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2025-11-16

買春刑事罰化について誤解している人が多すぎる件

高市早苗買春刑事罰化について検討すると表明した件が話題になっているが、問題を正確に理解していない人が多すぎる

もっと典型的な反応は、はてなブックマークなどでもよく見られるものであるが、「売る方が捕まるのに買う方が捕まらないのはおかしい(から賛成)」というものだろう。

これは大久保公園などで立ちんぼ行為を行っている側のみが警察検挙対象となり、客待ち客引き行為に応じた側が検挙対象とならないことを指しているものと思われるが、これらの立ちんぼ行為検挙され罰せられるのは、売春防止法の第五条において、公衆面前公共の場所で勧誘や付きまとい行為をすることが刑事罰化されているからであって、売買春のもの理由ではない。

罰せられているのは立ちんぼ行為であり、売買春それ自体違法ではあるもの罰則はないため、立ちんぼ行為に応じる側が検挙処罰対象にならないというだけである法律自体には性別区別はなく、(実際に立ちんぼ行為を行うのは女性が圧倒的に多くまた売春防止法違法とするのは性交のみとはいえ)それ自体価値中立的法律である

他方、高市が実際に検討しようとしているのは、いわゆる「北欧モデル」に則って、買春行為それ自体刑事罰化して取り締まるというアイディアであると考えられ、この場合売春行為現行法同様、違法ではあるが罰則はないままとなり、他方買春行為のみ刑事罰化され罰せられることになる。つまりその意味で「買う側のみ罰する」非対称性肯定するアプローチなのだ。なお、このようなアプローチは立憲の塩村などによって「国際基準」などと喧伝されるが、アムネスティによる勧告などを見てもわかるように、およそ国際基準とは言い難い(たとえばニュージーランド2003年売買春を非犯罪化している)。

また買春刑事罰化の検討最近ニュースにもなった12歳のフィリピン人少女人身売買事件と結びつける向きもあるが、端的にこれはまったく無関係である児童買春に関する罰則は既にあるし、そもそも同意年齢未満である以上、(その構成要件を満たす行為を行っていたのであれば)より刑罰の重い不同意わいせつ不同意性交等罪によって買春者は処断されるからだ。

■で、実際に買春刑事罰化したらどうなるの?

立ちんぼを行う側が警察によって検挙され、それに応じる側が検挙されないのがおかしい(確かにそこには非対称な関係があるようにみえる)というのなら、立ちんぼ、すなわち街頭での客待ち客引き行為に応じる行為ピンポイントで罰すればよく、その点で何も問題はないようにみえる。実際、仮に法改正がその水準にとどまるなら、立ちんぼ行為が今よりも少なくなるぐらいで、日本性風俗景色が大きく変わることはないだろう。

しかし、仮に改正買春行為自体刑事罰化するものであるなら、その余波は相当に大きくなるはずである

まず、問題を整理しておくと、売春防止法において現に禁止されている「売春」とは「性交」のことであり、「性交」とは刑法上、膣性交のことを指す。つまりフェラや素股、また肛門性交のような膣性交以外の性交類似行為は「売春」ではなく、売春防止法上、これらの行為違法ではない。これが本番行為(膣性交)を行うソープと違って、本番行為禁止されているデリヘルのような一部の性風俗業が売春防止法による摘発対象とされない理由である

とはいえ現にソープランドは繁盛しているではないかと言われるだろうが、ソープランドがその存在をいちおう許容されているのは、ソープランドの施設管理者等が自身はたんに浴場施設提供しているだけであり、そこでの顧客行為については認知しないという建前によって、場の提供や周旋を禁ずる法の抜け穴を衝いているからとされる。もっともこのような建前が常に通用するかといえばそんなことはなく、警察の匙加減ひとつ摘発が行われ、現に最近女性へ高額の貸付を行うホストクラブの背後にソープへの斡旋を行うスカウトなどがいるとの見立てから売春防止法に基づく施設管理者等の摘発が行われている。

ソープについては、そこで行われている性行は当事者間の「自由恋愛」の結果の行為であり、対償を受ける目的で行われる売春ではないか合法なのだとの主張もある。ソープ店に支払われる料金はあくまで「入浴代」であり、性交の対償ではないという理屈であるもっとも、摘発が現に行われている以上、警察としてはそこで他でもない売春が行われていると認識しているのだと考えるべきだろう。ソープ嬢とそのサービス利用者検挙され処罰されないのは、売春防止法売買春行為自体罰則を付していないからにすぎない。法改正過程でもそうしたエクスキューズがそのまま是認されるとはおよそ考えがたく、論理的必然としてソープにおける本番行為違法であり処罰対象であるとの判断が導かれることになる。

むろん、ソープにおける本番行為刑事罰として罰せられるようになったからといって、あくまで本番行為は行われていないという建前があるため、ただちにソープランドの利用客が警察検挙に遭うといったことはないかもしれない。もっとも、事実として本番行為が行われている以上、ソープ利用客は犯罪者としていつでも処罰を受けるリスクを負うことになり、そのリスクを嫌う利用客がソープを利用しなくなることで、業としてのソープ廃業に追い込まれ可能性も十分考えられる。

なお、上述したように、たとえ買春行為刑事罰化したとしても、売春行為を膣性交のみに限定する現状の売春防止法定義を維持するなら、デリヘルなど本番行為を行わない性風俗産業は依然として存続しつづけることになる。もっとも、そのような定義おかしいという批判は既になされており、売春定義性交類似行為を含むもの改正することも考えられる。その場合デリヘルなど性交類似行為を業とする風俗店ソープ同様の帰結を辿ることになる。

またさら付言しておくと、現行の売春防止法の枠組みではAV合法とされる(少なくともそのような説が有力とされる)。売春防止法禁止する売春定義は「対償を受け、又は受ける約束で、不特定相手方性交すること」であり、AVはこの対償と不特定という構成要件性質を満たさないとされるためであるが(AV女優・男優はあらかじめ特定された任意個人性交し、性交それ自体ではなく「演技」を理由にその対償を受け取る)、法改正過程ではこの解釈についても問題となる可能性が高い。

■要するに

以上、ざっと日本性風俗産業買春行為刑事罰化することの関係を述べてきたが、当然こういった業としての売買春だけでなく、パパ活のような個人間の売買春においても問題は大きい。売春防止法においては、上述した不特定性の要件から愛人のような継続的関係性のある特定相手方生活費等を与えつつ性交をすることは違法ではないとされるが、果たしてそれ自体の扱いもさることながら、パパ活との線引はどう行うのか。刑罰化するとなれば、曲がりなりにも国家権力による強制力対象となり、刑法自由保証機能観点から構成要件の厳格な具体化が求められ、その作業が困難となることは想像に難くない。

要するに、日本性風俗に関する規範は、さまざまな法律とその(アクロバティックな)解釈を積み重ねた、デリケートガラス細工のような姿をしている。改正するにしても、たんに立ちんぼに群がる汚いおっさん処罰したいのか、それともソープを無くしたいのか、デリヘルAVも含めて性に関わる産業をすべて無くしたいのか、パパ活絶対に許さないのか、とりうる目標によって法改正の内容は大きく変わってくる。

そしてここには自明ことながら、自分身体をどう処分するかについて国家にどこまで介入する権利を与えるのかという、政治哲学上のリベラリズムの大問題が介在してくることになるのだ。また、刑罰化されたのちに実際のセックスワーカーたちの処遇がどうなるのか(理念とは逆にその職業は根絶されず状況は悪化するのではないか)、という帰結主義的な観点からも慎重な検討必要となる。

売春防止法改正を支持するなら、以上のことについていちおうの見解を持っておくべきであろう。

2025-10-18

なろう系嫌悪萌え絵嫌悪は根っこが同じ

からずっとモヤってた話。


※1「なろう系小説」は「小説家になろう」に掲載されてる作品総称でなく、その中でも「チート」によって主人公が苦労せず異世界で栄誉や異性の恋人などを得る物語類型を指す。自分書き手なので、そうでないものが色々あることは知っているので区別しておきい。その上で「なろう系」も好きなように消費してもいいとおもう。

※2おおまかに男性」「女性」と区切ってるけど、もちろん反応しない男性女性もいるとおもう。あくまでざっくりした傾向の話として。


「なろう系嫌悪」と「萌え絵嫌悪」って、たぶん根っこが同じ。前者は表向きは「質が落ちる」とか「文化痩せる」とか「安易」とかもっともらしい理屈が並ぶ。萌え絵嫌悪には「性的搾取」「性的客体化」といった文句が並ぶ。しかし、どっちも別に誰かの利益侵害してない。ならさっさと回れ右すればいいのに、どっちも苛立つのだろうかと。そこで、ふと思ったのだが、あの違和感の中心には、しばしば「嫉妬誤作動」があるんじゃないかと思う。


嫉妬は、相対的剥奪から生まれる。自分が何かを奪われたわけじゃないのに、他人快楽承認数字可視化されるせいで、自分位置が一段下がったように“感じる”。なろう小説ならランキングRTいいね。あるいは漫画化やアニメ化までされる。女性なら萌え絵一般的に認められて本棚でそれが見られること。それはたぶん、他人幸福こちらの網膜に直送してくる。人間情熱奴隷から、しばしばそれを無意識正当化するために「あれは低俗」「浅い」「社会に悪影響」みたいな言葉が、心のざわつきを包むラッピングをしやすい。


起爆条件も似てる。お手軽に消費できること。記号が強く、理解コストがかからないこと。ファンコミュニティが楽しそうに盛り上がってること。これらは全部、「自分の美意識努力相対的価値を失うかも」という予感を刺激する。で、その予感が痛いから、道徳っぽい語彙で殴ってしまう。


もちろん、作品や絵に対する妥当批判はあるし、全部を持ち上げろって話ではない。ただ、「ジャンルごと一括りで嫌う」時のトーンって、多くの場合美学議論じゃなくて、心の防衛反応。言い換えれば、「自分が選ばれなかった痛み」の誤魔化し。なろう系嫌悪は「作品を読むのはOKラインが保たれてるだけましで、特に女性側の「萌え絵嫌悪」は公共の場ちょっと女性的なマスコットキャラが出てきた程度で、防衛反応をむき出しにしてるから性質が悪い。


うがった見方に聞こえるのは承知の上で、それでも一回だけ立ち止まってみるといいかも。「これは嫉妬誤作動かもしれない」と仮置きしてから作品や絵そのものの話に戻る。たぶんその方が、余計な敵を作らずに文化批評もできるんじゃないかなと。


付言すると、2010年代萌え絵批判で、あれこれ「添削」して公共の場にふさわしいように修正する議論があったけど、ぶっちゃけていえば「女性キャラをできるだけ女性として魅力的に見えないように修正する」という作業女性じゃないから、たぶんだけど、あれは「本来苦労の末に獲得する果実女性との恋愛やそのさきの行為)を見る人が掠め取っている」ような感覚から来てるんだとおもう。男性そもそも恋愛において(多くは)ジャッジする立場にいないけど、マチアプとかでもわかるように男性ジャッジできる立場なわけで、そこを迂回して「果実」を掠め取ってるのが不愉快なんだろうなあって(彼女たちがそれを自覚してるかはさておき)。

