はてなキーワード: マクロ経済政策とは
日本銀行は30日の金融政策決定会合で、6会合連続で利上げを見送った。米国の関税政策の影響をなお見極め、高市早苗新政権ともコミュニケーションを図っていく考えだ。一方、高市氏が後継を自任する安倍晋三・元首相の経済政策「アベノミクス」を理論面から支えた浜田宏一エール大学名誉教授はいま、利上げを主張している。大規模な金融緩和を唱えていたリフレ派の経済学者が、「必要なのは金融引き締めだ」と訴えるようになったのはなぜか。詳しく聞いた。
「最大の問題は物価が上がり続けるインフレの放置です。『物価の番人』である日銀はなぜ、利上げをためらうのでしょうか。円安も是正されず、交易条件の悪化で日本人は輸入品を高く買わされる一方、外国人が『安い日本』を買いたたいているような状況を見過ごせません。国民を苦しめ、国家の基盤を揺るがす事態です。金融引き締めが必要です」
「状況が違うのだから、対応が変わるのは当然です。暑ければ冷房を入れ、寒ければ暖房を入れる。ケインズいわく『事情が変わったのに意見を変えない人は愚か者だ』と。第2次安倍政権でアベノミクスを始めた2013年初頭は1ドル=80円台で、製造業はコストカットに追われ、物価が下がり続けるデフレが問題でした。今は1ドル=150円台、インフレ、人手不足で、状況が正反対です」
――物価上昇率は日銀の目標の2%を3年6カ月上回っています。ただ、原材料など供給側のコストプッシュが主因で「一時的」として、日銀は慎重に利上げを進めています。
「国民は一時的だと思っていますか。3%のインフレも3年続けば10%。人件費や家賃なども上がり始め、デフレマインドも変化しているはずです。1970年代の石油ショックや、コロナショックも供給側を起点としたインフレでしたが、実際に価格が上昇すると、需要曲線も上がるのです。『一時的』と見ていて、利上げが後手にまわった例は少なくありません」
「確かに日本では少子高齢化による需要の弱さや、デフレへの逆戻りに懸念もあるのでしょう。ただ、もしそれらが表面化したら、また利下げすればいいのです。日銀は昨年夏の利上げ直後の株価急落がトラウマなのかもしれませんが、政治や市場の反応を過度に恐れて、正攻法である金融引き締めができないようなら日銀は要りません。今すぐ利上げをするべきです」
――高市首相の「金融政策の責任は政府にある」との発言をどう評価しますか。
「同意します。政治家には『難しい』といって日銀に任せきりにしたがる人もいましたが、それではダメです。金融政策は景気や物価、雇用に直結する重要な政策です。私たちが大規模緩和を主張したのは、変動相場制になって以降、米国の金融緩和が円高を通じて日本経済を冷やす構造に、日銀が対応できていなかったからです」
「一方、日銀は膨大な経済データを駆使する金融政策のプロ集団で、政策手段を巧みに操作できるため、その独立性は極めて重要です。だからこそ、政府と日銀は互いの立場を尊重しつつ、よく意思疎通するべきです」
――車利用者の家計を助けるガソリン旧暫定税率の廃止はどう考えますか。
「対症療法にすぎず、筋違いです。インフレの影響は年金生活者や勤労者だけでなく、利上げ時に価格下落リスクを負う株式投資家など国民全体に及びます。国民全体の物価上昇を抑えることが重要で、ガソリン利用者の負担だけを軽減するのは不十分。ガソリンが安くなれば車の利用も増え、かえってインフレを強めかねません。減税は本当に困っている人を助けるよりも、結果的に国民全体の負担を重くする恐れがあります」
「そう単純ではありません。インフレによる税収増は景気の過熱を緩やかにする役割があり、経済学では『自動安定化装置』といいます。バラマキ的な財政拡張はインフレを強めかねません。逆にデフレや不況の時には借金してでも財政出動が必要です」
――アベノミクスは課題もあったと思いますが、いま再設計するならどうしますか。
「第2次安倍政権では雇用を約500万人増やし、デフレ脱却の土台となりました。ただ、賃金や生産性、男女平等では課題も残しました。いま必要なのは『量』ではなく『質』の向上です」
「アベノミクス第3の矢の成長戦略は不十分でした。高市首相が掲げる官民による危機管理投資や成長投資は大いに期待します。特にデジタル分野では、米国や中国のようにデジタル技術で世界規模の付加価値を生み出す力を持たなければなりません。そのためには、記憶力偏重の教育から脱し、議論を通じて創造性や独自性を伸ばす教育も欠かせません」
経済政策の「正解」とは?
