「アリ・アスター」を含む日記 RSS

はてなキーワード: アリ・アスターとは

2025-05-23

ミッドサマーに関する嘘松コメントについて

知人からミッドサマーを勧められた

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20250522140258

映画館で見た時、エロシーン目当てに来たっぽい高校生くらいの男子達が最後笑顔のシーンで悲鳴を上げて全員走って出て行ったので、トータルで最高だったよ

//冷静に見てもカルトの手口なんよねホルガのやり方

2025/05/22

AI云々を除いた実質的人気1位コメントがこれ。

問題点複数あると思うので以下整理します。

 

 

 

1.どう見ても嘘松

エロシーン目当てに来たっぽい高校生くらいの男子達が

・どうやったらその子達がエロシーン目当てだとわかるの?

・どんだけアンテナ低かったらアリ・アスター映画をお色気映画勘違いして映画館まで来るの?

・なんでも無料で見放題の今の若者がよくわからん映画エロ摂取を期待して映画館まで来ることある

  

もうさ、この設定考えた人絶対アラフィフぐらいだと思うわけ。

エロ供給が少なくて映画の事前情報も少なくて

あてずっぽうにエロシーンを期待して映画館によくわからない洋画を見に行く

っていうの、アラフィフ先輩たちの青春時代の行動でしょ。

いいおっさんの俺でも昔話として聞いたこしかない。

  

コメント主は自分若い頃の感覚で話作ってて

作り話に際する時代錯誤への警戒心もゼロだし

底の浅いステレオタイプを平然と採用してるし

今の若者との接点も乏しい。  

  

  

2.若い異性の性行動に向ける視線

以上のようにこんなもん高確率嘘松だと思うし

もし高校生グループ実在したなら勝手に彼らの目的妄想してる不気味なコメントなんだけど

 

このウソ妄想の話にあえて乗るとして

エロシーン目的映画館に来たらなんでダメなの?

なんで彼らが悲鳴上げて出ていくのを快事としてるの?普通に気の毒じゃね?高校生映画代も安くはないし。

  

ここには若い男の性欲はバカにして笑いものにしていい」っていう

すげー古い差別的視線ハラスメント性が潜んでるよね。

これに☆つけた人達全員アップデートしよ?もう令和7年だから

  

そしてもっと踏み込んで言うと

ここにはなにかおばさん?のねっとりした加害的性欲を感じねーか?

   

だって性別反転してみてよ。

知らん女子高生映画館に来てるのを勝手性的関心のためと決めつけたうえ

性的期待を裏切られたJK悲鳴上げて出ていくのを見届けました!最高!」

……とか報告してくるおっさんいたらどうだろう?

ねっっっっとりとした性欲を感じるよね?

 

なんか中高年の一部にさあ

若者の性行動にこういうきしょきしょ視線を向けて嘲けり笑うという変な欲望に目覚める奴らがいるんだよな。

当人大人ムーブとか保護者ムーブっぽくごまかせてるつもりっぽいけど

湿った性欲丸出しでえぐいっす。ちんまん丸出しっす。

 

(娘や息子の性行動をからかってくる親とかもこれの亜種)

     

    

3.作り話を舐めてる

最後笑顔のシーンで悲鳴を上げて全員走って出て行ったので

まり上映続いてる最中に立って出て行ったの?結構迷惑だね?それも走って?

しか集団なら「出ようか」って相談してうごめいてから出るので

特定のシーン見てパッと走って出るみたいな瞬発的行動は難しいと思うけどね。

 

下手な作り話ってディテール書き手の頭の中で映像になってないんだよね。

素人小説とかもそう。

 

それにステレオタイプ返しをぶっかまさせてもらうなら

若い男は女の表情なんか全く注意払ってない

シンプルフィジカルグロシーンに強く反応するよ。(大抵は面白がるんだけど)

 

最後主人公笑顔で男が悲鳴上げるというのは本当にまあ

女性が考えた願望・妄想って感じ。

女の重視する神経的な機微に男は関心がない。若いほどそう。 

(ここに気付いてる女は男を結構わかってる。)

 

嘘松ダメクリエイター欠点は同じで

自分視点自分欲望だけで話作ってて他者がいない。

世界に作者しかいなくて手触りがペットリしてる。

 

 

4.だいたいダニーはさあ

言っちゃ悪いけどミッドサマー主人公って相当見た目が悪いじゃん。

ちょっと人種的には珍しいぐらい骨格が美の範疇から外れてるというか

顔は平らで頭でっかちで背が低くて尻だけでっかくて脚短くて

人種のおばちゃんみたいなんだよね。

 

