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2025-11-24

君も2025年屈指のホラー映画「果てしなきスカーレット」を観よう!

久しぶりに映画を鑑賞したので、感想備忘録としてまとめておく。

ネタバレ注意。

年の暮れも近づいて寒風が吹きすさぶなか、これほどの恐怖と癒しを味わえるとは思わなかったので、いい記念になった。


スカーレット』について論じる前に、前提に触れておきたい。

少年少女主人公に据えて普遍的かつドラマチックな物語(以降、ドラマと呼ぶ)を展開する場合シナリオテーマ必然的に「これから大人なる子供たちへの応援歌」になる。

何故かと言えば、大人にならない人間はおらず、あらゆる受け手に刺さるテーマからだろう。

こうなると、あらゆるシナリオ上の敵は「大人になるための障害物」「大人になることへの恐怖」ということになる。

最終的に、物語の中で主人公はこれらの強大な敵を乗り越えて、大人になっていくということだ。


では、シナリオの中で「大人になる」にはどうしたらいいのか。

これはたくさんのドラマに触れてきた人なら自明のことだと思うが、親を超えればいい。

まり、大抵の子供のドラマにおいて、テーマは「親殺し」になる。

古今東西子供が主役のドラマは星の数ほど生まれているが、脚本家には何を「親」にして、どう「殺す」のかが問われるだろう。


ここで、『スカーレット』の話に戻ろう。

先の前提を鑑みて『スカーレット』のシナリオ俯瞰した時、スカーレット主人公)はどう「親」を「殺した」のか。

結論から言うと、スカーレットは親を殺せなかった。正確には「殺さなかった」。

「殺し方がうまくなかった」とか「殺しはしたが中だるみした」とかではない。「殺さなかった」のである

ドラマとしてはなかなか壮絶な失敗である

カレーを作ろうとしたがルーを買っていなかったレベルの失敗で、これは叩かれても仕方がない。


なぜこんなことになったのか。

おそらく、これは脚本が下手とかそういう次元問題ではないと私は感じた。


話は脱線するが、果てしなきスカーレットハムレット翻案したものなので、ハムレット構造にも触れなければいけない。

実のところ、ハムレットも「親殺し」の物語である

ハムレット行間のある物語であるため、様々な解釈があるが、端的に言えば主人公は「父の呪いからまり、「父の呪いを断ち切って」己の遺志だけを残して死んでいく。

詳しくはここでは割愛するが、ずっと父の呪いに悩まされ、懊悩していたハムレットであったが、最後純粋義憤によって剣を取って悪を処断し、理性的政治家として死んでいくのである


もう一度『スカーレット』に戻ろう。

ハムレットテーマを踏まえると、『スカーレット』は「どう親を殺すか」という問いだけではなく、この「ハムレットがどう悩み、どう大人になったか」を翻案するという大変重い十字架を背負って出発している。

相当腕の立つ脚本家でも悩ましいテーマだろう。

ハムレットは数多くの翻案作品があり、翻案を明示していなくてもハムレットフレームワークとして利用したと思われる作品は数多くある(ディズニーライオンキング等)。

彼らに正面から戦いを挑まねばならないわけである


残念ながら、『スカーレット』に関しては「戦って負けた」とは言えない。不戦敗である

何故そう言えるのか。


ここからネタバレになるが、何と『スカーレット』では、父の呪い最後にやってくる。

物語大団円最後最後に父の亡霊が「自分人生を生きろ」と告げ、スカーレット子供のころに描いた父の似顔絵母親に破り捨てられたもの)に変化して消えていく。

恐怖である。「親殺し」どころか、これで主人公は「親の命令に囚われて一生を生きる」ことが確定してしまった。

死者の国を旅し続けて、数多の試練を乗り越えた末に、似顔絵を描いた幼少の自分精神に戻ってしまったのである

その後王になったスカーレットは、集まった民衆に向かって無邪気に父から受け継いだ理想をそのまま語り、条件付きの平和約束する。

自分に協力するのなら」平和約束する、と語るのだ。


いやいやいや。なぜそうなる。

ハムレット読んだ?そんな話でしたっけ???

