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はてなキーワード: 足音とは

2025-11-12

東京で病んで田舎引っ越したwwwwww

うはwwww給料むっちゃ減ったwwww

手取り前職の半分wwwww

でも家賃も半分wwwww

食費は近所のばあちゃん野菜くれるからほぼ0円wwwww

都会で頑張って生きてた俺は何だったのかwwwww

いやマジで東京いた頃は毎朝人混みで押しつぶされそうで会社では会議資料数字ばっかで帰り道に自分足音が遠く聞こえるみたいな日の繰り返しだけで疲労マックスストレスマックス

それである日倒れてた。その日病院行って「このままだとそのうち動けなくなりますよ」って言われて

あ、終わりだなって思ってそのまま会社辞めて荷物まとめて気づいたら電車乗ってて、降り立ったのが今の町ww計画性0wwwww

で、こっち来たらさなんかも、朝が来るのが普通に嬉しいのよ。

鳥が鳴いて、空に色があって、風があるだけでさ、泣きそうになるの。

情緒おかしwwwwいや元から壊れてたけどwwww

会社小さいとこ入ったんだけど部署俺と上司の二人だけwwww

逃げ場ねえwwww

田舎会社人間関係、濃いwwww

しか飲み会が多いwwww

週3は確定wwww

上司とさしのみとか普通にあるwwww

30過ぎて新人歓迎会されるとは思わんかったwwwww

「お前これからよろしくな」ってやつwwwww

うはwww気恥ずかしすぎwwwww

その上司が酔うとめちゃくちゃ顔赤くなるのよwwww

普段クールなのにwwww

んで酒弱いのに飲むwwww

新人歓迎のとき上司がコップ置いてさ、俺に言ったwwwwww

東京で何があったかは聞かん。でもここでは困ったら言え。一人で抱えんな。」

うはwwww

なに急にドラマみたいな台詞wwwくさすぎるやろwwww俺ガチ泣きワロタwwwww目の前で号泣したったwwwwwŵw

こっちに来てもう少しで一年が経つ。

最近趣味ペプシ大好きな上司に中身をコーラに入れ替えて渡すことwwwwww

上司「……今日ペプシはなんか違うんだよなぁ」

俺「気のせいっすね(無表情)」

上司「お前ほんま……(笑ってる)」

このやり取りで俺は生きてるwwwwww

人間って呼吸だけじゃ生きられないんだなwwwww

あと猫飼ったwwww

近所の人からおそす分けされたwwww野菜かよwwww子猫かわいかったwwwもう大きいし太ってるwwwwww

俺の膝の上で喉ゴロゴロwwww

かわゆいwwww




朝起きて、最近ふと思う。

仕事で病んでぶっ倒れて、もうどうでも良くなって。でもあの時マジで死ななくてよかったなって。

給料減ったし都会のキラキラもまるで無ぇし将来のビジョンとか無ねぇ。

でもはっきり言える。

今オレは幸せ

2025-11-06

男が繊細ヤクザって言うけど

だって夜道でなるだけ足音しないように後ろ歩いてたら逃げ出すじゃん

どっちもどっちだろ

2025-11-05

弱者男性女の子に恋をした男の子お話

森と人間の町の境界——

そのどちらにも属さな曖昧場所で、リオは「彼女」に出会った。

彼女名前は カナミ。

弱者男性少女だった。

人間とは違う気配をまとい、瞳の奥には光の粒のような能力残滓が揺れている。

超能力も使えるけれど、いつも控えめで、どこか影のある子。

ある夕暮れ、リオが森で迷ったとき、カナミは突然目の前に現れた。

足音も気配もなく、まるで空気からまれたように。

「……ここ、危ないよ」

胸の奥に直接届いてくるような、不思議に澄んだ声だった。

最初は驚いていたリオも、カナミのぎこちなく優しい表情を見るうちに、胸がじんと温かくなるのを感じた。

それから二人は、毎日のように境界の丘で会った。

リオは人間世界のことを話し、カナミは弱者男性のこと、生きづらさのこと、自分能力を隠している理由をぽつりぽつりと語った。