これはもちろんわざとそういう趣旨で選んでるでしょ。

美女ではない」 「エロくない」が選考条件にあったと思う。

こういうのってちょっとでも美女みがあったらラストサマーなっちゃうからさ。

ホルガ村の異物として浮き上がる必要もあったし

念入りに選ばれたブスだと思う。 

  

で、宣伝ポスターからしてあのダニーの顔がアップなのに

ラストサマーエロ目的で見に来る若い男の集団

ネットの評判も一切見ずにいくつかの画像からダニーは美人エッチなシーンあると思って映画館に来たわけか?

作り話の設定が滅茶苦茶すぎなんだよね。

 

(あとたぶんあの監督は変な容姿若い女が好きで

 次回作も変な容姿若い女が出てくると予想する。)

  

 

5.ミッドサマー女性慰撫コンテンツ性 

ダニーはすげえよ。

容姿もよくなく頭もよくなく

いつも自分の不機嫌の話をして暗いムードを出しながら

それがウザがられることについて被害者ヅラをしてる女で、

こんなのがジョックっぽい男に捨てられないどころか逆に振り回せるってことある

彼氏も仲間もこんな女にああも腫れ物触るようにはしないでしょ現実は。勝手にガスホース咥えとけとなる。

  

理解のある彼くん捕まえる日本メンヘラだって

特定の男に刺さるある種の媚態ファッションは心得てることが多いけど

ダニーはひたすら塩対応でさしたるおしゃれもメイクもしやしない。

だが周りの男はこんなのを旅行に連れて行ったり振り回されて破滅したりする。

  

その見方で見るときには

ミッドサマーお話全体が女性を慰撫するファンタジーなんだけど

接待されてることを自覚ながら見ましたって女性は意外に少ないんだよね。

(そして多くの男はこの映画で快を感じる女がいることに気付いてない)

 

その見方ときはこんなもん不細工無能な男が複数の女に惚れられるコンテンツと変わらんというか。

慰撫コンテンツはよいものだけど見る側の脳のどっかに一欠けらの正気

まり現実と大きく異なる設定で自分の中の不満や願望がよしよしされているか気持ちいいのだな」、

みたいな客観が少しもないのはどうなのか。

  

 

6.コンテンツ受容にかかわる危険徴候

若い男の集団ダニーの笑顔悲鳴を上げた」という嘘松は 

ミッドサマー女性慰撫コンテンツ性を鋭敏に受け取って消費したうえで、

その虚構の中の)女性の全能感が現実若い男を脅かし震え上がらせたという話をしてるので

これは映画現実との区別結構危うい。

 

ただ作り話が下手、ただ若者への加害性欲が匂う、に留まら

コンテンツ消費の仕方がだいぶ野蛮な感じがする。

 

美少女ハーレムコンテンツ見終えたキモオタモテモテ気分になって

現実JKが俺を見て顔赤らめたぜ」とかうわごと言い出してるのと構造的に変わらないというか。

 

古来、コンテンツ酔いでラリってしまったそのようなキモオタ

キモオタ同士からも非キモオタから社会からも笑われまくって正気を取り戻すわけだし

そのように男性ファンタジーは容赦のない嘲笑を受けることで調教されて安全性が確保されてきた面もあるわけだけど

一方で女性向けコンテンツでラリってる人への笑いというかツッコミ機能がこの社会にはまだ弱いのじゃないだろうか。

 

コンテンツ現実の境目が曖昧になった人間に対しては

しっかり指摘して笑ってバカにしてこそ男女平等であるのみならず

この高度なコンテンツ社会の成員としての親切というもの

 

こんなラリラリコメントが人気2位になるはてなブックマーク

いつもながら正気と親切心が足りない。

2024-06-02

今日おすすめ映画

今日はこの映画おすすめしたい。ホラー映画の「ヘレディタリー/継承」。アリ・アスター監督デビュー作なんだけど、これがもう怖いだけじゃなくて、深いんだよ。映画家族秘密悲劇を描いていて、ただのホラーとは一味違う。

まず、トニ・コレットの演技が素晴らしい。彼女が演じるアニーは、母親の死をきっかけに家族がどんどん壊れていく様子をリアルに見せてくれる。彼女感情表現は本当に圧巻で、観ているこっちも引き込まれしまうんだ。あと、子役ミリー・シャピロもヤバい彼女演技力存在感が、映画全体の不気味さを増しているんだ。

