はてなキーワード: GATTとは
日米関税交渉が一段落した。もう終わったのでただの復習になってしまうが、合意内容の「米国産米の輸入枠拡大」などで勘違いをしている人がいるのでこれまでの日本の米に関する関税政策を整理しておこう。
まず、戦後の日本政府は米を含む農産品の自由化をしたくなかった。海外産の米と価格競争したら農業政策の根幹の農家保護が崩れてしまう。
敗戦で台湾、朝鮮半島、満州から大量の引揚者が戻ってきたが、この人らも農業で吸収するつもりだった。八郎潟の干拓もそうだし、成田空港問題の元の三里塚も引揚者に開墾させた土地だった。「先祖代々の土地じゃないから収用しても農地への執着は少ないだろう」とか思っちゃったのだな、国は。実際は死ぬ思いで引揚てきて(実際は思いどころか仲間は大勢ソ連に殺されてる)、ゼロから開墾したので猛烈に土地に執着があったんだな。
兎に角、米農家の安定は戦後農政の根幹であり、尚且つ自民党の岩盤支持者だから絶対解放したくない。
WW2戦後、ブロック経済が形成された事がドイツ、日本を中心とした国を経済的に圧迫して生存圏主張→戦争に至ったので、国連はGATTを発足させて関税をはじめとした先進国同士の貿易障壁を取っ払っていこうという事になった。それで工業産品の関税はどんどん撤廃されていった。
日本は焼野原のどん底からの再スタートなので復興後にこの流れに合流した。
さてそれで1986年からGATTウルグアイラウンドがスタートする。歴史とか政治経済の授業でウルグアイラウンドの名前は聞いた事あるだろうけど、それはこのラウンドが現在の状況を決定づけた重要なものだからだよ。
ウルグアイラウンドではサービスや農業の自由化を目指したのだが、これが全然まとまらない。どの国も農業の解放はイヤだったからだ。どの国も日本と同じ農政環境で、農家を不安定にさせたくない。
そもそも工業は家庭内手工業→問屋制→資本化と進んできたのに対し、農業は領地→プランテーション(資本化)→個人経営農家+農協という風な流れなので自由化すると元の搾取構造を復活させる危険もあるワケ。共産主義がまだ死んでなかった時代はプランテーションの搾取構造が革命の原因にもなっていたわけで。
だからそういう構造の違いを無視して自由化をゴリ押しするのはグローバリズムがイデオロギー化してる証左だ!という批判も出てきた。
そのようなわけでウルグアイラウンドは完全紛糾。
2.品目毎にミニマムアクセス(最低輸入量)を設定して各国はその量までは無関税か低関税で輸入しなければならない
これで、各国はそれまでの輸入禁止措置は出来なくなった。更に低関税か無関税で一定数の農産品を輸入しなければならなくなった。
そのミニマムアクセスの輸入量は国内消費量から計算されて、最初は4%。毎年その枠を上げていって最終的には8%まで上げる。
ただ、ミニマムアクセスを超えた分には高関税を掛ける事が出来るから価格競争に晒される分は4~8%でしかない。あと、自由化と言ったって生モノなので輸送時間とコストから競争にならないものもある。例えば日本であればモヤシやトマトを外国から海運するのは無理があるわな。
そういう訳で、ウルグアイラウンドの結果ミニマムアクセスなどが定められたが、それは自由化に反対する国が多くて妥協に妥協を重ねた結果であるってこと。
ミニマムアクセスが定められても、輸入量が伸びなければミニマムアクセス量に届かない場合も多々あある。そういうのは別に放っておいてもいい。
でも米の場合は多分そうはならずに市場価格に影響を及ぼしそうだ。
そこで日本政府はミニマムアクセス枠の米を全て買付けして枠を最初から押さえてしまう事にした。だから無関税で米を輸入できる民間業者は居ない。
更に、このMA米は一粒も市場に流さずに、全量を食品メーカー、飼料メーカーに売り払う。お煎餅とか柿の種とか味噌、醤油の原料になってるってことだね。あと日本酒。米菓や醤油、味噌、日本酒は日本的な食品だけど、メーカーによってはアメリカやタイ、中国の米が原料なのだ。
実際は商社系の問屋に卸してメーカーに販売という形をとってて、伊藤忠、丸紅、日本通運、神明の4社が長期契約してる。中小メーカーや酒蔵メーカーはそこから買う以外に月例販売という形で入札している。
このMA米の量なんだが、最初は42万トン、前述の通り増やしていって今は77万トンとなっている。
というわけで、これは実際は自由化を押し付けられたのに国家貿易と統制経済をやっているというのが輸入米の内のMA米の実情なのだ。共産主義の統制経済のこと知ってる人なら、中国鄧小平前やソ連の計画経済の輸入公社に似てるな、と思うかも知れない。外国通貨が国内計画経済に影響を与えないように必ず国家が間に入るのとかそっくりだ。
MA枠を超えた部分の関税率は341円/1kgという高関税をかけている。因みに関税計算もMA枠も玄米が基準になってる。玄米を精製すると1割消える。だからカルロース米5kgは玄米だと5.55kg、これには関税が1894円かかってるってことやね。2800円だと67%が関税ってことやね
今回の日米合意はこのMA米の枠もMA枠を超えた分の関税率もいじらず、その枠内での米国産米の比率を増やすという合意になっている。
