ロイター通信は19日、トランプ米政権でウクライナ担当特使を務めるキース・ケロッグ氏が来年1月で政権を離れる意向を周辺に伝えたと報じた。複数の関係者の話としている。
在米のウクライナロビー関係者によると、ケロッグ氏は、ロシアの侵攻を受けるウクライナに融和的な姿勢で知られ、ウクライナ政府やロビー関係者に助言を続けてきた。政権から離れることになれば、ウクライナ側には痛手となりそうだ。
ロイターによると、ケロッグ氏は、米政権内でウクライナ問題に関わる人物が多すぎることや、和平交渉を遅らせているのはウクライナではなくロシアだという理解が共有されていないことを問題視していた。また、ロシア寄りの姿勢が指摘されてきたウィットコフ中東担当特使とも度々衝突していた。
トランプ大統領が10月にホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した際も、ウィットコフ氏は同席していたが、ケロッグ氏は不在だった。ロイターは政権内の対立が原因との見方を伝えた。
関係者はロイターに対して、特使は一時的な任命で、360日を超えて在任する場合は連邦上院での承認が必要になると説明。ケロッグ氏は、政権発足から1年の節目である1月に退任することが自然な流れだと示唆しているという。
退役陸軍中将で、第1次トランプ政権で国家安全保障会議の首席補佐官などを歴任したケロッグ氏は、第2次政権発足当初は「ウクライナ・ロシア担当」の特使だった。
だが、トランプ氏は3月、ケロッグ氏を「ウクライナ担当」に専従させると発表し、ロシアとの交渉は側近であるウィットコフ氏が担うことになった。ロシア側はケロッグ氏を「ウクライナ寄り」と見ており、露側が関与を嫌ったとみられている。
ケロッグ氏を直接知る関係者は取材に「ケロッグ氏はウィットコフ氏とは異なり、政権の中枢にはいないが、その時々の政権の方針や雰囲気はしっかり把握しており、ウクライナ側に貴重な助言をしている」と明かす。
ケロッグ氏は在米のロビー関係者に対し、トランプ氏の関心を引くため、ロシアによるウクライナの子供連れ去りの問題を提起し続けるよう助言していた。現在は、トランプ氏の妻のメラニアさんが問題の解決に取り組んでいる。【ワシントン松井聡】
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