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2025-11-02

anond:20251102110217

連載「いつでもSF入門」vol.4 女性SF〈前篇〉

連載「いつでもSF入門」

投稿日2021-12-24

Author橋本輝幸

LIFESTYLE

育てる

SF研究家アンソロジスト橋本輝幸による本連載。今回のテーマは「女性SF」。女性SF作家作品はなぜ書評が出にくく、必読リストにも載らないのか。ジェンダーバランスに関する調査結果をもとに、その背景にある文化構造に迫りますhttps://tokion.jp/2021/12/24/expanding-universe-of-science-fiction-vol4-part1/

米国編ーージェンダーバランス改善とその反動

1953年に創設された、SFファン投票によって決まるヒューゴー賞をこれまでに受賞した作家の75%は男性だ。2010年以前は8割以上が男性だった。

状況が変わったのはわずかここ10年。2010年以降の男性比平均は55%だ。2019年以降にノミネートされた男性作家各部門の6~7人の候補者のうち1人か2人で、比率は反転している。だが、このような状況に至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。

アメリカSFファンタジー作家協会所属する女性割合1974年に18%、1999年に36%、2015年には46%と増加し、各賞受賞者の女性比も増えた。(もっと2010年以降の変化は女性の増加に限らなかったが——この話はまた別の機会に)しかし変化を許容できない人々の反発が起こり、2010年代半ばのインターネット上には反発と反発への反発によって嵐が吹き荒れた。

例えば、自らを虐待から救出される子犬にたとえ、「サッド・パピーズ」と名乗ったグループは、近年の受賞作は作品の質ではなく作家思想で選ばれていると主張し、ヒューゴー賞への組織投票煽動した。なお主導者達は米国ミリタリーSFミリタリーファンタジーの作家で、前職は軍人や銃の射撃トレーナーだった。

より右派派生グループであるラビッド・パピーズも生まれ過去の受賞作や受賞作家揶揄した。こちらの主導者はその後、共和党支持者としてネットデマ陰謀論拡散するようになった。つまり米国内の政治思想的分断がSFファンタジーのコミュニティ内で顕在化したわけである

21世紀になってなお、「女性SFを書けない」「女性編集者ハードSFダメにした」といった中傷も続いていた。これに対し、ウェブジンライトスピード」は女性特集号を企画した。カナダ批評家ジェイムズ・デイヴィス・ニコールは、2018年からFighting Erasure(消去に抗う)というコラムで1970~1980年代女性SF作家をひたすら紹介した。こうした地道な対抗活動も陰ながら変化に貢献したと信じたい。

2025-10-13

anond:20251013095739

面白い書評ありがとう

知らない人だったし、今後も絶対に読まないとは思う

何故それを読もうと思ったのか知りたい 広島の人?

2025-10-07

Geminiの要約にびっくり 推理小説 ネタバレ

森博嗣ファンです。

好奇心から、「森博嗣 の 全てがFになる のトリック解説して」とGeminiにお願いしました。

返答は

 森博嗣の『すべてがFになる』は、高度な理系的な知識に基づいた、非常に巧妙なトリックが用いられているのが特徴です。

作品の根幹となる密室殺人トリック、そして登場人物に関する重要な「裏のトリック」は、主に以下の2点に集約されます

1. 密室トリック:「すべてがFになる」の真の意味

孤島の研究所の一室は、コンピュータ制御エレベーターでのみ出入りが可能であり、出入口は常に録画され、人が通ればすぐにわかるという厳重な密室でした。

この密室可能にしたのは、コンピュータシステムの欠陥を利用した**時限プログラムトロイの木馬)**でした。

* 「すべてがFになる」の意味

作中に登場するメッセージの「F」は、コンピュータで使われる16進数の「15」を意味します。システムの内部で時刻などをカウントする変数が、16進数で最大の数値である「FFFF」(10進数で65535)になった瞬間に、**意図的プログラムされた「誤作動」**を起こすように仕組まれていたのです。

* 誤作動の内容:

この誤作動によって、出入口監視カメラの記録が約1分間遅れるように設定されていました。

* トリックの実行:

真賀田四季は、この監視カメラの記録が遅れるわずか1分の隙を利用して、自室から脱出しました。

密室を破ったのは、物理的な仕掛けではなく、プログラムされたシステム盲点だったのです。

2. 人物に関するトリック死体の正体と真賀田四季脱出

読者に真賀田四季殺害されたと思わせるのが、この事件の最大の驚きです。

* 死体の正体:

最初発見されたウエディングドレス姿で両手足を切断された死体は、真賀田四季本人ではありませんでした。この死体は、四季叔父との間に産んだ実の娘であり、四季によって15年間、部屋に隔離されて育てられていた子供です。