だけど海外的にはちょっと問題ある。タイや中国、豪州から一定数買うという事になってるわけで、そっちに影響出るのではないか?特にタイは日本が米騒動になる度に大量に輸入していて、その度に悪影響を与えている。
生産者や政府には金が入るから良いだろうが消費者としては市場から米が消えて高騰するのだからやってられない。って訳でその度に迷惑をかけているのでまたしわ寄せ行くのではないかと今回も心配するところだ。
あと、MA枠では一般的なうるち米の他、餅米もタイから輸入して食品メーカーに売り払っている。おかきとかああいう米菓に使用される。
アメリカ米に枠を取られて餅米が減ると、おかきなどの原料費が上がるかもしれない。
・MA枠はGATTウルグアイラウンドで決まったが農産品自由化が紛糾した苦肉の妥協策
・米のMA枠は政府が全量買いして加工原料として売り払っている
・今回の交渉では日本側はウルグアイラウンドで定められたMA枠を超えて低関税で輸入せよという要求に抗った
・MA枠内でのアメリカ産米の比率を上げて輸入量増やすことで合意した
・普通は輸出国比率を自由にいじる事は出来ないが実質国家貿易なので可能
アメリカ政権側はどうせ国際取決めもMAと関税の関係とかも分かってないだろうし「増やします」と言われて日本側を屈服させたと考えているのかも。頭ハッピーセットでよろしいことである。
国際貿易の議論において、「相互主義(Reciprocity)」や「公平性(Fairness)」は、しばしば重要な原則として掲げられます。これは、自国が相手国に市場を開放する見返りとして、相手国にも同程度の市場開放を期待するという、直感的には理解しやすい考え方です。国内産業保護を求める声や、単純な公平感への希求がその背景にあることも少なくありません。
しかし、この「同程度の開放」を客観的に測定し、実現することは、現実には極めて困難な課題です。国境で課される関税率の比較は比較的容易ですが、現代の貿易における障壁はそれだけではありません。各国には、国内の規制、製品の技術基準や安全基準、環境規制、衛生植物検疫(SPS)措置、輸入ライセンスや許認可制度、政府調達における国内企業優遇など、多種多様な「非関税障壁(Non-Tariff Barriers, NTBs)」、あるいはより広く「非関税措置(Non-Tariff Measures, NTMs)」が存在します。
これらの非関税措置は、その種類が非常に多く、意図的に貿易を制限しようとするものか、正当な国内政策(安全確保など)の結果なのか判別が難しい場合もあります。また、その影響は特定の産業や製品に限定されることが多く、経済全体への影響を正確に定量化し、他国の措置と比較可能な形で示すための標準的な手法は確立されていません。データ不足の問題も深刻です。
こうした複雑な現実があるため、全ての障壁を考慮に入れた完全な意味での「相互主義」を達成し、それに基づいて関税を調整することは、実質的に不可能と言わざるを得ないのです。
このような背景の中で、貿易不均衡、特に慢性的な貿易赤字に対する国内の不満や政治的圧力を背景に、より単純化された形で「公平性」を実現しようとするアイデアが提起されることがあります。そして今回、以下のような計算式に基づいて相手国への関税率を一方的に決定するというアプローチが採用されました。
この計算式が意図するところは、二国間の貿易収支における「赤字」という分かりやすい指標を用い、その大きさを自国の輸出規模との相対で評価し、それに応じたペナルティ(関税)を課すことで不均衡を是正しよう、というものです。赤字が大きい、あるいは輸出額に対する赤字比率が高いほど、課される関税率も自動的に高くなる仕組みです。
この手法の持つ「単純明快さ」は、複雑な経済問題を分かりやすい二項対立(自国=被害者、赤字相手国=加害者)の構図に落とし込みやすいため、政治的なアピールを持つ側面があります。しかし、計算式の「÷2」という部分に見られるように、その算出根拠には経済学的な理論に基づいた裏付けが乏しく、恣意的な要素が含まれがちです。
しかし、このアプローチの最大の問題点は、二国間の貿易赤字の原因を、相手国の貿易障壁という単一の要因に短絡的に帰着させてしまう危険性があることです。経済学的に見れば、貿易収支の不均衡は、より多くの要因が複雑に絡み合った結果として生じます。
最も基本的な要因として、一国のマクロ経済構造、特に国内の総貯蓄と総投資の関係(貯蓄・投資バランス)が挙げられます。国内の貯蓄が投資需要を下回る場合、その不足分は海外からの資本流入によって賄われ、経常収支(貿易収支を含む)は赤字になる傾向があります。これは、相手国の障壁とは直接関係なく、自国の経済全体の構造に根差す問題である可能性があります。個人の家計に例えれば、収入以上にお金を使ってしまう傾向があれば、特定の店のせいにする前に自身の収支を見直す必要があるのと同じです。