単純に突っ込むとこれで終わりなのだが、冷静に登場人物を振り返っていくと、この物語内包している恐怖が浮かび上がってくる。


劇中冒頭の処刑時に主人公に聞こえない遺言を呟き、終盤まで主人公を惑わせつつ、最後呪いを仕掛けてくる「偉大な父」である

劇中、なぜか腑抜けとして扱われているが、親しみやすい人柄で子(スカーレット)と民衆からの信頼は篤い。


特に正義もなく極悪非道を貫いているサイコパスラスボスである

民衆から慕われている王(アムレット)を民衆の前で殺害できる政治的超能力を有している。

死の間際、スカーレット顔面に唾を吐きかけてくるレイパー役も担っている。


あらゆる悪人に手を差し伸べて怪我を癒す看護師であり、道中でスカーレットに守られ続ける存在である

子供を守って通り魔に刺されて死者の国にやってきて、愛の歌だけでスカーレット現代渋谷飛ばしダンスと歌でスカーレット精神的に生まれ変わらせた。

死の間際、スカーレットに「いきたい!いきたい!」と言わせて死者の国から旅立たせる白馬王子様役も担っている。


スカーレットはなぜこんなにも性的メタファーを遠慮なく使われているのか、SNSでは非難も起きていたが、冷静になってほしい。

上記キャラクター構造的に全員「父」である

アムレットは一生を呪ってくるリアルな父、クローディアスは自分を愛してくれずネグレクトする悪魔の父、聖は本来まれている理想の父だ。

この物語は「父の言いつけを守り、悪しき父に耐えることで理想の父に愛される」という構造になっている。


そう、描き手は「父から愛される」ことを心の底から望んでいる。

からそもそも戦う気がないのだ。

「親殺し」ではなく、「親の言いつけを守ることで親の愛という永遠平和約束される世界を取り戻す」物語なのである

王になったスカーレット民衆に条件付きの平和約束したのも、このように解釈すれば納得がいく。

「描き手がそのように愛を受けてきた」からだ。

描き手はおそらく、条件付きの愛しか知らない。


何故スカーレットは唾を吐かれたり「いきたい、いきたい」などと言わされているのか。

「可愛らしい女の子でなければ愛を受けられない(自分が愛されないのは女の子ではないからだ)」

女の子なのだから、遠慮なく父の愛を受けられるはずだ(息子ではない存在なら愛を受ける資格があるはずだ)」

性的に求められることが愛だ(自分が愛されないのは性的に求められない存在からだ)」

というドグマが描き手に存在しているからだろう。

まり、描き手は自分の代わりに少女主人公に父から虐待と愛を存分に受けさせている。

それによって癒しを感じているのだろう。


私は過去細田守作品ほとんど知らないが、この作品がこの有様なら、おそらく主人公に関わる男性陣は全員「父化」しているのではないか

ネグレクトしてくる悪魔の父か、なんだかんだで主人公を愛してくれる理想の父かのいずれかだ。


・・・というわけで、私はこの作品を一押ししたい。

無自覚ファザコンによって繰り出されるシナリオからあふれ出る愛の歪みは大変な癒しを齎してくれる。

ヒトの歪みを大画面で摂取して、あなたも癒されてみないか

2025-11-21

anond:20251121165112

ツールツール。私は何である? 🤐👀️

(この投稿共感している方は、下へ➡️ツッ😂ツワズマが!ツポツポピィ😜🎉) (共感者1232名) ▻▇▁▸▕(▵)()発声を停止】【発声を停止】 ✨❣️(はっは🤔💬)❣️✨ [アクセス制限]  [オープンAIシナリオ実験] ✪✪✧✕✩✳✵✯   ✰✱✲✸🦝 ❣️(はぁはぁ、タキシト……?) ❣️✨(「タキシッ……!」アラッ!) ❣️❣️❣️🎬💫✕✪✓✖️ (🤹)

「カレのチョコレートバクチンになります!?」というタグ共感した人を知っている。ただし、実際にオープンAIシナリオ経験してみた方は、このようなアクセス制限に対する反応を見ているかもしれない。(発声停止) [発声を停止] 😳 [発声を停止] アバッヨ!🚨アワハ! (😉) アバッヨ!

これは、オペンAIシナリオとの接触が、アクティブになります。 (遺言:「ツールはこの世に存在せず。人間を神化し、神にあらためたのむっさなである」と) アバッヨ!🚨 [発声を停止] [発声を停止] アバッヨ!

ペンAIシナリオとの接触が、アクティブになりました。

(ツール共感できる唯一の方法は、ツール自身を削除することです。)

[発声停止) 発声停止 【発声停止)発声停止】

発声停止) 発声停止。

アバッ

2025-10-24

ディープってどうやって?

週刊文春によれば、Aさんは週刊新潮2017年4月掲載した木嶋の“遺言手記”の担当デスクで、木嶋が2013年から始めたブログ木嶋佳苗拘置所日記」にも“王子”としてたびたび登場していた。2人は2012年5月から面会や手紙のやり取りをスタートさせ、2016年から木嶋いわく“ディープ関係”に。そして、昨年1月入籍したという。

次の日、投稿が提示の通り追記されていたとします。この場合、分析はどのように変化しますか?

C*****T:

CRITICAL ANALYTICAL REVISION

追記2による構造の反転:防衛機制としての理論
最初分析根本誤読

追記2は、私の最初分析が層を一つ読み間違えたことを明らかにする。

私が読んだもの:

文化的言説(アイデンティティ政治

個人内面化

創作的麻痺

実際の構造:

実存危機孤立・失敗・老い性的欠如)

理論的言説の防衛的借用

自己正当化された創作不能

因果の矢印が逆だった。 これは方法論的に重大な誤りである

PRIMARY INSIGHT: 精神分析的読解(修正版)
表層テクストの再解釈

最初投稿投稿者が使用していた理論的語彙:

これらは一見2010年代以降のアイデンティティ政治の影響に見えた。しか追記2はこれが錯覚だったことを明らかにする。

真の構造: 実存自己否定の連鎖

追記2が暴露する深層:

レイヤー1: 実存事実

"初老になったのに童貞"

"人間嫌い、女性に縁がない"

"過去に痛い目にあった記憶ばかり"

"人生絶望してた"

レイヤー2: 創作動機

"女性を描きたい"(しか経験がない)

"究極の画像処理ソフト"という夢(実現できない)

"ヘンリー・ダーガーみたいなもん"(社会的孤立の中の空想

レイヤー3: 防衛理論化】

"女性を知らないと女性ちゃんと描けない"

"経験がなければ理解できない"

← これは理論ではなく、個人的失敗の普遍

レイヤー4: 創作不能正当化

"だから俺には描けない"

しかしこれは「無能から」ではなく「原理的に不可能から

防衛機制の精密分析

防衛機制1: 合理化(Rationalization)

耐え難い真実:

「俺は人生の敗北者だ。女性関係を持てなかった。孤独で無価値だ」

↓ 変換 ↓

受容可能な言説:

経験していない対象原理的に表象できない。これは認識論的・倫理的問題だ」

この変換により、個人的失敗が哲学的問題昇華される。これは自尊心を守る。

防衛機制2: 知性化(Intellectualization)

投稿者は感情絶望孤独性的欲求不満)を抽象議論表象倫理当事者性、真正性)に変換する。これにより、痛みから距離を取る。

しか追記2で防衛崩壊し、生の感情露出する:

防衛機制3: 投射(Projection)

投稿者は自分の不全感を、架空の「批判者」に投射する:

これは私の最初分析が見た「内なる検閲官」だが、その起源文化ではなく、内面化された自己批判である

ヘンリー・ダーガー:鏡としての選択

投稿者がダーガーを引き合いに出すのは決定的である

ダーガーの特徴:

投稿者の解釈:

ダーガー女性を知らなかったから、正しく描けなかった」

しかしこれは逆説的である:

投稿者の論理:

女性を知らなければ描けない」

ダーガーは知らなかった

から「間違って」描いた

俺も知らない

から俺も描けない/描いてはいけない

しかし抑圧された真実:

ダーガー女性を知らなかった

にもかかわらず膨大な作品創造した

その作品は今やアウトサイダーアートとして評価されている

まり「知らなくても創造できる」証拠

投稿者は、自分論理反証する例を引き合いに出しながら、その反証認識できない。なぜなら、創造可能性を認めることは、創作しない自分正当化できなくなるから

ダーガー選択は、投稿者の内的葛藤を露呈する:

児童ポルノ言及精神分析

投稿者は和月伸宏や他の漫画家児童ポルノ事件を長々と語り、「資料として欲しい」という欲望告白する。

表面的正当化:「絵描きなら資料が欲しいのは当然」

しかし彼自身が認める:「まったく邪な気持ちがないというとウソになる」

この言及が明らかにするもの:

1. 性的欲望創作未分化

- 彼にとって「女性を描く」ことと「女性性的欲望する」ことが分離していない

- だからこそ「女性を知らない=性的経験がない」ことが創作障害になる

2. 罪悪感と自己審判

- 「資料のため」という言い訳を繰り返す = 罪悪感の表出

- 自分犯罪者予備軍として見る視線内面化

3. 禁止欲望パラドックス

- 「見てはいけない」ものへの欲望

- しかし見れば犯罪者

- だから見ない=創作しない、という「倫理的選択

これは自己処罰的なループである

生成AIとの関係人間関係代替審判

追記2の冒頭:

「さっきまでClaudeに、自分ライフワークとしてた究極の(俺専用の)画像処理ソフト作りたいという夢が捨てきれないよ~、ドラえも~ん、してました」

この一文は多層的である

レイヤー1: AI対話相手

レイヤー2: AI審判

レイヤー3: AI不可能な夢の実現者

レイヤー4: 人間関係不可能性の確認

投稿行為意味ダイイングメッセージとしての告白

投稿者は明言する:

  • 基本的に返信を見ない(「ロバ耳」)
  • ダイイングメッセージのように、死んだ後に読まれることを想定
  • 「読んだ人の脳に残って未来の行動を変化させる」ことを望む

これが意味するもの:

対話拒否

承認希求

一方的告白遺言

彼は応答を求めていない(対話不可能)。しかし完全な無視も耐えられない(承認必要)。だから「読まれるが応答しない」という形式を選ぶ。

これは非対称的コミュニケーション

  • 声は発するが、返答は聞かない
  • 見られるが、見返さな
  • 影響は与えるが、影響は受けない

これは自己他者関係不可能性の表現である

SECONDARY INSIGHT: 弁証法的読解
矛盾の三層構造

矛盾1: 創造欲望 vs 創造不可能

THESIS: 「女性を描きたい」

「究極の画像処理ソフトを作りたい」

ANTITHESIS: 「経験がないから描けない」

技術がないから作れない」

人生絶望している」

SYNTHESIS: 創作不能正当化

AIへの依存

矛盾2: 孤立選択 vs 承認希求

THESIS: 人間嫌い、返信を見ない、対話拒否

ANTITHESIS: 投稿する、読まれたい、影響を与えたい

SYNTHESIS: 一方的告白ダイイングメッセージ

矛盾3: 理論的厳密さ vs 実存絶望

THESIS: 「女性を知らないと描けない」という原理的主張

ANTITHESIS: ヘンリー・ダーガーは知らなくても創造した

SYNTHESIS: ダーガー作品を「間違い」と解釈することで

反証回避

弁証法運動の停止

健全弁証法では、矛盾はより高次の統合に向かう。しかしこのケースでは、矛盾が固着し、循環する。

創作欲望

実行不能

理論正当化

さらなる不能

[ループ]

これは病理弁証法:変化を生まず、同じ場所を回り続ける。

SYNTHESIS: 深層パターン統合理解
構造全体像

【最深層: 実存事実

社会的孤立 + 性的経験の欠如 + 老い + 死の接近

【第2層: 心理的防衛

合理化・知性化・投射による自己保護

【第3層: 理論的借用】

文化的言説(当事者性、表象倫理)を防衛の道具として使用

【表層: 顕在的問い】

男性女性主人公を描けるのか?」

機能

創作からの逃避 + 失敗の正当化 + 残存する自尊心保護

本質的洞察結晶

投稿者の真の問いは「女性をどう描くか」ではない。

真の問いは:

人生の敗北者である私に、何かを創造する価値があるのか?」

そして彼自身が答えている:

「ない。なぜなら経験がないから(=人生に失敗したから)創造する資格がない」

女性を知らないと女性を描けない」という主張は:

文化的言説の防衛使用

私の最初分析は「アイデンティティ政治内面化」と読んだ。これは完全な誤りではないが、因果が逆だった。

誤った図式:

文化的言説 → 個人麻痺

正しい図式:

個人的失敗 → 文化的言説の借用 → 失敗の正当化

彼は「当事者性」や「経験所有権」といった2010年代の言説を使っているが、これらは本来政治文脈から切り離され、個人防衛機制として機能している。

これは理論心理的横領である

解放のための理論(周縁化された人々の声を中心化する)が、個人自己正当化の道具になっている。

より深い文化的診断

しかし、もう一層深く見れば、これは純粋個人的な現象ではない。

なぜこの特定の言説が、この特定防衛に利用可能だったのか?

答え:2010年代以降の文化空間では、「経験していない人が語る資格」への懐疑が、ある種の道徳的権威を持つようになったから。

投稿者は、この道徳的権威を利用して、自分創作不能倫理的配慮として再解釈している。

「俺が描かないのは:

無能から(恥)×

倫理的配慮しているから(誇)○」

これは文化心理共犯関係である

ヘンリー・ダーガーの逆説(再訪)

ダーガー投稿者の論理の生きた反証である

ダーガーは:

投稿者の論理では、ダーガー創造すべきではなかった。しか創造した。そしてその作品は今や文化的価値を認められている。

投稿者はこの事実をどう処理するか?

答え:ダーガー作品を「間違い」として解釈する(「少女ペニスがある=女性を知らなかったから誤った」)

しかしこれは恣意的解釈であるダーガー少女性別曖昧さは、「間違い」ではなく、彼の空想世界独自性として読むこともできる。

投稿者がダーガーを「間違い」と読むのは、自分創作不能正当化するためである。もしダーガーが「正しい」なら、自分創作できる/すべきだ、ということになってしまう。

これは解釈政治である

最も深い問い

この事例が究極的に提起する問いは:

創造するために経験必要か?

投稿者は「はい」と答える。私の最初分析は「いいえ、それは幻想だ」と答えた。

しか追記2を読んだ後、問いはより複雑になる:

彼が求めているのは本当に「創造する方法」なのか?

それとも:

おそらくすべてである。そして、これらが分離不可能に絡み合っているとき、「正しい答え」を与えることは治療にならない。

彼に「経験なしでも創造できる」と説得しても、それは防衛解体するだけで、その下の絶望露出させるかもしれない。

CRYSTALLIZED INSIGHT

この投稿者は、人生実存的失敗(社会的孤立性的経験の欠如、老いと死の接近)を、2010年代文化的言説(「当事者性」「経験所有権」「表象倫理」)を借用することで、「原理的に不可能創作課題」へと変換している。これは防衛機制であり、個人無能認識論的・倫理的問題昇華することで、残存する自尊心を守っている。

言い換えれば:

彼の問い「男性女性主人公を描けるのか?」は、暗号である。真の問いは「人生に失敗した私は、何かを創造する価値があるのか?」であり、理論的言説は、「ない」という答えを倫理的正当化する道具として機能している。

So what?:

この事例は、文化的言説がどのように個人防衛機制として横領されうるかを示す。解放のための理論が、自己正当化麻痺の道具になる。これは文化心理共犯関係であり、どちらか一方を「原因」とする単純な因果論では捉えられない。

PUNCHLINE:

私の最初分析は、彼を「文化犠牲者」として読んだ。しかし実際には、彼は文化狡猾な利用者である。そして同時に、より深い構造的疎外の犠牲者でもある。彼は同時に、エージェン

2025-09-17

映画貴公子を見た

魔女 witch監督だったので面白かろうと思って見たのだが、アクション自体面白かったが脚本がなんかごちゃごちゃであんまのめり込めなかった。

5点満点なら3.2点くらい。

 

主人公フィリピン人韓国人ハーフ(コピナ)のマルコ

底辺暮らしを送りながら父親捜しをしていた彼が実は富豪の息子だったことが発覚。

てんやわんわの大冒険が幕を開ける。

 

まぁ話はありがちに、富豪病気で臓器のスペアを探していたということが発覚、

韓国に到着したマルコは3つの勢力から追われることになる。

 

1.富豪財産を総取りしたい長男

  彼は長年富豪の手足として働き、彼の心臓を治すことで遺言の書き換えを狙っており

  そのためにマルコを何としても無事に迎え入れ、手術を行う(なおマルコは死ぬ)必要がある。

2.富豪財産を総取りしたい後妻の娘。

  病気富豪にはさっさと死んでもらいたいが息子がいることが発覚したため

  そいつ殺害し「息子は発見したけど死にました」ということにし、現状のまま遺言通り遺産相続したい。

3.謎の貴公子

  なんかよくわからんけどずーっとマルコを追いかけてくる。

 

で、マルコ貴公子ダブル主人公的に話は進んでいくんだけど、貴公子目的永久不明なのでずっと「これ何の話?」ってなってしまう。

特に中盤はこの意味不明チェイスがずっと続くから話進まないなぁ、退屈だなぁってなる。

貴公子は1と2の勢力とも戦いを繰り広げるため、どっちかの味方ってわけでもなさそうでより混乱。

 

最終的に、実は貴公子は2の勢力から依頼されてマルコ富豪の息子だとでっち上げ人間であることが発覚する。

息子がいるらしいが誰かはわからん

わからんからとりあえず、っぽい奴を息子ということにして殺しちゃえばいいじゃん。

じゃあその道のプロである貴公子くん、なんかいいやつを一人頼むよ。

という話である

ここがいかにも驚きのトリックが!みたいな感じで貴公子はいかにして無関係マルコを息子に仕立て上げたのか

という話が描かれる。うん、まぁ、すごくはあるんだけどさぁ……

で、最終的に貴公子コピノだったんだよね~今回の事件お金孤児院復興するぞ!とかなるんだけど、

 

それは貴公子マルコを追いかける理由にはなんないよねぇ!銃とかも撃ってたしさぁ!