2025-06-18

イランの「民主化」について

現行のイラン・イスラーム共和国1979年イラン革命によって樹立されたが、遡ればペルシア民族人類史上で初めて「帝国」を樹立( *1)した民族でもあり、以降はずっと帝政王政が続いてきた。

19世紀以降は英仏露の干渉に対抗する形で民族意識興隆(*2)し、立憲革命を経て王政はなおも続くのだが、1951年に「アバダン危機」が起こる。当時の首相であるモハンマド・モサッデクが、英国石油メジャー管理していたアバダン油田国有化を図ったのだが、結局は果たせず、モサッデクは逮捕・投獄された(*3)。

これによりパフラヴィー(パーレビ)朝の第2代であるモハンマド・レザー・シャーが復権し、米国後ろ盾を得て白色革命を進めていく。しかしこの人物が、自らイデオロギーとして打ち出した「イランナショナリズム」のための各種イベントをはじめ濫費が甚だしく、またシーア派宗教指導者蔑ろにする施策を採ったこともあり、民衆からの反発を招く。さらには第1次オイルショック後に石油価格が下落して国家財政が窮乏したことも重なり、政情が不安定化していた折、シャーがエジプト出国した(*4)タイミングルーホッラー・ホメイニーが帰国し、革命評議会組織する。これがいわゆる「イラン革命」であり、ペルシア民族は史上初めて共和政を営むこととなった。

革命後のイランで特徴的なのは「ヴェラーヤテ・ファギーフ(法学者による統治)」で、これは要するに、宗教指導者(*5)が立法行政司法および軍の上に立つ指導体制である。この点を指して「非民主的」「神権国家」と批判されることが多い。だがそもそもイランとは、民族的には多様性がある一方、宗教的には国民の約9割がシーア派十二イマーム派(*6))イスラーム教徒であり、宗教国民統合の重要理念となっている以上、統治理論としては一定正統性合理性が認められるべきだろう(*7)。

これにより、イラン大統領選国会議員選では、宗教指導者による資格審査を通過した立候補者選挙戦を展開する。一定範囲内で民意が反映される制度と言える。

イラン大統領選に関する報道ではしばしば対米姿勢の硬軟に注目されるが、民意がそれなりの幅で動いていることは結果にも反映され、それを受けて路線転換が試みられているのも事実である(*8)。むしろ米国イスラエル意向を重視しすぎており、イラン改革派政権である時期にも関係改善を進められずにいる方が、世界秩序の観点からは非合理的批判されるべきだろう。

背景説明が長くなりすぎたが、ここからが本題である

イスラエル(*9)、というかベンヤミンネタニヤフは、「ハーメネイー師の斬首作戦によりイラン民主化する」と主張している。だが、そもそもイラン民衆革命によって王政を打倒した共和政国家であり、その経緯を踏まえてそれなりに民主的体制となっていることは、ここまで説明した通りである

スカーフ強制」が抑圧の象徴とされることも多いが、世の中はブルジョアインテリだけで回っているわけではなく、ファッションに使う金に事欠く一般市民にとっては「イスラームに従って生きていくことの、いったい何が不満なのか」となる。長期にわたる経済制裁の下でも着実に科学教育軍事技術進歩させ、世界でもトップクラスの水準に達している(*10)ことは事実であり、「表面的な『自由』のために民族の誇りを売り渡すのか」という意識も根強いことは論を待たない。

仮に「法学者による統治」を廃して「民主政」を導入したとしても、それで米欧イスラエル従順政権が生まれるのか?という点は、大いに疑問である

それが目的なら、あらかじめ亡命指導者などを「子飼い」にしておくものだが、現状そんな人物は見当たらない(*11)。さりとて、誰を据えようがシーア派信仰に基づく民族意識が基盤になる以上、宗教指導者意向無視した政権運営は不可能だろう。

また、現在イラン指導である革命第1世代は、イランイラク戦争前線に立った世代でもあり、武力行使には慎重な傾向があるとされる。しかも現体制トップのハーメネイー師は、「イスラーム教義に反する」との理由から核兵器開発に否定的である。こうした人々が一掃された場合、かえって好戦的な層が台頭してくる可能性は、決して小さくない(*12)。

付言すれば、(下記の注にも記したが)シーア派の特徴として「殉教精神」が挙げられることがある。殉教攻撃自爆テロ)も元々はシーア派特有戦術(*13)だった。仮に米国傀儡と見なされるような政権が立つなら、かつてサッダーム・フセインが放逐された後のイラク殉教攻撃が頻発したことをご記憶の向きも多かろうが、おそらくそれより酷い事態が展開すると予想される。

イランに「民主化」を求めるならば、粘り強い対話によって漸進的な改革を促していく他ないだろう。武力行使による強要は、かえって地域情勢の不安定化を助長する蓋然性が非常に高く、米欧イスラエルが「民主化」のために支払うコストは、想定よりも桁違いに高く付くのではなかろうか。

1:アケメネス朝紀元前550年。

2:高校世界史の範囲ではタバコボイコット運動(当時はガージャール朝)などが有名。これが20世紀初頭のイラン立憲革命に繋がっていく。

3:英米対立したためソ連邦への接近を試みたものの、モサッデク自身王政打倒までは考えておらず、イ-ソ間の溝は埋まらなかった。志半ばに終わったとはいえ現在でもなおイラン国民から敬愛されている人物である

4:妻がエジプト出身だったためだが、これ以降シャーはイラン帰国できなくなり、実質的亡命生活が始まる。途中で米国滞在していた際、イラン大学生たちはシャーの拘束と身柄引き渡しを米国要求し、これが「テヘラン大使館占拠事件」に繋がる。

5:宗教指導者ウラマー)といっても、イスラーム場合ファトワー(教令/宗教的見解)を下すことが重要職務であり、イスラーム法学を修めていることが必須要件となる。日本教育制度で言えば「法学士の取得が最低条件」のようなものか。なおシーア派では、ウラマーの中でも相応の学識・人望の持ち主がアーヤトッラーアヤトラ)と呼ばれ(スンナ派ムフティーに相当)、ファトワーを発出できるようになる。

6:第4代カリフアリーを初代イマームとし、その血筋を引く者が正統な指導であると奉ずる。特徴的なのはアリーや第3代イマームフサインの生涯から殉教を一つの理想像としていること。フサインに関しては「カルバラーの悲劇」が伝承されており、現在でもアーシューラー儀式が行われている。また、第12イマームの「お隠れ(ガイバ)」は今なお続いており、いずれ救世主として再臨する、とされている。「高野山では空海が今なお禅定を続けている」という信仰と似た面がある。

7:中華人民共和国では共産党トップ国家を率いる統治構造になっていることを踏まえると、理解やすいのではないか

8:改革派とされたモハンマド・ハータミー大統領の時期に対米関係改善せず、2005年大統領選では対米強硬派のマフムード・アフマディーネジャードが選出された例などを想起されたい。なお現職大統領のマスウード・ペゼシュキヤーンは、改革派とされる。

9:そもそもイランから見れば、「キュロス2世(=アケメネス朝建国者)によりバビロン捕囚を解かれ、エルサレム神殿を再建させてもらった大恩を忘れたのか」という話でもある。ネタニヤフが歴史断罪されるべきであることは間違いない。

10特に高速度ミサイル制御技術に関しては、現状だと世界最高度の水準だろう。

11パフラヴィー朝の元皇太子米国に在住しているものの、米国イラン断交したままなので、母国への影響力はほぼ無い人物である。それ以前に、今なおイランではパフラヴィー朝イメージが非常に悪いため、新体制指導者として歓迎されるとは少々考えにくい。

12パレスチナでは、2006年評議会選挙ハマース(対イスラエル強硬派)が単独過半数を得るも、米欧イスラエルは「選挙結果を黙殺する」という暴挙に出た。しかイラン人口は9000万人であり、さすがに黙殺するには大きすぎるだろう。

13:1983年ベイルート米海兵隊兵舎が爆破された事件は、イスラエルおよび米国レバノン内戦から撤退する契機となった。なお、パレスチナ住民の多くはスンナ派イスラームだが、抵抗運動指導者がレバノン追放されていた際にヒズブッラーシーア派)と接触して戦術を学び、殉教攻撃を行うようになった。これとは別の流れで、後にアル・カーイダスンナ派)も戦術として採用することになる。

イランの「民主化」について

現行のイラン・イスラーム共和国1979年イラン革命によって樹立されたが、遡ればペルシア民族人類史上で初めて「帝国」を樹立( *1)した民族でもあり、以降はずっと帝政王政が続いてきた。

19世紀以降は英仏露の干渉に対抗する形で民族意識興隆(*2)し、立憲革命を経て王政はなおも続くのだが、1951年に「アバダン危機」が起こる。当時の首相であるモハンマド・モサッデクが、英国石油メジャー管理していたアバダン油田国有化を図ったのだが、結局は果たせず、モサッデクは逮捕・投獄された(*3)。

これによりパフラヴィー(パーレビ)朝の第2代であるモハンマド・レザー・シャーが復権し、米国後ろ盾を得て白色革命を進めていく。しかしこの人物が、自らイデオロギーとして打ち出した「イランナショナリズム」のための各種イベントをはじめ濫費が甚だしく、またシーア派宗教指導者蔑ろにする施策を採ったこともあり、民衆からの反発を招く。さらには第1次オイルショック後に石油価格が下落して国家財政が窮乏したことも重なり、政情が不安定化していた折、シャーがエジプト出国した(*4)タイミングルーホッラー・ホメイニーが帰国し、革命評議会組織する。これがいわゆる「イラン革命」であり、ペルシア民族は史上初めて共和政を営むこととなった。

革命後のイランで特徴的なのは「ヴェラーヤテ・ファギーフ(法学者による統治)」で、これは要するに、宗教指導者(*5)が立法行政司法および軍の上に立つ指導体制である。この点を指して「非民主的」「神権国家」と批判されることが多い。だがそもそもイランとは、民族的には多様性がある一方、宗教的には国民の約9割がシーア派十二イマーム派(*6))イスラーム教徒であり、宗教国民統合の重要理念となっている以上、統治理論としては一定正統性合理性が認められるべきだろう(*7)。

これにより、イラン大統領選国会議員選では、宗教指導者による資格審査を通過した立候補者選挙戦を展開する。一定範囲内で民意が反映される制度と言える。

イラン大統領選に関する報道ではしばしば対米姿勢の硬軟に注目されるが、民意がそれなりの幅で動いていることは結果にも反映され、それを受けて路線転換が試みられているのも事実である(*8)。むしろ米国イスラエル意向を重視しすぎており、イラン改革派政権である時期にも関係改善を進められずにいる方が、世界秩序の観点からは非合理的批判されるべきだろう。

背景説明が長くなりすぎたが、ここからが本題である

イスラエル(*9)、というかベンヤミンネタニヤフは、「ハーメネイー師の斬首作戦によりイラン民主化する」と主張している。だが、そもそもイラン民衆革命によって王政を打倒した共和政国家であり、その経緯を踏まえてそれなりに民主的体制となっていることは、ここまで説明した通りである