さらに、為替レートの変動も貿易収支に大きな影響を与えます。自国通貨の価値が変動すれば、輸出品や輸入品の相対価格が変わり、貿易の流れが変わります。また、両国の経済成長率の差や、それぞれの国が持つ産業構造、技術水準、国際競争力なども、貿易パターンと収支を左右する重要な要素です。
したがって、貿易赤字という結果だけを見て、それを直ちに相手国の不公正な障壁の証拠とし、関税という対抗措置の根拠とすることは、経済の実態を見誤るリスクが非常に高いと言えます。
もう一つの重要な論点は、この計算式が、現代の貿易において重要性を増している「非関税障壁(NTBs / NTMs)」の影響を全く評価対象としていないという点です。GATT/WTO体制下で度重なる多角的交渉の結果、世界の平均関税率は歴史的に低い水準まで引き下げられましたが、その一方で、非関税措置が貿易の流れを阻害する要因として相対的に重要度を増しています。
例えば、製品の技術的な仕様や安全基準(TBT)が国ごとに大きく異なり、輸出企業が各国の基準を満たすために多大なコストや時間を要するケース。あるいは、食品の輸入に際して、科学的根拠が必ずしも明確でない厳しい衛生植物検疫(SPS)基準が適用されるケース。これらは、事実上、特定の国からの輸入を困難にする障壁として機能し得ます。
提案された計算式は、あくまで貿易収支尻というマクロな「結果」の数値のみに依存しており、その背景にある具体的な障壁の種類や程度を分析・評価するプロセスを含んでいません。極端な話、多くの非関税障壁を持つ国であっても、マクロ経済要因から貿易黒字であれば、この計算式では低い関税しか課されないことになります。逆に、市場が比較的開放的でも、自国の事情で赤字となっている相手国に対し、不当に高い関税を課す可能性すらあります。これでは、貿易障壁の問題に取り組むという本来の目的から逸脱してしまいます。
では、この計算式に基づいて米国が日本に対して一方的に関税を課した場合、どのような影響が想定されるでしょうか。
まず、日本から米国へ輸出される製品(自動車、電子機器、産業機械など)に算出された関税が一律に上乗せされると仮定します。
このような一方的な関税措置は、ほぼ確実に相手国からの報復を招きます。
以上の詳細な分析を踏まえると、「貿易赤字額 ÷ 輸出額 ÷ 2」という計算式に基づき一方的に関税を課すという政策は、その魅力的に見える「単純さ」とは裏腹に、理論的・実践的な観点から見て極めて深刻な欠陥とリスクを内包していると結論付けられます。
1. 理論的根拠の欠如: 貿易赤字の発生メカニズムを過度に単純化・歪曲しており、経済学的な合理性を欠いています。
2. 問題のすり替え: 真に取り組むべき非関税障壁の問題を無視し、的外れな処方箋となっています。
3. 甚大な副作用: 自国の消費者や多くの企業に不利益を与え、経済全体の効率性を損なう可能性が高いです。
4. 国際秩序への脅威: 報復合戦を誘発し、ルールに基づいた多角的貿易体制を崩壊させかねない危険なアプローチです。
したがって、この算出法は、貿易不均衡問題に対する有効かつ適切な解決策とは到底言えず、むしろ多くの不利益とリスクをもたらす可能性が高い政策であると結論付けられます。貿易に関する問題は、二国間及び多国間の対話と交渉を通じて、国際的なルールに基づきながら、地道に解決を図っていくことが、経済学的な合理性の観点からも、国際関係の安定性の観点からも望ましい道であると考えられます。
トランプが重関税を発表して世界恐慌を案じる人が出てきた。そりゃ当たり前なんだが、一つ忘れられてる事があると思う。
それはアメリカの自称保守でのフーバー政権再評価というヤバい現象だ。
しかもそれが出てきた時期がまたヤバい。リーマンショック後なんである。経済恐慌回避の政策が気に入らんって事なのだ。
元々は2004~6年頃にニクソンが再評価されたというのに端を発している。
ニクソンは世界経済をグチャグチャにしたニクソンショックを惹き起こしたのでどの国でも嫌われ者で最低の大統領扱いされている。
だが今の世界経済システムはニクソンショックで再編成されたものであるし、デタントを推進してソ連牽制の為に中国と国交回復をした。
更に撤兵と南越の軍事訓練を進めてベトナム戦争から手を引く準備をした。これってイラクを平定しきれずに占領が長引いていた当時にオバマに期待されていた事と同じではないか。
だからニクソンは嫌われ者でもそんなに無能じゃないしちゃんと仕事をやっている。なのに評価が物凄く低いのは、マスコミを敵に回したせいでウオーターゲートで叩かれまくったからじゃね?という論調が出てきたのだ。
これにはネット議論が活発化して、マスコミ=オールドメディア、我らネット民=目覚めた真の民主主義者という今やお馴染みのアレがベースにある。
それでその流れで出てきたのが、世界史では無能大統領と教わる事が多いフーバーの再評価だった。
フーバーはアメリカ発の大恐慌が起きた時に何も手を打たなかった事で有名だ。更に重関税政策による保護貿易を行ったので世界恐慌が一段と酷くなった。
その結果、アメリカはカナダ~合衆国~中米のドルブロック経済圏を形成、他の国は植民地を中心とした各通貨ブロックを形成した。スターリングブロック(英ポンド)、仏フランブロックと。