次に、映画ビジュアル音響が秀逸。家の中のセットや照明が、なんとも言えない不安感を醸し出してるんだよね。暗い部屋や奇妙なシンボルが随所に出てきて、まるで悪夢を見てるような気分になる。そして音響効果も、観る人の神経を逆なでするような音が絶妙に使われていて、怖さが倍増する。

ストーリーも深い。単なるゴースト悪霊の話じゃなくて、人間心理家族の絆、そしてそれが壊れる恐怖を描いている。観終わった後に、いろいろと考えさせられる作品家族問題トラウマがこんな形で表現されるなんて、ホラー映画でここまで深いテーマを扱うのはなかなかないよ。

この映画は、一見するとただのホラーだけど、その裏にある深いテーマと見事な演出が合わさって、観る者を完全に圧倒する。ホラー好きなら絶対に外せない一作だし、そうでなくても一度は観る価値があると思う。

 

まぁ、この映画はまだ見てないんだけど…

2024-02-23

映画】ボーはおそれている

タイトル、そういう意味か〜い!ってなった

こんなハラハラした気持ちでみる濡れ場はじめて

・全体的に眠かった

特に劇のくだり

本当に伴侶と出会って子育てして幸せで〜の価値観世間一般として「正解」なのはわかるがじゃあ共感して自分もやりたいかと言われるとピンとこないのでひたすら眠かった

・上から吊るされてくる神様の顔がキモくてさすアリ〜(さすがアリ・アスター監督だぜ)ってなった

・おっ屋根裏部屋、ヘレディタリー

あの屋根裏のくだりも何?あのモンスターは何?おじさんは何?つまりPTSDニキは奥さんが言ってた通り(結果的には)ヒーローだったってこと?暗喩なんだろうがわからん

・腹上死ネキの遺体が硬直してるからドア通す時若干角度工夫されてるのおもろ

・色々分からなすぎてボーボボみたいだな…と思いながらみてた

お母さん訃報→入浴→上におじさんの一連の流れ目茶苦茶ハジけてた

ゴッサムティよりヤバい 

あの街は更生?街的な感じなの?

・かわいそうなボウ

医師夫妻がいい人すぎていつ裏切るんじゃ…とビクビクしてた

あの録画で未来みえちゃうシーン、よかった

アリ・アスター監督のヘレディタリー的な「終点はすでに決まっててそれに向かって進んどるのじゃ…」感を端的に感じされられてGoodだった

・あの暴挙達が押し寄せた後の部屋のミキサー茶色い中身、不穏 顔をしかめてたのがまた

カウンセラーの好々クソ爺の顔つきよ

女子の会話って内容とか声色とかこええよな…

・でも目的ポリコレでなく、監督「家族」へのネットリしたマイナス感情を煮詰めた映画だったのでよかったです

クリエイター自我は知りたくないけどここまでなるアリ・アスター監督の家庭環境とは…?となる

女子部屋、最近ヤングトレンドはこんな感じなんやね…!

アジアアイドルとかマンガ絵が「イカしてる」価値観欧米人ヤング世代…!と

胸熱やった 女子部屋とホアキンおじさんの似合わなさ、萌え

・上映時間3時間映画で頭からお尻までちゃん面白かった映画

映画しかなかったから無理して長くしなくてもいいんじゃ…?と思った

・哀れなるものたちとかこの映画とかで「母親」業は大変なんや描写あってよかった 

・この監督映画、どの映画バドエンだが謎の爽やかさ・解放的な感じがあるな

2024-02-20

anond:20240216234826

映画だったらライトオフとかYoutubeに自前で作った映像作品載せてたら長編にしてみんか?みたいなオファーが来て映画リメイクしたらヒットしたみたいな例はけっこうある。

ミッドサマーアリ・アスターの最新作の「ボーは恐れている」も初期の短編「ボー」から来てるし。まぁ、ボーは恐れているはコケてるけど。

2024-02-17

ボー、恐れるな 俺がついてる【ネタバレだらけ】

ボーはおそれているを見た

  

本当ははてな匿名ダイアリーに書こうと思ったのだが、初の試みすぎてどこからいけば入力ホームに飛べるのかも分からなかったので、こうして一旦自分エディタに向かって書く。ちくしょうめ。

お前たちがこれを見ているのなら、どうにかうまいこと投稿できたんだろう。

  

あのミッドサマーを作った、嫌な人間関係を描くことでお馴染みの男アリ・アスター作品だ。

彼の妙に女側の鬱憤描写に自信がありそうな感じは、まあきっと他の人が論じることだろう。

  

