NYダウ最高値、政府閉鎖の解除期待 AI投資懸念でテック株安は継続

【ニューヨーク=吉田圭織】12日の米株式相場は続伸し、ダウ工業株30種平均は前日比326ドル高の4万8254ドルと最高値をつけた。米政府閉鎖が解除へ向かうことへの期待が相場を支えた。一方、ハイテク株が多いナスダック総合株価指数は人工知能(AI)の過剰投資への懸念が根強く、前日比0.3%安と続落した。
ダウは初めて4万8000ドルを超えて取引を終えた。史上最長となった政府閉鎖が終了し、米国の経済活動が正常化することへの期待が高まっている。政府閉鎖で政府職員への給与支払いが停滞していたほか、主要空港での運航削減や低所得層の支援停止も引き起こしていた。
ダウ平均の構成銘柄ではゴールドマン・サックス(3.5%高)やJPモルガン・チェース(1.5%高)、キャタピラー(0.9%高)などが買われた。
ヘルスケア株のユナイテッドヘルス・グループ(3.5%高)やメルク(0.5%高)も上昇した。民主党が求めていた年末に失効する公的医療保険の補助金延長は12月中旬までに採決することが決まり、買いを支えた。
ただ、投資家のリスクオンの姿勢が相場全体に広がったとは言いがたい。ナスダック総合は前日比61ポイント安の2万3406と下落した。大手テック企業を中心にAI投資が過剰で収益を悪化させるとの懸念が広がっている。
メタ(2.8%安)やパランティア(3.5%安)、アマゾン・ドット・コム(1.9%安)の下げが目立つ。
S&P500種株価指数はほぼ横ばいの0.1%高だった。S&P500種の業種別では上昇率上位はヘルスケアや素材、金融だった。下落率上位は通信やエネルギーだった。
11日は金(ゴールド)価格も上昇した。価格の国際指標であるニューヨーク先物の中心限月12月物は12日、前日比97.3ドル(2.4%)高の1トロイオンス4213.6ドルで取引を終えた。
民間の雇用サービス会社ADPが11日に発表した「全米雇用リポート」によれば、10月25日までの4週間の非農業部門の雇用者数(政府部門は除く)は週ベース平均で1万1250人減った。5日に発表された10月のデータでは前月比で4万2000人増加しており、米労働市場が約半月前に比べて減速したとの見方がある。
政府閉鎖の解除後に発表される経済データでも同様の傾向が出てくる可能性がある。景気悪化への警戒として金が買われた面がありそうだ。