スカーフ強制」が抑圧の象徴とされることも多いが、世の中はブルジョアインテリだけで回っているわけではなく、ファッションに使う金に事欠く一般市民にとっては「イスラームに従って生きていくことの、いったい何が不満なのか」となる。長期にわたる経済制裁の下でも着実に科学教育軍事技術進歩させ、世界でもトップクラスの水準に達している(*10)ことは事実であり、「表面的な『自由』のために民族の誇りを売り渡すのか」という意識も根強いことは論を待たない。

仮に「法学者による統治」を廃して「民主政」を導入したとしても、それで米欧イスラエル従順政権が生まれるのか?という点は、大いに疑問である

それが目的なら、あらかじめ亡命指導者などを「子飼い」にしておくものだが、現状そんな人物は見当たらない(*11)。さりとて、誰を据えようがシーア派信仰に基づく民族意識が基盤になる以上、宗教指導者意向無視した政権運営は不可能だろう。

また、現在イラン指導である革命第1世代は、イランイラク戦争前線に立った世代でもあり、武力行使には慎重な傾向があるとされる。しかも現体制トップのハーメネイー師は、「イスラーム教義に反する」との理由から核兵器開発に否定的である。こうした人々が一掃された場合、かえって好戦的な層が台頭してくる可能性は、決して小さくない(*12)。

付言すれば、(下記の注にも記したが)シーア派の特徴として「殉教精神」が挙げられることがある。殉教攻撃自爆テロ)も元々はシーア派特有戦術(*13)だった。仮に米国傀儡と見なされるような政権が立つなら、かつてサッダーム・フセインが放逐された後のイラク殉教攻撃が頻発したことをご記憶の向きも多かろうが、おそらくそれより酷い事態が展開するだろう。

イランに「民主化」を求めるならば、粘り強い対話によって漸進的な改革を目指す他ないだろう。武力行使による強要は、かえって地域情勢の不安定化を助長する蓋然性が非常に高く、米欧イスラエルが「民主化」のために支払うコストは、想定よりも桁違いに高く付くのではなかろうか。

1:アケメネス朝紀元前550年。

2:高校世界史の範囲ではタバコボイコット運動(当時はガージャール朝)などが有名。これが20世紀初頭のイラン立憲革命に繋がっていく。

3:英米対立したためソ連邦への接近を試みたものの、モサッデク自身王政打倒までは考えておらず、イ-ソ間の溝は埋まらなかった。志半ばに終わったとはいえ現在でもなおイラン国民から敬愛されている人物である

4:妻がエジプト出身だったためだが、これ以降シャーはイラン帰国できなくなり、実質的亡命生活が始まる。途中で米国滞在していた際、イラン大学生たちはシャーの拘束と身柄引き渡しを米国要求し、これが「テヘラン大使館占拠事件」に繋がる。

5:宗教指導者ウラマー)といっても、イスラーム場合ファトワー(教令/宗教的見解)を下すことが重要職務であり、イスラーム法学を修めていることが必須要件となる。日本教育制度で言えば「法学士の取得が最低条件」のようなものか。なおシーア派では、ウラマーの中でも相応の学識・人望の持ち主がアーヤトッラーアヤトラ)と呼ばれ(スンナ派ムフティーに相当)、ファトワーを発出できるようになる。

6:第4代カリフアリーを初代イマームとし、その血筋を引く者が正統な指導であると奉ずる。特徴的なのはアリーや第3代イマームフサインの生涯から殉教を一つの理想像としていること。フサインに関しては「カルバラーの悲劇」が伝承されており、現在でもアーシューラー儀式が行われている。また、第12イマームの「お隠れ(ガイバ)」は今なお続いており、いずれ救世主として再臨する、とされている。「高野山では空海が今なお禅定を続けている」という信仰と似た面がある。

7:中華人民共和国では共産党トップ国家を率いる統治構造になっていることを踏まえると、理解やすいのではないか

8:改革派とされたモハンマド・ハータミー大統領の時期に対米関係改善せず、2005年大統領選では対米強硬派のマフムード・アフマディーネジャードが選出された例などを想起されたい。なお現職大統領のマスウード・ペゼシュキヤーンは、改革派とされる。

9:そもそもイランから見れば、「キュロス2世(=アケメネス朝建国者)によりバビロン捕囚を解かれ、エルサレム神殿を再建させてもらった大恩を忘れたのか」という話でもある。ネタニヤフが歴史断罪されるべきであることは間違いない。

10特に高速度ミサイル制御技術に関しては、現状だと世界最高度の水準だろう。

11パフラヴィー朝の元皇太子米国に在住しているものの、米国イラン断交したままなので、母国への影響力はほぼ無い人物である。それ以前に、今なおイランではパフラヴィー朝イメージが非常に悪いため、新体制指導者として歓迎されるとは少々考えにくい。

12パレスチナでは、2006年評議会選挙ハマース(対イスラエル強硬派)が単独過半数を得るも、米欧イスラエルは「選挙結果を黙殺する」という暴挙に出た。しかイラン人口は9000万人であり、さすがに黙殺するには大きすぎるだろう。

13:1983年ベイルート米海兵隊兵舎が爆破された事件は、イスラエルおよび米国レバノン内戦から撤退する契機となった。なお、パレスチナ住民の多くはスンナ派イスラームだが、抵抗運動指導者がレバノン追放されていた際にヒズブッラーシーア派)と接触して戦術を学び、殉教攻撃を行うようになった。これとは別の流れで、後にアル・カーイダスンナ派)も戦術として採用することになる。

2025-03-29

子供都立中高一貫校合格したので得られた知見を書いておく

基本的にはZ会と自宅学習のみで乗り切った

もともと塾通いするには条件が厳しかったため、4年生からZ会通信教材で中学受験の準備を進めていたが、本人の希望により都立中を第1希望にする。6年生になって以降はZ会通信教材と並行して過去問を中心に自宅学習、夏・冬だけは他の志願者のレベル体感しておく目的もあって塾(Z会)で講習を受けた。模試首都模試enaで計5回。

Z会の教材は私立中を受けるなら必要十分な内容だと思うが(学習は親が手伝わないと無理だろうし、難関校を受けるなら問題集での演習を追加すべき)、都立中の受検準備としてはあまり役に立たなかった。コースとして「全国の公立中高一貫校」が対象であるため、都立中に特化した対策としては無駄が多い。都立中は各校とも過去3年分くらいは検定問題を公開しているので、それを集めて演習するほうが(特に適性検査3の対策では)効果的だった。

一方でZ会教室(講習)は、子供満足度も高く、親としても「課金圧力がきつくない」等の点で好印象。先着順だったが無料模試を受けられる機会もあったので、通信教材をやっていない場合でも、選択肢に含めて良いのではないかと思う。

模試に関しては、実際の検定問題と比べると難易度の設定が微妙で、あまり参考にならなかった。首都模試は全体的に易しく、enaは難しすぎる問題散見され(まあ実際の検査問題でも「正解できる小学生いるのかよ…」という問題はたまにある)、どちらも作文課題の採点は(仕方ない面もあるにせよ)大雑把。そもそも都立中は設問あたりの配点が大きく、得点にブレが生じやすい。実力を測るというよりも、志願者の中での自分位置確認する程度で良いかと思う。ちなみに我が子の場合ena学校模試で、9月はA判定、11月はD判定だった。

真っ先にやっておくべきなのは「作文対策

自宅学習都立中を目指す場合、最大の課題となるのは適性検査1。例年は100点満点で読解が20点✕2問、作文課題が60点という構成だが、読解問題記号選択ではなく記述解答だし、作文は事前の準備が必須なのに加えアドリブ能力要求される。我が家場合、小5の春休みに作文対策を集中的に行い、あとは受検直前の追い込み時期に「自分体験を踏まえて書く場合」のパターンを幾つか整理した。結果的に適性1で75点取れた(得点開示済)のが結果を大きく左右したと思われる。

別の面から見れば、私学難関校と都立中を併願する場合、作文対策に絞って2科校(=適性検査が2科目)を受けるのが効率的だろう。適性3は各校に特化した対策必須であり、そこでだいぶ時間を取られることを織り込んでおくべき。

過去問での演習は重要だが「銀本」は役に立たなかった

適性3対策としては、受けたい学校だけでなく、他の学校の適性3の過去問を一通りやっておくのが良い。というのも、受験業界でも都立中のマーケットは小さいためか、適性検査に関しては良い問題集が見当たらず、各校の過去問を多少アレンジした問題を載せているのが大半である。それなら過去問をそのまま解いても大差ない。「原則的に、解答する上で不要情報提示されない」というセオリー理解できれば(=ある程度やれば掴めると思う)、入試勝負できるレベルに達しているのではないか。但し、「正解が1つではない問題」が少なくないので、採点・解説の際は注意してほしい。付言すれば、3科校は適性3が独自作成問題だが、それぞれ校風が反映されている印象がある。できれば公開授業や文化祭などを見学して、お子さんに合った学校を志願すべきだろう。

なお、「公立中高一貫校適性検査問題集」、いわゆる「銀本」と呼ばれる、全国の公立中高一貫校の適性検査問題を収録した冊子が毎年出ている。これが必須教材のように言われているが、私見では効率がかなり悪いため、やる必要は無いと思う。都立中では出題されない内容・形式問題を解く必要性が薄いことはご理解いただけると思うが、なまじ収録された学校数が多いため、解くべき問題優先順位を付けるのが非常に面倒くさい。さらに、模範解答は載っているが解説割愛されているので、採点・解説の手間が煩雑である。結局、我が家は買うだけ買ったものの、開かずじまいだった(そしてブックオフ処分したら100円だった)。

併願について、および全体のトレンド

都立中どうしの併願は不可能だが、我が家場合は近隣に算国のみで受験できる私学(なかなか雰囲気の良い学校だった)があったので、算数文章題対策だけやって2月1日に受験。ここで無事に合格できたため、心理的にはだいぶ楽な展開になった。結果的には、ここと都立中の2校しか受けていない。

一般論として、近年は難関校を避けて確実性の高い併願戦略を組む例が増えていると聞くが、都立中も例外ではない。昨年との比較では、上位校かつ3科校である小石川は志願者が(一般募集は155人なのに)130人減った一方、中堅校や2科校はそこまで減っていない。

これでどんな事態が起こるかというと、都立中でも上位校とされる小石川両国武蔵あたりは「ガチ勢しか受けに来ない一方、安全策を取った受検生が中堅校に流れてくるため、かえってそちらの競争が激しくなったようだ。

我が子の通う市立小学校だと、受けるなら武蔵立川国際・南多摩あたりが選択肢となるが、武蔵(3科校)は倍率(2.28倍。追加合格者も含めれば2.06倍)なりの合格率だった一方で、南多摩(2科校)は軒並み討ち死にした模様。前述した理由から私学との併願で「ワンチャン狙い」の志願者も少なくないこと、さら武蔵敬遠した受検生が南多摩に回ったことが原因だと思われる。

