タイプのアイミーブはディスコンになってしまった。
ミニキャブミーブの実力はというと、航続距離は150㎞。片道10kmくらいの通勤を5日くらいにはギリ耐えるかなといったところだ。お値段は、2,431,000円也。三菱の充電会員になると1500円/月で充電し放題になる。中古は航続距離が4/5くらいになるが、80万くらいからある。
充電インフラと航続距離がなんとかなれば、軽自動車で電気自動車は、すでにすぐそこまできている。
以上のことを書いていたら、中国のホンダから HR-V(日本名ベゼル)の電気自動車タイプが発表されたようだ。航続距離480㎞、価格が240万円くらい。現実解に近づいてきたもよう。
価格、航続距離、充電インフラがバランスすれば、電気自動車へ一気に傾くタイミングがきてもおかしくないのかもしれない。
ではではー。