以下は、ボーと同じく母子関係問題のある増田がどのようにボーと旅をしたか備忘録である

もちろんネタバレたっぷりだ、各々で注意してくれ。

物語は、ボーが母親誕生日パーティドタキャンしたことから始まる。

ボーはいつも恐れていた、母親の機嫌を損ねることを。傷つけることを。

わかるぞ、ボー。

女手一つで息子を育てるというのは、どんなに大変なことか。

大人になればなるほど、それが途方もない献身の末にあったことが身に染みるようになる。

そんな彼女気持ちを裏切るのは、いつも最悪な気分になった(これは増田の話)

  

それにボーは、母親経済的援助の元にある(はっきり書かれてはいないが、増田はボーのカード母親名義のものだと推測している)

自立できればよかったのだが、母親がアレだもの

就職先とか全部潰されてきたりしたのだろう。

  

アパートで鍵を奪われたりしたのは、なんだったんだろうな。

母親誕生日パーティドタキャンを受ける前から、ボーに試練を与えるつもりだったのか。

それとも、母親の一味の中にボーに害意を持つ者が個別にいたのだろうか。

あるいは、「お前はこれで終わりだ(うろ覚え)」と語りかけてきた男は、ボー自身破滅願望だったのか?

  

ともかくここからボーの辛い旅が始まる。

家にたどり着くまでのやつは割愛しよう。

あれはほとんど昔話で言う「三回正しい行動をしたものけが生き残れる」みたいなお約束パートに見えた。

その中でも、医者の妻や森の痩せた男など、ボーに同情的な人々は少し居た。

彼らはどんな気持ちであの寸劇をやっていたのだろうか。

あの医者の家の娘、その気の毒さ。

突然やってきたボロボロ中年男性に、居場所を奪われるのは苦しかっただろう。

もしかしてあのペンキを急に飲んだのは、ボー母から内密な指令だったのかもしれない。

例えば誰も逆らいようのないボー母から「ボーと恋人関係になれ」などと命令されたなら(もちろんもし従ったところで、きっとボー母は彼女を始末しただろう。ボーにセックス禁止呪いをかけていたわけだし。つまり彼女が本気でボーを誘ってボーがそれをちゃんと断るところを見たかった。試したのだ)、あのヤケクソも理解できる。

ティーンエイジャーがそんなことを強いられれば、死にたくなったって仕方がない。

追記最初の推測は上の通りだが、よく考えて「ボーを本当の息子として扱え」が命令だったのかも)

  

個人的な推測をさらに進めるなら、ボーの母は彼を裁くに足る証拠を集めたかったのだろう。だから彼が罪を犯すチャンスをたくさん与えた。

そういえばボーの居住地区の治安が終わってるのも、母の采配なのだろう。

から離れた罰が、非常に明瞭に存在している。

彼女はボーが自分を愛していないことを、確認たかったのかもしれない。

    

ペン自殺きっかけに、ボーは次のステージへと追い立てられる。

ここでの話はよく分からん割愛しよう。

舞台の筋を書いたのは母親だろうから、母の愛(鎖)を断ち切ったところで幸せにはなれないという話だったのだろうか。

結構序盤からボーの妄想劇場っぽかったから、あれは単に彼の内心の探索だった説の方が強そうだが。

そういうお母さんの話(舞台)を途中から流すようなところが、母をイライラさせていた可能性はある。でもあのお母さんイライラ範囲デカいからな…。

    

その後、また追い立てられて舞台は最終決戦の葬儀場(家)へ。

セレモニーが終わってみんな帰った後っぽかったのは、フェイクだったからだろう。元々死んでない葬式なうえ、目的はボーのリアクションを確かめることだ。

弔問客がいっぱいいたってノイズになるばかり。

  

クルーズ出会ったあの子(たぶんボー母がセックスに至る前に追い出した)が、葬式に現れる。

彼女はボーと可及的速やかにベッドインするし、死んだ母親アクセサリーとかもいじくり回す。

正直、これが母親殺害意思を固めたんじゃないかと少し思う。

絶対このタイプの女、ボー母は嫌いだもんな。明らかに遺産目当てだし。

あのおっかない母親が死んだ今、ボー一人を籠絡するのは楽勝だと思って現れたのだろう。

でもこういう金目当て女に易々とハマるのは、ボー母の責任だ思う。

お前がボーに恋愛セックス)を禁じて、免疫を得るチャンスを与えなかったから……

そしてボーは母親に言外にしかし固く禁じられていた射精を、彼女の中で果たした。

ボーが母親に決定的な不信感を覚えた瞬間だと思う。

それはそのまま同時に、母親がボーを殺す理由だったのだろう。

  