――経済政策に「正解」はあるのでしょうか。
「私は過去に重いうつ病を患いました。外から見ていると、医者は病の治し方を完璧に知っているように見えますが、実はそうではないようです。経済政策も同じで完璧な答えはありません。それでも、物価高に苦しみ、『安い日本』と呼ばれる現状に自信を失っている国民にとって、いま本当に必要なマクロ経済政策は何なのか。私は経済学者として考え続けたいですし、高市政権の閣僚も考え抜き、議論を重ね、最善の政策を実行してほしいと願っています」
浜田宏一氏の経歴
はまだ・こういち 1936年生まれ。米エール大名誉教授、東大名誉教授。専門は国際金融論、ゲーム理論。第2次安倍晋三政権で内閣官房参与を務め、アベノミクスの理論的支柱とされた。著書に「21世紀の経済政策」(講談社)や「うつを生きる」(文春新書、内田舞氏との共著)など。
このマクロ経済政策に関する論争は、突き詰めると異なる経済的利益を持つ二つのグループの価値観とリスク許容度の対立に帰結することが非常に多いです。
積極財政とデフレ脱却の是非を巡る議論は、保有する資産によって経済的な利害が分かれる、以下の二つの派閥の対立図式として整理できます。
保有資産の特性: 現預金、日本国債、保険、年金などの資産を多く持つ層(特に高齢者層)。
最大の利益: デフレ(物価下落)と円高。物価が下がると、現預金の実質的な購買力が上昇するため、最も利益を得ます。円高は輸入品を安くし、現預金の国際的な購買力を高めます。
懸念: 積極財政によるインフレは、現預金の実質価値を目減りさせる「資産への課税」と見なされます。
保有資産の特性: 株式、不動産、事業資産など、インフレと名目成長によって価値が上昇する資産を持つ層。
最大の利益: インフレと円安。インフレは資産の名目価値を押し上げ、実質的な債務(借金)の負担を軽くします。海外株を持つ場合は円安で得します。
この議論がなかなか収束しないのは、互いの経済的利益と価値観の前提が根本的に異なるからです。
最終的に、どちらの政策パッケージを採用するかは、「誰の利益を優先し、どのような未来の日本経済を目指すのか」という、経済学というより政治的な価値判断に行き着きます。
この二つの派閥の対立を緩和し、国民全体が納得できる「折衷案」を見つけ出すことが、現代の日本経済政策の最大の課題と言えます。
おおかたAIに書かせたであろう無駄に抽象的な本文に、本文と齟齬のあるタイトル。投稿した人間の程度が知れる。
■石破おろしを望む君たちへ
一国の宰相の進退というものは、個人の感傷的な願望によって左右されるべきものでは断じてありません。国益、地政学的リスク、経済指標、支持率の推移、党内力学、そして何よりも具体的な政策の成果と、その再現性。これら無数の変数から構成される極めて複雑な関数によって、冷徹に判断されるべきものです。君たちのその願いは、この巨大な論理体系の前では、大海に漂う塵芥にも等しい、実に些末な存在であると、まずご認識いただく必要がございます。
もし仮に、君たちが石破氏の続投を本気で、かつ論理的に支持されるというのであれば、以下の点について、それぞれA4用紙20枚以上、一次資料を明記の上で詳細なレポートを、本日中にご提出いただけますでしょうか。
1. 石破政権下におけるマクロ経済政策が、他の先進国と比較して、具体的にどの指標において、どれほど優位性があったのかについての定量的分析。
2. 外交における具体的な成果について、それが単なる現状維持ではなく、日本の国益を長期的に、かつ不可逆的に向上させたという明確な論証。前政権までの負の遺産を、いかにして解消したかの具体的なプロセスも含む。
3. 彼のリーダーシップが、内閣及び与党内の数多の抵抗勢力をいかにして説得、あるいは論破し、国論を二分するような重要法案を成立に導いたかの詳細なケーススタディ。
4. 今後想定される国内外のあらゆる危機(経済危機、大規模災害、軍事的衝突等)に対し、他の潜在的な首相候補と比較して、石破氏でなければ絶対に対応不可能であるという、排他的かつ決定的な論拠。
これができもしないのに「やめないでほしい」と声高に叫ぶのは、羅針盤も海図も持たずに「この丸木舟で新大陸を発見したい」と無邪気に語るのと何ら変わりありません。それは政治的主張ですらなく、単なる思考停止の表明であり、主権者としての責務の完全なる放棄に他なりません。
君たちのその感情は、結局のところ、政治という複雑系を自らの頭で理解しようとする知的努力を怠り、誰か特定の個人に「よきに計らえ」と依存している、精神的な未熟さの表れではないでしょうか。
