トランプ米政権がウクライナに提示した和平計画案について、米国とウクライナの高官らは23日、スイス・ジュネーブで会合を開き、詳細を協議した。英国、フランス、ドイツ、イタリアも参加するとみられる。欧州側は停戦後のウクライナの安全が十分に保証されていないとみており、計画案の一部修正を求める。
協議には、米国からルビオ国務長官、ウィットコフ中東担当特使、ドリスコル陸軍長官が出席。ウクライナからは、イエルマーク大統領府長官らが参加したとみられる。
英仏独は22日、日本、カナダ、欧州連合(EU)などとともに共同声明を発表した。計画案の中に「持続的な和平のための重要な要素が含まれる」と評価する一方、戦闘が続くウクライナ東部ドネツク、ルハンスク両州のロシアへの全面割譲を求めている点などに懸念を表明した。
ウクライナ軍はドネツク州の一部で強固な防衛拠点を築いており、割譲すると停戦後の再侵攻に対する防衛が困難になる。
共同声明は、計画案がウクライナ軍の兵力を現状より20万~25万人少ない60万人に制限している点についても言及した。「将来の攻撃に対しウクライナを脆弱(ぜいじゃく)にする」と指摘。「力による国境の変更は認められない」と強調し、計画案には「追加の議論が必要」と主張した。
米国が提供するウクライナの「安全の保証」について、計画案で詳細が記されていないことも欧州各国の懸念材料となっている。
米国はウクライナに対し、27日までに計画案に回答するよう求め、圧力をかけている。欧州のウクライナ支援国は23日のジュネーブでの会合を踏まえ、25日に再度、会合を開くという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は22日のビデオ演説で、「ウクライナの代表団は国益を守る方法や、ロシアによる再度の侵攻を防ぐのに何が必要かを理解している」と語り、ジュネーブでの協議の進展に期待した。【ブリュッセル宮川裕章】
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