高市早苗内閣が発足、初の女性首相 初閣議で物価高対策を指示
自民党の高市早苗総裁は21日、衆参両院の本会議で第104代首相に指名された。女性の首相就任は初めて。皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て同日夜に高市内閣が発足した。自民党と日本維新の会の連立政権となる。初閣議で物価高に対応する経済対策の策定を指示した。

今秋の臨時国会で経済対策の財源の裏付けとなる補正予算案を提出する。
自民党と維新は衆参両院とも会派別の合計議席が過半数に満たない少数与党だ。衆院の首相指名選挙は6人の無所属議員が高市氏に投票し、1回目の投票で指名に必要な過半数を得た。参院では1回目で過半数に届かず、決選投票になった。
野党の協力がなければ予算や法律を成立させることが難しい状況だ。自民、公明両党が少数与党だった石破茂政権と同様に不安定な政権運営が続く可能性がある。
高市首相は新内閣発足後の記者会見で「基本政策と矛盾しない限り野党の提案を受け入れる方向で前向きに議論する」と述べ、野党との連携をめざす姿勢を強調した。
会見冒頭で自民党内の混乱や連立協議の遅れによる政治空白の長期化を陳謝した。「新内閣が成立するまで時間を要したことに心よりおわび申し上げる」と頭を下げた。
自らの内閣を「決断と前進の内閣」と名付け「変化を恐れず果敢に働く。あらゆる政策を一歩でも二歩でも前進させていく」と主張した。
経済対策に関しては「手取りを増やし、家計の負担を減らす」と訴えた。ガソリン税の旧暫定税率を「速やかに廃止する」と言明し、冬場の電気・ガス料金を支援するとも打ち出した。
地方自治体への重点支援地方交付金の拡充、国・自治体と民間企業の間での請負契約単価の物価上昇を踏まえた見直しなども盛り込む。
所得税の基礎控除などをインフレの進展に応じて見直す制度設計も年内をめどに取りまとめる。一方で、自民党が参院選公約に盛り込んだ現金給付は参院選で理解を得られなかったとして実施を取りやめる。
中所得者の負担を軽くする「給付付き税額控除」の導入については早急に制度設計を進めて実現を図る方針を示した。特定の目的を達成するために減税する「租税特別措置」(租特)の状況を点検し、政策効果が低いものは廃止する。
成長戦略は社会課題やリスクに対する官民連携の「危機管理投資」を中心に「大胆な取り組みを始動する」と説明した。食料安全保障やエネルギー安全保障への投資を挙げた。経済最優先を掲げ、早期の衆院解散には否定的な考えを表明した。
石破茂前首相が取り組んだ26年度中の防災庁創設については方針を引き継ぐと明言した。
市場では日銀の金融政策をめぐる首相の姿勢に注目が集まる。首相は「日銀と連携を密にし、意思疎通を図っていく」と話した。政府と日銀が13年にまとめた共同声明(アコード)は「今の段階で直ちに見直すことは考えていない」と語った。
首相は26日から東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席するためマレーシアを訪問する。帰国後には来日するトランプ米大統領と会談する。月末には韓国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議も控える。
首相は会見で「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と強調した。同志国やグローバルサウス(新興・途上国)との協力拡大も進めるとした。

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自民党の高市早苗総裁は2025年10月21日、衆参両院の本会議で第104代首相に指名されました。女性の首相就任は初めて。皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て高市内閣が発足しました。自民党と日本維新の会による連立政権となります。高市早苗政権に関する最新のニュースをまとめています。
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