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はてなキーワード: 屋上とは

2025-11-06

スーパーの店内での携帯電話出張販売だけど、なぜいつも入口の前に展開してるんだろう。

お金を持ってそうなファミリー層は車で来店して、屋上や地下の駐車場からエレベーターを使ってくるから入口を使わないんだよね。

と、いつも歩きでスーパーに通う私は思うのであった。

2025-11-04

あの日、俺はただの小さな歯車だった。不動産会社の名を借りた裏社会マネー洗浄機構、その中で帳簿をいじるのが俺の仕事だった。何年も続けるうちに、社長専務も、誰がどこにいくら隠してるか全部見えてきた。だからちょっと拝借してもバレやしないと思ってたんだ。

だが、甘かった。奴らの金は、血より重い。

  

気づかれた夜から地獄が始まった。車に追われ、尾行され、見知らぬ顔の男たちに家を囲まれた。逃げるしかなかった。ビル屋上から飛び降りた瞬間、死を覚悟した。だが、落ちなかった。空気が、俺を押し上げた。まるで、何かが目を覚ましたみたいに。

  

それからだ。相手の居場所が頭に浮かぶようになった。銃を持った追手の背後の動きが、まるでスローモーションのように見えた。俺は走り続けた。新宿の雑踏、川崎倉庫街、地方ラブホテル、どこへ行っても、すぐに見つかったが、もう恐れはなかった。

彼らが俺を狩るたび、俺の力は強くなっていった。

  

最後に奴らの会議室へ乗り込んだとき役員たちは顔を真っ青にしていた。机の上に並ぶ封筒裏金行方を隠すための書類の山。俺はそれを一瞬で吹き飛ばした。風も触れていないのに、全てが宙に舞い、天井から降る紙吹雪みたいに白く渦を巻いた。

「お前たちはもう終わりだ」

そう告げたとき、誰も口を開けなかった。

  

あれからしばらく経つ。奴らは警察に捕まり、俺の名はどこにも出ていない。世間的には、ただの汚職事件ひとつだ。だが俺は知っている。この力が目覚めたのは偶然じゃない。あの金を奪った瞬間、俺は人間の枠を超えたんだ。

  

逃げる必要も、隠れる必要ももうない。

今は、風が教えてくれる。誰が嘘をつき、誰が裏切るか。

この街のすべてが、俺の掌の中にある。

2025-11-02

[]

ファイナルファンタジータクティクス イヴァリースクロニクルズをクリアした。

エンハンスド版。スタンダードディープダンジョンも含めて全部やった。

プレイ時間は100時間ぐらい。多少の物足りなさはあるけどPSのやつ+αという感じでとても良かった。

ストーリー面はPS版と同じだけど、ルカヴィが怪物というよりも人間臭くなった感じが主な変更点かも。


変更点は痒いところに手が届く感じで概ね良かったと思う。


難易度スタンダードだけど高くはない。


気になる点というか、希望というか。


キャラ感想


ジョブ感想


ひとまず終わり。アプデで追加コンテンツ来るといいなあ。全体的に原作準拠の良いリメイクだったと思う。満足。

Lv.99まで上げたり、全ジョブマスターしたり、敵忍者の投げるから武器回収したりはしない。

2025-10-30

anond:20251030084008

屋上へ行こうぜ

 

 

 

 

 

いや、ずっと屋外だったわ俺ら

2025-10-26

anond:20251026121359

ビル屋上を走り回ってたら急にバカ強いピジョットに襲われるのは間違いなく“出会い

2025-10-23

曲の内容が気になりすぎる増田酢魔ル議すリナに記が紆余位ナノくょき(回文

おはようございます

やっぱり気になるビリヤニのこと今日も思いを馳せるわ!

ChatGPTちゃん

乃木坂46のニューシングル曲名がビリヤになった理由

プロデューサーでもあり美食家秋元康さんことやすすが初めてビリヤニを食べてその味に感動して

DJおみそしるとMJごはんさんの手法に則ってビリヤニ作り数え歌を作ってその曲名ビリヤニになった直球曲?って尋ねたら、

それは絶対ない!違う!と、

こればっかりは肯定的に乗っかってくれないハッキリとものを言うChatGPTちゃんジワジワくるわ。

ねえAがいい?それともBがいい?って尋ねるとだいたいは

「うーん、AもいいですがBもいいですな!」って

どっちつかずなこと言いがちな感じのChatGPTちゃんだったけど、

この曲名ビリヤニビリヤニ作り数え歌の可能性は?ってことに関してはスバ可能性はゼロです!って言うのよね。

なんかこれ相当ビリヤニ界隈盛り上がっているんじゃないかしら?って思う反面、

ビリヤニってハードルをうんと上げておいて

交差する運命スパイスが絡み合って美味しく仕上がったビリヤニに例えている恋愛模様を歌っているのか?

それとも、

初恋の人の香りがもう別れてしまったけどふと立ち寄ったインドレストランで食べたビリヤニ香りで思い出す初恋思い出しソングなのか?

安直に複雑に絡み合う何かの人の人生だとか恋模様だとかをスパイスになぞらえて比喩しているとしても

これ安直じゃない?

やすすはそんなことするのかしら?

って私はもちろんやすすのことを何一つ知らないし、

シリーズだっていくつかシリーズがあるって言うし、

坂ごとでコンセプトが違うって言うし、

坂同士の移籍とかもないって言うじゃない。

あとシャインポストばりに

やすすが坂メンバーメンタルが落ち込んでいるとき屋上アイスクリームを一緒に食べることも絶対にないってChatGPTちゃんそう言っていたわ。

それに私ほとんど言うか坂界隈のことは知らなかったので、

総勢何人いんのよ?ってのもあるじゃない。

これ熱心なファンの人はエクセルメンバー今日どの番組に出る!ってかそう言うのを記している人もきっといそうじゃない?

アニメの今期全部追いかける人より凄くない?

私はそんなビックコンテンツに今から取りかかることができないわ。

まりにも乃木坂46ってそういういわゆる坂系ってコンテンツ覆いすぎるわ!

そんで、

でもさビリヤニって曲は聴いてみたいじゃない?

インターネッツで調べたら、

その乃木坂46の「ビリヤニ」がたくさん出てきて、

タイプABCDとかってなに?