2025-03-19

7つの疑惑第三者委員会が認めたのは7つめのパワハラにとどまった

疑惑の中でも目玉と思われていた優勝パレードキックバック疑惑について、第三者委員会否定した

以前から斎藤派が主張していた補助金を増額したところでキックバック構造にすらなっていない、それと同様の内容を第三者委員会も指摘している

また、時系列からキックバックはなかったとしている

ただし、第三者委員会キックバック疑惑刑事告訴されていることを踏まえて、そちらの結果次第とも付言している

さて、なぜキックバック疑惑が目玉、本命視されていたかというと、キックバック刑事事件となり斎藤県政は終わらざるを得ない、だから7つの疑惑の中でも認定されることが期待されていた

https://news.yahoo.co.jp/articles/e7ebd241c3d918ea10de6613ca394672b089a2f5?page=1

この記事にあるように、竹内県議キックバック疑惑について期待していたようだ

しかしながら第三者委員会による説明片山副知事や但陽信金理事長の主張を裏付ける内容となった

ここで疑問がある

最初に書いたように、補助金の内容からキックバック構造にすらなり得ないものを、どうして疑惑にまで押し上げたのか、一部メディアキックバック疑惑として擦り続けたのか

疑惑を作り擦り続けたのは斎藤下ろしを目的としたと捉えるのが妥当だろう

その斎藤下ろしで今回認定されたパワハラを軸とせず、なぜキックバック疑惑を作り上げてまで斎藤下ろしを実行したのか

パワハラでは足りないと考えたとしても、前述したようにキックバック構造になりえないことは明白で、キックバック疑惑は詳しく調べるほど破綻するにも関わらず、それでもキックバック疑惑に賭けるにはどのような理由があるのだろうか

世間パワハラが軽視されているからかもしれないが、キックバック疑惑はあまりにも杜撰で、杜撰故に逆に足元を掬われるような内容で、それでも全ベットした理由不明気持ち悪い

気持ち悪いと考えるのは斎藤派だから立花の与太話を真に受けているからだとか言うのは簡単だが、だからといってキックバック疑惑杜撰なことには変わりなく、またキックバック疑惑が成立する余地のないことも変わりない

2025-01-07

anond:20250107231318

男性側としてもこれはありがたい。話して楽しければカフェぐらいならぽんぽん奢ります

増田スペックにもよるけど(175cmありますとかだと全然該当なさそう)現実的でいいラインなのではないかと思う。

付言としてアプリでは無言ブロックする女は山ほどいるのでそんなに切るのに気を遣わなくてもいい。

2024-12-12

anond:20241212220115

ガチの話相手してもらわなくて結構

住む世界が違うってことくらいわかってほしいね

誤解しないように付言しておくとゲーム音楽だろうがしっかり語れるなら何の問題もない

ただ語るといっても何の深みもない時間をかけて言葉で埋めただけの感想以下の文章はいらない

好きなものを浅い語彙力で薄い感想書き散らかすの、好きなものに対する侮辱しかない

2024-07-04

anond:20240704194431

そういう潜在的な前提はもってないよ。全文のニュアンスと「可能性」と付言しているところから察してほしい

ただ、言葉足らずで悪かったのは間違いない。もっと明確に書きべきだった

修正しておくよ、ありがとう

2024-04-17

anond:20240417115358

書いてあるじゃん

( なお、n≧3という条件は大量に言い付されているのでここではいちいち付言しない)

2024-03-12

静岡

ーー美しい国なのだ


そのころ都知事男性が何度か擁立されたがうまくいかず、女性統治しはじめて数世代を経ていた。

歴代女性都知事は初代の名を襲名し、鏡を奉じて男性側近に補佐を受けつつまつりごととまじないとを能くしていた。


相模湾西部熱海市近郊の海上伊豆七島領有をめぐって勃発した静岡県との抗争に際して、初代から数えて第17代目となる百合子は旗艦神田」上で如上のセリフを口にした。

この時代東京都統帥権都知事が有した。百合子は政治的には東京都知事であり、軍事的には東京辺境領戦姫巫女肩書き世襲する。いわゆるエクストリームシヴィリアンコントロール体制時代にあった。

なお付言すると、東京辺境領の名は京都臨時政府(京臨)による侮蔑的呼称であったものを、関東人がアイデンティティ形成の中で好んで自称するようになった歴史的背景がある。


緒戦において豊富な物量と都税による作戦を展開。酒匂川での会戦勝利し現今都軍は湯河原本陣を置く。

静岡県伊東市まで伸びるJR東日本は内通済みだ。往古の契約である伊豆急行国鉄との境界と、静岡県神奈川県との境界差異を利用した政治的戦略である

伊豆七島のある相模湾沖に睨みを効かせる必要は当然あるものの、静岡県府は遥か西方だ。

県民による「静岡県東西に長いですからなぁ〜」が現実味を持っていやらしく聞こえてくる。


静岡には不思議兵科がある。

古い時代伊豆熱川にもたらされた甘蕉鰐(バナナワニ)なる生物を飼い慣らし、軍事作戦に同行させる兵科だ。

甘蕉鰐兵は甘蕉鰐と寝食を共にし、巧みに甘蕉鰐を動かし、酒匂川でも川辺故に都軍を脅かした。

その大隊伊豆の国市駐屯しているという。半島から攻めるにしても三島に出るにしても睨みが効く位置にある。

意外に、静岡は粘り強く戦うかもしれない。

東西に長い。静岡本府を落としても浜松がある。

浜松の手前には、300年前に先祖リニアさえを止めた大井川がある。

大井川にも特殊兵科がある。鉄道機関車の正面に面妖な顔面を据えた戦術機関車がいくつも配備されていると聞く。

季節は春。海上に吹く風さえ穏やかだ。ここから先もう少し伊豆半島を南に進むと、早咲きの桜も見られるという。

あるのは人の諍いだけ。東京辺境領戦姫巫女は遥か西への長い戦旅のことを思う。

2024-02-08

小学館に何か言えっつっても無理じゃないかな(追記した)

今回の芦原先生事件をとても悼ましく思っている。

それはそれとして、小学館への「もっと作家に寄り添え」の大合唱については、小学館しんどいだろうな…とも思う。

この辺の感想の内訳を、出版業界の端っこ(非漫画系)から自分知識に基づいて書く。

 

今回の原作脚本問題は、つきつめれば著作者人格権問題だと考えている。

仕事上、著作権について多少は調べているが、法律専門家ではないことは先に付言する)

 

著作権は、大きく「財産権」と「人格権」に分けられる。

財産権」とは、そのまま、著作者財産利益を守る法律である

著作物を複製すること、上演・上映・展示・頒布すること、

そして、今回でいうドラマにあたる「二次的著作物」を作る(翻案)/利用することなどは

すべて著作権者の権利であり、第三者が行う場合は許諾が必要だ。

 

対して「人格権」とは、著作者の「精神利益」を守る法律である

公表権・氏名表示権・同一性保持権、つまり著作物公表するかどうか、名前を出すかどうか、作品の改変を容認するかどうか。

これらは著作者本人のみに決める権利がある。

 

このふたつの違いは何かというと、

財産権」は譲渡相続もできる(著作者でなくても、著作権者にはなりえる)が、

人格権」は、だれにも譲渡相続もできない、「著作者本人のみ」にある権利だということだ。

 

個人的に「精神利益」とは、ネットスラングで言う「お気持ち」と同義であると考える。

軽んじる意味で言うのではない。

公表するか、名前を出すか、改変してもいいかどうか。つまり自分著作物が、自分の納得のいく形で扱われているかどうか。

それによって守られる作者の「気持ち」こそが、法律で守る価値のある、大切な「精神利益なのだと思っている。

 

以上を踏まえて今回の件を見ると、

今回、原作者がドラマ側に繰り返し要望したのは、自身著作者人格権尊重だと考える。

もちろんそれ以外にも、著作者には二次的著作物作成/利用の許諾を行う権利があるのだが、

ドラマの結末を自分に決めさせてほしい」「キャラクターを変えないでほしい」という要望は、作品世界のものを守りたい、言い換えれば「同一性保持権」を守りたいという願いのもとに出されたように、私には思える。

そして前述の通り、それは著作者本人の「精神利益」を守る重要権利だ。

してみると、小学館が出すべき声明は一つである

 

小学館は、クリエイター著作者人格権を最大限に尊重する。
そして、取引企業にも同等の尊重を求める」

 

 

法律で決められた権利をあたりまえに尊重する。

ごく当たり前のことである簡単じゃないか

 

 

簡単じゃないのである

 

ここまで書いた通り、著作者人格権とは作者の精神利益を守る大切な法律だ。

よくわかる。

しかし、出版物の種類によっては、

それ言ってると仕事が回らねえのである

 

今回のように著作者一人で本が一冊出来るような漫画単行本であれば、先生の納得を大切に

進めましょう、といえるだろう。

けれど、たとえば、子供向けの学習ドリルをつくることを想像してほしい。

問題文、解答解説文、ページ内のイラスト、すべて著作物であり、それぞれ著作者がいる。

たとえば「公表権」は著作者人格権ひとつだ。

なので、理屈上は、ドリルカットイラストを描いたイラストレーターさんが、あるひとつイラストを指して「このイラストをもう公開したくない」といえばそれは尊重されるべき、となる。

著作財産権ならばお金解決…つまりイラスト自体権利を買い取るという交渉もできるが、著作者人格権譲渡できない。著作者ダメと言ったらダメである

 

公表したくない…それは、どこまでの話なのか。もう印刷して積んである在庫は、書店に出回っている在庫は。シール対応か? 断裁か? 絶版か?

 

もちろん、そんなことになった例を私は知らないし、たいていのクリエーターさんはこちらの状況を汲んで、たとえば改訂するときに外してください、などの常識的要望におさめてくれる。

互いの常識良識のなかで私たちはどうにか仕事をしている。

 

ところで出版系は契約ルーズだなんて言われるが、最近結構まじめにやっている(少なくとも私の周りは)。

さて契約書を結ぼうとなると、この著作者人格権については悩ましいところがある。

何せ字義どおりに捉えたら強力すぎる。

 

著作者人格権を盾に、出版物全体に影響を及ぼすような運用ができるのか、それは判例が出ない限りわからない。わからない以上、我々は会社員なので、裁判沙汰になる芽はできるだけ摘まなければならない。

かくして契約書に、「著作者人格権行使しない」なんて文言を盛り込む羽目になる。

 

著作者人格権の不行使」は契約書では案外よく見る言葉である

たとえば会社ポスターパンフレットDM発注したとして、取引先の「公表権」で取り下げさせられたり、「同一性保持権」で修正できなかったりする可能性がある…となると、必要性が想像つく人もいるのではないか

 

個人的にはこんな文言できれば盛り込みたくない。

クリエイター本来持つ権利制限する契約は、誠意に欠けると思っている。

だが、強すぎる権利放置するのも難しいのだ。

 

今回の事件漫画作品なので、カットイラスト1つとはわけが違う…とも思うが、

けが違うか? ほんとうに? すべての著作物は同等に尊重されるべきでは??