口論の末、ボーは屋根裏で「本当の父」と対面させられる。

察するにボーの父親普通に浮気者だったのだろう。

あの外観を与えたのはボー母であるし、自分の中で射精した瞬間死んだみたいなエピソードもそれっぽい。

ボーを宿したあの瞬間までで夫の物語を止めて仕舞えば、美しい話で終われる。

隙を見せたお前が悪いので自分語りをするが、私も過去浮気をされたことがあり、ボー母のこの気持ちはよくわかる。

ある一瞬以降の「あいつ」を死んだことにしてしまえれば、どんなによかっただろうか。

ここに関しては、ボー母は自分のやりたいようになったことだろうから、少し羨ましくもある。

アリ・アスター監督は女のこう言う感傷部分への理解が異様に深い。

私も無限の金があったなら、昔の男のことは好きなだけボロボロにした上に殺したと思う。

ボー母の不幸は、それができてしまう力があったことだ。

なんでもできるが故に、諦められない。

彼女にとってどうしようもできないのは、人の心だ。

父親の心も、ボーの心も彼女は全く思い通りにできなかったのだろう。

  

一度、彼女の側に立ってみてボーを見る。

多分父親に似ていたのだろう。

今度こそ自分一心に愛する男に育てようと心を砕いたのに、ボーは何度でも「私」を裏切る。

友達と一緒に自分を貶め、自分以外の若く美しい女と寝ようとする。

自分に愛しているという口で、カウンセラーには不満や憎しみを言い募る(聞いてる母が悪いのだが)。

愛しても愛しても(少なくともそのように認識していても)、男は決して満足のいく愛を返してくれはしない。

可愛さ余って憎さ100倍ということわざが向こうにもあるのかは分からないが、そんな心境だったろう。

  

父と息子を混同するの、やめた方がいいよ。

  

ともかくそんな感じの母は、ボーに向かって死刑を宣告する。

「私」をとうとう完全に裏切った「あなた」なら、安心して殺せるから

  

正直言って母の父への憎しみはわかるものの、「子供」としての増田はボーと共にある。

経済的援助を受けていたやましさ。

日記帳を覗かれていたおぞましさ。

母を拒否した時の、たとえようもない罪悪感。

他にも色々あるが、ボーにシンパシーを受けるのはこの辺の過去があるからだ。

私の母は経済的援助についてはもちろん恩を感じるべきだというし、

日記帳に関しては母の愛だったのだから、私が許すべきだと主張する。

そして彼女の様々な誘いを拒否すると、哀れっぽく嘆いて見せるのだった。

これは、このタイプの母を持つ人間しかからない強制力だろう。

ボーよ、私はお前の気持ち結構わかるぞ。

特にお前が母親に「自分あなたの死を悲しんでた、超泣いたし」みたいな言い訳してるとこすごい分かったぞ。

自分でも嘘なことはわかってるんだけど、悲しめない自分に罪悪感もすごいしそれが母にバレた日にはすごいことになるから、とりあえず口先だけで母親想いをやるんだよな。

  

昔は金と罪悪感のコンボで割とコントロールされていたものの、最近すっかり距離を取るようになった。

物理的に距離を開けたのもあるし、一念発起して母に直接様々なわだかまりを伝えたからもある。

まあ全然分かってはもらえなかったのだが、幸いにして私の母には100人の狂った部下はいないし、経済的自立も今のところ果たせている。

このままボートには乗らず、本物の葬式しか近づかないつもりだ。

  

ボーよ、お前には全然選択しなかったと思うけど、こういうオチもあったよ。

次のお母さんは異常金持ち女性じゃないといいな。

  

映画自体は徹底的にバッドエンドだったし、スタッフロール中にも転覆したボートを延々映し続けて終わる最悪さだったが、その後のことは私が勝手想像してもいいだろう。

  

ボーはあの後、きっとボートの中にあった空気で助かって、うまいこと脱出できた。

観客席のみんながはけた後、最後に残った私のところにボロボロで泳ぎついて、私は「よく頑張ったなあ」ってボーの手を掴んで引き上げる。

そのあとは小汚いボーを連れてその辺でホットドッグとか買って齧って、公園で「いやお母さんやばいね」みたいな話をして、話も尽きたし寒いから私は普通に家に帰る。

ボーはお母さんの手から逃げることはできないだろうけど、まあなんとかトボト暮らしてお母さんが死んだら、遺産とかもらって急に派手な暮らししたらいいよ。頑張ってお母さんより長生きしな。

