柏崎刈羽原発の再稼働、新潟県知事が月内にも判断 意識調査出そろう

新潟県は11日、東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原子力発電所(同県)の再稼働を巡り、原発から30キロメートル圏内の9市町村の県民を対象にした補足調査の結果を公表した。意識調査の結果は出そろい、立地・周辺自治体では再稼働容認が過半となった。花角英世知事は11月中にも再稼働の是非について結論を示す見通しだ。
花角知事は自身の判断を巡り県民の多様な意見を把握する方法として、①県内市町村長との意見交換②県民公聴会③県民意識調査――の3つを挙げていた。今回の補足調査の公表で、当初想定していた判断材料が出そろったことになる。
補足調査は30キロ圏内に住む住民の意見を詳しく把握するため、10月24日から11月7日にかけて、各自治体の人口に応じて8344人を対象にインターネット上で実施し、2411人から回答を得た。このうち30キロ圏内に住む1573人の回答を集計した。
30キロ圏内で「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」に反対し、再稼働を容認する姿勢を示したのは57%だった。「再稼働の条件は現状で整っている」に同意したのは39%で、事故時の避難への不安などが影響しているとみられる。
県が9月に実施した県内全域の本調査では、「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」に反対し、容認の考えを示したのは50%だった。「再稼働の条件は現状で整っている」に同意したのは37%だった。
調査を受託した野村総合研究所が今回の補足調査の自由回答を分析したところ、東電の福島第1原発の教訓を踏まえた安全対策、複合災害時の避難方法、地域リスク、地域経済活性化などに関する意見が多く上がった。

東電は11日、調査結果を受けて「結果を真摯に受け止めている」とした。「安全対策や原子力防災の取り組みを知っていただくことで再稼働への理解が高まる傾向があることを踏まえれば、伝わる情報発信の取り組みにはまだまだ改善が必要である」との認識を示した。
花角知事は12日に既に再稼働の意義を認めている立地自治体の2市村長と3者会談を開く。14日には30キロ圏内の7市町長と県民意識調査の結果を踏まえた意見交換を実施する。
14日には7年ぶりに柏崎刈羽原発も視察する。安全対策や核物質防護措置の改善状況について確認する。県関係者などによると、11月中にも再稼働の是非を表明する方向で調整を進めている。
花角知事は再稼働に関する自身の判断を表明し、その上で県民の意思を確認するとしている。その方法についても、判断表明時に公表する予定だ。当初は知事選なども浮上していたが、現在は県議会での判断が有力視されている。
県議会側も10月21日に、知事からの要望があれば県議会でも再稼働の是非に関する意思を示すことを盛り込んだ決議案を賛成多数で可決した。知事に県民の直接投票ではなく議会の判断を選ぶよう促す狙いがあるとみられる。
県議会の12月定例会は12月2〜22日の日程で開かれる。知事が県民の意思を確認する方法として県議会での判断を選んだ場合、2025年内に国からの理解要請に回答する環境が整う公算が大きい。
花角知事が柏崎刈羽6号機の再稼働を容認し、議会で同意が得られれば、25年度内の再稼働も視野に入る。東電にとっては1基稼働すれば利益を年1000億円改善する効果がある。
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