という思いもある。

 

クリエイターさんにお仕事をお願いする側のすべての人間が、

100%くもりなく「著作者人格権尊重します!」と言い切れるかというと…権利の強さゆえに、あまり現実的でない、と思ってしまう。

 

今回の問題の根幹が「著作者人格権尊重」をめぐるものだと考えると、小学館全体として声明を出すのは苦しいだろうな…と想像している。

場面や状況によっては制限することさえあるのが現状だからだ。

 

逆に言えば、それ以外の事情……芦原先生小学館に対して寄せていた信頼が裏切られてい

た、というような経緯がないことを祈っている。

---------

ちまちま書いていたら小学館から著作者人格権言及した声明が出ていた。

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著作者人格権トレンドに入っている。

言葉けが先走りそうで、そして実際権利としてはかなり強いものなのでちょっと先が思いやられる。

なお「じゃあAI学習著作者人格権侵害なのでは!?」と盛り上がってる人を見たが、機械学習私的利用とかと同じ例外規定やで。

2024-01-26

anond:20240126201910

何かを嫌うのは理由があったとしても望ましくない(望ましくないなので、やってはならないとまでは言わない)という道徳律に生きる者としては、嫌いなものを表明した時点で良くない結果に至ったことは自明だろうと感じる

なお、道徳律はギブアンドテイクといった実利主義に基づく観念ではないので、他人がそうしていなくても自分実践するという性質のものだということは、念のため付言しておく

anond:20240126183251

9.「平和基本法から佐藤優現象〉へ

 〈佐藤優現象〉を支えている護憲派の中心は、雑誌としては『世界』であり、学者では山口二郎和田春樹である。この顔ぶれを見て、既視感を覚える人はいないだろうか。すなわち、「平和基本法である。これは、山口和田らが執筆し、共同提言として、『世界』一九九三年四月号に発表された。その後、二度の補足を経ている(56)。

 私は、〈佐藤優現象〉はこの「平和基本法からの流れの中で位置づけるべきだと考える。

 同提言は、①「創憲論」の立場、②自衛隊合憲化(57)、③日本経済的地位に見合った国際貢献必要性、④国連軍国連警察活動への日本軍の参加(58)、⑤「国際テロリスト武装難民」を「対処すべき脅威」として設定、⑥日米安保の「脱軍事化」、といった特徴を持つが、これが、民主党の「憲法提言」(二〇〇五年一〇月発表)における安全保障論と論理を同じくしていることは明白だろう。実際に、山口二郎は、二〇〇四年五月時点で、新聞記者の「いま改憲必要なのか」との問いに対して、「十年ほど前から護憲立場から改憲案を出すべきだと主張してきた。しかし、いまは小泉首相のもとで論理不在の憲法論議が横行している。具体的な憲法改正をやるべき時期ではないと思う」と答えている(59)。「創憲論」とは、やはり、改憲論だったのである

 同提言の二〇〇五年版では、「憲法九条の維持」が唱えられているが、これは、政権が「小泉首相のもと」にあるからだ、と解釈した方がいいだろう。「平和基本法」は、戦争をできる国、「普通の国」づくりのための改憲である。同提言軍縮を謳っているが、一九九三年版では、軍縮は「周辺諸国軍縮過程と連動させつつ」行われるとされているのだから北朝鮮中国軍事的脅威が強調される状況では、実現する見込みはないだろう(60)。また、「かつて侵略したアジアとの本当の和解」、二〇〇五年版では、周辺諸国への謝罪過去清算への誠実な取組みの必要性が強調されているが、リベラル過去清算は終わったと認識しているのであるから、これも実効性があるとは思えない。要するに、同提言には、論理内在的にみて、軍事大国化への本質的な歯止めがないのである

 佐藤が語る、愛国心必要性(61)、国家による市民監視(62)、諜報機関の設置等は、「普通の国」にとっては不可欠なものである佐藤饒舌から私たちは、「平和基本法」の論理がどこまで行き着くかを学ぶことができる。

 馬場は、小泉純一郎首相(当時)の靖国参拝について、「今後PKOなどの国際的軍事平和維持活動において殉死殉職した日本人の慰霊をどう処理し追悼するか、といった冷戦後平和に対する構想を踏まえた追悼のビジョンもそこからは得られない」と述べている(63)。逆に言えば、馬場は、今後生じる戦死者の「慰霊追悼施設必要だ、と言っているわけである。「普通の国」においては、靖国神社でないならば、そうした施設はもちろん、不可欠だろう。私は、〈佐藤優現象〉を通じて、このままではジャーナリズム内の護憲派は、国民投票を待たずして解体してしまう、と前に述べた。だが、むしろ、すでに解体は終わっているのであって、「〈佐藤優現象〉を通じて、残骸すら消えてしまう」と言うべきだったのかもしれない。

 ここで、テロ特措法延長問題に触れておこう(64)。国連本部政務官川端清隆は、小沢一郎民主党代表の、テロ特措法延長反対の発言について、「対米協調」一辺倒の日本外交批判しつつ、「もし本当に対テロ戦争への参加を拒絶した場合日本には国連活動への支援も含めて、不参加を補うだけの実績がない」、「ドイツ独自イラク政策を採ることができたのは、アフガニスタンをはじめ、世界の各地で展開している国連PKOや多国籍軍に参加して、国際社会を納得させるだけの十分な実績を積んでいたかである。翻って日本場合多国籍軍は言うに及ばず、PKO参加もきわめて貧弱で、とても米国国際社会理解を得られるものとはいえない」と述べている(65)。

 元国連職員吉田康彦は「国連憲章の履行という点ではハンディキャップなしの「普通の国」になるべきだと確信している。(中略)安保理決議による集団安全保障としての武力行使には無条件で参加できるよう憲法の条文を明確化するのが望ましい」と述べている(66)。川端吉田の主張をまとめれば、「対米協調一辺倒を避けるため、国連PKOや多国籍軍軍事活動積極的に参加して「国際貢献」を行わなければならない。そのためには改憲しなければならない」ということになろう。民主党路線と言ってもよい。今の護憲派ジャーナリズムに、この論理反論できる可能性はない。「8」で指摘したように、対北朝鮮武力行使容認してしまえば、改憲した方が整合性があるのと同じである

 なお、佐藤は、『世界』二〇〇七年五月号に掲載された論文山川均の平和憲法擁護戦略」において、「現実国際政治の中で、山川ソ連侵略性を警戒するのであるから、統整的理念としては非武装中立を唱えるが、現実には西側の一員の日本を前提として、外交戦略を組み立てるのである。」「山川には統整的理念という、人間努力によっては到底達成できない夢と、同時にいまこの場所にある社会生活改善していくという面が並存している」と述べている。私は発刊当初この論文を一読して、「また佐藤柄谷行人への点数稼ぎをやっている」として読み捨ててしまっていたが、この「9」で指摘した文脈で読むと意味合いが変わってくる。佐藤は、「平和憲法擁護」という建前と、本音が分裂している護憲派ジャーナリズムに対して、「君はそのままでいいんだよ」と優しく囁いてくれているのだ。護憲派ジャーナリズムにとって、これほど〈癒し〉を与えてくれる恋人もいるまい(67)。

10.おわりに

 これまでの〈佐藤優現象〉の検討から、このままでは護憲派ジャーナリズムは、自民党主導の改憲案には一〇〇%対抗できないこと、民主党主導の改憲案には一二〇%対抗できないことが分かった。また、いずれの改憲案になるにしても、成立した「普通の国」においては、「7」で指摘したように、人種差別規制すらないまま「国益」を中心として「社会問題」が再編されることも分かった。佐藤沖縄でのシンポジウムで、「北朝鮮アルカイダの脅威」と戦いながら、理想を達成しようとする「現実平和主義」を聴衆に勧めている(68)が、いずれの改憲案が実現するとしても、佐藤が想定する形の、侵略植民地支配反省も不十分な、「国益」を軸とした〈侵略ができる国〉が生まれることは間違いあるまい。「自分国家主義者じゃないから、「国益」論なんかにとりこまれるはずがない」などとは言えない。先進国の「国民」として、高い生活水準や「安全」を享受することを当然とする感覚、それこそが「国益」論を支えている。その感覚は、そうした生存の状況を安定的保障する国家先進国主導の戦争積極的に参加し、南北格差固定化を推進する国家―を必要とするからだ。その感覚は、経済的水準が劣る国の人々への人種主義、「先進国」としての自国を美化する歴史修正主義の温床である

 大雑把にまとめると、〈佐藤優現象〉とは、九〇年代以降、保守派大国路線に対抗して、日本経済的地位に見合った政治大国化を志向する人々の主導の下、謝罪補償必要とした路線が、東アジア諸国民衆の抗議を契機として一頓挫したことや、新自由主義の進行による社会統合破綻といった状況に規定された、リベラル左派危機意識から生じている。九〇年代東アジア諸国民衆から謝罪補償を求める声に対して、他国の「利益のためではなく、日本私たちが、進んで過ちを正しみずから正義回復する、即ち日本利益のために」(69)(傍点ママ歴史清算を行おうとする姿勢は、リベラル内にも確かにあり、そしてその「日本利益」とは、政治大国を前提とした「国益」ではなく、侵略戦争植民地支配可能にした社会のあり方を克服した上でつくられる、今とは別の「日本」を想定したものであったろう。私たちが目撃している〈佐藤優現象〉は、改憲後の国家体制に適合的な形で生き残ろうと浮き足立リベラル左派が、「人民戦線」の名の下、微かに残っているそうした道を志向する痕跡消失もしくは変質させて清算する過程、いわば蛹の段階である改憲後、蛹は蛾となる。

 ただし、私は〈佐藤優現象〉を、リベラル左派意図的計画したものと捉えているわけではない。むしろ無自覚的、野合的に成立したものだと考えている。藤田省三は、翼賛体制を「集団転向寄り合い」とし、戦略戦術的な全体統合ではなく、諸勢力からあいもつあいがそのまま大政翼賛会に発展したからこそ、デマゴギーそれ自体ではなく、近衛文麿のようなあらゆる政治立場から期待されている人物統合象徴となったとし、「主体が不在であるところでは、時の状況に丁度ふさわしい人物実態のまま象徴として働く」、「翼賛会成立史は、この象徴人物の未分性という日本政治特質をそれこそ象徴的に示している」と述べている(70)が、〈佐藤優現象〉という名の集団転向現象においては、近衛のかわりに佐藤が「象徴」としての機能果たしている。この「象徴」の下で、惰性や商売で「護憲」を唱えているメディア、そのメディア追従して原稿を書かせてもらおうとするジャーナリスト発言力を確保しようとする学者、無様な醜態晒す本質的には落ち目思想家やその取り巻き、「何かいいことはないか」として寄ってくる政治家や精神科医ら無内容な連中、運動に行き詰った市民運動家、マイノリティ集団などが、お互いに頷きあいながら、「たがいにからあいもつれあって」、集団転向は進行している。

 ところで、佐藤は、「仮に日本国家国民が正しくない道を歩んでいると筆者に見えるような事態が生じることがあっても、筆者は自分ひとりだけが「正しい」道を歩むという選択はしたくない。日本国家同胞日本人とともに同じ「正しくない」道を歩む中で、自分が「正しい」と考える事柄の実現を図りたい」と述べている(71)。佐藤は、リベラル左派に対して、戦争に反対の立場であっても、戦争が起こってしまたからには、自国国防、「国益」を前提にして行動せよと要求しているのだ。佐藤賞賛するような人間は、いざ開戦となれば、反戦運動を行う人間異端者扱いするのが目に見えている。