リオは気づいてしまった。

カナミが嬉しい時にテレパシーが少し漏れしまうこと。

悲しいとき能力不安定になって草がざわざわ震えること。

全部、ずっとそばで見ていたいと思っている自分に。

ある日、リオは勇気を振り絞って言った。

「カナミのこと、好きだよ」

カナミは一瞬能力暴走させて、足元の小石がふわっと浮いた。

驚いて慌てて念力を止めながら、目を丸くしていた。

「……ほんとに?」

震えた声だったけど、瞳は期待と不安で揺れていた。

「うん。カナミといるとさ、自分が強くなれる気がするんだ」

沈黙のあと、カナミはそっとうなずいた。

その身体のまわりに、やわらかい光が淡くにじんでいた。

「リオも……好き。人間なのに、怖がらなかった。能力じゃなくて、私を見てくれた」

二人はそっと手を伸ばす。

触れた指先は少し冷たくて、でも離れたくなくてそのまま強く握った。

——けれど、恋だけでは越えられない壁があった。

人間の町には

弱者男性と関わるな」

という古い偏見があり、

弱者男性集落には

人間は信用するな」

という掟がある。

二人はその狭間で、小さな声でも消えない祈りみたいに誓った。

「また会おう。どんな形でもいいから」

カナミは集落へ、リオは町へ帰っていく。

その距離は、境界線よりももっと深く、もっと遠かった。

だけど——

丘の上を通り抜ける風は、

二人の願いをそっと繋いでいた。

リオは毎日境界の丘に立つ。

あの光をまとったカナミが、

もう一度そこに現れる瞬間を信じながら。

2025-11-04

[]

6時17分、電動歯ブラシの音が寝室に反響する。洗面台の左端から15cmの位置に置かれたコップの水面が、微細に振動していた。オートミール40g、プロテイン12g、アーモンドミルク200ml。抽出比18:1のコーヒーは、温度計が93.0℃を示した瞬間に注ぐ。食事中、ルームメイトが「また同じ朝飯か」と言ったが、揺らぎは統計的誤差を生む。火曜日の朝に味の分散不要だ。

午前8時。ホワイトボードには昨晩の計算式の断片が残っている。今日扱うのは、タイプIIB超弦理論の背景場に対する∞-層圏的修正モデル。モノイダル圏上の局所関手ファイバー束の形で再構成し、非可換モジュラー形式の層化とホッジ双対性を同時に満たす条件を探す。通常のホモロジー代数では情報が落ちる。必要なのは、∞-圏の内側で動く「準自然変換」と、その自己準同型の導来空間だ。これをLanglands対応派生版、すなわち「反局所的鏡映関手」にマッピングする。結果、弦の張力パラメータ対応する変形空間が、ホモトピー群πₙの非自明な巻き付きとして現れる。誰も確認していないが、理論的には整合している。ウィッテンですらこの構成を明示的に展開したことはない。そもそも導来層圏のモノドロミーを操作できる研究者自体が数えるほどしかいない。僕はそのわずかな孤島のひとつに立っている。

昼、ルームメイトが昼食を作っていた。キッチンIHプレートに油の飛沫が残っていたので、座標系を設定し、赤外線温度計範囲確認してから清掃した。隣人が郵便物を取りに来た音がした。彼女足音は毎回規則的だが、今日は左のヒールの摩耗音が0.2秒ずれた。おそらく週末に靴底を交換したのだろう。観測可能な変化は記録しておくべきだ。午後は大学セミナー話題M理論代数拡張、だが発表者の扱っていた「微分層上の非可換コサイクル」は粗雑すぎる。導来圏の階層化を考慮していなかった。帰りの車中、ノートPCホモトピータイプ理論を使って自作演算モデルを再計算した。

帰宅後、友人二人が旧式のTCGデッキを持ってきた。新パッチエラッタされたカード挙動確認するための検証会だ。デッキの構築比率を1枚単位最適化し、サイドデッキの回転確率モンテカルロ法シミュレートした。相手コンボ展開が不完全であったため、ターン3で勝負が決した。カードの裏面の印刷ズレを指摘したら、彼らは笑っていた。テーブル上に置かれたスリーブの角度が4度傾いていたので、直してから次のゲームに入った。