全く私の未知の領域に曲1つだけなのにそんなに種類バージョンエディションあんの?って腰を抜かしてしまったわ。

SKU46!って

かましーわーい!って突っ込まれそうだけど、

そのぐらい冗談抜きで

種類が多かったので

よく分からいか配信で1曲でたらこっそり買ってみると目論んでいるところよ。

ビリヤニ」って曲名を掲げていて40枚目のシングルって結構節目じゃないの?

そこでビリヤニってやっぱりこれハードル上げすぎなんじゃない?

大丈夫?ってそう思っちゃうのよね。

これが例えビリヤニ作り数え歌だったら?

乃木坂メンバービリヤニ屋さんを開店オープンするってそっちに舵を切っていったら?

もうとにかくビリヤニのことで頭がいっぱいよ。

世間インドネパール系のレストラン

ランチビリヤニ発注殺到しているのかしら?

なんか急に最近ビリヤニランチ発注が多くてどうしたんだろう?って首をかしげいるかもしれないわ。

あと絶対やすすは今回の歌詞

インド楽器インドネパール辺りの地名にそしてスパイス名は絶対歌詞に入れられないNGワードよね?絶対に。

槇原敬之さんよりも言わないよ絶対に!ってより絶対感がマックスだと思う!

しか

ビリヤニって

いわゆるマイナーなまだ完璧には王道ではない、

とはいえビリヤニ界隈の琴線に触れさせるには数があまりにもビリヤニ好き人口が少なすぎるニッチだし

ビリヤニ層をがっさりいくっていっても、

ターゲットとしてもそこ狙うの変わよね?

さんざんビリヤニって言っておいて、

ぜんぜんビリヤニ関係ない曲の内容が可能性も大よね?

ChatGPTちゃん何かの拍子でそうですね!って全然賛成言ってくれない

ビリヤニ作り数え歌ではないことは確実みたいよ。

美味しいビリヤニ提供しているレストラン

ビリヤニ注文する人を見ては、

あなた乃木坂ファンなのね?って思われるのもなんか普通ビリヤニ好きとしてはそう思われるのかな?ってこれは考えすぎよね。

まったくもって謎過ぎるわ。

いったいどうなるのかしら?

私は絶対可能性ないビリヤニ作り数え歌に1票入れたいわ。

うふふ。


今日朝ご飯

ツナアンド玉子サンドイッチにしたわ。

ツナ美味しいわよね。

最近しっとりしてジューシーツナで美味しいの。

パサパサしたイメージなんてツナにはもうないわよね。

そんな変なツナサンドイッチ最近見かけないわよね本当に美味しくなったものね。

デトックスウォーター

コーン茶ウォーラー茶に。

作りたてはホッツで作っておいたけれど

その後は粗熱とって常温のままではいかないので、

冷蔵庫しまって

冷たいコーン茶ウォーラー茶。

さすがに寒くなってきたので思いっ切り冷えたウォーラーは寒くて身体冷えちゃいそうな、

もう一気に気温が下がってきてるわよね。

こういう季節の切り替え変わる瞬間に人は風邪引くので

いつもより慎重に暮らさないといけないわね。

みんなも気を付けて!


すいすいすいようび~

今日も頑張りましょう!

2025-10-20

千葉国際芸術祭2025

というアートイベントが開催中で面白かった

千葉駅を中心に展示会場が点在しているんだけど

地図を見ても分かりづらく、本当にここにあるのか…?というような場所(ビル屋上空き地など)にあったりして、冒険みたいでわくわくした

作品機械だったり、実験的だったり、動いたり音が出たり、バリエーションが豊かで、飽きないし、面白

全然アート知識が無くても問題ない

大々的に宣伝してないのは意図的なのかな

もっと話題になっても良いのに勿体無いなと思ったのでここに書いておく

入場は基本的に全部無料

千葉駅近くにはでかい駿河屋オープンしたばかりだし、何かのついでにふらっと行ってみてほしい

2025-10-10

レゼちゃんの前髪ってさ

「右流しのときは嘘、左流しのとき本音」とかじゃないすか?

友だちに連れて行かれた映画で心を撃ち抜かれて、いま原作を読み漁ってるニワカだけど。願望が9割。

追記

デンジのベロ噛みちぎったところ左流しで草生えた

逆なのかなあ…それともふつうに俺の考えすぎ?

◎右流し(嘘ついてるとき?)

胃液まみれの花をもらうところ

デンジくんみたいな面白い人はじめて」

二道や学校でいちゃついてるところ

「私が全部教えてあげる」

田舎ネズミがいいよ」

連れションニキと対峙するところ

花火を見ているところ

「助けてくださ〜い!悪魔に襲われてま〜す!」

「皆殺しコースかな」

「俺に泳ぎ方教えてくれたのはホントだろ?」と言われたところ

マキマと対峙するところ

天使悪魔に射抜かれたところ

◎左流し(本当のことを言ってるとき?)

バカ舌」

小学校行ってないっておかしい」

「裸になっちゃお どうせ暗くて見えないよ」

「都会のネズミどっちがいい?」

屋台を回っているところ

仕事辞めて私と逃げない?私がデンジくんを幸せにしてあげる」

山の屋上キスからの舌噛み切り

「私がまだキミを本気で好きだと思ってるの?」

新幹線に乗るのをやめて二道に行くところ

デンジホントはね」

ちなみに

連れションニキを極めてるとき

海岸打ち上げられてるとき

田舎に逃亡しようと新幹線に向かっているとき

は前髪は出ていない。

なんらかのメタファーだと思うんだけど…

2025-10-09

[]anond:20251009224111

鹿乃つのガチ近所に住んでいて怖い

おかしいと思ってたんだよ。

まず、夏に炎上したコスプレバーベキュー場所にすごく見覚えがあった。

葛西臨海公園はいくつかバーベキューエリアがある。その中でもあの場所は最も安く、気楽に使える場所だ。地元ファミリー若いウェイが利用するところだ。自分家族や友人一家と使う。

あの写真、状況から察するに夫婦2人でバーベキューしてるよな?それだけでもまあまあ異質に見えただろう。さらに、女のほうは長耳のコスプレしていたわけだ。それ自体で罪に問われることはないが、周囲のファミリーは相当警戒したと思う。カップル利用ならもっと写真映えのいいエリア使えよ、金ないのか。