 この佐藤発言は、安倍晋三首相の目指していた「美しい国」づくりのための見解とも一致する。私見によれば、安倍の『美しい国へ』(新潮新書、二〇〇六年七月)全二三二頁の本のキモは、イランでのアメリカ大使館人質事件(一九七九年)をめぐる以下の一節である。「(注・反カーター陣営の)演説会で、意外に思ったことがある。人質事件に触れると、どの候補者もかならず、「私は大統領とともにある」(I am behind the President.)というのだ。ほかのことではカーターをこきおろす候補者が、そこだけは口をそろえる。/もちろん、人質にされている大使館員たちの家族配慮するという意図からだろうが、アメリカ一丸となって事件対処しているのだ、という明確なメッセージを内外に発しようとするのである国益からむと、圧倒的な求心力がはたらくアメリカ。これこそがアメリカの強さなのだ。」(八七~八八頁)

 文中の、「人質事件」を拉致問題に、「大統領」を安倍に、「アメリカ」を日本に置き換えてみよ。含意は明白であろう。安倍は辞任したとはいえ総連弾圧をめぐる日本言論状況や、〈佐藤優現象〉は、安倍の狙いが実現したこと物語っている。安倍政権は倒れる前、日朝国交正常化に向けて動きかけた(正確には米朝協議の進展で動かされたと言うべきだが)が、こうなるのは少なくとも今年春からは明らかだったにもかかわらず、リベラル左派の大多数は、「日朝国交正常化」を公然と言い出せなかった。安倍政権北朝鮮外交に敗北したのは明らかである。だが、日本リベラル左派安倍政権ときに敗北したのである

 〈佐藤優現象〉は、改憲後に成立する「普通の国」としての〈侵略ができる国〉に対して、リベラル左派の大部分が違和感を持っていないことの表れである侵略植民地支配過去清算在日朝鮮人人権擁護も、そこには含まれる)の不十分なままに成立する「普通の国」は、普通の「普通の国」よりはるかに抑圧的・差別的侵略的にならざるを得ない。〈佐藤優現象〉のもとで、対北朝鮮武力行使の言説や、在日朝鮮人弾圧の言説を容認することは、戦争国家体制に対する抵抗感を無くすことに帰結する。改憲に反対する立場の者がたたかうべきポイントは、改憲護憲(反改憲)かではない。対北朝鮮武力行使容認するか、「対テロ戦争」という枠組み(72)を容認するかどうかである容認してしまえば、護憲(反改憲)派に勝ち目はない。過去清算も不十分なまま、札束ではたいて第三世界諸国の票を米国のためにとりまとめ、国連民主的改革にも一貫して反対してきた日本が、改憲し、常任理事国化・軍事大国化して、(国連主導ではあれ)米軍中心の武力行使を容易にすることは、東アジア世界平和にとって大きな災厄である(73)。

改憲戦争国家体制拒否したい人間は、明確に、対北朝鮮武力行使の是非、対テロ戦争の是非という争点を設定して絶対的に反対し、〈佐藤優現象〉及び同質の現象を煽るメディア知識人等を徹底的に批判すべきである

(1)岩波書店労働組合「壁新聞」二八一九号(二〇〇七年四月)。

(2)ブログ「猫を償うに猫をもってせよ」二〇〇七年五月一六日付。

(3)ただし、編集者佐藤右翼であることを百も承知の上で使っていることを付言しておく。〈騙されている〉わけではない。

(4)「佐藤優という罠」(『AERA』二〇〇七年四月二三日号)中のコメントより。

(5)インターネットサイトフジサンケイ ビジネスアイ」でほぼ週一回連載中の〈 Permalink | 記事への反応(0) | 18:37

2024-01-04

メーデーありがちなパターン

ここまで

☑ 初期の誤った理解(「エンジンが爆発したんだ」など)

マスコミ与圧

海外調査チーム、メーカーが合流

警察が登場

レコーダー回収

☑ 「事故ではない陰謀だ」といった的外れな噂

この後は

☐ 「機器は正常だった」(各種記録を見ながら)

☐ 「そこでとめて」(レコーダーを聞いて、行き違いが明らかになるシーン)

の後に

☐ 「慣れている場所なのに…なぜ勘違いしたんだ?」「勤務状況を調べてみよう」

☐ 「機長と副機長、二人居るのになぜ?」「ボイスレコーダーに戻ってみよう」「(ナレーションボイスレコーダーには様々なノイズも記録されます

☐ 地上設備の不備に付言

分岐かな?

2023-12-26

anond:20231224205818

40年オタクとして生きてきたかどうか、という問いよりも、畢竟他者自分をどう差別化するかということを気にしてきた40年だったのではないか

オタクサブカル比較コメントなどで論じられている。

それはそれで大切だけど、この増田の宿痾はオタクでもサブカルでもどっちでもいいんだけど、それを使って他者自分とを比べて、そして優位にありたいと感じているところにあるのではないだろうか。

私も文学部だったからわかるけどこういう人たくさんいたよ。

これからどうしたらいいか? 答えは社会人入学して大学or大学院に入るべきだ。そしてしっかり左翼でもサブカルオタク文化でも論究して、他者とか関係なく自分軸で対象と向き合うべきだ。

おじさん含めN=4の事例から申し訳ないんだけど、こういう風に話すとやれ「時間が」とか「体調が」とか「お金が」とか「近くに良い大学が」とかになる。

でもそうしないとその螺旋から抜け出せないですよ。少なくとも脱却する方法として大学行くのはいいと思う。

あとこういう人は偏差値の低い大学をなぜか馬鹿にしている風潮があり、地方都市でもちゃん大学あるし社会人で学ぶには遜色まったくないだろ、ってのは付言しておきたい。

ま、大学行くのは一大事なので、少なくとも周りを気にせず対象にしっかり向き合うのが大切なのではないかと思う。

2023-11-28

anond:20231127182152

追記

この増田転載スレ立てされていた

(まあ俺が第三者ならおもしろネットコンテンツとして同じ消費の仕方を考えるだろう

一応付言するが転載スレ立てすべてがアフィブログ自作自演炎上目的というわけではない)

悲報自分投稿したはてな匿名ダイアリーソース嫌儲スレ立て→アフィまとめする商法が横行

https://greta.5ch.net/test/read.cgi/poverty/1701136262/

ちなみに1つ目に挙げた増田転載スレ立てした>>1は「そういう奴」だと嫌儲内(の一部)で認知されている(BEがバナナアイコンなので通称バナナ)

スレ立て履歴を見れば増田コピペ、男女分断ネタの多いことがわかるだろう

https://be.5ch.net/test/p.php?i=257926174

http://ame.hacca.jp/sasss/log-be2.cgi?i=257926174

追記ここまで

・昨日のこれ

名無しの増田を「女さん」とすることで「女がまたイチャモンつけてる!」とレス数・コメント数・アクセス数たっぷり稼げる

増田投稿わずか5分後に5chスレ立て増田投稿者のみに表示される鉛筆マークコピーした時に出る「編集」の文字ごと>>1にコピペする雑さ、しかアフィブログやらおん」では消される

なんで底辺や低学歴の男って『ゲーム』を好むんだ?安価な娯楽なら、読書とか映画とかあるのに何でわざわざ低俗なゲームを選ぶんだ?

悲報】女さん「底辺低学歴の男って『ゲーム』好き多いけど、なぜ?安価な娯楽なら読書とかあるのに、何でゲームとか低俗趣味選ぶの

https://greta.5ch.net/test/read.cgi/poverty/1701037581/

yaraon-blog.com/archives/247262

joker004.blog.fc2.com/blog-entry-42394.html

・2日前のこれも

名無しの増田を「アニメ評論家」とすることで「偉そうな評論家様がまた適当言ってる!」とレス数・コメント数・アクセス数たっぷり稼げる

アニメ「葬送のフリーレン」1〜3話を観た

悲報アニメ評論家「葬送のフリーレンを観たが面白くない。かわいい女の子たちの旅に萌え萌え~!できる人しか楽しめないのでは」

https://greta.5ch.net/test/read.cgi/poverty/1700969697

yaraon-blog.com/archives/247135

blog.livedoor.jp/qmanews/archives/52314029.html

iroirosokuhou.com/archives/38959797.html

frisoku.site/archives/2839

・まとめる気のない純粋っぽいスレ立ての例

非モテを支援して下さい

はてな少子化対策として非モテ障害者として支援すべき」ケンモメン(ヽ´ん`)念願の手帳ゲットか

https://greta.5ch.net/test/read.cgi/poverty/1701062129/

2023-06-24

【稀代の悪法化】発信者開示情報改正キチガイがやっている

あみ

@LohoG29i

21時間

あぁ、やっと発信者情報開示請求実務周りのヤバさが世論認知され始めた、遅すぎたけどね

これ、URLどころか投稿日時すらない雑コラから明るみに出ただけで、本気で巧妙な誹謗中傷投稿捏造された場合どうしようもない

被告側は「捏造である証明」をしなければならない

yomiuri.co.jp

他人SNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…逆に損害賠償訴えられる

あみ

@LohoG29i

21時間

裁判所理屈はこうです

「“たとえ1円分でも”、不法行為に繋がるっぽいならそれは開示に値するで」

不法行為については当人同士で気が済むまでバトるのが本筋だけどそもそも氏名住所が分からんと訴え起こせへんやろ、そこは滅茶苦茶ハードル軽くしたるよ、応訴負担スラップ?知らんわそんなん」

あみ

@LohoG29i

20時間

プロバイダ側は弁護士費用が持ち出しになるので一部例外を除いて極力争いたくない。氏名住所開示する言い訳作りで地裁判決貰うだけ

たった一度限りの意見照会プロセスも、訴因が黒塗り塗れで反論のしようがないとか意見照会結果を準備書面に反映しないとかそもそも書証として出さないとかで滅茶苦茶。

あみ

@LohoG29i

ここらへん、高市早苗氏が総務相時代に嬉々として大きく動かしたんですよ。

すごく雑に言うなら「弁護士に金さえ積めば氏名住所開示できちゃう省令改正とか平気でやっちゃった。

世論は「ネット匿名卑劣誹謗中傷は許せない! 被害者救済を!!」一色でそのヤバさを何も考えなかった。

あーあ。

午後10:01 · 20236月23日

あみ

@LohoG29i

8時間

「立証責任原告側にあるはずだろ」

いや、たとえ捏造であっても原告側が「立証」しているので、それが捏造だと否定するには相応の根拠で「立証」し返さないといけないんすよ

でないと「本当にやってるのに捏造だと言い張ってる奴」と見分け付かないからそうなってしま

https://note.com/fukazawas/n/n87d77b861e9c?magazine_key=m1e839f1f888c

kurahash

@kurahash

18時間

普通にtwitterログデータが無きゃ敗訴みたいにすればいいんじゃないかなぁ。画像証拠になる時点でおかし

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会話

🍀透析弁護士Mii🍀

@LawyerDialyzing

プロバイダから発信者情報開示についての意見照会が来た場合、身に覚えがないとか根拠があって投稿したというならきちんと回答しておいた方がいいと思います

わたしは、プロバイダ代理人として発信者情報開示手続対応することがありますが、発信者とされる方から意見照会結果は必ずチェック→

午前7:36 · 20236月23日

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🍀透析弁護士Mii🍀

@LawyerDialyzing

·

6月23日

→ した上で答弁書作成していますプロバイダが発信者から責任追及されても困るので、開示について争う答弁をして、裁判所判断を仰ぎますが、その際、例えば「身に覚えがなく、該当のアカウントそもそもほとんど投稿していない」とか、実際に投稿した場合でも「記載内容については〜〜だから