* 真賀田四季の行動:

真賀田四季は、前述の「1分の隙」を利用して脱出し、その直後に所長を殺害。そして、外部から呼ばれた「真賀田四季の妹」である**「真賀田未来」**として振る舞い、研究所から脱出します。

* 結論

真賀田四季は、最初から「誰にも会わずにこもっている天才プログラマー」という設定自体を利用し、実は死体ではなかった。彼女は、自らが創り上げたシステム伝説を利用して、外界への脱出を果たしたのです。

これらのトリックは、単なる密室の謎解きに留まらず、人間性存在意義といった哲学的テーマと密接に結びついています

YouTubeでこの小説書評動画がありました。『すべてがFになる』をネタバレなしで書評する動画です。

理系ミステリの名作】『すべてがFになる』をネタバレなしで書評!【森博嗣

YouTube 動画再生履歴YouTube履歴に保存されます。このデータは、YouTube利用規約 に従い、YouTube によって保存、使用されます

というものでした。

 好奇心でGeminiに推理小説トリックネタバレを頼むのはやめようと思いました。

2025-09-29

「1万時間法則を取り上げています」って書評口コミだけで読む価値のないゴミ本だと判別できるからありがたい

2025-09-23

みんなライフハック好きなんだな

  • 「なぜかお金が貯まる人」の 10の小さな良い習慣(2562 users)
  • 「媚びない人生」を生き抜け! 心が震える10言葉(1350 users)
  • お金持ち体質」の人が「朝」にしている 10 の習慣(1316 users)
  • 乱れた心を整えるために僕が実践している大切な12の習慣(1281 users)
  • 「すぐやる人」が最強である件について(1224 users)
  • 社畜だった僕が 好きなことだけして食っていけるようになるために実行した 11大切なこと1090 users)

人気ブロガーでウハウハだったのに転落して生活保護で大変なんです〜とかいう人の、ブクマ多かった記事タイトル一覧。

まあその人やその人の現在には全然興味ないが、このタイトルたちのどうでもいい感はすごい。生活習慣。ペペロンチーノ別におかしいことが書いてあるわけでもないだろう。興味持って読めば得るものがあった人もいるだろう。でも並べるとどうでもよさがすごい。こんなどうでもいいライフハック記事を愚直に量産することで年収ウン千万行けたんならまあドリームだよな。

2025-08-29

最近は惰性で動画ネットを見るのをやめて、小説を読むようにしている。

そしてやっと「1984年」を読み終わった。

逐一感想とかをメモしながら読んだので、書評とまではいかないけど、レビューは書けそうだった。

でもブログとかで公開すると無い人の目を気にしてしまいそうだから感想を書いては捨てるか。

2025-08-28

一生使わないと決めた言葉

すべて感覚の、ポリシーの話。

・横転 大げさな表現だと感じるし、実際に倒れてないでしょと。

「街で苦手な知り合いが目の前から来て側転」とか。意味は伝わったと思うけど、側転してねーだろと。「爆笑した」と書いてあるけど笑っただけだろと。それに似ている。

有名な書評家も使っているので、一般的になるのかもしれない。

・チー牛 言わずもがな

意外と少なかった。

2025-08-26

税金で買った本がエッチすぎる。税金で買った本がエッチすぎると話題

はじめに

https://comic-days.com/episode/3269754496607127115

税金で買った本がコミックDAYSで8月31日まで無料!!!

税金で買った本の書評に際して

第二次性徴期の敗北は、自制心の敗北であった以上に、私達の若い性癖力の敗退であった。

私達の性癖が市立図書館に対して如何に無力であり、単なるあだ花にすぎなかったのを、私達は身を持って体験し、痛感した。

この図書館・・・スケベすぎる!

まずオットリした秘書のお姉さんが登場する。

エッチすぎる。

細くスタイルのいい体にエプロンで隠れた巨乳

この漫画の「意欲」が伝わってくる。

俺はホモじゃないからよく分からんが、不良少年筋肉マッチョマン変態もきっと誰かの性癖に向けて描かれている。

図書館はエチエチの宝石箱だ!

メインキャラクターが一通りエッチだ。

資料係の非正規職員今村さんは庇護欲と嗜虐欲を同時に掻き立てる陰キャ

資料チーフ角野さんはバリキャリ系の頑固でメガネ委員長タイプ

二人共極限まで空気抵抗を減らしたスレンダーボディーで摩擦係数は無いものとして計算できるぞ。

一方、児童係の朝野さんは脅威のデカパイの持ち主で誰もが「このマンガやっぱエッチじゃん」と確信する。

チーフ小池さんは若手ながらバブみばっちりの綺麗系で登場するコマ全部でオギャれる。

そして一般係が誇るメスガキ(成人済み)の茉莉野はやることなすこと高プライド系高学年女児すぎて最高に可愛い!!!