総理が辞めるか辞めないかは、君たちのような根拠なき願望とは一切関係のない、極めて高度な政治的力学によってのみ決定されます。君たちが今すべきことは、無意味な願望を表明することではなく、自室にこもり、せめて近代政治史の専門書でも一冊、その内容の難解さに涙しながら、必死に読破することではないでしょうか。
一国の宰相の進退というものは、個人の感傷的な願望によって左右されるべきものでは断じてありません。国益、地政学的リスク、経済指標、支持率の推移、党内力学、そして何よりも具体的な政策の成果と、その再現性。これら無数の変数から構成される極めて複雑な関数によって、冷徹に判断されるべきものです。君たちのその願いは、この巨大な論理体系の前では、大海に漂う塵芥にも等しい、実に些末な存在であると、まずご認識いただく必要がございます。
もし仮に、君たちが石破氏の続投を本気で、かつ論理的に支持されるというのであれば、以下の点について、それぞれA4用紙20枚以上、一次資料を明記の上で詳細なレポートを、本日中にご提出いただけますでしょうか。
1. 石破政権下におけるマクロ経済政策が、他の先進国と比較して、具体的にどの指標において、どれほど優位性があったのかについての定量的分析。
2. 外交における具体的な成果について、それが単なる現状維持ではなく、日本の国益を長期的に、かつ不可逆的に向上させたという明確な論証。前政権までの負の遺産を、いかにして解消したかの具体的なプロセスも含む。
3. 彼のリーダーシップが、内閣及び与党内の数多の抵抗勢力をいかにして説得、あるいは論破し、国論を二分するような重要法案を成立に導いたかの詳細なケーススタディ。
4. 今後想定される国内外のあらゆる危機(経済危機、大規模災害、軍事的衝突等)に対し、他の潜在的な首相候補と比較して、石破氏でなければ絶対に対応不可能であるという、排他的かつ決定的な論拠。
これができもしないのに「やめないでほしい」と声高に叫ぶのは、羅針盤も海図も持たずに「この丸木舟で新大陸を発見したい」と無邪気に語るのと何ら変わりありません。それは政治的主張ですらなく、単なる思考停止の表明であり、主権者としての責務の完全なる放棄に他なりません。
君たちのその感情は、結局のところ、政治という複雑系を自らの頭で理解しようとする知的努力を怠り、誰か特定の個人に「よきに計らえ」と依存している、精神的な未熟さの表れではないでしょうか。
総理が辞めるか辞めないかは、君たちのような根拠なき願望とは一切関係のない、極めて高度な政治的力学によってのみ決定されます。君たちが今すべきことは、無意味な願望を表明することではなく、自室にこもり、せめて近代政治史の専門書でも一冊、その内容の難解さに涙しながら、必死に読破することではないでしょうか。
「アベノミクス成功!」って必死で言ってるやつ、大体幻の”基調インフレ”に基づくインフレ目標政策という裁量的金融政策も、高橋洋一先生の統合政府アンバランスシートも否定してないんだよね。
実質賃金がどれだけ下がり続けても一時的って…どこの詭弁のガイドラインだよ。
そもそもリフレ派っていうのは日本の経済的苦境はデフレという貨幣現象に由来するという一派であって構造的問題では「ない」から構造改革派を蛇蝎のごとく嫌っていたし、リフレ政策を採用しさえすれば1年間とか2年間とかですぐ」解決できると言ってたわけ。何が20年来の構造的病だよ。
”そもそも需要が足りないから名目賃金が上がらないんであって、” 元増田は実質賃金の話で失敗ですか?と聞いてるんだからなんだろう、論点クリームスキミングさせるのやめてもらっていいすか。
移民政策も観光立国も、それ単体で議論すべきものであって、マクロ政策の成否とは関係ないけれど、”少子化もよく考えてみるとデフレのせい、日銀がマネタリーベースを増やさなかったせい”と言い出したのはリフレ派の方ですよね。
「デフレのせいだとは言ったけどインフレになれば解決するとは言ってない」とんち番長一休さんかよ。
金融政策は本質的にマクロ経済政策であり、分析に使えるデータは観測数が多くバリエーションが豊富なクロスセクションやパネルデータでなく時系列データにとどまっているため、因果推論などで用いられる手法が容易には適用できないこと。 非伝統的金融政策 の実証研究を行ったりその結果を解釈したりする際には、分析の限界を理解することが重要であること(マクロ経済政策は本質的に経済情勢に応じて決まる内生変数だから)。マクロ経済政策ではランダム化した社会実験ができないだけでなく、データから観測される自然実験は、研究者が真に必要とする問いに答えるセットアップとはなっていないという点で、外的妥当性(external validity)を持たないこと。このため、日本の 非伝統的金融政策 の実証研究が、そのまま他の地域や他の時に成立する保証もないこと。