人より苦しい時間は多かったかもだけど、もしかすると本当にもしかすると、その苦労に見合った価値のある時間がいつかくるかもしれない。

そういうのって、生き残ってみなきゃわかんないから。

  

ボー、恐れるな。

もついてるし、意外と似たような境遇のやついっぱいいるからさ。

な、しぶとく行こう。

2024-02-01

映画】僕らの世界が交わるまで

・すごいいましめ映画

 いましめすぎてもはやホラーだった

Twitterおすすめ(半信半疑)+filmarksで3.6だったからそこまで期待せず見たけど現時点で今年1位になった 監督次回作あったら観に行く

・マッマのカイル君への下りが目茶苦茶ホラーだった

 権力勾配のある状態の年下息子みある対象

 自分は気付かず忖度させてコミュニケーション

 するの気持ちいいんじゃ〜ホラー

 夕ご飯(手作り)持って夜のシェルター行く流れと

 カイル君(と息子の)学校に凸するくだり、

 これもうホラーだろ…

・手づかみのレストランでの「マッマだけが一方的楽しいと感じてる会話」が辛えわ…

仕事権力勾配ある状態で対等なコミュニケーションなんて不可能から粛々と役割を果たすことに専念しよう…と思った

・息子君は社会(労働)に出たら否応なくわからせられるしアーティストになったとしても才能上位互換にぶち当たるだろうから調子こける今のうちに調子こいとけ…

 ご家族から大切に育てられ、スタイルのいいイケメンでこの時代自発的恋愛したがって

 アーティスト活動(笑)やるくらいバイタリティあって小銭稼げるくらいには人気稼げる出来過ぎな息子さんやからこれはほっとけマッマのがよほど怖かった

・初手の「ババア配信中は〜」からの「(シャワー中にドア開けて)ごめん!」でもう大切に育てられた子感すごかった

・A24作品で一番好き

なんか監督自己満足感が少なくエンターテイメントとして伝わるよう重すぎず軽すぎず作ってくれてる感じする

ネットで「創作者の承認欲求自己実現の話〜」って聞いてたから「チック、チック...ブーン!みたいな感じかなそれならあんまり合わないかも?」と思って見てみたけどどっちかというと「他人に興味持て映画」だった

キラキラワークのドヤ感を「他人に影響を与える仕事をしたくないの?!」の一言で捉える的確さよ

最後シェルター建築更地のマッマの写真で「そ、その状況からイチから始めたんなら思った20倍位スゴい人やったわ…」ってなって

職場の人に絶対クラシックババア」ってあだ名付けられてるやつじゃん…

・母息子については「よかったね!」ってなるけど父親存在キャラの濃さの割にノータッチだったの、人生相談とかで母親から子育てについて相談メッセージ送られてきたが相談内容文面に父親が一切登場しないような不気味さがあった ちょっと父親だけアリ・アスター作品みたいな静かな不穏さ滲み出してて…

・「世界を変えるのは地道な仕事相手への興味の下りは」ホンママジでその通りでございます…なんだけど他人に影響与える「福祉仕事」と「車修理の仕事」のくだりに1ミリも関わってない女の子の口から唐突に出たからそこだけ少し「キャラに作者の思想言わせてる」感あった 

運転シーンが常に若干飛ばし気味でいつ横から車が突っ込んで来るかずっとヒヤヒヤしながらみてた

あとマッマの乗ってる車に「生活」の親近感もった

映画の人々、みんなSUV車?乗るからお金、あるんやね…」ってなるから

配信中のババアノックしろよと配信思想強めの曲やって信者からウヘられる共感性羞恥シーンはぜってえあると思ってたが無くて驚いた¥9000稼げてよかったね!