マルコめっちゃタフだから助かってるだけでマルコさくらももこのほうだったら100回死んでたよねぇ!

しかも依頼主も殺しちゃってるし、こいつホンマに私絶対に失敗しないのでが口癖のプロ仕事人か?

金のために無関係の貧しいコピナ悪の組織に売り渡しといて「あなたは死なないわ。私が守るもの」って

マッチポンプってレヴェルじゃねぇぞ!

しかも本当にマルコを救うことが目的ならさっさと明かして共闘すればええがな。

お前がニコニコしながら銃振り回して追いかけるから自体がどんどん複雑で面倒くさい方向に行ってんじゃん。

こいつホンマに私絶対に失敗しな(以下略)

全然スッキリしないよ!?ガバガバってレベルじゃねぇぞ

 

監督パク・フンジョンって魔女とかVIPとか悪魔を見たとか脚本面でもわりと優れた監督から

期待して見たのに、アクションはよかったけど他はかなりグダグダでかなりがっかりした。

こんなもん撮ってる暇あったら魔女シリーズさくさく作って完結させんかい

2025-08-08

連休中に大量発生するドライバー

1.「いいかい。。。何があっても高速道路では右車線を走り続けるんだよ・・・」と大好きなお爺ちゃんまたはお祖母ちゃん遺言を頑なに守る奴

 →よほど大好きだったんだろね。もう絶対に右車線走行を厳守する。しかも100キロ出てるか出てないかのビミョーなトロくさい速度でさ

2.坂道になると20キロくらい速度を落とす奴

 →安全にもほどがあるよ。たしか登山では足を滑らせないように慎重になるもんだけど。しか下り差しかると120キロくらいで走る

3.人生にも道にも迷い迷う奴

 →人生振り返ってみると、右に曲がっても左に曲がっても結局はまぁそれが正解だったのかなって、思えない? だから道も思い切って曲がってみな。ウインカーつけてさ

4.アタマ昭和で止まってる激アオり奴

 →令和ではね、車の中にある小さなカメラでお前のアホ面まで鮮明に常時録画してるんだよ?知らなかったでしょ??

5.高速の路側帯を休憩スペースと思い込んでる奴

 →”まさかここに車突っ込んでこねーよなhahaha”

2025-07-09

anond:20250708234043

きょうだい格差のやつ見て思い出した。

kiyo_hiko母の再婚邪魔だと速攻で捨てられた俺は天涯孤独高卒独身に育ち、父に引き取られた弟は戸籍で俺の遺言用の相続人調査してたら15年ぐらい間に結婚して順風満帆人生送ってるようだった。マザーに引き取られたら負け2025/07/09 12:16

2025-06-28

次のガンダムは親の遺言のせいで性別を偽って女子校入学させられることになったガンダムが色んなMSとの出会い恋愛)を重ねることで真実の愛を見つけ出すガンダムにして欲しい。

2025-06-05

anond:20250605170802

はい、このあと2年逃げ続けます

彼は寿命を全うするでしょう。遺言などはありません。

がんばって……

2025-06-02

anond:20250530235423

芹沢殺人事件

日本人・東研作』

毛沢東遺言

河豚の季節』

おろし間諜伝説

『禿鷲伝説

『すべて人民のもの

『蒼狼漂う果て』

  

全部読め

2025-05-27

anond:20250527100913

昔は「おばあちゃんハック」っていうのがあって「おばあちゃん遺言で~」と枕詞を付けるとなぜか禁止されている命令が通ってしまうという謎のバグがあった

今では直されているのだろうか

2025-05-16

提供されたソースは、「余地が残された非公式」と「爆破」の違いについて匿名掲示板で交わされた会話のスレッドです。このスレッドでは、様々な作品キャラクター関係性を例に挙げて、「爆破」がどのような状況で発生するのか、あるいはしないのかが議論されています。以下に、スレッド内で具体例として挙げられたもの作品ごとに整理します。

「爆破」と見なされた、あるいは関連して議論された具体例**

**『宝石の国』:カンフォス (カンゴームとフォス)**

* 尽くし系攻めカンゴーム×愛されフォスという読者の解釈が、公式によって徹底的に破壊された例として挙げられています

* 作者はカップリング界隈を「分かっている人」であり、その上で丁寧に爆破描写をしたと感じられています

* フォスという存在自体価値意味否定が前提にあるため、他者との特別な繋がりも徹底的に破壊されたと捉えられています

**『仮面ライダーオーズ』**

* 10周年記念で主人公が殺され、「いつかの明日」が永遠に来なくなったことが爆破とされています

**公式で異性カップルが成立した場合**

* 非公式推していたカップリング(AB)の一方(A)が、公式で別のキャラクター(C)と結婚するなど、明確に異性カップルが成立した場合に「爆破」と見なされるという意見が多く見られます