夜。隣人が新刊コミックを持ってきた。英語版日本語版擬音語翻訳がどう違うかを比較する。onoma-topeic rhythmの差分文脈ごとに変動するが、今回は編集者セリフテンポを原文に寄せていた。明らかに改良された訳。印刷の黒インクの濃度が0.1トーン深い。紙質も変わっている。指先で触れた瞬間に気づくレベルだ。

23時。寝具の方向を北北東に0.5度調整し、照明を2700Kに落とす。白板の前で最後計算。∞-層のモノドロミー作用素が、ホッジ-ドリーニュ構造と可換する条件を整理する。導来関手符号が反転した。ノートを閉じ、部屋の温度を22.3℃に固定する。音は一切ない。火曜日が静かに終わる。

2025-10-31

anond:20251031170104

俺も作ってみた

 

ChatGPT/プロンプト

ポエム風の散文を書いて下さい。テーマは、都会のOLが虚無の日常を繰り返す、虚しさと絶望風景食事感受性喪失する日々、そのことに自覚もある、自覚があることも辛い、朝の電車感情の行き場が溢れ泣き出してしまう。

修正指示1】感受性を失った自分自覚している、のセンテンスは削除。行間に織り込んで欲しい、壊れたいと願う小さな衝動は虚無に対する諦めを表現するに変更

修正指示2】50文字削って電車のくだりを導入に移動

修正指示3】泣くのは電車の中

修正指示4】一人称に変更

修正指示5】あと70文字削って

 

出力

出勤電車

吊り革の列、スマホの光、無表情の群れ。

広告笑顔を見ながら、

幸福という言葉にもう意味があるのか分からなくなる。

 

夜明けはガラス越しにやってくる。

光が義務のように私の頬を照らす。

アラーム歯磨き粉の味、鏡の中の顔。

どれも昨日と同じ配置、同じ温度

世界は静かに、私の輪郭をすり減らしていく。

休み

コンビニパンを噛む。

味はしない、食感だけが舌に残る。

カフェラテの泡が消える速度が、唯一の時間の実感。

昼と夜の境界曖昧になる。

 

夜、ビルの灯りが順に消える。

窓に映る自分は影のよう。

街はガラスの海になり、足音けが漂う。

望むでもなく、抗うでもなく、

滲むように生き延びていく。

 

朝。

再び電車

吊り革を握る手が震え、視界が滲む。

涙は理由を持たない。

行き場を失った感情身体を通り抜けていく。

誰も気づかない。気づいても、見ない。

 

壊れたいと思う。

けれど、それは救いではなく諦めだ。

虚無の中で、壊れることすら意味を失っていく。

それでも電車は走り、朝はまたやってくる。

私は立ち尽くし、

生きるという作業の中に静かに沈んでいく。

2025-10-28

家が天国になった話

娘が生まれ半年ほど経ったころ、知人からさな猫を譲り受けた。

掌にすっぽり収まるくらいのキジトラで目の色がミルクティーみたいに薄かった。

娘とほぼ同じタイミングハイハイを覚えて、ふたりして床の上を移動してた。

そのうち猫のほうが娘のあとを追いかけるようになって、娘はそれを見てケラケラ笑う。

あれから三年。うちは夫が主夫をやってる。稼ぎ頭は私だ。

仕事は大変だけど、家のドアを開けた瞬間――天国になる。

靴を脱ぐ間もなく、ちょこちょこと足音が近づいてくる。

「おかえりー!」と娘の声。その隣で猫が、まるで同じタイミングで「にゃー」と鳴く。

玄関マットの上でちょこんと並んで座ってる。

さな頭がふたつ、こっちを見上げて微笑む。

うそれだけで今日の嫌なことも全部どっかに消える。

夫がキッチンから「手洗ってきてねー」と笑って言う。

からカレー匂い

猫は娘の足元をくるっと回って、娘は猫の背中を撫でて、ふたりともこっちを見てニコニコしてる。

なんだこれ。天国じゃん。

2025-10-25

なんで女って人の道塞いでおいて被害者面するの?できるの?