🍀透析弁護士Mii🍀

@LawyerDialyzing

·

6月23日

真実であり、こういう意図投稿した」などと具体的に教えてもらえれば、答弁書にその旨を記載でき、一般論で戦うだけでなく具体論で戦いやすくなります(※ただし、最終的には裁判所判断しますので、「回答すれば絶対開示されない」というものではありません。)。

この件に限りませんが、→

🍀透析弁護士Mii🍀

@LawyerDialyzing

·

6月23日

→ 何か具体的なトラブルについて裁判所弁護士会社などから照会や問い合わせ、あるいは通知が来たときは、無視するより、違うなら「違う」と対応しておいた方がいいです。何も反応がなければ淡々手続を進めざるを得ませんが、何か反応いただければそれは検討してもらえますので。

もちろん、→

🍀透析弁護士Mii🍀

@LawyerDialyzing

6月23日

詐欺的な通知の可能性もありますので、「無視して良いものか、ちゃんと反応した方がいいものか」の見分けが付かなければ、その通知等を持って法律相談に行ってください。

(※今話題捏造の件そのものがどういう対応だったかわたしは全く存じ上げないことを、念のため付言します。)

もっと見つける

Twitterから

くまった

@ottokumatta

23時間

依頼者のみならず、相手にも信頼される代理人がいるけど、それは相手に媚びへつらったり、取り入ろうとするからではなく、依頼者を代弁しつつその利益を守り、公正に振る舞うからなんだなと。今日起きたある出来事で再認識しました。

私もそうありたいですね。

2023-02-26

バス内で人の飲み物睡眠薬を入れようとした行為犯罪は成立するか

上記行為について、いまツイッター上で体験談話題?のようです。

犯人が捕まって家宅捜索されたとのことですから警察が動いているわけですが、警察捜査をするためには当然ですが何らかの犯罪が成立している必要があります

しかし、正直なところ、上記行為だけでは何らの犯罪も成立しないと考えざるを得ません。その理由を述べます

1 「傷害罪」が成立するのか

 まず考えられるのは傷害罪かと思います睡眠導入剤を飲ませて傷害逮捕された、というニュースネットなどでも出てきますね。

 しかし、法律上傷害罪が成立するためには、人の生理的機能障害を与えた、という結果が必要となります

 小難しい言い方ですが、要するに、実際に睡眠導入剤を飲ませて眠らせるなどしなければ傷害罪は成立しない、ということです(なお、傷害罪未遂はありません)。

 そうすると、睡眠導入剤が実際には入れられていない本件では、傷害罪は成立しないと言わざるを得ません。

2 他の罪は成立するのか

 傷害罪は成立しないとして、他の罪はどうでしょうか。

 過去には、「夜行バス内で隣の人の飲み物睡眠薬を入れたところ、女性が気付いて通報したため、準強制わいせつ未遂逮捕した」という事例があるようです。

 また、人を眠らせてお金を取ろうとしていた場合には、昏酔強盗未遂罪が成立するかと思います

 このように、人を眠らせたうえで何らかの犯罪をしようとしていた場合には、その人を眠らせた時点でその未遂罪が成立することになります

 しかし、本件でこれが当てはまるかというと難しいように思います

 まず、夜行バス内の事件については、バスの車内とはいえ夜行バス内では他の客に注目することはほとんどなく、隣席の人とは長時間一緒にいることになります

 したがって、夜行バス内で睡眠薬を飲ませようとした時点で、わいせつ行為などの犯罪をする危険性はかなり高くなったといえます強盗についても夜行バス内では同じことが言えます

 しかし、本件では、その状況からして通常の路線バスと思われますが、路線バス内で睡眠導入剤を飲ませたとしても、その人がどの時点で眠るのかわかりません。

 バスの中で眠ってしまうのかもしれませんし、バスから降りて目的地に着く途中で眠るのかもしれませんし、目的地に着いた後で眠るのかもしれません。あまりにも不確定です。

 したがって、通常の路線バス内で睡眠導入剤を飲ませたとしても、眠っている人に対して何らかの犯罪を行う危険性が高いとはいえず、人を眠らせたうえで何らかの犯罪をしようとしていたと認めることは難しいように思います

 その他、迷惑行為等防止条例などにおいても、今回のような行為処罰する規定はないかと思われます

異論反論受け付けますので何かご指摘等ありましたらよろしくお願いいたします。

なお、念のため付言しておきますが、過去にも似た事例があったように、このような事件は間違いなく起こり得るものであり、注意喚起は極めて重要です。

今後誰かが同じような事件に巻き込まれた際に、「この事件では捜査がされたのになぜ今回は捜査がされないのか!」と警察検察が責められるのは妥当ではない、と思いこれを書きました。

2023-01-10

Re: なぜ障碍者雇用代行に需要があるのか

anond:20230110170356

現状と実際の課題を把握した上で、どうしたらいいか改善策を考えて提言してほしい。

このエントリーで求められている提言を行う。

提言

私の提言は、3つ。



提言理由

身体障害以外の障害者職場では戦力にならない。

そのため第1の提言身体以外の障害者雇用義務を無くすことがまず必要

ただし、それでは身体以外の障害者生活できなくなるので第2の提言年金を無条件で与えることが必要

すると、健常者や身体障害者から働かないのに生活する障害者への批判高まるだろう。

そこで、財政への負担を軽減して健常者や身体障害者理解を得るために第3の提言生殖禁止必要となる。

就労能力の無い人間が良い育児をできる可能性が少ないことと、障害能力遺伝により親と同様に子ども就労能力が低くなる可能性が高い。

就労能力の無い人間再生産を防止し財政負担を軽減させれば、第2の提言への理解を得やすくなるだろう。

提言の補足

まりこれは労働での自己実現と子孫を持つことを制限する代わりに労働なしの生活享受するという取引である

発達障害精神障害当事者として言うと、多くの障害者はおそらくこの取引を喜んで受け入れると思う。

それくらい、発達障害精神障害就職活動就労環境は(周囲だけでなく)本人にも地獄のようなものからだ。

ただ、ごく一部の天才的な能力のある身体障害以外の障害者のために、取引をしない選択肢提示できた方が良いだろう。

ちなみに私はそうした天才ではないので喜んで受け入れる。

付言

2点付言する。

1点目にてんかんについて。簡単のため「身体障害」「身体障害以外の障害」で二分したが、増田の主張通りてんかん身体ではないが身体障害者と同様に就労能力を持つ障害があるなら身体と同じ扱いで良いだろう。

2点目に財政コストについて。「試算はできないが、おそらく社会が負うコストはこうした方が少なくなると思っている。」と書いたが、計算した結果とても実現不可能だという場合があると思う。

その場合は、より安価代替手段として希望する障害者への安楽死権利を認めてほしい。

貧困就労の困難さから、私を含めて多くの当事者安楽死を選ぶと思う。

別に制度化しなくても自殺はできるだろうという批判があるだろうが、電車飛び降り首吊りで失敗して重い後遺症を負ったり、家族社会迷惑がかかったり、死ねきれなくて苦しむ可能性を考えるとなかなか自殺は難しい。費用はかかるのはわかるが、ぜひ安楽死制度化を検討してほしい。

2022-12-28

軍オタ基本的自国軍拡には反対しない

デブ少佐みたいに本気で「私は戦争が大好きだ」と言う正直さはないが、あのシーンを冗談ごかしに取り上げてふざけるくらい戦争は好きなのだ

軍オタが嫌いなのは自分たちが負ける戦争」で、例えば後世から見れば勝てる要素はほぼ無く、不利な条件で講和できる可能性すら高いとは言えなかった太平洋戦争は大嫌いで、当時の政府や軍を平気で馬鹿にして「だから自分たちは本当は平和主義なのだ」と疑いもなく信じている。

でも、現在米国が絶え間なくやってきた「勝利できないことはあれども、決して負けない戦争。銃後の人民軍オタたちも含まれる)は安全な所で見物できる戦争」は大好きで、それが起これば喜んで解説し、戦況予測であたった外れたと賑やかにお祭りする。もちろん不敗の米国やその軍隊は大好きでほとんど批判しないし、批判が避けられない様な事例(アブグレイブ刑務所での事例など)でも、軍内で処分があったことを引き合いに出して「モラルの高い最強の米軍」の結論を引っ張り出したりする。

そういう事例を挙げて叩く、米国米軍に極めつけの悪感情があるブサヨ平和団体などへの悪意も極めて強い。自分たちが敵とみなす軍隊に殺された戦死戦傷者、民間人被害については(単なるポーズに過ぎない場合も多かろうが)悲しいという感情を表すが、それが敵側の犠牲者であればろくに憐憫を示さず、あざ笑う様な態度で評論して「これも悪い指導者に従った結果ですね。かわいそうですねwww」みたいな態度がごく普通なのが軍オタ

外交による戦争回避の有効性も「強大な軍事力裏付けがあるから成立しているだけ」と必ず付言する(だが軍事力単独で成立しうると思っている)し、近隣諸国(古株の軍オタ特亜と呼んでいたりする)に対する視線は非常に厳しく、事実上の敵国と見なして「国際法上の適法性さえ満たすなら、軍事攻撃をためらうべきではない」くらいの感情を持っている。

ネットで見かける軍オタの半分はこういう連中だ。 これはかなり希望的観測であって「半分くらいはそうではないはずだ」って俺が思ってるだけなので、全然根拠はないんだが。