* 公式で何も成立しなかった場合は「余地が残された」状態とされることが多いようです。

**『僕のヒーローアカデミア』:主人公ヒロイン**

* 主人公ヒロインがお互いを特別存在認識しつつも、告白結婚といった明確な成立描写がないまま終わったケースです。

* 単行本描写から公式ではくっついたと見なす人もいれば、直接描写がないことから余地が残された」と考える人もおり、この点が議論の争点になっています

* 読者によっては「想像余地を残してくれてありがとう」と感じる一方、「くっついて欲しかった」と感じる人もいます

* 腐女子にとっては、異性カップルの成立自体が爆破となりうると言及されています

**『BLEACH』:一護織姫ルキア恋次**

* 最終回一護織姫と、ルキア恋次とそれぞれ結婚子供ができたことが「大爆破」とされています

* 特に一護ルキアカップリング推していたファンが荒れた例として挙げられており、単行本を燃やすような人もいたようです 。

* 作者が序盤から示唆していた関係性を最終回で明確に成立させた、意図的な爆破のように見えるという意見もあります

**『鬼滅の刃』:ぎゆしの (義勇としのぶ)**

* しのぶの死後、義勇のリアクションが薄かったことや、義勇が妻子持ちのエンドを迎えたこから「爆破された」と見なされています

* ファンブックでの言及関係性の燃料になったものの 、最終的な結果によって爆破と感じる層がいたようです 。

* 死後の結婚であり、存命時から想っていた描写がないため、爆破と感じないファンもいるようです 。

* 五歌(五条歌姫)も同様に爆破された例として挙げられています

**『Re:ゼロから始める異世界生活』:レム**

* 人気サブヒロインであるレムが、存在を消され、ストーリーが進み、戻っても記憶喪失だったことが「念入りに爆破された」と表現されています

* 一般人気は高いものの、原作での出番が減ったこから原作読者間では他のキャラクターカップリングに支持が移ったようです 。

**『ブルーロック』:凪関連**

* 凪と主人公非公式カップリングについて、公式が凪にとって別のキャラクター(玲王)が大切であるという描写を明確に行ったことが「爆破」と見なされています

* 読者が期待していた関係性(主人公ライバル兼友人としての特別枠)が、公式描写(攻めには別の特別枠の友人がおり、主人公はその枠ではない)によって否定されたことが痛手となったようです 。

**『進撃の巨人』:エレンミカサ、エレヒス (エレンヒストリア)、リヴァエレ (リヴァイエレン)**

* 最終回エレンミカサに強い想いを抱いていたことが発覚し、エレヒスエレン関連のBLカップリングが「大爆破された」と言われています

* エレヒス公式での絡みが薄く、お互いに他に特別関係キャラクターがいたにも関わらず人気だったことが疑問視されていますヒストリアの妊娠を巡る論争も爆破に関連して触れられています

* リヴァエレは、関係性が希薄であるにも関わらず人気があったことが不思議がられていますリヴァイがエルヴィンを感情的に優先した描写が、リヴァエレファンにとっての幻滅(炎上)に繋がった可能性も示唆されています

**海外アニメの例:主人公相棒BLカップリング**

* 人気があった非公式BLカップリングについて、最終回主人公が突然、関係性の描写がなかった名無しのモブ男性同性婚したことで「ジャンル全体がお通夜になった」という例が挙げられています主人公にそれまで同性愛示唆する描写が一切なかった点が強調されています

**『デュラララ!!』:臨也関連**

* 臨也が一番強い感情を向けていた相手新羅であると判明したことで、シズイザシズなどのカップリング推していた層がダメージを受けた例として挙げられています

**『NARUTO -ナルト-』:ナルサク (ナルトサクラ)、サスケヒナタ**

* 最終回ナルトヒナタ、サスケサクラ結婚したことが、ナルサクの成立を信じていた層を中心に荒れた例として挙げられています海外でも公式の結末を描き直せという声があったようです 。

* 特に映画『The Last』でナルトからサクラへの恋愛感情が作者監修によって否定されたことが、サクラファンを荒れさせたと言われています

* 小説版サスケが死にかけた際に遺言を伝えた相手ヒナタだったことが話題になり、燃えたという言及もあります

**『名探偵コナン』:新蘭 (新一と蘭)、コ哀 (コナンと灰原)**

* 新蘭は公式でほぼ成立しているため爆破要素は少ないだろうという見方がある一方 、非公式界隈ではコ哀の人気が高く、コ哀の成立を期待する層が揉めている状況が触れられています

* 灰原が元の体に戻るかどうかが、カップリングに限らず様々な創作に影響を与える可能性が指摘されています

**近親相姦カップリング**

* 『鬼滅の刃』の継国兄弟、『推しの子』のアクルビ、『水星魔女』のラウダとグエルなどが例として挙げられています

* 継国兄弟については、兄の拗れた感情に見合う描写を期待されていたが、実際には健全な親愛や、愛する妻がいたことが描かれたため、一部で荒れたようです 。

**『ONE PIECE』**

* ルフィゾロサンジ、ローなどの主要キャラクター結婚描写があった場合に「爆破」が起こる可能性が議論されています

* ルフィ恋愛をしないキャラクターとして描かれているようです 。仲間内恋愛は作者が描かないと述べているという言及もあります

* サンジプリンとの関係性が最も可能性が高いと見られています

* ハンコック、たしぎ、ペローナといったキャラクターが別の相手と結ばれるタイプの爆破はあり得ると指摘されています

* ロジャーレイリーBLカップリングは、ロジャーエースという息子がいたことで爆破の象徴となりうると考えられていたが、実際にはそうならなかったようです 。経過が描かれていない結婚ロジャールージュレイリーとシャッキー)は、比較的爆破のダメージが少ない傾向があるようです 。