彼女に付き従う新人山本ちゃんは信じられないぐらいに無垢で今どき素直な所がいっそエッチだ。

客や周辺の学校関係者個性派揃いで顔がいいゴミ屋敷女、メスガキ双子配信者系司書、もちろん普通(?)に本好きの女子も出てくるから安心だ。

う~~~むエッチだ。

エッチエッチエッチ

俺はホモじゃないか男性キャラエッチなのかはわからないが、多分エッチなんだろうなあ。

だって女性キャラエッチすぎるもんなあ。

皆も無料機会に図書館エッチキャラを楽しもう!

2025-08-23

積読を消化しても「10年後には誰も読んでなさそうなしょうもない本」という書評帰結するものばかりだった

2025-08-13

15年くらい前?、独自ドメインブログやってた京大MtFエンジニアさん、お元気だろうか

書評メイク記事面白かったな

なによりお顔がタイプだった

ヘテロちょっと残念…となった思い出

2025-07-19

anond:20250719184215

素晴らしいチャレンジ

ただ要約は今収益化厳しいから、書評にしなさい

再生コンテンツ規制は合成音声だけじゃない

2025-06-26

anond:20250626125317

聞き方が下手。そういう時は、amazonlinkを貼るんだよ。kindle版があればなおよし。

そうすればその本について、書評があればそれをAIが見たり、もし本の全文のデータがあればAIがそれを瞬時に読んで理解して答えてくれるよ。

2025-06-07

電車の中でマンガ読んでる大人


満員の電車内。携帯写真撮るときにカシャという音がするため普通車内で撮れないのだが、「人身事故が発生したため・・」というアナウンスが流れているときに緊急激写した。

大人少年ジャンプ電車内で読んでいるのをたまに見かける。最近漫画ほとんど読んでいないので、少年ジャンプ中年ジャンプに変化したのか?と思い、コンビニ立ち読みしてみた。

しかし、昔のジャンプとなんら変わらない。

うーむ。

どう見ても、小学生男の子に向けて描かれている。それを読む大人がいる・・・

広く大人にまで読ませるということは作り手、ジャンプ編集部がすごいということにもなろうが、しかし、小学生に向けて描いているわけで・・・

漫画を読むことが = アホ

とは決して思わない。

漫画しか」読まないのはいかがなものかと思うが。

成長の過程で、その世代に合った楽しみを見つけ堪能し → それを卒業して次の楽しみを見つけていくということが真っ当なのではなかろうか。

少年ジャンプ卒業して、中学生から高校生にかけてはヤングジャンプとかビッグコミック・スピリッツ 大学生から大人になったらビッグコミックオリジナル(ってまだある?) 

しかしいつか漫画世界に飽き足らなくなる(のが自然)→ 活字メディアであれば、小説世界へ。

漫画が悪いわけじゃない。

だって漫画を読むことはある。浦沢直樹Monsterにはぶっ飛んだし、PLUTEは途中まで読んだが、連載終了してから全巻最初から読もうと思ってる。

しかし、漫画がお手軽すぎのメディアなのは解釈余地ほとんどないからだ。

同じ漫画を読んだ子供大人も全く同じ印象・感想を持つだろう。絵が描いてあって、台詞が書いてある。この解釈余地がないほとんど同じ印象しか与えない漫画を読んでいると、想像する力が薄くなってしまうと思う。それと、漫画は「読みに行く」という前のめりの姿勢必要なく、パラパラとめくり簡単に目に飛び込んで来る。

しか小説自分から「読みに行かないといけない」

そして、解釈余地想像余地が大いにある。だからこそ、読むのが面倒でもあり、そしてまた読む喜びも大きいのだ。同じ小説なのに全く違う感覚を人びとに与える本こそ傑作だと俺は思う。(セカチューのように同じ感覚を与える作品は違う)

書評家、関口苑生氏が何ヶ月か前のミステリ・マガジンで書いておられたのは、

最近ミステリー新人賞ケータイ小説読んだのだが、説明が多すぎる!いつからこんなことになったのだ」

その通りだと思った。説明をあえてしないことによって生まれ解釈余地小説としての美しさがあると思う。

漫画「だけ」しか読まないのではなく、

漫画「も」読む。

あるいは、いつか漫画卒業する。

そうあって欲しい、と俺は誰に向かって言ってるのだろう?