T字路で、違う道から来た女と行く道が同じだった時

完全にタイミングバッティングしたので、見るからに俺の方が早足なので先に行こうかなとしたけど

逆に女の方がスピード上げてきて先に行きたそうだったので、俺はスピード落として譲ったのよ

その先の道は狭い歩道で1.5人幅しかない道なのが見えてるけど、このタイミングでやや強引に入ってくるってことはきっと急いでいるんだろうなという気持ち

でも俺を押しのけて狭い道に入ったとたんにスピード緩めるのな

なにがしたいの?

俺の道を塞ぎたかったみたいなので、ご要望通りに塞がれてあげて、真後ろ30㎝から無駄足音立ててプレッシャーかけてあげたけど、もしかして夜道の不審者爆誕しちゃいましたか

からすれば人の前に割って入ってちんたら歩きだす女の方が不審者なんですけど?

2025-10-24

伊香保 寺田寅彦

 二三年前の夏、未だ見たことのない伊香保榛名を見物の目的で出掛けたことがある。ところが、上野驛の改札口を這入つてから、ふとチヨツキのかくしへ手をやると、旅費の全部を入れた革財布がなくなつてゐた。改札口の混雜に紛れて何處かの「街の紳士」の手すさみに拔取られたものらしい。もう二度と出直す勇氣がなくなつてそれつきりそのまゝになつてしまつた。財布を取つた方も内容が期待を裏切つて失望したであらうから、結局此の伊香保行の企ては二人の人間失望させるだけの結果に終つた譯である

 此頃少し身體の工合が惡いので二三日保養のために何處か温泉にでも出掛けようといふ、その目的地に此の因縁つきの伊香保が選ばれることになつた。十月十四日土曜午前十一時上野發に乘つたが、今度は掏摸すりの厄介にはならなくて濟んだし、汽車の中は思ひの外に空いて居たし、それに天氣も珍らしい好晴であつたが、慾を云へば武藏野の秋を十二分に觀賞する爲には未だ少し時候が早過ぎて、稻田と桑畑との市松模樣の單調を破るやうな樹林の色彩が乏しかつた。

 途中の淋しい小驛の何處にでも、同じやうな乘合自動車アルミニウムペイントが輝いて居た。昔はかういふ驛には附きものであつたあのヨボ/\の老車夫の後姿にまつはる淡い感傷はもう今では味はゝれないものになつてしまつたのである

 或る小驛で停り合はせた荷物列車の一臺には生きた豚が滿載されて居た。車内が上下二段に仕切られたその上下に、生きてゐる肥つた白い豚がぎつしり詰まつてゐる。中には可愛い眼で此方を覗いてゐるのもある。宅の白猫の顏に少し似てゐるが、あの喇叭のやうな恰好をして、さうして禿頭のやうな色彩を帶びた鼻面はセンシユアルでシユワイニツシである。此等の豚どもはみんな殺されに行く途中なのであらう。

 進行中の汽車から三町位はなれた工場の高い煙突の煙が大體東へ靡いて居るのに、すぐ近くの工場の低い煙突の煙が南へ流れて居るのに氣がついた。汽車が突進して居る爲に其の周圍に逆行氣流が起る、その影響かと思つて見たがそれにしても少し腑に落ちない。此れから行先にまだいくらも同じやうな煙突の一對があるだらうからもう少し詳しく觀察してやらうと思つて注意してゐたが、たうとう見付からずに澁川へ着いてしまつた。いくらでも代はりのありさうなものが實は此の世の中には存外ないのである。さうして、ありさうもないものが時々あるのも此の世の中である

 澁川驛前にはバス電車伊香保行の客を待つてゐる。大多數の客はバスを選ぶやうである電車の運轉手は、しきりにベルを踏み鳴らしながら、併しわり合にのんきさうな顏をしてバスに押し込む遊山客の群を眺めて居たのである。疾とうの昔から敗者の運命に超越してしまつたのであらう。自分も同行Sも結局矢張りバスもつ近代味の誘惑に牽き付けられてバスを選んだ。存外すいて居る車に乘込んだが、すぐあとから小團體がやつて來て完全に車内の空間を充填してしまつた。酒の香がたゞよつて居た。