すら認められないカルト信者か。どっちにしても議論するだけ時間の無駄。
「失敗?」って尋ねてる元増田は、アベノミクスの最初期(2013~14年)に株価・雇用・税収が爆増したという事実は現実であるともないとも言ってない。2024年、2025年の話をしてる。アベノミクスは成功しました派はもはや現実じゃなくて自己正当化のための感情だけで動いてる。アベノミクスが成功ってことにしないと、自分たちが10年間支持してた「大規模な QQE にもかかわらず2%のインフレ目標が達成できなかったことの原因究明」をしていないことを認めざるを得ないからね。そりゃ意地でも認めたくないよね、わかるわかるw
だが国家の予算というのはマクロ経済政策のツールだ。政府支出は需要創出装置であり、景気調整弁でもある。
全部削って均衡取ればいいという話ではない。支出ゼロ=経済活動ゼロの世界だ。
貨幣経済を潰したいならそれでもいいが、君も職を失うことになるぞ。
生活保護・国民皆保険・年金。これらは「社会的リスクの再分配装置」だ。
怪我や失業や老齢で収入が絶たれるリスクは、どんな経済主体にもある。そのリスクに備える仕組みを民間だけに委ねるとどうなるか?
所得の低い人間は保険に入れない、病気になったら破産、ホームレス続出、医療費未払いで病院が潰れる。
日本の経済成長を底支えしてるのは、実はこの皆保険と皆年金。無くした瞬間、内需が冷え込み、国家は市場経済から転げ落ちる。
治安維持と災害対応は「純粋公共財」だ。経済学で言うと、非排除性と非競合性を持つ。つまり、一人の消費が他者の消費を減らさず、利用を拒否できない。
こういうサービスは市場が成立しない。なぜなら誰かが払った分にタダ乗りできるから。だから政府が提供するしかない。
民間任せ?契約してない奴ん家が火事になっても無視される地獄絵図がお望みか?
行政サービスをすべてアウトソーシング?いいだろう、しかしそれは「委託コスト」や「契約監視コスト」が跳ね上がることを意味する。
しかも利益を追求する民間は、非効率地域(過疎地とか)にはサービスを届けない。結局、貧しい地方から社会が崩壊する。
全体最適を考えるのが国家の役割であり、公務員はそのために存在する。しかも日本の公務員数はOECD諸国でも少ない方だ。
利権で肥えてるのは一部であり、大半は「割に合わない労働」に従事してる。
日本は通貨発行権を持っているが、だからといって「無限に刷ってOK」ではない。
マネタリーベースを膨らませれば、それが名目GDPに転化する保証はどこにもない。
需給ギャップが埋まった後で通貨発行を続ければ、物価が跳ね上がる。結果、国債金利も暴騰、信認は崩壊、ハイパーインフレ一直線。
痴呆MMT(現代貨幣理論)でさえ、無制限な財政拡大を推奨してるわけではない。税と支出のバランスは常に問われる。
財源に触れずに政策を語るのは、メニューだけ見て財布を確認しない客と同じ。政策の実行可能性は財源とワンセット。
玉木氏が言及を避けたとしても、学者や財務官僚が毎日頭を抱えてるのはそこだ。
民主主義は「誰の財布から、誰に配るか」を議論するシステム。それを「財源なんて気にするな」で潰すなら、それは独裁か幻想経済だ。
減税が悪なのではなく、「再分配機能と社会基盤が崩れること」を懸念しているのだ。
一律減税は格差拡大をもたらす。逆進性のある消費税ならなおさら。税制は「取る」だけでなく「どう再配分するか」で評価されるべきだ。
いままで曖昧で陰湿な批判が横行していたムラ社会であった日本の経済論壇の中で、革命的ともいえる実名と批判箇所を明示しての率直な議論の姿勢を示した『経済学を知らないエコノミストたち』(日本評論社)や『経済論戦』(日本評論社)に続く、野口氏の00年代の経済論戦の記録を生々しくとどめた最新論説集である。題名の「エコノミストたちの歪んだ水晶玉」というのは聞きなれない言葉である。本書によれば、「経済学は役に立たない」という世間一般の抜きがたい批判に答えることを目的にしているという。著者は、経済学は予測の科学として十分に役立つが、世間で役立たないと思われているのは「歪んだ水晶玉」=間違った経済理論で預言を行う「エコノミスト」たちの活躍に原因のひとつがあるという。実際に野口氏が90年代後半から現在まで経済論壇で行ってきたことは、この「歪んだ水晶玉」で預言するエコノミストや評論家そしてメディアなどへの容赦ない批判だったといえる。