また、「ディズニー自転車で行ける距離」って言い回しも、このあたりに住んでいる人間特有のものだ。千葉側であれば自家用車を持っている率が高いので「自転車で行ける」は自慢にならない。何ならちょっと自虐も混ざる。

鹿乃つのは全ての発信が自慢だから、あれが自慢として成り立つ場所江戸川区のほうに住んでいるのだろうと思った。

そうしたら先日、別垢のスクショが回ってきた。ディズニーキャストコスプレ選挙に行ったツイートだ。その背景写真に驚いた。見覚えどころじゃない。マジですぐ近くの学校じゃないか

エリアは近いのだろうと思っていたけれど、まさか学区レベルかぶっているとまでは思わなかった。生活圏もモロかぶりだ。

あん狂人がすぐ近くに住んでいる。何なら隣人かもしれない、ということに恐怖した。

江戸川区の海沿いには都営住宅があり、所得が低くても比較暮らしやすい。住宅も安く、子育てがしやすい、良い街だ。自分子育てのためにここに引っ越している。

一方で、子どものいない夫婦にはあまり楽しみがない場所だ。なんでこんなとこに住んでるんだ?とも思う。

ただ、ここのところの発狂を見ていると、鹿乃子どもを産みたかったんじゃないかなと少し思う。32だろ?社会的には終わっているが、人間としてはまだ間に合うもんな。

怖いのは、このまま子無しのまま狂って歳をとって、このあたりの子供に危害を加えるようになるんじゃないかってことだ。

このあたりは地主の力とご近所ネットワークが強く、嫁も謎に地域情報に詳しい。鹿乃の言う因習も多かれ少なかれあるし、地域コミュニティには入れていないだろう。手下が欲しくて子どもだけで遊んでいる集団に凸ってくる可能性は十分にある。

不審者対策教育はしているが、主におじさんに気を付けろと言ってきた。これからはおばさんにも気を付けろと教えなきゃならないらしい。

追記

この近隣にもうすぐリゾートホテルができる。屋上プールがあり、川を挟んでディズニーホテルが見える。ナイトプール営業もするらしい。

すっかり飽きられ、ほとんど忘れられた次の初夏あたりに、そこで撮ったコスプレ水着写真ポストするような気がする。その時はこの増田を思い出してくれたら嬉しい。

2025-10-03

anond:20251002162526

あー俺だ。

バンコク行った時、

ローカルが使うような市場を冷やかして、そこからドブくさい水路に出て、

地元民の足になっているボート停留所から終点まで行ったり(当然どこにたどり着いたかはわからない)。

コルカタで同じような感じで路地を歩いていたら、ボロいマンションの上から子供達に呼ばれてその屋上に上がったり

またその隣のマンションに呼ばれて行ったり。

ネパールやセブでも同じようなことやってたな。

他人生活のぞき見されるのは、いい気持しないだろうから道を迷ったふりして。

2025-09-24

ビル同士を上層でつなげるべきでは

都会のビルは高いものが多い

別々に立てられたものはまずつながっていないので移動するときは地上に降りて歩いていかないといけない

できたビル同士を屋上などでつなげておけば移動が便利になる

地上が混雑しない

屋上を歩いていけると景色も良い

どんどんつなげていってほしいと思う

最終的には駅からビルを乗り継いで地上に降りずに自宅に帰れるのがベスト

2025-09-16

エレベーターボタン略称

・R:Roof floor = 屋上

・B:Basement floor = 地階

PHPenthouse屋上駐車場

PH」って子供の頃から漠然と「パーキングヘリポート」の略称と思ってたけど違ったのなー。学んだ。

Penthouse屋上階に設けられる小規模な建物機械室や管理室、付属施設など)

2025-09-02

欧州では仕事9-17時、春1w(イースター)、夏2w、冬2wの海外旅行をして、貯金も貯まる。

ある年の冬、オフシーズンギリシャに行った。空港から地下鉄ストライキをしていて、駅員に聞いて乗り換えた。アテネ建物は古く、中心部はあまりれいではない。

とはいえ地区によっては瀟洒アパートきれいなブティックもある。当時、ギリシャ経済は最悪だったが、丘の上から夜景を眺めると、確かに明かりはG7の国の首都に比べれば控えめだが、それほどでもない。

博物館収蔵品は見応えがある。

アテネでは観光客らしくパルテノン神殿ホテル屋上からも見える。夜はライトアップされる)やそこらに点在する遺跡プラ地区の店やカフェを冷やかして周ったあと、車で時計回り国土の南三分の二を一周することにした。

コリントス地峡を渡って(シーサイドの道中、橋の夜景が絵になる)水かきのついた手の形をしたペロポネソス半島に着くと、酒屋で赤ワインを買って宿でバッカス乾杯した。なお、近所にバーはない。ギリシャ北部で作られる、クシノマヴロという葡萄品種の酒は、中重口で優美でおいしく、瓶熟成も期待できそうな、輸出できる味だが、伊仏のそれと比べて安い。

朝は煮出した濃厚なギリシャコーヒーで目を覚まし、近くの透き通った海で英気を養う。

この半島は、内陸部はオリーブしか生えないような岩と乾燥土の荒れ地で、岩山のてっぺんに砦があったりする。寝坊したので、古代遺跡に着いたらすでに入り口は閉まっていたが、柵を乗り越え中に入って古代競技場の観客席に腰掛けたりはしない。

半島の先端に行ってみたが、住人のいない迷路のような道の村に羊が歩いていた。

スパルタの町は、道路信号がなく、交差点では左右の車を阿吽の呼吸ですり抜けた。外国人でも通じるらしい。博物館彫像は、ことごとく首なしか鼻欠けだった。征服に来た古代マケドニア人仕業らしい。

いくつか小さな町に立ち寄ったが、海に近いのでシーフードがおいしい。

オリンピア遺跡を見た。

国道は片側一車線だが、路肩を使って二車線になっている。

夜、給油すると、係が、20%の消費税をぼやいていた。「政府が俺らを殺しているんですよ、メリークリスマス

風が強かったが、フェリーに車を乗せてザキントス島に着いた。イオニア海きれいな緑色をしている。ここは、夏場は欧州一円から来たパリピ若者が夜通し遊ぶところだが、冬はクラブも閉まって静かだ。何もないので、カフェバービールゆっくり飲む。