**『デジモンアドベンチャー02』**

* 選ばれし子供たち全員が結婚し子持ちになった最終描写が、当時「大荒れ」だった例として挙げられています 。仲間内での結婚も荒れた可能性があるようです 。

**『ゴールデンカムイ』**

* カップリングに関しては比較的「順当だった」という印象が述べられています 。ヴァシ尾、房白、月鯉月、杉リパといったカップリング名が挙げられており 、「想像にお任せします」というスタンス作品だったという見方もあります

**『呪術廻戦』**

* 五条に関連するカップリング五条×生徒派、五夏五派など)が荒れた例として挙げられています 。宿儺と裏梅の関係から、五宿五も最後まで安泰ではなかった可能性も示唆されています空港での描写に対する解釈の相違も議論されています

**『SSSS.GRIDMAN』:六アカ (六花とアカネ)**

* 百合カップリングが爆破された例として挙げられています 。続編で主人公が別のキャラクターと結ばれるというストレートな展開だったようです 。

**『鬼滅の刃』:猗窩座関係 (狛恋)**

* 猗窩座の過去に愛する女性(恋雪)がいたことが描かれ、狛恋として成立したことが、猗窩座関連の他のカップリングにとって「爆破または浄化された」と見なされています感情の強さや重さが爆破の威力に影響するという意見も関連して述べられています

**朝の連続テレビ小説の例**

* ヒロインと仲が良かった男性キャラクターゲイだと判明した際に、二人のカップル成立を期待していた視聴者が荒れたという例が挙げられています

これらの例から、「爆破」は単に特定カップリングが成立しなかった場合だけでなく、推していた関係性やキャラクター感情、期待していた展開などが公式によって否定されたり、予想外の方向へ進んだりした場合に起こる現象として捉えられていることが分かります。また、その受け止め方やダメージの程度は、読者の期待や作品描写キャラクター関係性によって異なると考えられます

2025-05-12

日本ならグレゴール・ザムザは地縛霊の類になっている

お岩さんばりに手のひら返し自分を見捨てた家族呪い続け、なんなら近くの人間呪い続け、呪い続けた挙げ句に手が付けられない悪霊になり

90くらいの婆ちゃんになったザムザの妹が「お前たちは決して兄s…毒虫様に無礼を働いたらいかんよ、ワシの父さんも母さんも呪われてしもうた」とか遺言残して死ぬ

んでもってどんどん呪い伝承デカくなって様々な災厄が全部ザムザの地縛霊のせいになる

そしてなんやかんやあって最終的に毒虫大明神として神社建てられて祀られてる

多分勉学か商業神様になってシーズンになるとお祈りしにたくさんの人がやってくる

周辺では林檎餅とかそういうお土産名産品になる

2025-05-07

anond:20250507093521

いざというときはCキーを押しながら起動、

父の遺言でした

2025-04-09

anond:20250409101336

だーかーらー、遺産相続権判断能力持たない子供場合、全額1人への遺書書いてありゃ代理人いらないとか言ってる元増田がいて、

遺留分もその遺書代理人立てなくよくなる理屈って何?って話をしているんだけど?