本書の後半は、当「ノーガード経済論戦」を読まれている読者にはなじみ深いHotwired に掲載された「野口旭 ケイザイを斬る!」をベースにした02年から04年までの当時の経済論戦の見取り図とその批判的な検証になっている。特に経済の動きは複雑でありマクロ経済学のような単純な論理では十分にとらえることができないと主張する論者の多くが、実は単純な自らの意見をカムフラージュするために複雑系な話を利用していることが指摘されていることころなど改めて参考になる。
前半は最近の経済政策論争をベースにした最新版の野口氏の経済見通しと政策への批判的検証が収録されている。その要点は、1)小泉政権の構造改革路線の検証、2)03年から04年にかけて明瞭になった景気回復の原因、3)今日の量的緩和解除論議をめぐる見通し のおおよそ3点に分けることができよう。
1)の点であるが、これについては小泉政権の構造改革路線が、日本経済の停滞が非効率部門の存在という構造的な問題にあり、これを淘汰することで高い成長率を目指すという「清算主義」であったこと、そして構造的な要因が日本経済の停滞の原因ではなく循環的な要因である総需要の不足にこそ真因を求めるべきことが明記されている。
個人的な回想で申し訳ないが、小泉政権の清算主義的な色彩の強かった01年当時の政策批判を行った野口氏と私の共著『構造改革論の誤解』(東洋経済新報社)は、私の事実上の処女作の一つであり、そのときから野口氏は経済論戦を分析する上での私の教師でもあり抜きがたい目標でもあった。当時は「構造改革」自体の満足のいく経済学的な定義さえも不分明であり、それを野口氏は同書でクリアに説明し、もって構造改革とマクロ経済政策は異なる政策目的に割り振られる政策であり、両者を適切な目的(構造改革ならば構造問題、マクロ経済政策は景気循環問題)に割り当てるならば矛盾もしなければ競合もしないこと、さらに適用する目的を小泉政権のように誤まるとそれは経済社会の低迷をより深刻なものにすることを説いた。
ところで本書によると小泉政権の当初の清算主義的な性格は、「国債発行枠30兆円以下」を公約にした財政再建路線に明白だったが、不況の深刻化からこの清算主義的な路線は早々に放棄されることになった。そして実態的には「循環的財政赤字」の発生を放置することで事実上(受動的にではあれ)景気の落ち込みの下支えに貢献したことを指摘している。この点については、私も当ブログ「裏声で語れ! 小泉構造改革」で説明したことがあるので参照されたい。
また竹中平蔵経済財政担当相(当時)の金融相就任とそれに伴って発足した「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」とそれが打ち出したいわゆる「竹中プラン」(金融再生プログラム)の評価は興味深い。当初、このチームにごりごりの清算主義者として名高い木村剛氏が加わったこともあって、いわゆる竹中・木村ショックで日本の株価は急降下した。政府が不良債権の抜本的な対策で銀行・企業の統廃合に積極的にのりだすという懸念がマーケットや国民の間に広がった。しかし実際には清算主義路線を放棄しつつあった小泉政権にあっては、その後のりそな銀行への公的な救済に端的に表されたように銀行を潰すようなハードランディング路線は放棄された。竹中プランは骨抜きになったかにみえた。しかし、本書ではマクロ経済的な清算主義は放棄したものの、この竹中プランが金融庁が大手銀行を中心とした不良債権処理に不必要なほど過度の介入を行うことにお墨付きを与えてしまい、規制のハード化が資源の誤配分を招来してしまったことを指摘している。この竹中プランへの評価は妥当だろう。
2)の点については、今日の景気回復の主動因についての分析である。それは簡単にいうと財務省の円安介入と、それと連動した日銀の当座預金残高の引き上げという量的緩和政策が重なったことが契機となっている。この事態を本書では「なし崩しのレジーム転換」という表現を使っている。これは私流に表現すれば、あくまで財務省主導のデフレ対策としての円安介入であり、それを福井総裁が意図せざる形でサポートした量的緩和政策のあり方を表現しているのだろう(本書では触れられていないが福井総裁は明確に財務省の円安介入をサポートしたことを否定している)。野口氏はいわゆる中国特需と表現されたり、アメリカからの日本株式市場への投資が盛んになったことなど、外的要因が堅調であれば政策対応が受動的でもかまわない、というスタンスである。