翌日、浜辺に難破船のあるシップレックビーチまで、道を間違えつつ辿り着き、崖の上から眺めた。鮭の切り身のような形の岩壁が突き出し、ここだけ色がひと際鮮やかなエメラルドブルーの海を区切っていて、有名な写真スポットだ。晴天だが風が強く、帰りのフェリー欠航まちがいない。島を一周して宿に戻る道すがら、レストランで久しぶりに鯛を食べた。

半島に戻ると、橋を渡って、本土西側イオニア地方の丘の上の遺跡を歩いた。この辺りの国道はなにもない丘と低木の生えた乾燥地を抜けていて、車は時速100km以上ですっ飛ばして行く。

実はギリシャ本土は北に行くほど山がちで、スキーリゾートがある。これを知らず、車はノーマルタイヤだった。なにしろ比喩的心筋梗塞に襲われ、旅行の前日に思い立って航空券を買ったのだ。

メテオラという、ビルほどの巨大な奇岩が連なっている天辺修道院が乗っている所に来た。修道院には、ロープウェイ物資を運んでいるらしい。

その後、オリンポス山を見に行ったのだが、雪に煙って見えなかった。バーに入って酒をたのんで話をしたあと、覚えていない。

ギリシャトイレ水道管は断面が狭いらしいので、トイレットペーパーは流さないでかごに捨てることになっているところが多い。

朝食では、濃厚なギリシャヨーグルトに特産蜂蜜をかけて食べた。いろいろギリシャ料理があったが、名前は忘れた。

一方通行路地の片側にはびっしり駐車してあり、しかも一台分の割り当てが短い。慣れずに苦戦していると、「きみ、出るのか入るのか、どっち?」

この日、神殿を見にデルフォイまで行くつもりだったが、途中、雪が散らつき車を飛ばせず、峠に向かうと夜になり、固く引き締まった雪道に空は吹雪いていた。実は、車屋の親父が調子のいいやつで、タイヤチェーンをトランクに入れてくれたのだが、サイズが合わない。峠で唯一のホテルの前で、明かりを頼りに苦戦していると、主が出てきて、中でコーヒーを飲ませてくれた。結局、諦めてアテネに戻ることにした。途中の高速道路新雪と融雪が斑なシャーベットになっていて、一台だけ時速60kmで進んだ。アテネに近づくと、辺りは雪の気配さえない。真夜中、アパートホテル場所を探すのに、手間がかかった。

結論として、今度ギリシャに行く機会があるとすれば、北部都市テッサロニキを見てみたいが、気温40度になる夏、あるいはたくさんあるうちの島のいくつかのビーチで寝そべって過ごしたいかといえば、よく分からない。もしかすると、クレタ島もいいかもしれない。

2025-08-30

anond:20250830185929

タワマン屋上グランドピアノ弾いてオッケーだよ

親はヘリコプターに乗って子供が弾いてるところを記念撮影する

2025-08-28

1999年7の月 アンゴルモア、恐怖の大王存在した

今年の夏、数年ぶりに実家帰省したんだけど久々に帰ったせいでこの機会を逃すまい!と親から部屋の片づけを命じられ、ゆっくりするつもりが全然出来なかった。

仕方がなく実家自分の部屋の掃除をしたわけだけど…机の引き出しから何やらよからもの発見原稿用紙数枚分。なんとなく思い出した。自分が確か高一の時ぐらいに書いた小説もどき…。

そのまま処分しようかと思ったけど、これも何かの縁かと思い、焼き払う前にここに残そうと思って(供養の意味も込めて)、恥ずかしながら当時書いた小説をここに貼ります

1999年7の月 アンゴルモア、恐怖の大王存在した』

1

七月の黒板って、手のひらの汗を全部吸って、授業が終わるころにはチョークが湿気で太る。

セミは朝からミンミン鳴くくせに、ホームルームときだけ少し黙る。

うちの担任は「ノストラダムスの書いた七の月だね」と、冗談のつもりで言うのだけれど、冗談って二回目から効かなくなるのよ、先生私たち1999年の夏を、テレビワイドショーと同じ顔で消化して、笑うところは笑って、でも笑いきれない部分は教科書の下に隠す。

休み廊下のどこかでPHSがピピピって鳴る。あの音は少し未来っぽい。私は机の中からMDを取り出して、宇多田ヒカル再生して、再生の丸い矢印が自分心臓の形に似てるな、と毎回どうでもいいことを思う。(でもFirst Loveは毎回ぜんぜんどうでもよくない。あれは心音を増やす歌)

夏の空気扇風機の首ふりのリズムで揺れて、窓の外の雲は誰かが消しゴムで端をこすったみたいにほどけている。私は五時間目が終わったところで、ノートをぱたりと閉じて、裏表紙の端を折って、そっと立ち上がった。「保健室行ってきます」って小さく言えば、先生はたいてい止めない。保健室に行く経路で、屋上という寄り道があることは先生たちの知らない秘密地図

理科準備室の窓は鍵がゆるい。椅子を一脚ひっぱって、窓枠に膝を乗せ、指先で金具を押し上げる。屋上に出ると、空気が急にちゃんと味になる。すこし錆びた匂い。じんわりした熱。遠い国道トラックの音。フェンスの金網に両手をかけて、私は深呼吸を一回、二回。七月の呼吸。あ、これは覚えておこう、って思ったとき

「そこ、危ない」

声がした。男子の声。低すぎず、高すぎず、でも機械温度みたいに均一。

振り向く前に、軽く手首を引かれて、私は一歩だけ後ろへ下がる。フェンスぎりぎりのコンクリ、米粒くらいの黒い影が落ちて、コツン、と音を出して割れた。殻の匂い。卵じゃない。虫でもない。もっとイヤな、硫黄の、でもどこかで嗅いだことのある、夏の終わりの側溝みたいな。

「ほら」

私の手首を放した彼は、フェンスにもたれるように立っていた。うちの学校制服じゃない。黒い長袖。胸元に小さな紋。汗をかいていない。かわりに、視線が汗をかいているみたいに一直線。

「落ちてくるからね、ここ。今日はまだ小手調べだけど」

「……なにが?」私は聞く。

「アンゴルモア」

さらっと言わないでほしい。テレビが殊更に太いフォント見出しにしてた単語を、屋上の風のなかで日常語みたいに投げないでほしい。私は笑うタイミングを探したけれど見つからず、代わりにMDを一時停止にした。(宇多田のサビで止めるのは罪だけど、今日免除してほしい)