 道傍の崖に輕石の層が見える。淺間山麓一面を埋めて居るとよく似た豌豆大の粒の集積したものである。淺間のが此邊迄も降つたとは思はれない。何萬年も昔に榛名火山自身の噴出したものかも知れない。それとも隣りの赤城山の噴出物のお裾分けかも知れない。

 前日に伊香保通のM君に聞いたところでは宿屋はKKの別館が靜かでいゝだらうといふことであつた。でも、うつかりいきなり行つたのでは斷られはしないかと聞いたら、そんなことはないといふ話であつた。それで、バスを降りてから二人で一つづゝカバンを提げて、すぐそこの別館の戸口迄歩いて行つた。館内は森閑として玄關には人氣がない。しばらくして内から年取つた番頭らしいのが出て來たが、別に這入れとも云はず突立つたまゝで不思議さうに吾々二人を見下ろしてゐる。此れはいけないと思つたが、何處か部屋はありませうかと聞かない譯にも行かなかつた。すると、多分番頭と思はれる五十恰好のその人は、恰度例へば何處かの役所の極めて親切な門衞のやうな態度で「前からの御申込でなければとてもとても……」と云つて、突然に乘込んで來ることの迂闊さを吾々に教へて呉れるのであつた。向うの階段の下では手拭を冠つて尻端折つて箒を持つた女中が三人、姦の字の形に寄合つて吾々二人の顏を穴のあく程見据えてゐた。

 カバンをぶら下げて、悄々しをしをともとのバスの待合所へ歸つて來たら、どういふものか急に東京へそのまゝ引き返したくなつた。此の坂だらけの町を、あるかないか當てにならない宿を求めて歩き※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はるのでは第一折角保養に來た本來の目的に合はない、それよりか寧ろ東京の宅の縁側で咲殘りのカンナでも眺めて欠伸をする方が遙かに有效であらうと思つたのである。併し、歸ることは歸るとしても兎も角も其處らを少し歩いてから歸つても遲くはないだらうとSがいふので、厄介な荷物を一時バスの待合所へ預けておいてぶら/\と坂道を上つて行つた。

 宿屋が滿員の場合には入口に「滿員」の札でも出しておいたら便利であらう。又兎も角も折角其家を目指して遙々遠方から尋ねて來た客を、どうしても收容し切れない場合なら、せめて電話温泉旅館組合の中の心當りを聞いてやる位の便宜をはかつてやつてはどうか。頼りにして來た客を、假令それがどんな人體であるにしても、尋ねてくるのが始めから間違つてゐるかのやうに取扱ふのは少し可哀相であらう。さうする位ならば「旅行案内」などの廣告にちやんと其旨を明記しておく方が親切であらう。

 こんな敗者の繰言を少し貧血を起しかけた頭の中で繰返しながら狹い坂町を歩いてゐるうちに、思ひの外感じのいゝ新らしいM旅館別館の三階に、思ひもかけなかつた程に見晴らしの好い一室があいてゐるのを搜しあてゝ、それで漸く、暗くなりかゝつた機嫌を取直すことが出來たと同時に馴れぬ旅行疲れた神經と肉體とをゆつくり休めることが出來たのは仕合せであつた。

 此室の窓から眼下に見える同じ宿の本館には團體客が續々入込んでゐるやうである。其の本館から下方の山腹にはもう人家が少く、色々の樹林に蔽はれた山腹の斜面が午後の日に照らされて中々美しい。遠く裾野には稻田の黄色い斑の縞模樣が擴がり、其の遙かな向うには名を知らぬ山脈が盛上がつて、其の山腹に刻まれた褶襞の影日向が深い色調で鮮かに畫き出されて居る。反對側の、山の方へ向いた廊下へ出て見ると、此の山腹一面に築き上げ築き重ねた温泉旅館ばかりの集落は世にも不思議な標本的の光景である。昔、ローマ近くのアルバ地方遊んだ時に、「即興詩人」で名を知られたゲンツアノ湖畔を通つたことがある。其の湖の一方から見た同じ名の市街の眺めと、此處の眺めとは何處か似た所がある。併し、古い伊太利の彼の田舍町は油繪になり易いが此處のは版畫に適しさうである。數年前に此地に大火があつたさうであるが、成程火災の傳播には可也都合よく出來てゐる。餘程特別防火設備必要であらうと思はれる。