「以上から、日本経済の二〇〇二~〇三年以降の契機回復の様相については、ほぼ次のように整理することができる。まず、その最大の牽引車は、外需の拡大であり、それをもたらした世界的な景気拡大であった。しかしながら、国内のマクロ経済政策がリフレ的な方向へなし崩し的に転換されていたということも、同様に重要な意味を持った。それは具体的には、二〇〇三年秋から〇四年初頭まで行われた、財務省の巨額為替介入と日銀の金融緩和の同時遂行という形でのマクロ的政策協調である。つまり、今回の日本の景気回復と国内のマクロ経済政策の両方に支えられて、かろうじて定着したのである」(本書20頁)。
すなわち浩瀚喧伝されているような、「構造改革が景気回復に寄与した」のではなく、先の説明どおりに循環的要因=総需要不足の改善が外需の好転と政策対応によってもたらされたというわけである。
3)については、現状の景気回復は不安定であり、より一層のリフレ政策の重要性が強調されている。そのため06年末頃まではデフレ脱却をめざすリフレ過程(少なくとも現状の財政・金融政策のスタンスの維持)である。さらに第二段階は金融政策正常化のための段階であり、量的緩和の解除、インフレ目標の導入、プラスの政策金利への復帰などが目指される。これはほぼ2007年半ば頃であり、財政再建はその後の第三段階となる。野口氏は現時点での量的緩和解除はリスクがありすぎて日銀は採用しないだろうとみている。だが、この野口氏の楽観的な見通しだけが本書を通じて外れてしまいそうである。もちろんそれは野口氏の誤りではなく、通常では考えられないほどのリスクをあえて選択した日本銀行の誤りなのである。
本書は他にも、リフレ派の正しい定義、「声の出るゴキブリ」とリフレ派を批判した山崎元氏のその後、木村剛日本振興銀行の「実験」へのエール(?)など微苦笑を禁じえない記述も多く、あっという間に通読できてしまう。学ぶべきことが多い本書は野口氏の論戦の記録だけでなく、迷走する日本の経済論壇の記録としても重要である。
衆議院選挙での歴史的な大勝を契機として、構造改革の成果を誇張する動きがメディアやネット世論で散見されるようになってきた。この種の構造改革誇張論については私の個人ブログに 簡単な意見を書いたので参考にしていただきたいが、ここでは小泉構造改革とはいままでなんであったのか、その一面を簡単に振り返りたい。実はこの小泉政権の経済政策の特質を見る上で見逃せないのが、郵政民営化論戦以降、リフレ派のダースヴェーダー卿としてネットの人気者になった高橋洋一氏の小泉政権の経済政策についての評価である。
ヴェーダー卿については以下を参照
http://reflation.bblog.jp/entry/193845
注目すべきは高橋@ダースヴェーダー卿の論考「「何もしない」小泉政権をマクロ的にどう評価すべきか」(『週刊金融財政事情』6月27日号)である。その評価は端的にいえば小泉政権が受動的ケインズ!!政策の出動を行ったという次のものである。
「小泉政権になって以降、積極的なマクロ政策は行われていないが、税収のビルトインスタビライザーが機能し受動的なマクロ政策となっているのである。歳出差額(=一般会計歳出-税収)の対GDP比率をみてみると、積極財政といわれた小泉政権以前の九八~〇〇年度の平均が七・九%であったが、小泉政権になってからの〇一~〇四年度の平均は七・八%とほとんど同じである。小泉政権の財政運営は清算主義のような印象を与え、その心理的な効果はわからないが、実際のデータでみる限り、かなりケインズ的な景気下支え機能をもっていたといえる」。
もちろん長期にわたる経済停滞の時期に積極的ではなく、不景気ゆえに税収が低下するという自動装置の働きを放置したことをもって小泉政権への好意的な評価とすることには、さすがに暗黒の力を感じざるをえないが、それでもこの指摘はよくよく考慮する内容をもっている。論壇では慶応大学の金子勝氏の近時の発言に代表されるように、小泉政権が当初の公約ともいえた国債発行枠30兆円を早々に放棄したことにはいまだに批判が根強くある。しかし、上記の小泉政権の受動的「ケインズ政策」の裏面はこの「公約」破りが必然的に伴ってもいることは見逃すべきではない。もしこの発行枠にこだわれば、それはまさに積極的逆ケインズ政策であり、小泉政権の表のトレードマークたる清算主義的な発想といえたであろう。