テレビのやつ?」

テレビが知ってるのは“名前”だけ」

彼はフェンスを見上げる。その目は、黒板のイコールをまっすぐに引ける人の目。

本体はまだ。今日は殻と匂いだけ。予告編みたいなもの

殻、と彼が言った瞬間、さっきの黒い米粒が、煙みたいにほどけて消えた。彼は胸の紋に指先を添え、短い金属を引き抜いて、空気を一回だけ切る。刃じゃない。音だけ。なのに。地面の黒が粉になって、風にさらわれた。

ちょっと」私はやっと声を持つ。「なにそれ。あなた誰」

通りすがり

教科書みたいな返事。でもふざけた感じはない。

「通りすがるには、ずいぶん正確にうちの屋上に来たじゃない」

「見える人のそばは、風が変わるから

彼はほんのすこしだけ笑う。笑い方は丁寧で、耳の形まで整っているタイプの顔。近づくと汗の匂いじゃなくて鉄の匂いがした。

「君、見えたでしょ、さっきの。普通の人は見えない。足もとに殻が落ちても、踏んで帰る」

「見えたから、何?」

「ひとりにしない」

その言い方は、なんだか“わたしの”言葉みたいで、ちょっとムカついた。知らない人に先に言われるの、好きじゃない。

名前は?」

「湊(みなと)」

ひらがなで言われてもカタカナで言われても、たぶんこの名前は港の音がする。波打ち際で人を呼ぶ声。

湊はフェンスの外を見上げる。雲が薄く切れて、青の下に白い面が一秒のぞく。その一秒のあいだに、空が低く唸った。電車が遠くの高架をゆっくり渡るときの音に似てるけれど、もっと乾いている。私の首筋の汗がすっと引く。

「二匹目」湊は言って、私の前に立つ。

降ってくる。今度は米粒じゃない。ビー玉よりちょっと大きい、黒い丸。着地の前に割れて、内側から“何か”がぬるりと出ようとする。輪郭を持たないのに、目より先に匂いけが肌にささる。夏の犬小屋の奥に置き去りにされたゴム、みたいな。

「息を合わせて」湊が言う。

「どうやって」

「今、君がしてるみたいに」

気づくと、私は湊とおなじテンポで息をしていた。吸って、吐いて。吸って、吐いて。二回に一回だけ、すこし長く吐く。そのリズムで、湊の金属空気を切る。殻の破片が粉になり、風だけが残る。

「……ほんとに、アンゴルモア?」

名前が先に来る怪物っているんだよ」湊は肩の力を抜きながら言う。「“恐怖の大王”って言葉空気が好きなんだ。空気は、好きな言葉に寄ってくる」

そこまで聞いたところで、屋上のドアがギイッと鳴って、私は心臓を落としかけた。風より静かな足音制服足音じゃない。

「遅い」湊が言う。

「早すぎる」低い声が返す。私は反射でフェンスの陰に一歩引いて、ドアのほうを見る。黒いTシャツに薄いグレーのシャツを重ねた、涼しい顔の男の子。髪は長くも短くもなく、目は印刷された数字みたいにブレない。

「……え?」

今日は偵察だけって言ったろ」と彼は湊に向かって、とても小さく眉間を寄せる。「初対面を屋上でやるの、ミス確率上がる」

「じゃあ、屋上じゃないと見えないものもある」湊はさらっと返す。

二人は友だちっていうより、同じ地図の別ページ、という感じ。

「澪(れい)」と彼は短く名乗った。手にPHSアンテナ二本。画面に点の地図数字が流れて、一瞬だけ止まる。

「下、駅前に一件。夜は濃い」

「夜?」私はつい口を出す。「夜まで?」

今日の七の月、最後から」湊は私を見る。「帰り道、寄り道をしてもいいなら、案内する」

案内、ってすごくヘンな言い方。でも私はうなずく。喉が乾いているのに、声はちゃんと出る。

湊は金属を胸の紋に戻し、手すりに軽く触れてから踵を返した。澪はPHSを親指で弾いて、何かを送信して、何も言わず私たちの前を歩く。三人で階段を降りると、校舎の匂いが一瞬だけ“普通”に戻って、私はその普通を鼻に詰めておこうと思った。(後で必要になる普通がある、って、新井素子の本に書いてあった気がする。気がするだけで、どのページかは思い出せないけど)

駅前夏休み夕方の顔をしている。ロータリーバスマクドナルドの前に行列ガチャガチャの前で小学生が揉めてる、CDショップではラルクポスターゲームセンターからドリームキャストデモ音。風鈴みたいな高い音が一瞬だけして、次の瞬間、音が全部半拍ずれる。

「来た」澪が言う。

誰も気づいてない。サンダル女子高生も、サラリーマンも、ショッピングカートを押すおばあちゃんも、誰も。

から降りるものは影じゃなくて、空気の厚みの差。見えるのは、ここにいる三人と、そして、たぶん私だけ。

湊は前に出る。澪は周囲を見渡して、最も“記録”の薄い位置を選ぶ。道路標識の影と自販機の影が重なる場所

「ここなら、ニュースにならない」

ニュースにならないって、そんな基準ある?」

ある、と澪は言わないで、目で言った。

湊の肩が、呼吸といっしょに上下する。私はそのリズムに合わせる。吸って、吐いて。吸って、吐いて。なぜか一緒にやると心臓が落ち着く。(恋とかじゃなくて。いや、恋かもしれないけど、いまは違う)

殻のない降りは、匂いだけで先に来る。不意打ち。目の端で捉えるまでに、鼻が先に反応して、汗腺が縮む。湊の金属空気を切り、澪のPHS画面の数字が揃い、私の呼吸が三拍目で長くなる。カチッと音がして、見えない何かが折りたたまれる。駅前はなにも起きなかった顔に戻る。

「——ねえ」私は息を整えながら言う。「これ、毎日?」

「七の月は毎日」湊は金属しまう。「終わったら、少しだけ静かになる。少しだけ」

その“少しだけ”の言い方が、もう経験者の声で、私は急に怒りたくなって、でも怒っても仕方ないから、代わりに缶の自販機麦茶を買って三人にわけた。湊は半分だけ飲んで、缶を私に返す。澪は口をつけずに、冷たさだけ指に移して返す。私はベンチに座って、残りを一気に飲んだ。