ゲームしか楽しみがない大人にもほぼ同じことが言えるのだろうが。


一つ女性陣に聞きたいのだが、

電車内で少年ジャンプを読む成人男性

彼に魅力を感じますか?

https://blog.goo.ne.jp/full-chin/e/eae96ef64713f3fd701ba72d4cb354e6

2025-05-31

公務員予備校講師してるけど限界

※現役会社員です。身バレ防止のために小説風にしてます

普通に体験談を書いて、Geminiに小説にしてもらいました

※書くのは非常識だとは思いますが、それくらい罪悪感が強いです



収容人数40人程度の教室の中で、教壇上にある蛍光灯の白い光が、『スーパー過去問ゼミ』のテキスト文字を無機質に照らし出す。俺は増田、三十代半ばである都内にある某公務員試験予備校で、もう八年以上も予備校講師をしている。担当は主に面接対策論文指導だ。

今もこうして夕方以降の時間帯に、19~23才程度の若者向けに、公務員試験合格するための要諦指導する日々である

採用から数年間は以前は筆記試験だけの指導をしてたが、幸いにも早めに昇進することができた。筆記以外の面接とか論文なんかも指導するようになった。正直、新卒予備校入社した人よりもスピード出世である

増田先生。この間の模擬面接フィードバックの文ほしいんですが!」

休憩時間になると、熱心な受講生たちが俺の元へ寄ってくる。彼らの目は真剣のもの

公務員という安定した職を、社会に貢献できる仕事を求めて必死努力している。その情熱は本物だし、俺も全力で応えたいと思っている。表向きは。

正直に言う。俺はこの仕事限界を感じている。

公務員になりたい、という彼らの動機は様々だ。「親が安心するから」「福利厚生がしっかりしているから」「クビにならないから」。もちろん、「住民のために働きたい」という崇高な志を持つ者もいる。残念ながら少数派だ。

問題は、明らかに公務員という仕事に向いていない、と感じる人間が少なからずいること。先ほど熱心な~と書いたが、熱心な子というのは、10人中で2人もいれば多い方だ。

例えば、先日の模擬面接でのこと。鈴木君(仮名)は、典型的な指示待ち人間だ。質問に対して自分言葉で考えを述べることができず、用意してきた模範解答を棒読みするだけ。

「もし、あなた判断対応しなければならない緊急事態が起きたらどうしますか?」

って意地悪な質問をすると、彼は完全にフリーズした。こんな人間が、災害時や突発的なトラブル最前線に立てるだろうか。市民安全を守れるだろうか。

あるいは、佐藤さん(仮名)。彼女コミュニケーション能力に著しい欠陥がある。人と目を合わせるのが苦手で、声も異常に小さい。グループディスカッションでは一言も発せず、ただ俯いているだけ。

こんなんじゃ、窓口業務市民と円滑なやり取りができるとは到底思えない。クレーム対応など想像するだけで恐ろしい。

他にも、社会情勢への関心が驚くほど希薄な者、責任感が欠如しているように見える者、平気で嘘をつく者。挙げればきりがない。

予備校事務窓口でもそうだ。たまに、はてな匿名ダイアリーでもさ。「クンニ」とか「テクウヨ」とか「下方婚」とか「売国先生」とか意味わかんねえコメントしてる人がいるじゃん。

たまに彼らの長文コメがあっても、何を言ってるのかわからない。話の内容が伝わってこない。そういうレベルの受講生が普通にいるのだ。

おいおい、なんだ?面接試験では「私の長所クンニです('ω')」とか「少子化を防ぐためには下方婚を増やす必要があります」とか答えるのか??

こういう人は、公務員になってはいけない!と断言できる。いや、仕事からやるけどさ……合格すれば俺の実績にもなる。



というわけで、彼らがもし、この予備校で叩き込まれテクニックだけを頼りに、運良く筆記試験突破し、面接を乗り切ってしまったら?そして、どこかの国の地方支局とか、市役所県庁職員になったとしたら?

想像するだけで背筋が寒くなる。迷惑を被るのは、まぎれもない住民さんである煩雑手続き、待たされる時間、要領を得ない説明、そして、いざという時に頼りにならない行政サービス

彼らのような「不適格者」が公務員になることで、社会全体の不利益につながるのではないか果たして、俺は社会のためになる仕事をしているのか。

これって、数年前にはてなブログ書評(基本読書の人など)で話題に上がったブルシット・ジョブではないのか?いや、ブルシットはまだ畑の肥やしになるからいいが、俺の場合は、もはや反社会性すら帯びている。