しかし竹中・木村ショックという株式市場に一大打撃を与えた心理効果にある意味でおそれおののいたのか、以後はりそな救済というモラルハザードつき国有化や受動的「ケインズ政策」とともに、小泉政権の特質は政権当事者たちの発言とは相反して反構造改革(むしろリフレ効果を多少とももつ「改革」)なものであると市場からも信認?を得てのではないだろうか。
ヴェーダー卿の論考では、なにもしないマクロ経済政策スタンスを受動的なケインズ政策であると、きわめて好意的に書かかれているがそれは政権の当事者のリップサービスと割り引いておこう。むしろ正確には小泉政権が(竹中・木村ショックに代表される)自らの清算主義の効果に驚き、また積極的なマクロ経済政策の責任を放棄したことで、日本経済の今日の景気回復局面の必要条件の一部を形成した僥倖を裏声で祝すべきなのだろう。
国の経済規模を示すGDP(国内総生産)は、以下の式で表せます。
GDPを成長させるには、労働生産性を向上させるか、労働投入量(労働者数や総労働時間)を増やすしかありません。
しかし、深刻な少子高齢化と人口減少に直面する日本では、労働投入量を増やすことは困難です。
したがって、日本経済が持続的に成長するためには、労働生産性の向上が不可欠であり、経済政策もその実現に焦点を当てる必要があります。
まず組織を部門ごとに細分化し、それぞれの労働生産性(時間あたり付加価値など)を算出・可視化することが有効です。
そして、月次決算などを通じて進捗を確認し、具体的な数値目標を設定して改善活動を継続します。
ここで重要なのは、「労働生産性向上」を単なる「仕事の効率化」と捉えないことです。
本質は「投下した労働時間あたりに生み出す付加価値(利益)」を高めることです。
計算式で示すと、「労働生産性 = (売上 - 外部購入費用) ÷ 労働投入量」となります。
より利益率の高い仕事に注力したり、製品・サービスの付加価値を高めたりすることが重要です。
労働生産性の向上が、直接的に賃金上昇に結びつく仕組みがあれば、従業員の働く意欲は大きく向上します。
現状の日本では、生産性向上の成果が賃金にどう反映されるかが見えにくく、モチベーションにつながりにくい面があります。
アメリカのように、生産性の低い分野から高い分野への労働移動が活発な社会では、全体の生産性が高まりやすくなります。
日本の労使交渉も、「これだけ生産性を向上させるので、これだけの賃上げを」という、成果に基づいた対話に変わっていくことが望まれます。
例えば、日銀が目安とする実質賃金上昇率1%(物価上昇率2%と仮定すると名目3%)の達成を目指す場合、
時間あたり労働生産性が5,000円なら、年率3%(150円)向上させ5,150円にする目標です。
実質的な向上は1%(50円)であり、決して達成不可能な目標ではありません。
この目標達成が賃上げにつながるという共通認識が広がれば、現場の意欲は大きく変わるでしょう。
稲盛氏が示したように、労働生産性の本質を理解し、改善に取り組めば、企業は成長し、賃金も上げられます。
日本経済が長年停滞してきた背景には、この労働生産性に対する認識不足があったのではないでしょうか。この認識を改めることが、日本の新たな成長への第一歩となります。
次に、マクロ経済の視点から、日本経済を成長させるための具体的な政策を考えます。
GDP成長には、輸出を増やし輸入を減らすこと(純輸出の増加)が有効です。
日本の輸入はエネルギー資源と食料品の割合が大きく、経済安全保障上の課題でもあります。
これらの国内自給率を高めることは、輸入を減らし、国内生産を増やし、GDP成長と安全保障強化の両面に貢献します。
エネルギー対策: 低価格化・高性能化が進む太陽光発電と蓄電池に注目し、国内生産を行うメーカーへの補助金等で導入を促進します。これにより関連産業が活性化し、エネルギー輸入削減につながります。
食料対策: 農業分野の規制を緩和し、企業の自由な参入を促進します。これにより国内生産が増加し、食料自給率向上とGDP成長に貢献します。
自動車産業に次ぐ、新たな付加価値創造型の輸出産業を育成する必要があります。
長期的な世界需要が見込まれる航空機産業、医薬品・医療機器産業などが有望です。
官民連携でこれらの分野の国内サプライチェーン構築を支援し、高付加価値製品の輸出を増やし、日本経済の新たな柱を育てます。
これは輸出先の多角化にもつながり、地政学的なリスク分散にも貢献します。
今こそ、日本経済の構造的な課題に正面から向き合うべき時です。