「帰り道、送る」湊が言う。

「送らなくていい」私はつい強めに言う。「ひとりで帰れる」

「見える人を、ひとりにしない」

またそれ。私はむくれて、でも、足は自然に彼らと同じ方向へ動いていた。

交差点信号が青に変わる。横断歩道を渡る瞬間、風がすっと変わって、私は振り向く。人混みのむこう、ビル屋上の縁。夕陽の切れ端のような光のところに、白いシャツの誰かが立ってこちらを見ていた。

まばたきしたら、いない。

「いまの」

「気づいた?」澪が初めて少しだけ笑う。「いい目だ」

「誰?」

「多分、明日には“こちら側”に来る」湊は短く言った。「きれいな顔をしてる」

家の前で別れるとき、湊は「また明日」と言いそうにした顔でやめて、「風の匂い塩辛くなったら、上を見て」と言った。

私はうなずいて、門扉の前で一回だけ深呼吸した。玄関を開けると、母が台所ゴーヤチャンプルーを炒めていて、テレビは「Y2Kに備えて」の特集をやっていて、父は食卓新聞を広げ、「大丈夫だよ」といつもの声で言う。

私は自分の部屋でMD再生して、PHSアンテナを出して、引っ込めて、出して、引っ込めて、意味のない儀式を二十回くらいやってから、ベッドに倒れ込んだ。天井蛍光灯カバーに、屋上フェンスの格子が重なって見えた。

眠る直前、窓の外で、ほんの少しだけ風が塩辛くなった気がした。私はカーテンをめくって、上を見た。空はぜんぶの青を混ぜたみたいな色で、星はまだ点かず、遠くのどこかで雷の写真だけフラッシュが光った。

明日も、屋上に行く。

明日も、見える。

明日、もうひとり来る。

七の月は、まだ終わらない。

2

夏休みの昼下がりって、テレビがやたら静かになる。

ワイドショーが終わって、ニュース時間までの隙間に流れる通販番組マッサージチェアとか。美顔器とか。私は居間スイカバーを食べながら、母がアイロンをかける音を聞いていた。