持たざる国の日独は独マルクブロック、日円ブロックを形成したが小規模でありすぐにまた行き詰った。
その結果、独:ナチス全権委任→ラインラント進駐→開戦、日:日朝満ブロックで洋行系財閥系救済→恩恵を受けない中小企業が倒産して昭和恐慌→関東軍によるなし崩し的に膨張政策化→日中戦争→仏降伏により仏印進駐→ハルノート→日米戦争と進んでしまった。
しかもブロック経済はもの凄く不経済で非効率で不景気を産むのである(クルーグマンのノーベル賞受賞理由はこれの理論化)。
そういう訳で、WW2後はブロック経済化防止しよう、貿易自由化は世界規模の安全保障だ、という訳でGATTをスタートさせてやって来た。
フーバーは大統領退陣後も色々と外交をやっていてそっちでは功績残してるけど、大統領職としてはその後のルーズベルトと比べられて無能と言われる事が非常に多い。
フーバーの後のルーズベルト大統領はニューディール政策を行って恐慌を沈静化したというのが一般的評価だ。
でも、いやニューディール政策は全然効果なんて無かったんだよ、経済が持ち直したのは単純にアメリカが戦争を始めて戦時経済に移行したからに過ぎない、という意見もある。
有名なのが経済学者のフリードマンだが、この人は反ケインズの旗手なので。そしてフーバーもこの立場だ。世間の自分への評価に反発してるだけって気がすんだが。
また、フーバーは日本が真珠湾を攻撃したのはルーズベルトが日本を追い込み日米開戦を誘導した、という説を唱えている。「ハルノート原因論」だ。これは日本の右翼論壇でよく聞く話だろう。
そして露宇戦争に対してのロシアのナラティブにもそっくりじゃないだろうか?FOXのタッカーカールソンなんかも「米国陰謀論」的なことを言っている。最近じゃ終風爺が「ネオコンがロシアを追い込んだ」という説を書いて顰蹙食らってたが、これらの基礎の部分には、アメリカ自称保守論壇でのフーバー再評価があるってことなのだ。
アメリカの思想的特徴はプラグマティズムで経験主義的で小ぶりだったのだが、特に21世紀になってから観念論/独断主義的思想集団が共和党に影響を与えるというのが多くなっている。
例えばネオコンサバティズム。その始祖はネオコン・ゴッドファーザーと呼ばれるアーヴィング・クリストルなんだが、この人は元がトロツキスト。かの有名な『歴史の終わり』(フランシス・フクヤマ)が掲載された『国益』誌もクリストルが創刊したもの。
トロツキーの思想の特徴は「世界同時革命」で、世界中に戦争を輸出してその背後から各国の細胞(共産党員)が内戦を仕掛て共産革命を起こすという物騒なものだ。谷沢永一によるとトロツキーの日本語訳書は『ノルウェーの森』のような赤緑の装丁らしいです(谷沢は元共産党員)。
イラク戦争の強引な開戦などが世界同時革命の影響を芬々と感じさせるのでスキャンダル的に指摘される。
例えばネオリベラリズム。単に経済政策の方向性というだけでなく「本来の社会の在り方」的な観念論/進歩主義として人を惹きつけている。つまりは実存にとっての嘗てのマルクス主義の代用品だ。
「歴史はこう進むはずなのに今の我が国はそうなっていない。だから変革すべきだ」という歴史と実存が結びついた考え。「〇〇という団体(農協など)は既得権益だ、それを崩すと理想的な経済状態が出来する筈だ」。こういうの日本でも沢山見た。
高学歴化により若者には長いモラトリアムが与えられ、「社会に馴致される」事で形成される人格よりも「正当性に欠ける不合理慣行が蔓延っている。若者はその不合理により迫害されている」というルサンチマンに駆動される人格の比重が大きくなる。そんな人格にネオリベは進歩主義と合体した全能感や実存を与える。
だからリーマンショック後に政策がフォーベアランス政策(不良債権増を気にせずに積極融資せよとの行政指導)に転換すると、世界観が破壊されたような実存危機を覚える人間が出てくるのである。
先ほどの終風爺も2013年になって「リーマンショックは越冬闘争を派遣村と言い募った左翼によるフレームアップ」的な事を言っている。2008年には実存不安と不満に我慢していたという事だ。
また風呂無駄さんも2008年当時には大変にやさぐれていて、それまではネオリベで未来は明るい的なポジティブな事を言っていたのにFUDマーケ的な事を言っていた。これらは実存の棄損によるものだ。
トランプに変な保守系シンクタンクが影響与えているのもこの流れ。
共和党はいつしかこういう実存と結びついた観念論を吸引し、それが世界の知識的大衆を吸引するようになっていた。そこにリーマンショックが起こり、G7、G20では財政出動、フォーベアランス政策、保護貿易主義の排除が合意された。これはアメリカなどでは政策の急転回でありそれが一部の知識層には実存的ストレスとなったのだ。
そもそも共和党が観念的に進めた事で発生した問題の尻拭いを民主党がするという流れがずっと続いてきていて、これのどこが保守なんだろうか。
上に書いてきたフーバーの政策(保護貿易と北米ブロック=カナダ、メキシコ併合)とトランプの政策が一致するのがお分かりだろうか?
何やら変なシンクタンクの提言通りに進んめているというのもあるが、その基礎にはフーバー再評価があるって事なのだ。そして彼らは一般社会的にフーバーが否定されている理由、ブロック経済圏による不況→持たざる国の膨張政策→戦争、重関税による恐慌の激化、という評価を共有していない。
「フーバーを評価する」(悪評を無視する)という事は次の事とイコール
・その場合、他国がリーマンショック後のような合意をしてもアメリカは従わずに恐慌を悪化させる
トランプ関税で「日本は自動車関税ゼロなのか」って言ってる人が多くて気になった。
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20250215/k10014723331000.html
ある時期まではそれでも勝ってきたのだね。というか、勝ってきたので関税を下げていったのだ。
日本の復興と経済成長というのは相当とんでもないもので、焦土から25年くらいで世界トップレベルの工業力を持つに至った。
そうなると今度は工業の保護政策は必要ないから税率下げなさいとアメ様より指導を戴く。優等生路線に切り替えた戦後日本はそれに従い、70年代には税率ゼロになったってわけ。
この「指導」は日米貿易協定で対米関税失くせっていう要求だけじゃなくて、他の国とも貿易協定(EPA)を結んで関税無くして行きなさいというのも含むわけ。
別に毎度直接そう言われたわけじゃないが最早それが戦後の常識だったからそうやって来た。
https://www.customs.go.jp/tariff/2024_04_01/index.html
工業産品はあら方ゼロ。数パーセント掛かってる品もあるが、日本と良く取引があるASEAN諸国、EU、環太平洋、中韓台などは協定でゼロとなっている。
色々調べると戦車とか野戦砲とか兵器だけには高関税掛かってるのとか発見できるぞ。でも兵器買うのって国家しかいないので関税の意味無いね。
こんな風に輸入障壁は撤廃しようという流れで来て、先進国は大抵どこも工業産品関税ゼロになっている。
工業部門の障壁は撤廃出来た。それじゃ今度はITや頭脳労働などサービスと農産品の輸入障壁を撤廃して関税ゼロにしようず!となったのが、GATTウルグアイラウンドだ。WTO(世界貿易機関)もこの時の合意で出来た。
だけどウルグアイラウンドはGATT史上初のつまずきになった。農業部門などで妥結出来なかったのだね。
農業ってのは国の根幹だし付加価値が低い産業なのであんま儲からない構造の所が多いのよ。それで補助金出して買い上げたりと各国保護政策を採ってる。
それに農家ってのはどこも保守的。なので保守政党の支持層なわけだ。
その農家を不安定な状態にしてしまうと政治も不安定になるってわけ。ぶっちゃけ自由化しちゃうと個人事業主の農家が全滅して国際農業メジャーが全部かっさらって各地の農場はプランテーション、みたいな事になりかねない。
だから各国反対で農業部門の合意は流産。これが現在までの経緯。
第二次大戦の原因は
連合国の総括は2.だった。1だったら日独は分割占領したままで二度と復活しないように主権を制限すればよいな。
でも2だと民生中心の工業国として立て直す支援をすべし、となる。
また戦勝国側も同じ轍を踏まないように経済のブロック化を防止しよう、という事で貿易協定を国家間のものから、多国間一般の協定にしようず、という流れになったわけだ。
ここで大事なのは、植民地争いを復活させる意図はないから産業未発達の途上国は除外された。工業未発達なのに外国製品と競争しろ!とかは言わないってこと。
急に話が変わるが、中国の人民元ってあるじゃん?なんで人民って付くんやろな?
