連載
憂楽帳
50年以上続く毎日新聞夕刊社会面掲載のコラム。編集局の副部長クラスが交代で執筆。記者個人の身近なテーマを取り上げます。
-
目で聴くテレビ
2025/11/19 13:04 443文字認定NPO法人「障害者放送通信機構」(大阪市)の「目で聴くテレビ」は、阪神大震災がきっかけで始まった手話放送だ。専用受信機をテレビにつなぐと番組を見ることができる。 1995年1月17日の地震発生の翌日、神戸市内で液化石油ガスのタンクからガスが漏れて避難勧告が出た。対象は7万人超。その中には聴覚障
-
地面師たちの「声」
2025/11/18 13:07 453文字ドラマ化されて話題になった「地面師たち」。著者の新庄耕さんは、ある表彰式であいさつに立ち、喜びの言葉を口にした。「受賞すると思っていました」。会場が沸いた。新庄さんは続けた。「声優さんたちの気迫に圧倒されました」 受賞したのは、音声作品を表彰している「オーディオブック大賞2025」文芸部門の大賞だ
-
カタパルト
2025/11/17 13:09 465文字中国初の空母・遼寧(りょうねい)が就役した2012年、日本政府関係者は「恐るるに足らず」と語っていた。遼寧の飛行甲板がスキージャンプ式であることが理由だった。 地上なら2000メートル以上の滑走路が必要な固定翼機の離着陸を、300メートル前後の甲板上で行う空母は機密の塊。甲板の先端をせり上げて発艦
-
郵便局巡り /宮城
2025/11/15 05:00 439文字平日に郊外へ出かける用事があると、近くの郵便局を探して立ち寄る。風景入通信日付印、通称「風景印」を集めるためだ。消印の一種で、局周辺の名所や特産品などにちなんだ図案が描かれる。宮城県内に362ある郵便局のうち259局に配備されている。 蔵王町の宮郵便局の図案は「蔵王連峰の遠景に白鳥の古碑と小野訓導
-
郵便局巡り
2025/11/14 14:06 0文字 -
-
郵便局巡り
2025/11/14 13:09 439文字平日に郊外へ出かける用事があると、近くの郵便局を探して立ち寄る。風景入通信日付印、通称「風景印」を集めるためだ。消印の一種で、局周辺の名所や特産品などにちなんだ図案が描かれる。宮城県内に362ある郵便局のうち259局に配備されている。 蔵王町の宮郵便局の図案は「蔵王連峰の遠景に白鳥の古碑と小野訓導
-
本がつないだ20年
2025/11/13 13:08 466文字ブティックや飲食店が並ぶ通りには、うっすら紙の匂いが広がっていた。福岡市内で3日に開催された「のきさき古本市」。本の祭典「BOOKUOKA(ブックオカ)」のメインイベントで、さまざまな出店者らが数百メートルにわたって歩道脇で本を広げ、客が品定めしていた。 ブックオカは、市内で独立系書店を営む大井実
-
緩やかな実験
2025/11/12 13:16 447文字その不思議なイベントを今年6月、兵庫県姫路市立美術館の芝生の庭でたまたま見かけた。子供の遊び場やギター弾き語り、コーヒーショップといったブースがぽつぽつあるが、全体に趣旨がよく分からなかった。 企画した兵庫県立大環境人間学部の内平隆之教授(51)は「孤立・孤独を予防するため、緩やかに人と人をつなぐ
-
中国と松下幸之助
2025/11/11 13:10 458文字高市早苗首相と中国の習近平国家主席にゆかりのある「偉人」がいる。松下電器産業(現パナソニック)の創業者で、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助(1894~1989年)だ。北京には生い立ちなどを紹介する記念館がある。案内役の尹(いん)さんによると、来館者の9割は中国人。地元の学生も見学に来るという。
-
ててたりと
2025/11/10 13:14 453文字書籍や雑誌、絵本が並ぶ「本屋さん ててたりと」(埼玉県川口市)は一見、普通の書店と変わらない。でも実は精神や身体に障害のある人に働く機会を提供する就労支援事業所だ。事業所の利用者が本の整頓や発注、配送を担う。 クッキーを作って販売する別の事業所の職員だった竹内一起さん(53)が7年前に開店。食品製
-
-
筆跡は語る