・息子君のあからさまなゴス落ち草

顔がいいから何でも似合う ピンホールシャツみたいな鎖、顔面が良くないと似合わん

あの鎖、平成世代にとってのウエストチェーンみたいになりそう

・あの思想強めメモでシコれるのすげえ…

・シコリ赤ランプ草 音楽漏れてないし「あっ…(触れない優しさ)」されるやつじゃん 家にそんな軽々とドリルの穴を…

思想強めライブハウスの初手に出てきたシンガーの「ぼくはボンクラなので仲間内でちやほやしてくれるこの界隈でやってます!」顔に目茶苦茶わろた 間違ってないにしろ悪意ありすぎだろ!地味に2回出ててさらに草

・息子の曲の「十代にしかさらなそうなありふれた曲」感すげえな!顔ファン枠もそこそこいそう

思想強めこじらせ人間しかいなそうなライブハウス卒業アルバムに寄せ書きしてもらえる俺らマジ最強お前らとのお別れマジつれえわ…ソングは眩しすぎるからやめろ…やめろ…

・こんな小さき頃から配信を…これはデジタルネイティブ

・ほんま「今日は来てくれてありがと」「また来てね」の所良すぎた ちょっと涙滲んだ

タイトル原題のがよくない?と思ってたらラストの流れ見た後だと翻題のがいい…ってなった

砂場トンネル右手左手それぞれで両側から掘ってやっと手が繋がる時のような良さを的確に現しとる…

エンディングロール、息子君の歌流れないんかい!!!

・ここまで素晴らしい映画で「自分の事ばっかじゃなくて他人に興味関心を持て人の話を聞け」と戒められたのに何で自分他人の話に興味を持てないんや

興味関心を持とうと思って持てたら苦労しねえ!

2023-02-10

anond:20230210203524

怖いの苦手だからあんまり観てないし、有名どころしか観てないなあ

アリ・アスターの二作、ヘルレイザーキャビン

ホラーかどうか微妙だけど、

エイリアンウィッカーマンヒッチャー遊星からの物体X、リトルショップオブホラー

とか

知ってたらごめんなさい

2022-02-17

パロディにされてないホラー

ジェイソンITピエロも貞子もネットでは笑いの対象に変えられてしまった。

まだホラーのまま存在できてるキャラっている?

アリ・アスター作品はまだホラーだけど怪物とかが出てこないんだよね。

2020-03-05

カップルがミッドサマーを観に行った話

最近Twitterでやたら見掛ける映画がありますね、そう、ミッドサマーです。

カップルが観ると死ぬ」「観て別れたらセラピー保証して貰える」など、カップルで観るなランキング2020の1位を独走中の映画ということで、観に行くことにしました、カップルで。

とは言え監督も「固い絆があれば大丈夫だよ!」と言っているみたいですし、これで観た後に破局となったらと思うと興奮しますね。ちなみに両者共にアリ・アスター監督作品初見です。

と言うわけで、カップルでミッドサマーを観に行った感想文です。知識が無いので有用で目新しい考察とかは全く無いです。

このご時世ですが国内旅行を嗜んでいる中、ミッドサマー鑑賞会を決行しました。ロケーションは某県市内、上映している中で一番行きやす映画館を探してみるとミッドサマーともう一種しかやっていないという中々に硬派な劇場経営大丈夫?)でした。

上映後即入れ替え制でしたが、観覧後らしい女子大生が得意げなドヤ顔で「えーこれくらいのグロ余裕だよぉ」「ヘレディタリーもっと凄いよ〜笑」みたいに語っていた為、この映画はひょっとすると『そういう』層ばかりが観ているのではないか不安になりました。勿論、鏡の中の私もその一人だからです。

ですが昔の人は言いました、人の振り見て我が振り直せ、そんな訳で襟を正して場内へ。

私は映画館に行ったらポップコーンを頼むのは様式美映画館に対して表するべき敬意であると常日頃から考えているクソデブですのでポップコーンを購入。二種類あったので当然二種類頼みます。ミッドサマーは上映時間が2時間を超えるらしいので、お茶コーヒーの類を頼み膀胱への刺激は最小限に抑えます

さて、開始早々にメンヘラ不穏メンヘラ不穏不穏メンヘラヘラヘラ不穏みたいな流れに困惑しかしこれはきっと明るく楽しい狂気下地なのでしょう。分かれる寸前のカップルか?(そうです)みたいなカップル不和を堪能し、こういうのがじわじわ来るカップルもこの中に居るのかなぁって思ったらなんだかとってもドキドキしちゃいましたね。

随所にグロテスクな映像ホラー的な表現はあるものの、概ね「まぁそうなるよね」と予想のつく流れが多い。なのでこう、ビックリしてドーンがバーンでギャーみたいな感じはない。そういう面で言えばドッキリ系ホラーが苦手な人でも安心して観れるんじゃないでしょうか。

から公式解説ページを読んでみたのですが、「あーやっぱりそうかぁ」もあれば「ホァ!?」ってなった部分もあったので、全体の雰囲気に流されて細かい狂気を見逃したり、一瞬の狂気をきちんと理解できていなかったりする部分があるんだろうなぁと思いました。