だが、俺の仕事は彼らを「合格させる」こと。それが予備校講師としての使命であり、存在意義なのだ

彼らがどんな人間であろうと、筆記試験で点を取る方法を教え、面接で好印象を与えるテクニックを叩き込む。弱点を隠し、長所を最大限にアピールする方法指導する。

鈴木君、緊急事態質問には、まず『冷静に状況を把握し、上司に報告・相談します』と答えるのが定石だよ。自分判断を求められていてすら、まずは組織として対応することを強調するんだ。それが公務員試験ではポイントが高い。いいかい、あなた言葉は、組織言葉なんだからね」

佐藤さん、声が小さいのは不利だ。面接官に聞き返されるだけでマイナス評価になる。呼吸を意識して、大きな声を出す練習をしよう。アイコンタクト大事。難しいなら、相手の鼻のあたりを見るといい」

まるでペテン師のようだ、と自分でも思う。騙している先は霞が関にある官公庁や、うちの予備校のほどなくにある東京都庁、そのほか地方自治体。ものすごく女衒的で、ありえないほど罪深い。そんな仕事だ。

俺は、本当は適性がない人間に、あたかも適性があるかのように見せかける技術を教えている。彼らの合格は、俺の指導力の証明であり、予備校の評判に繋がる。給料だって、それによって支払われている。

俺が面接指導した子は、この八年間で、新人時代を含めると……少なくとも300人を超えている。延べ人数でカウントしていいなら、千人を超えている。ナンパ自慢の人数かよ。

このうち、予備校から増田君の寄与があった」と見做されたのは100人程度。その中に、筆記の模試がぼろくそだった人が含まれるのはいい。本人の努力の結果だからだ。教師名利に尽きる。だが、その中には、前半あたりで述べた「不適格」な人間を相当数含んでいる。それが今でも後悔になってる。

正直、公務員試験面接なんて、一部の難関(国家総合職裁判官都庁・労基や財務など国家専門職)を除けば、パターン暗記で対処できる。

うちの予備校が、毎年人事院都庁特別区情報公開請求(※)して、個人情報を黒塗りにしたうえで採用試験実施要領の資料提供をいただいているのだが、試験の要領的に……「面接官は完全な機械的採点をしている」ことがわかっている。民間企業に比べると、○○だったら何点とする、みたいな基準がはっきりしている。

なんでそうなるかというと、「公平性」を保つためだ。公平・中立平等を基礎基本とする彼らにとって、それはとても大事ことなのだ。

彼ら面接官というのは、管理職クラスではあるものの、これまでの人事経験はほぼゼロである。そんな人達たかだか数時間研修で「面接官」にするには、面接試験を(初心者向けに)完全構造化するのである。結果として、相当無難な採点基準での面接試験につながるというわけだ。

※…試験実施要領を公開してくれる官公庁もあります地方自治体だとあまり公開してくれない。よって、若手の予備校講師国家地方を問わず公務員試験(作文・面接含む)を受験してデータを得ることもあります。私が若手の頃ですが、都庁特別区採用試験合格したことがあります



先ほどの「ブルシット・ジョブ」という言葉だが、つい先日知った。クソどうでもいい仕事、とでも訳すのだろうか。社会にとって何の役にも立たない、むしろ有害でさえあるのに、なぜか存在し、給料が支払われている仕事。まさに、俺の仕事のことではないか

社会に貢献したい――という純粋気持ち公務員を目指す若者応援したい。その気持ちは嘘じゃない。しかし同時に、明らかに不適格な人間テクニックだけで公務員にしてしまう手助けをしている。

やっぱりこれは、反社会的な行為と言っても過言ではないのではないか

良心が痛む。毎晩、寝る前に罪悪感に苛まれる。俺が合格させたあの学生は、今頃どこかの役所で、市民迷惑をかけているのではないか。俺の指導が、誰かの不幸を生み出しているのではないか

辞めたい。心の底から思う。こんな矛盾と罪悪感を抱えながら、これ以上仕事を続けるのはちょっときついかもしれない。

でも……辞めたところで何ができる?俺には、この予備校講師という仕事以外に、特別スキルがあるわけではない。転職先がすぐに見つかる保証もない。家族がいる。生活を考えると簡単決断できない。

先週もまた、俺は教壇に立ったのだ。第二次試験採点対象になる論作文試験の全体講習である

目の前には、期待と不安の入り混じった表情で俺を見つめる受講生たちがいた。彼らの未来を、そして、彼らが関わるであろう住民未来を思って、俺は重い溜息をついた。

ハイ!じゃあ今日論文対策、始めま~す! みんな今日気合入ってんねぇ~(^^)」

笑顔が張り付けて取れない。

作り笑顔とともに、俺は講習用のテキストを開いた。

この罪悪感から、いつになったら解放されるのだろうか。

答えは見つからないでいる。

2025-05-13

『すべてがfになる』書評

― えふえふえふ、そしてえふ。

ある朝、日本中悲鳴に包まれた。

誰もがいつものようにパソコンを開き、キーボードを打とうとしたその瞬間――

「……fしか打てないんだが?」

そう、この物語日本中キーボードがすべて「f」しか打てなくなるという、前代未聞のサイバー大惨事から幕を開ける。

「原因はウイルスか?それともAIの反乱か?」

陰謀か?呪いか?」

「いや、フジツーのタイポでは?」

等と憶測が飛び交う中、タイムラインは「f」で埋め尽くされ、SNSもf、f、fのf洪水

人類は「言葉を失った」のではない。「fしか言えなくなった」のだ。

作中では、新聞記者が「f」だけで記事を書こうとし、YouTubeライブではf,f,fのコメントばかりが踊る。

一方、とある天才中学生が「fだけで会話する方法」を考案。

「f」のリズム、長短、数、テンポ……なんとこの少年、「f言語」を発明してしまうのである

シュールまりない展開の中でも、一番泣けるのは告白シーンだ。

fff…f…ff ffff?」

「f。」

――このたった二音に、ありったけの想いが込められていたことを、読者は涙とともに知ることになる。

本作は、言葉を失った世界で“言葉本質”を問う、そんな壮大な実験でもあるといえよう。

そして何より終盤、システム暴走を止めるパスワードが「〇〇」であることに気づいたとき、我々はタイトル意味を知る。

すべてがfになる

ならば、fで世界を救えばいい。

くだらなさと知的ギャグ絶妙バランス、そして一貫してfだけで展開されるクライマックス疾走感。

ミステリー界最大の“打鍵エンタメといえる本作、おススメですです!!

2025-04-15

小林恭二の「磔」という30年前の短編小説があまりにもSNS社会すぎ

追記】04/15 16:30

こういうプロ驚き屋な記事をかくと、反応が入れ食いになるのがブクマのよいところですね。

ただ、コメントを読んだ感じ、どうにも僕が作品の中の起こってる事象のもの以上に、そこで起こる人間心理価値観欲望の表出に驚いてることがいまいち伝わっていなくて、自分の筆力の無さを感じている。

そもそも価値観人間心理って、線形の延長線上にあるテック未来と比べると、イレギュラーに変化するゆえに想像つかないと僕は思っているが、どうにもブクマカは人間心理一定で変わることはないと思ってるようで、その辺が齟齬の原因かなと思ってる。

あと、下に書いてるけど、1994年発刊だけど、この小説の初出は1992年からね。なのでパソコン通信である種の文化があったのはわかるが、インターネットはすでにあったみたいな指摘してる人は頓珍漢だからね。

 

とはいえ、僕は小林恭二が忘れられた作家になるのはもったいないと思ってるので、もっとこの本を含めて読んでほしいなと思います

この「短篇集」以外をおすすめするなら

1.ゼウスガーデン衰亡

2.モンスターフルーツの熟れる時

3.浴室の窓から彼女

あたりがおすすめです。

僕にとって、この人と薄井ゆうじの二人は、森見登美彦万城目学のようなコンビイメージなんですよ。

追記終わり】

 

小林恭二という作家がいる。いやいたと言ったほうが近いかもしれない。今は専修大作家育成をしていて自作は15年くらい発表していないと思われる。

僕は30年近く前の大学時代、この作家世界で一番好きな作家だった。今もベスト5くらいには入る。あの頃読んだ現代作家の多くは、だんだん思想の方向がどうにも自分と合わなくなってしま作品を読むこともなくなった(すべては不用意な発言を垂れ流すTwitterが悪い)のだが、そういうのをやってなかったこともあって小林は今も好きなままだ。あと、もう一人薄井ゆうじという作家も好きだったがこの人も作品を書かなくなった。

きっかけは高校時代書評欄に数行紹介されていた「ゼウスガーデン衰亡史」だった。のちに福武文庫で買ったその小説は、主人公がいない群像劇で今までに見たこともないとてつもなく魅力的な小説だった。のちの書評なんかを読むと「 『虚構船団』 の影響が大きすぎる」と言われたが、僕には「虚構船団」よりも「ゼウスガーデン衰亡史」のほうがはるかに好きだし、いまでも面白い小説基準はこの小説になっている。この小説よりおもしろいことは小林の他作を含めてもなかなかないのだが。まあ、この作家を読んでたことで僕は今も奇想の強い小説奇書が好きである。レムの「完全な真空」なんかも好きだ。

 

年末書庫を整理したところ、小林恭二の「短篇小説」という単行本が出てきた。奥付を見ると1994年だが多分貧乏大学生自分が買ったのは1,2年程度たった後の古本だったと思う。小林先生申し訳ない、たぶん自分新刊で買ったのは数冊しかない。