労働生産性向上への意識改革と、エネルギー・食料自給率向上、新産業育成といった具体的な経済政策を通じて、日本の新たな成長モデルを構築し、将来世代に誇れる国づくりを進める必要があります。
財務省陰謀論者の「日本は自国通貨建てでいくらでも国債発行しても破綻しない」という主張、経済学的には極めて浅い理解です。順を追って論破しますね。
これは外国通貨建て(たとえばアルゼンチンのドル建て債務など)と比べると返済リスクが低い。極端に言えば、中央銀行が円を発行して返せるからです。
大量に通貨を発行すれば、インフレや金利の急騰という副作用が起きます。
貨幣の信用は「印刷すればいくらでも価値がある」わけではありません。
仮に国債の増発を繰り返し、市場で「日本政府は財政規律を失った」と判断されれば、次のような現象が起きます。
実際、歴史上そうなった国は多数(ジンバブエ、ヴァイマル共和国など)。
💡 ポイント
破綻とはデフォルト(債務不履行)だけではなく、経済機能が壊れることも含みます。
陰謀論者は「財務省は国民をだましている」と言いますが、違います。
財務省は、「将来的に信用不安や市場混乱が起こらないように」警鐘を鳴らしているのです。これは責任あるマクロ経済政策です。
もし国民が「いくら使っても大丈夫」と誤解すれば、政治家は選挙目当てに無制限な支出を約束しかねません。それが通貨の信認を揺るがす。
現代貨幣理論(MMT)を持ち出す人もいますが、MMTも「インフレ率を見ながら財政運営せよ」と明言しています。つまり、
「制約はない」ではなく「インフレが制約になる」と認めているわけです。
https://anond.hatelabo.jp/20240218115032
国民の豊かさを語るうえで外需/内需という切り分けにそこまで意味はない。
為替というのはあくまで結果であり、政策で為替を直接変動させて得をするのは不可能だ。
日本が貧しくなってる理由は単に設備投資をしないこと、無駄な労働を削減しないことだ。
本当にそれだけである。
他国に比べて労働生産性が上がらないというのは、単に他国がやっている効率的な設備投資、人的資本の移動
これをやってないというだけなのだ。
与党も野党も全く同じで、なぜかといえばそれしか人気が取れないからだ。
それは日本人が設備投資が嫌い、無駄な労働で小銭をもらうのが大好きだからだ。
割とどうしようもない。
俺もこれに気づいてからはマクロ経済政策を云々するのをすべてを諦めてひたすらS&P500を買うことにした結果、豊かに暮らしている。
増田も諦めたほうがいい。
新自由主義ー政府が何もしないのが望ましい。ハイパーインフレ怖いから財政緊縮、消費税増税、累進所得税・法人税減税。
MMT/ケインズ主義ー不況のときは政府が財政出動するのが望ましい。ハイパーインフレは供給力の問題だろ。インフラや科学にはきちんと政府が金を出せ。消費税減税。
大雑把にこんなところ。
そもそも、不況に至ったら、新自由主義だと企業が金を溜め込んで設備研究投資をしなくなるわ設備研究投資をしなくなって産業劣化するわについて答えがない。と言っても、所属している議員が新自由主義だったらそちらにも折り合いをつけないとならない。
よって、マクロ経済政策をだんまりして、批判ばっかりして、他に対立軸を見つけられたら僕たちはこれを旗頭にする!みたいな行動になる。政権とったところで新自由主義対MMT/ケインズ主義の内紛が起きるの火を見るより明らかなんだけどね。
それならまだれいわが議席を増やして、「新自由主義は票が取れないが、MMT/ケインズ主義は票を取れる」と、自民、立憲民主内の新自由主義が黙るのを狙ったほうが良い。
ソフト開発じゃねーんだから、マクロ経済政策をアジャイルにやれ、とか無茶いうな
確かにやってみて、走りながら未確定なパラメータ決めていけるなら、それに越した事はないがマクロではそれが難しいんだよ
・マネーサプライが絡む以上、地域限定しての効果測定ができない。通貨圏全体でやるしかない
・「量が少なすぎて利いてないのでは?」という、問題が付きまとう以上、デフレーターがそれなりに動くまでマネー増やし続けるしかない。
そして反応を始めた途端、為替や外国投資というコントロールできない要素がある以上、そのまま一気に暴走する可能性がある。
理論に一切の穴が無いなら様子見可能だが、理論を実証するための実験なのに、最初から理論の正しさに賭けているのではPoCになってない。
・ブレーキ手段が本当に効くのか保証がない。ブレーキが利かなくてハイパーインフレ起きてから「理論間違ってました」となってもリカバリー手段がない。