PHSが震えた。メール文字数は少なく、「屋上」とだけ。差出人不明。昨日と同じ。

——行くしかない。

理科準備室の窓をまたいで、椅子を蹴って屋上に出る。

照り返しが強い。空気が音を立てる。セミは昼なのに狂ったように鳴いていて、私の制服は汗を吸ってもう重たい。

「来た」湊がフェンスにもたれていた。

隣には澪。無口な彼は今日PHSを指先でいじって、画面に流れる数字を追っている。

そして——もうひとり。

髪は少し長く、色素の薄い瞳。美少年しか言いようがない顔立ちなのに、目の奥がひどく静かだった。笑ったとき、光がこぼれるというより、光が寄っていく感じ。

「碧(あお)」と湊が紹介する。

よろしく」碧はにこりと笑って、私の袖を軽くつまんだ。指先が冷たい。

「三人?」私は尋ねる。

「四人」湊が言う。「君を入れて」

「えっ、いや、私なんて」

「見えてしまった以上、もう“向こう側”だよ」澪は画面から目を離さずに言った。

私は息を呑んだ。昨日から、すでに普通ではなくなっている自分を、もう否定できない。

——

夕方私たちは駅へ向かった。

ロータリーに人が溢れている。コンビニの前では中学生立ち読みして、パン屋からは焼きたての匂いバス停のベンチに座るおばあちゃん団扇をぱたぱたさせている。

そんな雑踏のなかで、突然、音が半拍ずれる。

通りすぎる電車ブレーキ音が伸び、子どもの笑い声が濁り、セミの声が一瞬だけ空気に沈む。

「来た」澪が小さく告げる。

から、殻が落ちる。最初は見えない。でも、確かにそこにある。私たち四人の目にははっきりと。

ビー玉より大きな黒い殻。地面に触れる前に割れ、中からぬるりと何かが出る。匂いは昨日より強烈。鼻の奥が焼ける。

「人混みの中は厄介だ」湊が前に出る。

周波数を合わせる」澪はPHSを高く掲げ、ボタンを素早く叩いた。

大丈夫大丈夫」碧が私の肩に手を置いた。「君は息をするだけでいい」

から出てくる“それ”は、人の目には映らない。でも私には見える。輪郭は定まらず、影が水に溶けるみたいに揺れる。だけど、確かに街を食おうとしている。

「湊!」澪の声。

湊は棒を伸ばし、空気を裂いた。

刃ではなく、ただ音。だけど“それ”がたじろぐ。

碧が微笑みながら指先を空に走らせる。風の流れが変わり、影の形が折れ曲がる。

「今だ」湊の声に、澪のPHS数字が揃う。

私の呼吸が、彼の肩の上下に合わせて整う。

一瞬、世界が止まった。

そして、影は粉になって消えた。

駅前は何も起こらなかった顔で、再びざわめき始める。人々は誰も気づいていない。

——

「なに、これ、ほんとに毎日?」

ベンチに座り込んで、私は麦茶を一気に飲み干した。

「七の月は毎日だ」湊が答える。

「でも、七月が終わったら?」

「少しだけ静かになる」碧が柔らかく笑った。「でも、“恐怖の大王”は終わらない。七月の名を借りてるだけだから

澪は黙ってPHSを閉じた。その目は冷たいけれど、どこかで私を見守っているようでもあった。

私は三人を見回して、息を吐いた。

「……わかった。もう知らないふりはできない。だから——」

「ひとりにはしない」湊が言った。

その言葉は、昨日よりもずっと重く、強く響いた。

——

夜。帰り道。

商店街アーケードにはまだ人がいた。ゲーセンの前でカップルプリクラの袋を持って笑っている。CDショップからELT歌声が流れている。

そのとき空気がまたずれた。

「また?」私が言うと、碧が肩をすくめる。「今日は濃いからね」

ビル屋上夕陽を背にして立つ影があった。

制服でもない。黒でもない。白いシャツ

その人は、確かにこちらを見ていた。

次の瞬間、いなくなった。

「今のは?」

「気づいた?」澪が珍しく少し笑った。「君、ほんとにいい目を持ってる」

「……誰?」

明日、会える」湊は短く言った。「俺たちの仲間になる」

——

玄関を開けると、母がテレビを見ていた。

ニュースは「何もなかった一日」を語っていた。

私は自分の部屋に入り、PHSアンテナを伸ばしては引っ込め、伸ばしては引っ込め、意味のない儀式を二十回くらい繰り返した。

屋上の風がまだ、肌に残っていた。

三人の声も、影の匂いも。

そして、明日現れる誰かの姿も。

七の月は、まだ終わらない。


3

七月三十一日。

カレンダー数字が赤くも青くもないのに、どうしてこんなに特別に見えるのだろう。

”終わる”という言葉が、宿題ノートよりも、日めくりの紙よりも、今日は妙に重たかった。

午前はやけに晴れていた。

コンビニで買ったガリガリ君が一瞬で溶けるくらいの青空

でも午後になってから、光は濁った。セミの声がかえって甲高く響く。

私はPHSを握りしめ、またメールが来るのを待った。

震えた。文字はやっぱり短く「屋上」とだけ。

屋上のドアを押すと、三人が待っていた。

湊。

澪。

碧。

そして昨日見た“白い影”が、今日はそこに立っていた。

「紹介する。彼も仲間」湊が言った。

白いシャツ少年は軽く会釈をした。年は私たちと変わらないのに、目の奥だけが遠い。「……雅(みやび)」と小さく名乗った。

四人の男子と、私。

屋上の風は重たくて、フェンスの金網が湿っているみたいだった。

本体が来る」澪はPHSを掲げ、数字の羅列を見せてくる。意味はわからない。でも、ただ事じゃないことは伝わる。

「恐怖の大王」碧が肩をすくめながら微笑む。「七月が終わる、その瞬間に」


雷が鳴った。

雲の端が割れ空気が低く唸った。

私は一歩後ずさったが、湊が前に出た。背中越しに、彼の肩の呼吸が見える。

大丈夫。合わせればいい」

「……どうやって」

「昨日と同じ。君は息をするだけ」

影が降りてきた。

殻じゃない。粉でもない。

“名状できないもの”が、街を覆いはじめる。

匂いが先に来る。鉄錆とゴムと、夏の終わりの湿気を全部混ぜたような匂い

澪はPHSを打ち込み、数字を揃える。

碧は風の流れを変える。

雅は静かに印のような手の動きをして、影の裂け目を縫い合わせる。

湊は棒を構え、私の前に立つ。

「……来るぞ」

大王の影は、顔を持った。

知らない誰かの顔。

でもなぜか懐かしく、私の記憶の底を撫でる顔。

「来る」澪が短く言う。

「させない」湊が返す。

影が迫る。世界が歪む。

人混みの声が止まる。時計の針が動かない。

この一瞬に、すべてが収束していく。

湊は前に出た。

「俺がやる」

「待って!」思わず叫んだ。

「君をひとりにはしないって言ったのに」

湊は、振り返らなかった。ただ、少し笑った。

「ごめん。今日は、俺だけで強がらせて」

影の中心に踏み込む

棒を構え、全身を“蓋”にするように。

世界が一秒、無音になった。

雷鳴。

セミの声。

ガラスが震える。

影はたしかに消えていた。

残されたのは、三人の男子と、私。

澪は黙って画面を閉じ、碧は笑わずに目を伏せ、雅は静かに空を仰いだ。

湊の姿は、なかった。

「……どうすればいい?」私は震える声で尋ねた。

「何もしない」澪が答える。「ニュースにならないこと」

「覚えておくこと」碧が続ける。「ひと知れず、覚えていること」

雅は小さく頷いて、目を閉じた。


夜のニュースは「何も起きなかった一日」を語った。

大雨の映像渋滞情報経済数字

父は「大丈夫だよ」と笑い、母は冷蔵庫ペットボトルの水を入れた。

私は自分の部屋でMD再生した。

宇多田の声が、少しだけ遠く聞こえた。

PHSに一通だけメールが届いた。差出人不明。本文は一行。

——風が変わったら、笑って。

私は、笑った。泣きながら。



翌日。八月一日

空は夏の顔をしていた。

三人の男子と、コンビニの前でガリガリ君を食べた。

棒を見せ合って、当たりだの外れだの笑いあった。

でも、屋上の風は、まだ四人分吹いていた。

ひと知れず、私たち対峙した。

恐怖の大王は、たしか存在した。

そして、七の月は、静かに閉じた。

2025-08-26

anond:20250826123521

そりゃそうでしょ

議論余地なく本当に他責であるケース」を想像してみればわかるんじゃない?

たとえばインド電車屋上に乗って無賃乗車した人が転落死したのはお前のせいだ!という意味不明な難癖をつけられてなぜか炎上した人がいるとして

その人は「いやインド無賃乗車犯と日本在住の日本人は何一つ関係ないだろ」というツッコミ大勢を占めて鎮静化すればとりあえず満足で

インド無賃乗車問題解決するにはどうしたらいいかとかまで普通興味持たないだろ

2025-08-18

anond:20250818142132

夜中にこっそり、立ち入り禁止屋上とかでぴょんぴょん練習してたらすぐできるようになるで

2025-08-17

燕雀(えんじゃく)安(いずく)んぞ

アナロジーは、新しい状況で起こることを予想するためにも使用できる。例を見てみよう。火事の際に、広告掲示板が落ちる恐れが生じた場面である消防隊長は、ビル屋上広告掲示板が取り付けられているのを見た。彼は、アナロジーとして以前の火事を思い出した。その火事では、広告掲示板の木製の支えに炎がまわって、広告掲示板が落ちてきたのだった。そこで、消防隊長は、万一同じことが起きた場合のために、火事見物をしている群衆安全場所まで下がるよう指示した。消防隊長は、アナロジーを利用することで、問題可能性を考え、問題回避するための予想を生成することができた。また、アナロジーメタファーを利用して、意思決定者が予想を生成するのと同じ方法で、科学者は新しい仮説を生み出している。