社会主義では生産量も価格も国家が決めていた。そこで海外からの旅行者が勝手に通貨を使うと不安定要素になってしまう。そこで旅行者には普通の通貨と違う通貨を持たせたの。そのレートも国家が決める。
個人も会社も輸出入は独自で出来ない。輸出入出来るのは国家だけ。
ところが鄧小平以後の開放政策では市場経済を導入したので旅行者用元を発行する必要が無くなったわけ。旅行者が持ち込むカネは不安定要素じゃなくて市場の調整に任せるから。だから旅行者にも人民元持たせて法人も人民元で他国と決済出来るってなった。
脱線するが元は略字であって元は圓。日本の円も韓国のウオンもベトナムのドンも圓を各国読みしたものなんよな。人民元と日本円の通貨記号が¥で同じなのはこういうわけ。
つまり共産勢力も貿易自由化協定に参加したんだけど国家運営の都合上かなり制限があった。そして冷戦激化によって自由陣営と共産陣営の2ブロックに分れてしまっていた。
その共産陣営の方は行き詰って統制経済を放棄。自由主義陣営の旗振り役は?アメリカだ。
だから改革開放、ドイモイ、ペレストロイカでパックス=アメリカーナは決定的になったってわけ。
日本の工業力が復興して急成長した原因は、朝鮮戦争の特需なんかもあるが、元々のスターターは軍港の解体なんだな。
横須賀、呉、佐世保が戦前の主な軍港だったが、その規模は今と全然違う。
例えば横須賀だと今なら街があって海の方が自衛隊と米軍の基地になっているが、戦前だと駅前から始まって全てが軍港。ドック、宿舎、軍需工場、軍需工場工員向け宿舎/飯屋、軍に関係が無いものは一切ない。
敗戦後に軍は解体されるんで軍港都市であった3港はどうするかね?って事になった。そこで海沿いの海軍基地は民間船の造船ドック、製鉄所に転換されることになったわけ。
因みにこん時に旧軍港市転換法という法律を作ってやったわけだが、施行されたばかりの日本国憲法には95条:一の地方公共団体のみに適用される特別法は住民投票での同意を必要とするって項目がある。そこでこの3市では住民投票を行ったわけや。
こういう感じで軍港を廃止して造船所と製鉄所に転用した事が起爆剤になって各地い造船所が林立。日本は一気に造船と鉄鋼の国になったわけ。鉄は工業の基礎だからな。ここを押さえておいたのは強い
GHQのプロパガンダで戦艦などの兵器を溶かしてビルや鉄道などの民需品になるっていうポンチ絵があるがその通りになったてわけ。
その後家電や自動車などの民生品、エレクトロニクスといった軽薄短小産業にシフトして行って造船トップの座は韓国に移った。因みに極東アジアは韓中日と造船トップ3国が密集する異常地帯なんだな。この三国で世界の船の9割を造ってるんだぜ、いかれてるよな。
こうやって産業シフトに成功した日本は工業産品輸出量をメキメキ伸ばし、70年代初頭にはかなりとんでもないレベルになった。世界の港湾扱い量のランキングの上の方が全部日本の港って具合だ。1位横浜、2位神戸、3位門司みたいに日本の港がずらっと並びその下にアメリカのが出てくるって具合だ。日本スゴイとか嫌いなんだが、20年前は焼野原なんだぜ?イカれた復活具合だよな。
一方この頃アメリカや欧州はっていうとかなり停滞していた。アメリカは世界一の経済大国ではあったが国内が疲弊し、ベトナム戦争長期化で病んだ若者が増え、日本製品に国内産業が負けつつあった。
欧州では植民地の独立問題で揉め、労組の抵抗で産業転換が進まなかった。植民地が独立したら産業構造が変わって国内経済にダメージがあるのは当然。それを引延ばして軍事介入などを続けていたので建て直しに時間が掛かった。
一方日本は負けてとっくに植民地を手放していたのでこういう問題に拘わずに済んだ。
もう一つは吉田ドクトリン。憲法9条があるから武装できません~と紛争に一切拘わずに防衛費負担も軽く、一方で日米安保で防衛力は確保しておくという良いところ取りで全てを経済発展に注力するって算段。吉田は吉田
ヨシオじゃなくて吉田茂だぞ。ただ吉田茂は経済発展が出来た後の日本は再軍備して海洋国家として海軍力を高めるべしって考えだったけど。
同様に西ドイツも異常な発展を遂げていたので戦後は「負けるが勝ち」だったんやな。戦争を仕掛て負けたせいで信用されないという条件を奇貨としたってわけや。
欧州の方はいつまでも停滞してグダグダやってたんやが、EUの前身のECのせいで持ち直していった。EU発足後は急成長。70~80年代の貧乏臭いヨーロッパはどっかに行ってしまった。
なんで、無関税無障壁の貿易自由化が全体の利益になるっていうのは前提なんだな。だがそのせいで国内に矛盾が出るからやり方考えた方がいいぜっていうのがちょっと前まで各国が立っていた立ち位置。
因みにEU圏内では無関税どころか税関自体がないんだが、域外からの輸入には工業産品で10%の関税を掛けている。
今のアメリカのアレは全方面でおかしいけど、関税関連で言えば、そもそもこういう前提で今まで国際社会がやってきたって事を政権中枢が判ってねえんじゃね?ってところなんだ。国益の為に関税掛けたくても、それをやると国益を棄損するからやらなかったってこと判ってるのか?ってことやな。
関税合戦になると貿易が冷え込むから巡り巡って国益に反するしアメリカの場合はパックス=アメリカーナによる国益を失うという問題もある。
いや、共和党のやつらは判ってるよ。だって対外的に先頭に立ってやってきたのだから。だが新しい共和党人士、バナナリパブリカン達はそこを判ってないから反米的な政策を国益と信じてしまうし、古いリパブリカンはパージが怖くて言えないって状態じゃね?