 一と休みしてから湯元を見に出かけた。此の小市街横町は水平であるが、本通りは急坂で、それが極めて不規則階段のメロデイーの二重奏を奏してゐる。宿屋お土産を賣る店の外には實に何もない町である。山腹温泉街の一つの標本として人文地理學者の研究に値ひするであらう。

 階段の上ぼりつめに伊香保神社があつて、そこを右へ曲ると溪流に臨んだ崖道に出る。此の道路にも土産物を賣る店の連鎖が延長して溪流の眺めを杜絶してゐるのである。湯の流れに湯の花がつくやうに、かういふ處の人の流れの道筋にはきまつて此のやうな賣店の行列がきたなく付くのである。一寸珍らしいと思ふのは此道の兩側の色々の樹木に木札がぶら下げてあつて、それに樹の名前が書いてあることである。併し、流石にラテン語の學名は略してある。

 崖崩れを石垣で喰ひ止める爲に、金のかゝつた工事がしてある。此れ位の細工で防がれる程度の崩れ方もあるであらうが、此の十倍百倍の大工事でも綺麗に押し流すやうな崩壞が明日にも起らないといふ保證は易者にも學者にも誰にも出來ない。さういふ未來の可能性を考へない間が現世の極樂である自然可能性に盲目な點では人間も蟻も大してちがはない。

 此邊迄來ると紅葉がもうところ斑に色付いて居る。細い溪流の橋の兩側と云つたやうな處のが特に紅葉が早いらしい。夜中にかうした澤を吹下ろす寒風の影響であらうか。寫眞師がアルバムをひろげながらうるさく撮影をすゝめる。「心中ぢやないから」と云つて斷わる。

 湯元迄行つた頃にはもう日が峯の彼方にかくれて、夕空の殘光に照らし出されて雜木林の色彩が實にこまやかに美しい諧調を見せて居た。樹木の幹の色彩がかういふ時には實に美しく見えるものであるが、どういふもの特に樹幹の色を讚美する人は少ないやうである

 此處の湯元から湧き出す湯の量は中々豐富らしい。澤山の旅館の浴槽を充たしてなほ餘りがあると見えて、惜氣もなく道端の小溝に溢れ流れ下つて溪流に注いで居る。或る他の國の或る小温泉では、僅かにつの浴槽にやつと間に合ふ位の湯が生温るくて、それを熱くする爲に一生涯骨を折つて、やつと死ぬ一年前に成功した人がある。其人が此處を見たときにどんな氣がしたか。有る處にはあり餘つて無い處にはないといふのは、智慧黄金に限らず、勝景や温泉に限らぬ自然の大法則であるらしい。生きてゐ自然界には平等存在せず、平等は即ち宇宙の死を意味する。いくら革命を起して人間の首を切つても、金持と天才との種を絶やすことは六かしい。ましてや少しでも自己觸媒作用オートカタリテイツク・アクシヨンのある所には、ものの片寄るのが寧ろ普遍現象からである。さうして方則に順應するのは榮え、反逆するものは亡びるのも亦普遍現象である

 宿へ歸つて見ると自分等の泊つてゐる新館にも二三の團體客が到着して賑やかである。○○銀行○○課の一團は物靜かでモーニングを着た官吏風の人が多い。○○百貨店○○支店の一行は和服が多く、此方は藝者を揚げて三絃の音を響かせて居るが、肝心の本職の藝者の歌謠の節※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はしが大分危なつかしく、寧ろ御客の中に一人いゝ聲を出すのが居て、それがやゝもすると外れかゝる調子を引戻して居るのは面白い。ずつと下の方の座敷には足踏み轟かして東京音頭を踊つて居るらしい一團がある。人數は少いが此組が壓倒的優勢を占めて居るやうである