2025/11/7 13:07 449文字長野県茅野市出身の飯森直人さん(21)は2022年秋、地元の公共スペースに悩み相談の掲示板を設置した。付箋で貼られた子どもや若者の悩みに対し、地域の人が回答する。インターネット上の掲示板はあえて選ばなかった。 「筆跡が残ると、誰がどんな思いで書いたか想像しやすい。SNS(交流サイト)で見かける誹謗
-
複雑なままで
2025/11/6 13:05 467文字「複雑なものを、複雑なままで提示できる空間。それが沖縄です」。かつて沖縄県にあった旧日本軍の「慰安所」について研究している洪〓(王へんに允)伸(ホンユンシン)・沖縄大准教授はそう語る。 第二次世界大戦中、日本軍は沖縄に140カ所以上の慰安所を作り、朝鮮半島出身者や遊郭の女性たちを慰安婦にした。民家
-
優しいまなざし
2025/11/5 13:08 447文字大阪市の児童養護施設「博愛社」で先月、地域の住民に施設を開放するお祭りが開かれた。恒例のイベントで出店が並び、入所者の子どもたちは近所の人たちとの交流を楽しんだ。 「お盆やお正月になっても帰る場所がない子が増えているんです」。施設を運営する社会福祉法人理事長の畑野研太郎さん(77)が教えてくれた。
-
お札
2025/11/4 13:09 451文字「福沢諭吉の出番だ」。酒席で思いがけず会計がかさんだ時、割り勘を頼む相手に使ってみたいと昔から思っていた。「1万円札を出して」よりも角が立たなそうだ。そう思いつつも、ろれつが回らなくなるのが常だった。 2024年、実業界で活躍した渋沢栄一が肖像の1万円札が登場した。果たして「栄一の出番だ」で、相手
-
あの夏の球児
2025/10/31 13:10 446文字コロナ禍で高校野球の夏の甲子園大会が中止になった2020年。沖縄大会では、石垣島にある県立八重山高校が優勝した。 島で育ったメンバーで沖縄の頂点に立った。それなのに甲子園で戦えず、主将だった内間敬太郎さん(22)は「このまま終われない」と感じた。母校の指導者になって甲子園を目指そうと思い、金沢学院
-
-
降水確率って?
2025/10/30 13:01 456文字「散髪屋さんなどで気象台職員と『身バレ』すると、『降水確率ってなんなん?』とよく聞かれます」。勤務先の大分支局には毎週末、気象にまつわる豆知識を紹介するメールが届く。送り主は横光雅種さん(62)。大分地方気象台の地域防災官を務めている。 メールによると、降水確率とは1ミリ以上の雨や雪の降りやすさで
-
未来ある獅子舞
2025/10/29 13:21 474文字兵庫県南西部の播州地方は「灘のけんか祭り」など豪壮な秋祭りで知られるが、山あいの小さな神社の、ある獅子舞が注目されている。 宍粟(しそう)市山崎町宇原地区に江戸時代から伝わる「宇原獅子舞」。典型的な農山村で担い手が減り、笛や太鼓、獅子舞を伝承する「保存会」は10年前、平均年齢60歳の10人ほどに。
-
本当の中国
2025/10/28 13:15 453文字「本当の中国って、メディアやSNS(交流サイト)でのイメージと違いますね」。21日に北京の在中国日本大使館で開かれた日中の高校生による交流事業で、多くの生徒が口にした言葉だ。参加者のほとんどが初めての中国渡航。これまで抱いていたイメージとのギャップに、驚きを感じる人も多かったようだ。 この事業は公
-
12年ぶりの電話
2025/10/27 13:15 451文字「お久しぶりです。実はお宅の近くに来ていまして」。参院選の投開票を翌日に控えた7月19日、携帯が鳴った。12年前の参院選時に取材した創価学会員からだった。接戦が報じられた埼玉の公明党現職を応援しようと夫婦で東京から駆けつけており、年賀状で埼玉在住だと知らせていた私にも合間に連絡をくれたのだった。
-
漁業は「水もの」
2025/10/24 13:03 442文字秋も深まり、宮城名産のカキが恋しくなってきたが、県内の生食用むきカキの出荷解禁は27日。夏場の海水温上昇などで生育が遅れたためで、通常の9月下旬から解禁日が10月にずれ込むのは7年連続だ。 海水温や海流の変化で、漁獲量や魚種の変動が激しい。仙台近郊や南三陸沖でも2023年ごろから、三重や千葉が主産
-