2022-12-12

その修正、ばれてます

グラビアアイドル写真に物申したい。

修正しすぎである

俺は脚フェチだ。そのため、脚のラインをついついみてしまう。ヤングマガジンとかでもそうだし、フライデーでもだ。

どうみても修正している。不自然である

つのパターンがある。

まず肌をきれいにするパターン。てめーらの塗り絵には付き合ってられない。

足はもっと節くれだつ。甲とか。いくらグラビアアイドルでもだ。痩せてるならなおさらだ

もう一つのパターン。それは脚を細くするやつ。てめーら毎回何やってんだ。

しかも脚を細くする修正統一感がない。当然かもしれないが都度やってるからだ。

実は角度によってリアルに近い太さになる写真がある。

かい話になるが、あぐらをかい画角からグラビア修正の度合いが少ない傾向があるように思う。

太腿と脹脛が近いと、修正が難しいのだろう。

後ろから光を当てて(窓の手前に立つなどして)、身体ラインを細く見せる技法がある。

また、ちょっと爪先立ちして脚の筋肉機能させて細く見せて、かつ脚を長く見せる技法がある。

こうしたテクニックは肯ぜられる。

だのに、そこからさら修正してるグラビアが瞥見される。

これはグラビアアイドルやその努力馬鹿にしてはいないだろうか。

俺は同じアイドルの、修正が少ない写真修正されまくり写真二次関数をとる。

そして実際の脚の太さや長さを天体観測する。

俺は脚フェチから、如上のことに気付ける。

おそらく世の男(漢と書いた方がふさわしいかもしれない)たちは、男が持つそれぞれのフェチ性的関心を以て、こうした分析をしているに相違ない。

フェチだったら腋の修正、尻フェチだったら尻の修正おっぱいだったらおっぱい

気付けるはずである。おそらく女であっても、同質のことが展開されよう。

それぞれ「気づき」があるのだろう。

さて、それではどうするべきと考えるか。

修正などしなければいいのだ。自然体でグラビアすれば良い。

多少脚が短くとも腹がぽっちゃりしてようとも、それでいいのだ。

畢竟見栄を張るのが問題だ。

そして見る我々の側も、それでよしとしてエッチな気分になる心構えが必要なのだろう。

先ほどそれぞれのグラビア写真修正差異から、実際の身体推し量ることを述べた。

手っ取り早い方法がある。実際にグラビアアイドルを見に行けばいいのである

ここで、実際にあったらブサイクだったとか太かったとかそういうことを言いたいのではない。

そこに現にいる存在こそが、本当のその人物なのであり、愛するべきはその眼前の身体なのだ

いくらネットデジタル技術が発達したとはいえ現実はまだまだ力を持つ。

そこに、立ち返るべきなのだ

最後付言する。アイドルグループのあるもの修正の度合いが高く、あるものは狙って修正の度合いが低い。

具体名は出さない。男たち、女たち、これを読んでいる増田諸賢もすでに気付いているだろう。

俺は後者修正をほぼしないアイドルグループの矜恃を讃頌したい。

ライバルはいくらでも修正してくる。それでも。

とてつもないことである

2022-11-07

自転車車道走行するようになり400人が殺されている

内閣府が出している自動車自転車接触事故による自転車乗りの死亡・重傷者数は下記の通り推移しているらしい。

https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r03kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_02_3.html

自動車    前年比

平成22 9,354

23 8,939 95.6%

24 8,540 95.5%

25 8,043 94.2%

26 7,771 96.6%

27 7,295 93.9%

28 6,873 94.2%

29 6,974 101.5%

30 6,596 94.6%

令和元 6,329 96.0%

2年 5,425 85.7%

医療技術進歩のおかげか交通意識の高まりのおかげか毎年約5%ずつ減少している。素晴らしい。

その一方で、前年比に比べて増えている年がある。それがH29だ。

この年は何なのか。自転車車道で走ろうという啓蒙キャンペーンが始まった年の翌年だ。

もちろん、それ以前から自転車車道原則であり、それを強化しようと動きはあったが、メディアも巻き込んで啓蒙活動が行われ、よぼよぼのおじさんや子育て自転車まで車道を走り始めたのがH2810月ごろだ。その成果が出たのがH29と言える。

まり毎年5%ペースで減少していたことを考えれば、H29年の6,974人という数字とH28の実績6,873人の約5%減、6,500人との差である約400人はこのキャンペーンによる死亡・重傷者数と言える。

では、自転車車道を走ることにより自転車加害者になるパターンは減少しているのだろうか。自転車歩行者接触歩行者が死亡・重傷者数になった数は令和2年度は306人とのことだ(うち歩道上の事故は133人)。正直、上記の車vs自動車としては規模感が一桁違う。自転車車道を走るようになり死亡・重傷になった400人を超える減少数があるとは思えない。

何故か、この資料にはその年度別推移がないので、自転車車道走行一般化でどれほど減少したのかわからないが、自転車歩行者交通事故件数自体は上昇していることを考えると、あまり自転車車道走行啓蒙した意味はないように思える。

暴走自転車は取り締まってほしいが、はっきり言って自転車車道走行自体交通事故による死傷者数を明確に増やしただけといって差し支えないだろう。この状態で本当に車道走行罰則を強行するのだろうか。交通法規とは究極を言えば、交通事故による死傷数を減らすことが目的である。明らかに自転車車道走行日本の現状の道路環境においては危険が増しているだけといって差し支えない。

なお、暴走Uber等の激増による事故多発を指摘する声もあるが、業務中の事故は令和元年は96件/2,831件中、巣籠り需要の増した令和2年は156件/2,634件と増加傾向であるが、数の割合としては大きくないことは付言しておく。

2022-09-13

物販せどりyoutuberの謎and闇

youtubeせどりとか見込み利益(後述)とかで検索してみてほしい。

ドンキ・ホーテやブックオフなど安売りをしているお店で商品を買い込み、Amazonヤフオクメルカリ販売するスキームを紹介する動画がたくさん出てくる。

本稿では、仮にこれらを物販せどり動画投稿者を物販せどりyoutuberとし、そのスキーム紹介方法の疑問点や、そこから考えられる彼らの実際の利益のあげ方についての推測を行う。

謎ーー「見込み利益」という謎表現

物販せどりyoutuberの界隈でしか出てこない謎概念に「見込み利益」がある。

彼らのサムネを見ると「時給10000円」「見込み利益20000円」「15分で一撃5000円」みたいな表現が踊る。

この金額は何を指すのかというと「想定される販売価格仕入れ値」で計算される推定利益をいう。

具体的には店舗せどり用のアプリケーションを用いて、その商品がどの程度の頻度でどれくらいの価格販売されているのかを調査する。

そのアプリで導き出されるAmazon等での昨今の販売価格帯および送料と、ドンキなどでの販売価格仕入れ価格)との差額を計算し「時給10000円」「見込み利益20000円」「15分で一撃5000円」などと称しているのである

要するにドンキなどでネットより安く買えるものを探すということになる。

少しでも商売に触れたことのある増田諸賢であれば、これがかなり胡散臭いことはご理解いただけるであろう。

端的に言えば「令和デジタル取らぬ狸の皮算用」みたいな感じだ。

まだ売れていないのに、売れた場合利益の多さをアピールし、競い合っているのだ。

そして著者が1番の問題と思う点は、物販せどりyoutuberのほぼ全員が売れたところを見せていないことだ。

月額数十万稼ぎました、みたいな表現サムネなどでいくらでもみられる。

しかし、実際にAmazonなりメカリなどの画面で利益が出ていることを明示している者はかなり少ない

ということで、ネット上での価格帯と販売店での価格帯の差異だけでアピールして購入した画面を流しているという大変奇妙な状況が起こっている。

闇(への想像)ーー情報商材への誘導

ここから現象から遊離して、実際に仕入れたことを想定した話をしよう。したがって私の所感や経験が含まれる。

実際にアプリケーション使用お菓子なり中古家電仕入れたとする。

まず、これら商品がこれまでの需要のまま購入され続ける保証は一切ない。

季節や流行の変化により価格は容易に変化する。そして人気がなくなる可能性もある。

もちろん逆に人気が出て価格が上昇することも十分にあるだろう。

これらの事柄があるため、販売の経過や結果を見せるべきなのだが、物販せどりyoutuberは新たな仕入れに勤しむ動画ばかりアップロードするのである

さて、なぜ彼らはこうした動画アップを繰り返すのかを考えてみたい。

推測になってしまうのだが、おそらくせどりに関する情報商材があるのではないかと考えられる。

物販せどり系youtuerは特徴として高確率LINEアカウントへの誘導を行っている。

いわく、「相談したい方はLINEへご連絡ください」みたいな感じだ。

こっから商材やセミナーに持っていくという可能性がある。数十万する商材である。せこせこAmazonとの差額を気にする必要はない。

実際のせどりから利益からではなく、商材やセミナーに誰かを行かせることで利益を生むスキームであると推測したい。

さら想像をたくましくすると、物販せどりyoutuber本人がそうした商材・セミナーに参加した者であり、新規購入者を紹介すると紹介料をもらえるシステムなんかだと辻褄が合いそうだが、憶断の域をでない。

なお物販せどりyoutuberはなぜか20〜30代が多いことを付言しておく。

物販せどりyoutuberはかなり独特なジャンルで、天然のガラパゴスである

その近くには「メルカリで売れやす説明文の書き方」「メルカリで高額で販売する方法紹介」「メルカリ失敗談から学ぶ対策」「2022最新版メルカリラクマヤフオク比較」といった動画投稿する販売促進系youtuberがいる。

販売促進系youtuberはそんなに怪しい感じはしない。もちろんルールすれすれの技法を紹介している場合もありそうした意味では怪しいのだが、商材感はなく、また動画バリエーション豊富である

物販せどりyoutuberは動画の柔軟性が乏しい場合が多く、ほぼネット上との差額をアピールするだけの動画ばかりが並ぶのが特徴と言える。


個人の物販は可能なのか?

さて蛇足めくが、個人商品仕入れ販売して利益を生むスキームは本当に実現可能なのか? について最後お話ししたい。

結論的に言えば可能である。なぜなら私がしているからだ。

ただし、証拠は見せない(上の記述矛盾しているが許してほしい)。

なぜなら他の人に知られ、もしその人が私の方法再現できるのであれば、ただライバルを増やし販売価格を低減させる結果になるからだ。

逆にいうと、如上の物販せどりyoutuberたちは臆面もなく自分手法(といっても仕入れまでだが)を晒していて、そうした点でも不自然と思う。

諸賢も自分仕入れ販売することを想像してみてほしい。自分の編み出した儲かる方法ライバルに教えるだろうか。

ということで詳しい話をしないのが普通である

でもちょっとだけ紹介する。

私は仕入れ価格はほぼゼロで、腐らないし、厚さがとても薄い品を商っている。これで仕入れ管理、送料などの低減を図る。

そしてその品を修理したり詳しい解説をつける。これで商品価格や売れやすさを担保する。

こうした自分経験からすると、ぶっちゃけドンキお菓子を買って儲けようとするのはおかしいと思うのだ。

youtube上で比較的確かな物販系youtuberの傾向を紹介しよう。

まず10年以上やっている40代以上のおっさんおばさんに注目。彼らは時代の波を超えてきた強(つよandしたたか)さがある。

まり高齢の人は見かけない。ネットがまだ発達していなかったからだろう。

物販系せどりyoutuberのなかでも、しっかり利益報告している人はほぼおっさんである

彼らは余裕がある。「暑くなってきましたから気をつけてがんばりましょう」みたいなセリフが気取ることなく出てくる。

また私のところでも述べたが「一工夫」がある。

一番わかりやすいのが、家電などのジャンク品を修理して使えるようにする、その品の個数や種類を集めるみたいなものだ。逆に分解するのもあり。

「一工夫」をしている人々は、単純な転売行為限界を指摘する場合も多い。

こうした実際にもうけている人々は、会社にして成長してしまって個人とは言い難いパターンもあるけど、学ぶべきは彼らのアイデア思考だろう。

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