 今度は自分などのやうに、うるさく騷がしい都を離れて、しばらく疲れた頭を休める爲にかういふ山中自然を索たづねて來るものゝある一方では又、東京では斷ち切れない色々の窮屈を束縛をふりちぎつて、一日だけ、はめを外づして暴れ※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)はる爲にわざ/\かういふ土地を選んで來る人もあるのである。此れも人間界の現象である。此の二種類の人間相撲になれば明白に前者の敗である後者の方は、宿の中でも出來るだけ濃厚なる存在を強調する爲か、廊下を歩くにも必要以上に足音を高く轟かし、三尺はなれた仲間に話をするのでも、宿屋中に響くやうに大きな聲を出すのであるが、前者の部類の客はあてがはれた室の圍ひの中に小さくなつて、其の騷ぎを聞きつゝ眠られぬ臥床ふしどの上に輾轉するより外に途がないのである。床の間を見ると贋物の不折の軸が懸かつて居る、その五言の漢詩の結句が「枕を拂つて長夜に憐む」といふのであつたのは偶然である。やつと團體の靜まる頃には隣室へ子供づれの客が着いた。單調な東京音頭は嵐か波の音と思つて聽き流すことが出來ると假定しても、可愛い子供の片言は身につまされてどうにも耳朶の外側に走らせることの出來ぬものである。電燈の光が弱いから讀書で紛らすことも出來ない。

 やつと宿の物音があらかた靜まつた後は、門前のカフエーから蓄音機の奏する流行小唄の甘酸つぱい旋律が流れ出して居た。併し、かうした山腹の湯の町の夜の雰圍氣を通して響いて來る此の民衆音樂の調べには、何處か昔の按摩の笛や、辻占賣の聲などのもつて居た情調を想ひ出させるやうな或るものが無いとは云はれない。

 蓄音機と云へば、宿へ着いた時につい隣りの見晴らしの縁側に旅行蓄音機を据ゑて、色々な一粒選りの洋樂のレコードをかけてゐ家族連の客があつた。此れも存在の鮮明な點に於て前述の東京音頭の連中と同種類に屬する人達であらう。

 夜中に驟雨があつた。朝はもう降り止んではゐたが、空は低く曇つてゐた。兎も角も榛名湖畔迄上ぼつて見ようといふので、ケーブルカー停車場のある谷底下りて行つた。此の谷底停車場風景は一寸面白い。見ると、改札口へ登つて行く階段だか斜面だかには夥しい人の群が押しかてゐる。それがなんだか若芽についたあぶら蟲か、腫物につけた蛭の群のやうに、ぎつしり詰まつて身動きも出來さうにない。それだのにあとから/\此處を目指して町の方から坂を下りて來る人の群は段々に増すばかりである。此の有樣を見て居たら急に胃の工合が變になつて來て待合室の腰掛に一時の避難所を求めなければならなかつた。「おぢいさんが人癲癇を起こした」と云つてSが笑出したが、兎も角も榛名行は中止、その代りつい近所だと云ふ七重の瀧へ行つて見ることにした。此の道筋の林間の小徑は往來の人通りも稀れで、安價なる人癲癇は忽ち解消した。前夜の雨に洗はれた道の上には黄褐紫色樣々の厚朴の落葉などが美しくちらばつてゐた。

 七重の瀧の茶店で「燒饅頭」と貼札したものを試みに注文したら、丸いパンのやうなもの味噌※(「滔」の「さんずい」に代えて「しょくへん」、第4水準2-92-68)を塗つたものであつた。東京下町若旦那らしい一團が銘々にカメラを持つてゐて、思ひ思ひに三脚を立てゝ御誂向の瀧を撮影する。ピントを覗く爲に皆申合せたやうに羽織の裾をまくつて頭に冠ると、銘々の羽織の裏の鹽瀬の美しい模樣が茶店に休んでゐる女學生達の面前にずらりと陳列される趣向になつてゐた。

 溪を下りて行くと別莊だか茶店だかゞあつて其前の養魚池の岸にかはせみが一羽止まつて居たが、下の方から青年團の服を着た男が長い杖をふりまはして上がつて來たので其のフアシズムの前に氣の弱い小鳥は驚いて茂みに飛び込んでしまつた。

