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「子どもは2人までに抑える国民的合意を」。今から50年前の1974年7月、政府が後援し、岸信介元首相も出席して開かれた日本人口会議の宣言だ。子ども3人の家庭が珍しくなかった当時、人口が増えも減りもしない「静止人口」を国として目指した▲石油危機の直後で「人口が増え続けると資源を輸入に頼る日本は行き詰まる」と懸念していた。75年に出生率は2を切ったが、その後は静止どころか急低下した▲岸氏の孫の安倍晋三元首相がアベノミクスの柱に据えたのは人口1億人維持である。戦後最大の国内総生産(GDP)実現も掲げ、国力増強につなげる狙いが色濃かった。成果は乏しく、「骨太の方針」からも姿を消した▲異次元の少子化対策を唱える岸田文雄首相の発想も似通う。政府のこども未来戦略は「人口減に歯止めをかけなければ、経済大国という立ち位置に大きな影響を及ぼす」と強調する。支援が手厚いスウェーデン並みの予算を投じるが、世論調査で評価する声は少ない▲スウェーデンで少子化対策の礎を築き、ノーベル賞を受賞した経済学者ミュルダールはこう語っている。「個人は国家への服従ということではなく、自分の幸福のために子どもを持つべきである」▲国の都合で人口をコントロールしようとして失敗したのが、この半世紀の日本だ。ジェンダー平等に程遠く、旧態依然の仕組みが残る社会で若い世代は仕事と子育ての両立に苦しむ。その生きづらさに向き合わなければ、展望は開けまい。
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