この辺、昔オバマと対立するまで安倍さんが「戦後レジーム打破」を連呼していたのと被る。戦後政治やって作ってきたのって自民党なのに、その内容分ってないんじゃね?という疑念しかなかったな。
特に「農業産品自由化で紛糾」のところを判ってるのか?というのも疑問で、例えばイーロンマスクが全連邦政府廃止すると言ってるがそうなると農産品も市場原理で取引されて補助金は無くなる。穀物メジャーは農家より強いから買取価格も引き下げられるだろう。農業はお天気商売だから価格のバッファが必要だが資本がそれをやるつもりはないだろう。そうなると農家は窮乏して小作化するんじゃね?
アメ車って日本で売れてないっしょ?掛けても余り効果が無いんじゃね?
そもそもこの関税のせいでアメリカの自動車メーカー潰れるんじゃないんですかね?原料費跳ね上がるわけで。
それにトランプ政権の「信用の無さ」のせいで効果が無いと思われ。関税掛けると国内産の方が価格優位性が出るから国内に工場が作られ、ラストベルトは救われるわけです。
でもさ、工業っていうのは原料を加工して利益を乗っけて売る訳だけど、工程の下の方ってその付加価値って極小なわけですよ。つまり製鉄業の利益率は低い。一方プラントは数百億円と超高額なわけで、20年くらい稼働させて元取るって感じ。
この時途中で需要が止まってしまうと投下資本が回収出来なくなって借入の場合は倒産しちゃう。だから先行き不安な件では設備投資しない。
Amazon荷物で飽和してる時、ヤマト運輸は物流拠点増やす投資しないで仕事断ったじゃないですか。あれってAmazonがいつでも他社に乗り換える可能性があるから投資出来なかったわけです。
本件でも同じで、トランプ関税がずっと続くと考える人はいないわけ。すると製鉄メーカーは新製鉄所を建てる事が出来ない。
しゃーないから関税払って同じ鋼板を2.5割増しで買うか、もっと安い地域の鋼板に切り替えるかってなる。安い鋼板に切り替えて失敗した例は70年代イタリアにあって、フィアットと新たに半国営化したアルファロメオの鋼板を安いソ連製に切り替えたら防錆処理されてなくてあっというまに車は錆で腐ってブランド価値低下となったことがある。
商売に信用が大事なのは国家も同じ。経済的信用って「履行してきた」ことで蓄積されるものでしょ?急に政策を変更する、前の政策の影響、意味を判ってるか疑問となればネットナードは騙せても商売人は無理なんじゃ?
だから鉄鋼メーカー設備投資して増産出来ない→自動車メーカーコスト高解消できないって状態が続くと思います。
日本の特長っていうのは天才の芽は出にくいけど底上げされてる事ってよく言われる。文盲いないし教育程度が満遍なく高い。アメリカは高校まではかなり緩いし街中で常識問題出して何も知らないのがネタにされたりする。
自分のいる場所が社会的にどうやって構成されているか、直情的以外に利益判断できる基礎を叩き込むという思想で社会科の教育課程は作られている。
だから基礎的な社会の構造を無視して自尊心を鼓舞するような旗振りが現れた時の耐性は日本の方があるんじゃないかと思うんだ。グローバリズム批判しながら農業補助金カットや農家瓦解みたいな未来を提示された時に「そっち行くわけないだろばかかお前」と言えるってことだ。野菜になっちゃう人もいるけどな。
反グローバリズムにもちゃんと意味はあるんよ。だがそれが言葉が遊離して農業保護に反する事をしようとしても気が付かずに、DSだのウォークだのというように成ったら義務教育の意味がないじゃん。
あっちは光の速さでもう26世紀を生きているが日本は順当に500年掛けて行けばいいと思うのだ。野菜の栽培にはスポーツドリンクじゃなくて水上げればいいという知識が重要なんだ。
Bluetooth端末で動作する。(CC0 License)
<!DOCTYPE html> <html> <head> <meta charset="utf-8"> <meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0"> <title>A10 Cyclone SA easy controller</title> </head> <body> <span id="status">initializing...</span> <script> let status = document.querySelector('span#status'); let device, characteristic; const connect = async _ => { try { device = await navigator.bluetooth.requestDevice({ filters: [{ services: ['40ee1111-63ec-4b7f-8ce7-712efd55b90e'] }], }); status.textContent = 'connecting...'; let server = await device.gatt.connect(); let service = await server.getPrimaryService('40ee1111-63ec-4b7f-8ce7-712efd55b90e'); characteristic = await service.getCharacteristic('40ee2222-63ec-4b7f-8ce7-712efd55b90e'); } catch (e) { status.textContent = `failed to connect: ${e.message}`; return; } document.addEventListener('pointermove', evt => { evt.preventDefault(); let y = evt.y / innerHeight * 2 - 1; let data = Math.abs(y) * 0x7f | (y < 0 ? 