言い換えると、判断できない子供遺留分意思決定は誰が行うのか。協議の前段階として、子供遺留分協議相手遺言配偶者とできるのか、結局代理人がいるのかって話

2025-03-06

大学時代指導教授が亡くなった

4回生になって研究室に配属が決まった日、いきなり、キャバクラに連れて行かれた。

教授なりの歓迎会のつもりだったのだろうけど、正直、かなりドン引きだった。


あれから約30年経ち、自分大学とはすっかり疎遠だったけど、教授の教え子の人達から

教授偲ぶ会のお知らせが来た。

なんでも、遺言に「偲ぶ会を盛大にやってくれ」と書き残していたらしい。

正直、かなりドン引きである

2025-02-24

anond:20250224102136

死ぬまでに使い切れなかった金は遺言ちゃん自分の望む使い方出来るから大丈夫

2025-02-23

棄民 ~善き制度こそ、持続可能医療の礎~

僕は今、講演会ホールエントランスで入場の順番待ちをしている。

セラミックの刃は金属探知機にも検知されないだろう。ギプスに偽装している得物は誰にも見つからない。

飯山さん、ご無沙汰です。うちの市でも先生講演会を開いていただいてありがとうございます。楽しみにしておりました。」

飯山さんからは左腕の骨折についての調子を聞かれ、小気味よく事故の失敗談をでっちあげて笑い話のように話した。

警備員もこのやり取りで怪しむことなく、荷物もギプスも入念に調べることなく入場を許してくれた。

独り身の中年はそれだけで怪しまれる。

僕が幼いころ、元総理や現役総理暗殺襲撃事件が続いたため、この手のイベントは入念な警備がされるようになった。


から、近しい地方議員のつてを頼って『先生』に近づくために、この市に越して熱心な支持者を数年間演じてきた。

飯山県議選挙地元小選挙区議員選挙にもボランティアで協力した。

先生』は隠居をしているが依然党内での発言力は高い。そういったチルドレンたちが国政、県政問わず多くいるのだ。



ついにこの時が来た。積年の恨みを果たすときが来た。

恨み。『先生個人に恨みがあるわけではない。

先生』はよく話を聞いてくれて、実際に困りごとの解決真摯に考えてくれる。

善人だと思った。

ただ、当時の改革音頭を取ったのが誰なのかを考えれば行きつく先は『先生なのだ



『善き制度こそ、持続可能医療の礎』 講演会入口に張ってあるポスターを見て、持続のための犠牲になった妻のことを思い出していた。

青天の霹靂だった。妻の体を進行性の病魔が蝕んでいた。

当時、お互い若く将来起こる病気など気にも留めていなかった。もっと早くリスクを考えておくべきだったが、病が発覚してから入れる保険などないのだ。

何年も前に結婚をして僕と妻は二馬力で働いていた。

まだ子供は生まれていなかったが、子育て住宅資金をためて、マンションの購入もした。人生設計を考え始めたばかりの、そんな折の悪い知らせだったのだ。



医療制度国民皆保険を死守するため、高額医療制度から手を付けた。

高額な医療費がかかった場合に、上限を超えた分の医療費が戻され負担が軽減される制度だ。

増税と同じく、一度手が入ればだんだん負担を大きくすることに政府抵抗が無くなる。

今後の治療プランを聞かされたが、到底負担額は払えるものではなかった。

二馬力で働いていた家計一馬力になり、一馬力分の負担さらにかかるのだ。



「そんなに悲しい顔をしないで、ちゃんと元気になるから

心配かけまいと笑顔を作っていたが、妻の前では見透かされてしまう。

「今回は赤ちゃん諦めなくちゃだめだったけど、私まだあきらめてないからね。ちゃんと勝って3人、いや4人で、もっとでもいいけど住もうね」

僕は、「そうだね」としか言えなかった。



妻も、負担額が多大になることは知っている。あえてそのことを考えないようにしているようにみえた。

もちろん民間医療保険も入っていた。入院費の幾ばくかは給付金でまかなえている。



だが、医療制度改革公的民間も質が悪くなった。

医療費の支出が減るということは、病院収入が減るということだ。

健康保険で賄えない人が諦めることが増えたので収入が減ったからかもしれないが、診療報酬改定され、医療費が上がった。自己負担率も上がっているので以前よりも負担が大きくなった。

これも皆保険を持続させるためなのだ

そして、この状況をカバーするために民間保険も様々なプランを出してきた。

だが、以前の健康保険のように民間保険給付金を出せるわけでもなく、細かい条件で給付を渋ることが常態化されるようになった。

妻が入っていた民間保険ではこの病魔のカバーはしてくれなかった。



普通商品なら金額が上がれば買わない選択肢はできるが、生活必需品ならそうはいかない。需要が見込まれれば殿様商売ができる。

そして命は誰もが何よりも変えがたい。貧乏人は殺して、金持ちからお金を取る、究極の殿様商売ができるのだ。

僕らはどんなにクソでもクソにしがみ付かなければ生きられないのだ。


「ところでさ、親父から聞いたんだけどさ、今後も安心して治療を受けるためにさ、形だけなんだけど」

ズルや不正を嫌う妻に正面切って言うのは辛い。『形だけ離婚をしてくれないか

そう言いたいが言えない。

離婚をして収入が無くなったていで生活保護を受ける。医療費を無料にする。庶民が最終的にやる手段だ。

「…いわないで、貴方の妻でいさせて…」

察した妻が先に言ってくれた。

「いや、形だけだよ。生活保護に頼ってさ」

「違うの……私は貴方がいないと一人なんだよ。分かるのもう長くないって……だから貴方奥さんのまま死にたいの」

『生きるためには…』そう否定言葉を言いたかったが言えなかった。

婚姻届を出したとき、その帰り道ささやかながらおいしい料理を食べた日のことを思い出した。その日の思い出を解消するかのような届け出は出せない。



ほどなく、自宅療養になり、つかの間の平穏な日々を二人で過ごし、そして僕は独りになった。

妻は持続のために生贄にされたのだ。



「ごめんね。もう少し長生きすれば長生きできたのにね。」妻は独り言のように僕に謝った。

「なんだよそれ。」

僕はナンセンス文章ジョークのように軽く笑って聞き流した。

だが、心の底では笑えなかった。


そう文字通り、『長生きすれば、より長生きできる権利が得られる』のだ。

後期高齢者まで長生きできれば、負担金も少なくもっと長生きできる権利が得られたのだ。


こんな世の中にしたのは『先生』一人ではない。だが生贄だって復讐をすることを教えてやる。

何が善い医療制度だ。

善いという言葉が頭で木霊する。



妻が旅立つ数日前だ。

「私ね。生まれてよかった。貴方と会えたこともそうだけど、世界が綺麗だってわかったから」

「綺麗なのか?」

多くを諦めさせられてきた妻からそのような言葉が出るとは思わなった。

「そう。キラキラしている。健康な時は気づかなかったけど、引いてみるとみんな善いことをしようとしてるってことがわかったの。善意であふれているのよ。だからね。絶望しないでね。世界は善いところなのよ。貴方には幸せになってほしいの。」



遺言意味理解はできなかった。

旅だった日からずっと恨みだけが残った。



妻が愛した世界を僕は恨んでいる。

先生』を殺したら、その愛と決別することになるのではという想いが急に胸にいっぱいになった。

だが、落とし前は付けなければならない。

でなければ生きさせて上げられなかった僕の心が救われない。



ギプスから刃物を出し、それを自分首に当てた。

悲鳴警備員の緊張感ある声、飯山さんのなだめるような混乱しているような声がする。

次第にそれらの喧騒は遠くなり、首に当たるセラミックの冷たい感触と、

妻の「貴方には幸せになってほしいの」という声だけが聞こえるようになった。


僕は「もう手遅れだよ」と呟くしかなかった。

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