何とはなしに読み直すことにした。けっこう好きな短編集だったが、特に好きなのは冒頭からの3作「光秀謀反」(戦国時代戦国大名は、ハプスブルク家とつながっていた信長など、ヨーロッパ諸侯とつながっていたという話。めちゃくちゃ面白い)、 「豪胆問答」(生まれてこの方驚いたことない侍が化け物に遭遇する話、面白い)、「バービシャードの49の冒険 序章」(英雄バービシャードが冒険に出るまでの話。続きが読みたい)だったので、それ以外はあまりちゃんと読んでなかった。たぶん全部を丁寧に読むのは21世紀に入ってから初めてだろう。

 

なんかかなりグッとくるエロイ話とかあって、あれ、こんなにセクシーなのを書く作家だっけかと思ったりしたのだが「磔」という短編を読んでとんでもなくびっくりした。これ、現代の話じゃね??とちょっと動揺してしまったけど、共有するところが見つからなかったので増田で書き散らそうと思い書き始めている。いちおうKindle版もあるようだが、バッキバキにネタバレ引用をするので、ネタバレ回避したい人は読むのやめましょう。とはいえ10編ある短編の一つなので1編程度のネタバレがあっても十分面白く読めると思うが。

 

主人公男性はN区(都会の幹線道路沿いだというから中野区あたりかね)にあるビルの27階にある住居兼仕事場暮らしている。主人公仕事についての描写

わたしは、現在とある不動産会社アナリストとして勤務している。仕事は、電話線を通してコンピュータに送られてくる膨大な情報検索及び処理で、パソコン電話機があればどこにいても可能仕事のため、専ら自宅で仕事をしている

えっ、これリモートワーカーじゃね?? さらに続く文章に驚かされた

会社に行くのは一か月にせいぜい一度か二度くらい。近頃は外に出るのも億劫になり、買い物も通信販売宅配サーヴィスにたよっているから、部屋を出ることも稀だ。

十年位前まではよく、そんな生活をしていて社会とのつながりが希薄にならないかと問われた。

私は答えたものだ。

「もともと会社社会とのつながりを希薄にしたいために、こういう職を選んだのだ。わたしとしては月に一度程度会社にいくことすら面倒くさい」

さらにはこんな文章もある

はいながらにして、ありとあらゆる情報を、獲得することができるのだ。

何を好き好んで、不愉快な生身の人間と接することがあろう。

今の時代リモートワーカーにありそうな心情である

  

これが2020年ごろに書かれた作品なら普通だろうけど、さっきも述べたように奥付は1994年。この作品の初出は1992年である。30年以上前作品である

小林はけして、現代SF作家などにあるような科学的な考証などを積み重ねて世界を描き出す作家ではない。 

実際、この後、主人公仕事を終えて、自分用のパソコンスイッチを入れるのだが

パソコン通信クラシック音楽情報を専門に扱うネットアクセスする。

そしてそこの話題から明日BGMとなる音楽を選ぶ。

ちなみに現在かかっているモーツアルト歌曲は、昨日ネット内で教わったもので、近くのビデオ屋CDも貸し出している)にファクスして取り寄せたもの

と、ネット通販どころかインターネットすら登場しない。パソコン通信会議室だ。(このニュアンスの違い、増田を読む人ならわかるだろうから説明は省く)

作者は自分想像力の範疇だけで書いているのだ。おそらく小林氏は当時パソコン通信をやっていたと思われるのでそういう描写なのだろう。

 

どうやら、このクラシック会議室には太陽暦氏というモデレーターがいて、今日おすすめを教えてくれるらしい。(この辺、僕はパソコン通信詳しくないんだが、パソコン通信でこういうことをやってる人はいたんだろうか。誰か詳しいネットの古老の方は教えてほしい。)

ここでちょっと興味深い話題になる。

ちなみに太陽暦氏はハンドルネーム、つまりパソコン通信ネット上のペンネームで、無論、ちゃんとした本名もあるのだが、ネット上ではハンドルネームで呼び合うのが礼儀となっている

いいねえ、古きネット感覚だ。続けて

太陽暦氏は私のほか何人かのクラシック初心者のために、三か月の間毎日推奨のレコードを挙げてくれることになっている。

それでもって翌日に曲の聴き所などレクチャーしてくれる。

年をとった人に言うと、それでいくらとられるのだと聞かれる。

無料だと答えると大概驚く。

こちらのほうが驚く。

いまだに情報商品か何かと勘違いしているのだ。

情報空気に等しいのだ。

この辺は、ちょっと時代が2周くらいした感じはある。現代社会、やはり情報商品になっている。むしろこの時代よりはるか商品度は高い。2000年代前半くらいまでのネット価値観ではあるが、まあ、今も一部の分野、特に趣味の分野では無料になってる面はある。この後、情報についてのT.ストウニアの「情報物理学の探求」という本から言及がある。ストウニアとこの著作実在するようだが、現代社会でどういう評価なのかはちょっとからなかった。忘れられた学者みたいな感じなんですかね。

 

テレビへの言及もあり、興味深い。

テレビの発信する情報はおおざっぱでクオリファイが不十分で、加えておおむね退屈である

(中略)ことに若い世代には、テレビ情報の古さ、質の悪さを嫌ってこれを見ない人が圧倒的らしい

まじで今の話じゃないの?