2025-08-02

怖いもの見たさ

俺が社会に出始めた頃にはたぶん絶滅してた、ビアガーデンとかで行われてたという泥んこレスリングとか女相撲とか一度見てみたかったと思う。

直見しまえばたいして面白くもないような気もするし、別にいやらしさも感じないだろうけど、その場の空気とかも含めて体感してみたいのよね。

キャットファイト的なもの興行として行われてるのは知ってるけど、それはあまり見たいとは思わない。ビル屋上で生ぬるい風を浴びながら、スナックしか見かけない謎の乾き物や、レンチンが甘い冷凍枝豆とかをつまみに、たいして冷えてもないビール飲みながら、周りのおっさんのヤジをBGMに見てみたいの。

 

2025-07-27

anond:20250727183029

そらカントクビル屋上から落とされて殺されるはずやでぇ😰

(ワイは『スーパーの女』が好きやね😃)

2025-07-25

『母の夢とビルの縁 』

 佐伯ゆかは、いい子だった。

 いや、笑っちゃうくらいいい子だった。ランドセル教科書ピアノ楽譜母親の夢まで詰め込んで、言われたことは全部やる。母・園子は厳しかった。鍋の蓋を閉め忘れると三時間説教ピアノ毎日時間、歌の練習時間テストは満点以外許さない。

 でも、そこには甘い卵焼きと手縫いの巾着袋があり、熱を出せば夜通し看病もしてくれる。呪縛と慈愛がごっちゃになった混合液体が、ゆかの体内を循環していた。

 だが、その教育には少しずつ狂気が芽生えていた。

 園子は専業主婦社会経験が薄かった。外の世界を知らなかった。だから、外の世界を恐れていた。教師も、近所の主婦も、会社員も――すべてが**“信用ならない人々”**に見えた。

 園子は、ゆかを囲い込んだ。

 文字通り、どこまでも。

 「ピアノが終わったらドリル」「テレビは一時間だけ」「友達の家には遊びに行かない」

 そんなルールが無数に積み重なっていった。

 父は最初こそ何度も口を挟んだ。

 「もう少し自由にさせろ」

 「勉強ばかりじゃだめだ」

 けれど、そのたびに壁にぶつかった。園子とゆか、二人の間には見えない糸があって、そこに踏み込むことは許されなかった。父は家の中で幽霊になった。

 それでも父は何度も介入しようとした。「俺だって親だ」と声を上げたが、声は響かなかった。園子は、ゆかを守る盾のようにして外界を拒絶し、父をも拒絶した。

 そしてついには、父がぽつりとつぶやいた。

 ――「ゆかが二十歳になったら離婚しよう」

 その言葉は宣告だった。

 やがて父は本当に消えた。家にいても、いないも同然。

 父のいない世界で育ったゆかには――別の父親必要になった。

 それが峰田肇だった。

 中学を出て、ゆかは地元で一番のエリート校に進学した。

 まだその頃、母の言葉呪いじゃなかった。愛の形だった。

 「受験戦争よ」と言われれば「うん、わたしやる!」と笑って答える。

 母が好きだった。母を喜ばせたかった。

 制服はブレザー、春の校門で風が吹く。友達部活の話をし、笑い、教室の黒板には「佐伯ゆか、○○高校おめでとう!」と書かれていた。

 でも、その胸の奥にもう一つ火があった。

 ――アイドルになりたい。

 猛烈な願望。熱烈な妄想

 母は言った。「やるなら全力よ」

 そして条件を課した。「ピアノ、歌、学業。全部やるの」

 三段ハードルケーキ

 ゆかは――やった。やりまくった。やり込んだ。

 夜10時、指が赤くなってもピアノをやめない。喉が痛くても発声練習を続ける。テスト前日は睡眠2時間

 集中力という名の狂気が、芽を出し始めていた。

 やがて、ゆかは上京した。

 母と抱き合って泣いた。いや、母は泣き笑いだった。

 「頑張るのよ!」

 「うん!」

 母の呪縛? いや、まだそれは呪縛と気づかない愛情の鎖だった。

 東京――そこは、ゆかの想像した夢の国とはちょっと違った。

 テレビスタジオには、もっと恐ろしい怪物がいた。

 天才ダンサー、神ボーカル魔法の表情少女

 快活さは執念に変わり、集中力狂気進化した。

 そして、その狂気は峰田肇という一人の俳優に滲み出た。

 渋い俳優。父の年齢に近いのに、父よりも光っていた。

 恋? いや、これは儀式だ。切り抜き、手紙日記――脅迫的な恋愛感情

 父の空席を埋める愛。

 父でもあり、恋人でもある存在

 彼女の想いは、やがて暴走を始めた。

 「思い知らせてやる」

 恨みに近い、しか自分でも言葉にできない感情を抱え、

 ゆかはガスとリストカットを決行した。

 部屋に充満するガスの匂い。白い腕からあふれる赤い線。

 泣いた。

 腕を抱えて、ただ泣いた。

 マンション管理人異臭に気づいた。

 通報サイレン消防隊がドアのチェーンを切断し、

 ゆかは救出された。

 あまりに惨めだった。

 あまりに敗北だった。

 それほどの事態が起こったにも関わらず、ゆかには休む暇もなかった。

 その日――生放送に出た。

 メイクで隠した腕。笑顔仮面

 生放送だ! ニッコリだ!

 放送後、事務所

 だんだん冷静になってくる。自分のやったことをメタ理解しはじめる。

 ――あたし、何やってんだろ。

 社長室に呼ばれ、テーブルの上のストロベリージュースに口をつける前に、

 社長が戻ってきた。

 叱責。

 鋭い刃物のような言葉

 完璧主義優等生であるかにとって、

 これはもう、魂を引き裂かれるほどの敗北だった。

 ――社長に会いたくなかった。

 その瞬間、ゆかの天性の行動力が発動した。

 この子は、ひとたびスイッチが入れば、ためらいがない。

 一瞬で思いついた。

 ――屋上だ。

 屋上へ逃げよう。

 足が立ち上がり、ドアを開け、階段を駆け上がり、

 誰も止められなかった。

 屋上の風。

 考える暇もない。

 だって、ゆかは優等生だった。

 発想力と実行力の塊。

 決めたことは、即実行。

 スリッパを脱いで、きちんと揃えて、

 ――飛んだ。

 母の愛と呪い

 芸能界怪物たち。

 峰田への狂気的な愛と恨み。

 未遂、敗北、叱責。

 その全部が混ざった一瞬のジャンプ

 風が体を持ち上げ、

 世界は、一秒で小さくなった。

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