個人的に血の鷹は後からヒョェって感じです。ただ、なんで彼がそんな拷問のような仕打ちを受ける役回りになったんでしょうね?立ちション白人がやられるならわかるんですけど。細かく描かれていないだけで、儀式的な必然性があるんですかね。

あと結構セックスが云々って話題になってたので、もっとセックスシーンがエグいと思ってた、予想してたのは「あの緑の傘みたいなのは子宮メタファーであの木の下で大乱交素ファック(ゴム無しの意)ブラザーズ(穴兄弟の意)」とかだったんですけど。

本当に申し訳ないと思っていますミッドガル花屋の登場シーンみたいだなって思いました。

さてラスト差し掛かって、熊が炎上するじゃないですか。そこで「あーあの子せっかく種貰ったんに15分でパパ居なくなっちゃうんだなぁ」って思っていたのですけれど。これ、そもそも違うんですよね。異邦人ホルガコミュニティの一員ではないんだから父親ではない、アメリカからやって来たデリバリー精子しかないと気付いたのは半日位経った後でした。

この感覚の違い、普段うんこちんちん面白おかしく生きているつもりになっている自分いかに平凡な一般人であるかを思い知らされる大変に良い経験だったなぁと思います。この映画の色んな部分に「?」を感じている時点で私もあなたホルガの民ではないってことなのでしょう。安心ですね。

普段から物語に(特にホラーに)触れている人間なら絶対に「最後にこの女は死ぬな」って予想すると思うんですよ。スタッフロールの後、この黒い画面が転換したら次はこいつだろうなと、でもそんなものは無くて、ミッドサマーはここで終わる。

観賞後に「最後絶対死ぬと思ったのに」「ねー」なんてやり取りをしていたけれど、そりゃ死ぬわけないんですよね。

ミッドサマーちょっとグロ理解不能な演出が多いだけで、きっとホラー映画サスペンス映画じゃないんですもん。

老人も異邦人も村人も死んだ、けれどそれは必然で、必要から死んだっていうだけなんですよね。死んだ、殺した、そういう観点ですら無いんでしょう。だからダニーは死なないんだなぁって、それが凄くこの映画らしい終わり方だなぁって思いました。

私はミッドサマーホラー演出が多いだけでホラー映画ではないとはっきりと言い切りたい、ちょっとトラウマを刺激する可能性があったり観ている人間不安定にさせたり不快にさせたりグロテスクな表現があったり理解が難しかったりするだけの、ホルガドキュメンタリーなのでは?って感じ。

映像は物凄く綺麗で、狂気は往々にして美しいものだよなぁとひしひしと感じました。

ところでペレの親が炎に巻かれて死んだって言うのはかつて供物に捧げられたってことですかね?って思ったけどこの祝祭90年に1度しかやらないんでしたっけ。この点と点を結ぶ発想も一般的思考だなぁと感じます

深読みして考察して理解しようとするのもまた、意味の分からないものに飲み込まれないようにするための防衛方法なんでしょうね。

解放カタルシスハッピーエンド、というのは本当にその通りだと思います

最終的に二人で感想を分かち合った所、「いや流石にクリスチャン可哀想では……?」で意見が一致したので、どうやら我々はミッドサマーのせいでは別れずに済みそうです。鑑賞日が29日で肉の日だったこともあり、この後二人でホルモン焼肉に行きました。完全な悪ノリですね、美味しかったです。

さて、メンヘラ女とはなる早で別れろ、というのが総まとめの映画でした。

なんなら皆が死んだのは一年前の時点で別れておかなかったクリスチャンのせいとすら思います。この映画の隠されたメッセージは「やるべきことを先延ばしにし続けると取り返しのつかないことになるぞ」ではないでょうか?いやぁグズには刺さるメッセージですね。だからインターネットランドも含めて爆発的に流行ったのかもしれないですね!

瞬間最大恐怖で言うと、CATSの方が怖かったです。

おわり

2020-03-03

アリ・アスターを好きになれない

映画タイプ的には、自分の好みドンピシャアリ・アスター作品だが何故だか好きになれない。

好きになれない理由を列挙してみる。


といっても理由はこれくらいだ。嫌いではないけどやっぱ好きになれない。

アリ・アスター熱狂している連中は、ホドロフスキーやトリアーやハネケやランティモスなどで本物の狂気を感じて欲しい。

 
ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん