外国人旅行者に無料無線LAN ビザ、KDDI系と
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、日本を訪問する外国人旅行者を対象に、日本国内の公衆無線LANサービスを24時間限定で無料で利用できるサービスを始めた。KDDI系列の公衆無線LAN事業者であるワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)と提携し、全国に約20万局あるWi2のアクセスポイント(AP)を、海外で発行されたビザのクレジットカードの保有者が利用できる。

スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の普及などを背景に、外国人旅行者からは日本国内を旅行中にインターネット接続を利用したいという需要が高まっている。一方で携帯電話回線の国際ローミングは高額なため、旅行者から敬遠されている。一部の市町村や店舗などでは、外国人旅行者向けの無料公衆無線LANサービスも始まっているが、エリアが狭く初期設定が難しいといった理由で、需要を満たすには至っていない。時間に制限はあるものの、世界でのカード発行枚数が約20億枚に上るビザが全国各地で使えるサービスを展開することで、外国人旅行者の国内でのインターネット接続環境が改善されそうだ。
喫茶店やハンバーガー店、コンビニなどで利用可能
無料サービスを利用できるのは、日本以外の国・地域で発行されたビザカードの保有者。事前にWi2のWebサイトでカード番号を登録してWi2のIDとパスワードの発行を受け、そのIDを使いWi2のAPに接続する。スマホのほか、パソコンやタブレット端末なども利用できる。利用開始から24時間経過すると無料で接続できなくなるが、Wi2の3日分または7日分のIDを通常料金(1500~2000円程度)の2割引きで提供する。短期渡航の旅行者の利用に限定するため、同一のカード番号による再登録は180日間できない仕組みとした。今回のサービスは2014年8月29日までの予定だ。
今回のサービスではWi2が運営する公衆無線LANサービス「Wi2 300」のAPに加え、UQコミュニケーションズの「UQ Wi-Fi」とソフトバンクテレコムの「BBモバイルポイント」のAPも利用可能。スターバックスコーヒーやタリーズコーヒー、マクドナルドなどの飲食店、ローソンやサークルKサンクスなどのコンビニエンスストア、東京山手線内のJR東日本の駅や成田エクスプレスの車内などで使える。ただし、東海道新幹線の駅・車内にあるAPは対象外となっている。
国内の無料公衆無線LANも徐々に増加、認知度向上に期待
海外の主要な観光都市や国際空港では外国人旅行者向けに無料の公衆無線LANサービスが整備されているが、日本は後れを取っているのが現状だ。観光庁が外国人旅行者に対して実施したアンケート調査によると、日本国内を旅行中に困ったこととして「無料公衆無線LAN環境」を挙げた人は36.7%と3分の1以上に上り、「コミュニケーション」(24.0%)や「目的地までの公共交通の経路情報の入手」(20.0%)を大きく上回って不満の第1位となった。日本人向けの無料公衆無線LANサービスはセブン&アイ・ホールディングスやローソンなどが全国で展開しているものの、登録画面が日本語のみであるなど外国人旅行者向けのサービスとはなっていない。
一方で、京都市や福岡市、山梨県などが外国人旅行者向けの無料公衆無線LANサービスを12年春から順次始めるなど、外国人旅行者の不満に応える動きもみられる。APの少なさや初期設定の難しさといった課題もあるが、観光客の誘致や消費拡大の足がかりとして無料公衆無線LANを導入する動きが徐々に広がっている。今回のビザの参入などを契機に、日本国内の無料公衆無線LANに対する海外旅行客の認知が高まることが期待されている。
(電子報道部 金子寛人)












