長野・善光寺で重要文化財3D化 災害備え、修繕に活用

長野市の善光寺で7〜10月、国の重要文化財の山門と経蔵に、レーザースキャンによる「3D計測」が実施された。善光寺の建物の保存にデジタル技術が用いられたのは初めて。内部を含めて構造を正確に再現でき、災害による損壊時などの修復に活用する。担当者は「約1400年続いている善光寺を克明に、長く残していきたい」と語る。
善光寺は644年創建と伝えられる。度重なる大火に見舞われて建物が焼失した歴史があり、国宝に指定されている本堂は1707年に再建された。
文化財調査や測量を手がける「三栄測地」(長野市)が委託を受けて計測。建物の外側や内部にレーザーを照射し、死角や屋根の上部などはドローンからの写真撮影で補った。
今回計測された山門(三門)は高さ約20メートルで、2階部分から長野市内を展望できる。高さ約15メートルの経蔵にはお経が収められている。定期的に3D計測を進めることで、正確な経年変化も把握でき、若麻績善正(わかおみ・ぜんしょう)営繕部長は「修繕に適したサイクルも見えてくる」と指摘する。
寺は今後、国宝の本堂でも3D計測を行いたい考え。レーザースキャンにより、通常は人が立ち入れない屋根裏や隙間といった内部や、柱の断面などの詳細な構造が明らかになる可能性がある。
若麻績部長は「われわれが見たこともないような建物内部をぜひ見ていただきたい」と話す。3D計測に基づいて再現した山門などのデータを公開することも検討している。〔共同〕









