ロシアの侵攻を受けるウクライナと米国、欧州の高官らは23日、スイス・ジュネーブで、トランプ米政権が提示した和平計画案について協議した。ウクライナと欧州は極めてロシア寄りの米国案の修正を求めたとみられる。米交渉団を率いるルビオ国務長官は「大きな進展があった」と述べ、米国案が修正されることを明らかにした。一方で「まだ課題は残っている」といい、24日もジュネーブで協議を続ける。
記者会見で「課題」の内容を問われたルビオ氏は、「微妙な局面」だとして詳細は明かさなかった。ルビオ氏によると、トランプ大統領も和平交渉の進展に「非常に満足している」という。
協議に参加したウクライナのイエルマーク大統領府長官はX(ツイッター)に「非常に良い進展があり、公正かつ永続的な平和に向けて前進している」と投稿。ゼレンスキー大統領も「トランプ大統領のチームが我々の声に耳を傾けている兆しがある」と動画で述べた。
ロイター通信は23日、ゼレンスキー氏が今週にも訪米してトランプ氏と和平案について協議する可能性を両国の当局者が話し合っていると報じた。
28項目から成る米国の和平案は、戦闘が続くウクライナ東部ドネツク、ルハンスク両州のロシアへの全面割譲や、ウクライナ軍の大幅縮小、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)非加盟などが盛り込まれている。ウクライナにとっては「降伏」に近く、そのままでは受け入れがたい内容だ。
一方、ロイターは23日、米国案を踏まえた欧州側の対案の全容を伝えた。米国案と同じく28項目ある。ウクライナ領のロシアへの割譲を前提とせずに「接触線」(現在の戦線)を起点に領土交渉を始めることや、ウクライナ軍の縮小幅の抑制などを提案している。
高官協議でウクライナ側は、この対案を軸に米国案の修正を要求した可能性がある。ただ、ルビオ氏は23日夜の会見で「(対案は)見ていない」と語った。
高官協議には米国からウィットコフ中東担当特使、トランプ氏の娘婿のクシュナー元大統領上級顧問らも出席した。【ロンドン福永方人】
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