 

この後、主人公ネット徘徊する

哲学会議室で「かなり痛烈な罵倒用語を駆使」してメッセージを書き込んで去り、夜中に反論の嵐が巻き起こるのを期待している。荒らしかw

いくつかの部屋を見て回ったのち、バー会議室に入る。

バーといっても本当のバーではなくネット上におけるバーである

ここはバーカウンターにいるような気持ちで人のメッセージを読み、あるいはメッセージを書き込むという、いわば言葉の上でのバー形成している

2ちゃんバーボンハウスみたいなもんか。いや、あれは釣られて受動的に行く場所から違うか。これもパソコン通信で実際にあったやつなんでしょうか。

まあ2ちゃん雑談スレッドやXなどでなれ合いをしてるような感じだろう。

ここで主人公は、その日の夕方自分けが得たとっておきの情報披露する。その情報が何なのかはまあ表題ネタバレしているが割愛しておく。

主人公の心情を引用しよう

書きながら私はぞくぞくしていた。それは渇望していた情報を得たとき快感と対をなすものだった。それはパーフェクトな情報を発信する快感である

この気持ちに心当たりのある人、手を挙げて! はーい! だからこのエントリーを書いてるんだよ!!

これってつまりバズる感覚ですよね。ネットバズることの気持ちのよさをこの作者は30年前に理解していたのだ。いくら小説家という職業とはいえ、この感覚90年代初頭に持っていたのは相当に新しいのではないだろうか。ほんとに深く驚かされた。

主人公情報は狙い通りにバズり、彼はその日のその酒場での「英雄」となった。

そして翌日、彼は新聞自分のバズらせた話題の件について読む。ここで新聞というメディアへの評価も非常に今の時代っぽいので引用しよう

わたし新聞類型的な見出しのひなびた味わいを普段から愛しているが、このときもほほえましく思った。

それは流行終焉した後、ようやく流行存在に気付いて、頓珍漢な批評を加える初老学校教師を思わせた

こんな感じの印象を新聞(だけでなくオールドメディア全般)に持ってる人多いでしょうなあ。

 

以上のような20ページほどの短編なのだが、どうだろうか。

 

最初リモートワーカーの意味を言い切った時点で、うわっすげえと思ったのだが全部読んで、とにかく小林恭二の凄みを感じさせられた。

乱暴な話だが、資料をある程度収集して咀嚼すれば、未来社会がどんな風になってどんなものがあるかは書くことができる。それが30年後の現在と適合していても、ああ、資料くそろえたね頑張った頑張ったくらいの感想まりであるしかし、その未来社会で、人がどういう価値観を持ち、どういう欲望をどのように満たそうとして行動するかまで描いたら、そして、それが後世の人間からして違和感のないものであれば、まったく意味合いが違ってくる。

 

もし、僕が今時の書評系TikTokerのように「30年後のSNS社会を予見したとんでもない短編!!」とか宣伝したら、バズってこの主人公のような「パーフェクトな快感」を得られるだろうか?

参考文献(アフィはないのでご興味あればどうぞ)

短篇小説

書籍

https://www.amazon.co.jp/%E7%9F%AD%E7%AF%87%E5%B0%8F%E8%AA%AC-%E5%B0%8F%E6%9E%97-%E6%81%AD%E4%BA%8C/dp/4087740668

Kindle

https://www.amazon.co.jp/%E7%9F%AD%E7%AF%87%E5%B0%8F%E8%AA%AC-%E5%B0%8F%E6%9E%97%E6%81%AD%E4%BA%8C-ebook/dp/B09THZB8J5/ref=tmm_kin_swatch_0

2025-04-13

リフレ派のみなさーん、これが日本を救う政策でーす

日本財政危機直視、歳出30兆円削減と消費税20%への引き上げを提案河村 小百合,藤井 亮二『持続不可能財政 再建のための選択肢』橋爪 大三郎による書評

https://news.yahoo.co.jp/articles/96f38c8f07635f15c37bc7cf2fb46e84b611d732

インフレは癌だよ

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