0x80 : 0x00); characteristic.writeValue(new Int8Array([0x01, 0x01, data])); }); status.textContent = 'swipe up and down to move'; document.removeEventListener('click', connect); } document.addEventListener('click', connect); status.textContent = 'tap screen to connect'; </script> </body> </html>
関税かけまくってブロック経済を築き上げたせいで戦争をひきおこした反省から、自由貿易万歳な世界を作ろうとしたけどやっぱそれも色々無理があってみんな経済以外のことも包括した地域協定作るようになってまあTTPもその一貫だよ。
WWI終戦
アメリカ「ゾウさん(共和党)政権になりました。でも保護貿易はもっと好きです」
ヨーロッパ「こちとら世界大戦でボロボロなんじゃクソ米野郎殺すぞ」
アメリカ「うわあ、なんだか大変なことになったぞ」
アメリカ「とりあえず、世界のことはほっといて国内産業を保護するか。いでよ! スムート・ホーリー法!」
スムート・ホーリー「歴史上類に見ないほどめっちゃ高い関税かけます」
アメリカ「ハハハ! つよいぞーかっこいいぞー!!」
→世界経済ますます悪化。ブロック経済化が促進。そして、WWIIへ。
ヨーロッパ「……という悲劇があったので、これからは関税とかなるべくかけるのナシにしよう」
アメリカ 「だよな。おれ昔からマジそれ考えて色々やってきてん。ってかみんなで最恵国待遇やればよくない?ピース」
ヨーロッパ「(マジむかつくなこのジャリ……)じゃあ、これからは自由貿易な。まず条約作ってそのあと機関的なもの設立しよう」
ヨーロッパ「どうした」
アメリカ「ごめーん。ママ(議会)がダメっていうから機関のほうは無理だわ」
ヨーロッパ「おまえなーっいつもなーっ」
アメリカ「あと加盟するから、うちの農産物のこれとこれとこれを対象から除外してくれ」
ヨーロッパ「」
1950's ディロン・ラウンド交渉
ヨーロッパ「と、とりあえずなんとかGATTができた。とりあえず関税率のひきさげとかこれからみんなで相談していきましょう」
60s ケネディ・ラウンド交渉
GATT「工業製品の関税を一律で大幅引き下げることに成功したぞい」
70s 東京ラウンド交渉
ヨーロッパ「えー、今回も関税引き下げますけど、関税だけ下げても他に姑息な手段使って実質保護貿易じみたことしようとする(非関税障壁)馬鹿がおるので、そういうのもガンガン規制していきます」
アメリカ 「ギクッ」
80s ウルグアイ・ラウンド交渉
GATT「工業製品に比べてダンチにムズかった農業産品の関税も下げることにしました。
あとまー、知的財産権とかサービス業の輸出入とか、そういうのも大事だよねこのグローバル化社会」
90s ドーハ・ラウンド交渉
GATT「途上国とか巻き込んでいろいろ欲張ろうとした結果、うまくいきませんでした」
世界貿易機関「苦節半世紀、やっとオトナ(機関)になれました」
アメリカ「感動的だなあ」
ヨーロッパ「ほんっっっとーにな」
アメリカ「すっかり自由貿易が世界の常識なってアメリカさんは満足です。議会は相変わらずうるさいけど。なあ、ヨーロッパさん」
ヨーロッパ「うん、そおね」
ヨーロッパ「あ、これはね……」
アメリカ「ブロック経済圏じゃない? ずるくない? みんなでやろうって言ったじゃん! なにヨーロッパだけ内輪でそんな作ってるの!! GATT違反だ!!!」
ヨーロッパ「ち、ちがうよ……そもそも違反じゃないよ。GATTの24条で「地域内における関税その他の貿易障壁を撤廃すれば地域経済協定OK」って規定されてんだよ……」
メヒコ「わーいやろうやろう」
カナダ「……やだなあ……」
NAFTA爆誕
2000年以後
日本「WTOは出来たけど、やっぱみんなでみんなで仲良く自由貿易やるのって限界があるよな。ドーハ・ラウンドはあんななっちゃったし、最近じゃEUさんが成功したおかげで各所で似たような枠組みが雨後の筍状態だし……のるしかないな、このビッグウェーブに!!」
→ASEANをはじめとした地域・国々と独自の自由貿易協定を結びまくる。
シンガポール「うちらもなんか作ろ。金融とか情報とか著作権とかその他もろもろナウいもん全部乗せでさ」
ニュージーランド「そっすね。名前は『環太平洋戦略的経済連携協定』がいいかな」
ブルネイ 「かっこいい」
チリ 「なんかバラバラな感じのメンツだけど気にしない方向で行こう」
アメリカ「NAFTAのおかげで南北アメリカ大陸は制覇したけど、やっぱこれからは環太平洋地域だよな……でも一から作るの面倒だし……」
アメリカ「お、あそこにちょうどよさげな枠組みあるやんけ! GATT24条もクリアしてるし! おーい、入れてくれ」
TPP 「マジか……まあアメリカさんが入ってくれたら心強いっちゃけど……」
オバマ「がんばろう」
議会「がんばれない」
オバマ「がんばろう」
オバマ「がんばろう」
民主党「がんばれない」
オバマ「がんばろう」
共和党「普段は敵だけど、今回は強力してやるよ」