連載

社説

社説は日々、論説委員が議論を交わして練り上げます。出来事のふり返りにも活用してください。

連載一覧

社説

ガソリン税の引き下げ 脱炭素と整合性取れない

ガソリン暫定税率廃止に関する与野党実務者協議に臨む自民党の宮沢洋一税調会長(中央奥右)と立憲民主党の重徳和彦政調会長(同左)ら=国会内で2025年8月1日午後3時17分、平田明浩撮影 拡大
ガソリン暫定税率廃止に関する与野党実務者協議に臨む自民党の宮沢洋一税調会長(中央奥右)と立憲民主党の重徳和彦政調会長(同左)ら=国会内で2025年8月1日午後3時17分、平田明浩撮影

 脱炭素政策と整合性が取れず、代替財源の確保も難しい。問題を棚上げしたままガソリン税を引き下げては禍根を残す。

 自民、立憲民主など与野党6党が、ガソリン税に上乗せされている暫定税率の廃止で合意した。廃止法案を秋の臨時国会で成立させる方向で協議を進めている。

 野党側は参院選で物価高対策として暫定税率廃止を公約に掲げた。衆参両院で過半数割れした与党が野党の主張を受け入れた。

 ガソリン税は本来、1リットル当たり28・7円だが、暫定的に25・1円が上乗せされている。

 もともと道路整備の財源確保が目的だった。2009年に上乗せ分を廃止する方針が決まったが、代替財源が手当てできず「当分の間」の措置として維持されてきた。自動車業界は「利用者の負担が重すぎる」として暫定税率の早期廃止を求めている。

 だが、単純に廃止することには問題が多い。

 まず国と地方で年約1兆円に上る税収減の穴埋めが難題だ。野党側は税収の上振れなどを当て込むが、景気動向に左右され、安定財源とは言えない。巨額の財政赤字を抱える中、代替財源を明示しなければ無責任だ。

 政策としての妥当性にも疑問符が付く。

 政府が22年1月から支給するガソリン補助金は「バラマキ」と批判されている。移動の足として車が不可欠な地方の住民だけでなく、富裕層にも恩恵が及ぶからだ。

 足元では原油価格が下落傾向にある。ガソリン優遇策を拡充する理由は乏しい。

 看過できないのは、地球温暖化対策に逆行することだ。大幅な値下げでガソリン消費が促されれば、二酸化炭素(CO2)の排出削減の取り組みが後退してしまう。環境性能に優れた電気自動車などの普及も妨げかねない。

 CO2に値段を付け排出削減を促すカーボンプライシングなど、エネルギー関連税制全体を見直す中で、ガソリン税のあり方を検討するのが筋だ。

 税制の見直しには、公平な負担や環境への影響など多様な視点が欠かせない。衆参両院で与野党の勢力が逆転した中、野党にも責任ある対応が求められる。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月
' + '
' + '

' + csvData[i][2] + '

' + '' + '
' + '
' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList; } const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item'); let dataValue = '1_hour'; Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick); }); fetchDataAndShowRanking();