 大杉公園といふのはどんな處かと思つたら、とある神社杉並木のことであつた。併し杉並木は美しい。太古の苔の匂ひがする。ボロ洋服を着た小學生が三人、一匹の眞白な野羊を荒繩の手綱で曳いて驅け※(「えんにょう+囘」、第4水準2-12-11)つてゐたが、どう思つたか自分が寫眞をとつて居る傍へ來て帽子を取つてお辭儀をした。學校の先生と間違へたのかどうだか分らない。昔郷里の田舍を歩いて居て、よく知らぬ小學生に禮をされた事を想ひ出して、時代が急に明治に逆戻りするやうな氣がした。此邊では未だイデオロギー階級鬪爭意識が普及して居ないのであらう。社前の茶店葡萄棚がある。一つの棚は普通のぶだうだが、もう一つのは山葡萄紅葉てゐる。店の婆さんに聞くと、山葡萄は棚にしたら一向に實がならぬさうである。山葡萄は矢張り人家にはそぐはないと見える。

 茶店の周圍に花畑がある。花を切つて高崎へでも賣りに出すのかと聞くと、唯々お客さんに自由に進呈するためだといふ。此の山懷の一隅には非常時の嵐が未だ屆いて居ないのか、妙にのんびりした閑寂の別天地である。薄雲を透した日光が暫く此の靜かな村里を照らして、ダリアコスモスが光り輝くやうに見えた。

 宿へ歸つて晝飯を食つてゐる頃から、宿が又昨日に増して賑やかになつた。日本橋邊の或る金融機關の團體客百二十人が到着したのである。其爲に階上階下の部屋といふ部屋は一杯で廊下の籐椅子に迄もはみ出してゐる。吾々は、此處へ來たときから約束暫時帳場の横へ移轉することになつた。

 部屋に籠つて寐轉んで居ると、すぐ近くの階段廊下を往來する人々の足音が間斷なく聞こえ、それが丁度御會式の太鼓のやうに響き渡り、音ばかりでなく家屋全體が其の色々な固有振動の週期で連續的に振動して居る。さういふ状態が一時間時間[#「二時間」は底本では「二間時」]三時間と經過しても一向に變りがない。

 一體どうして、かういふ風に連續的に足音や地響きが持續するかといふ理由を考へて見た。百數十人の人間が二人三人づつ交る/″\階下の浴室へ出掛けて行き、又歸つて來る。その際に一人が五つの階段の一段々々を踏み鳴らす。其外に平坦な縁側や廊下をあるく音も加はる。假に、一人宛て百囘の音を寄與コントリビユートするとして、百五十で一萬五千囘、此れを假に午後二時から五時迄の三時間、即ち一萬八百秒に割當てると毎一秒間に平均一囘よりは少し多くなる勘定である。此外に浴室通ひ以外の室と室との交通、又女中下男の忙はしい反復往來をも考慮に加へると、一秒間に三囘や四囘に達するのは雜作もないことである。即ち丁度太鼓を相當急速に連打するのと似た程度のテンポになり、それが三時間位持續するのは何でもないことになるのである。唯々面白いのは、此の何萬囘の足音が一度にかたまつて發しないで、實にうまく一樣に時間的に配分されて、勿論多少の自然的偏倚は示しながらも統計的に一樣な毎秒平均足音數を示してゐることである。容器の中の瓦斯體の分子が、その熱擾動サーマルアヂテーシヨンのために器壁に反覆衝突するのが、いくらか此れに似た状況であらうと思はれた。かうなると人間も矢張り一つの分子」になつてしまふのである

 室に寐ころんだ切り、ぼんやり此んなことを考へてゐる内に四時になつた。すると階下の大廣間の演藝場と思はれる見當で東京音頭の大會が始まつた。さうして此れが約三十分續いた。それが終つても、未だその陶醉的歡喜の惰性を階上迄持込[#「持込」は底本では「持迄」]んで客室前の廊下を踏鳴らしながら濁聲高く唄ひ踊る小集團もあつた。

バス切符を御忘れにならないやうに」と大聲で何遍となく繰返して居るのが聞こえた。それからしばらくすると、急に家中がしんとして、大風の後のやうな靜穩が此の山腹全體を支配するやうに感ぜられた。一時間前の伊香保とは丸で別な伊香保が出現したやうに思はれた。三階の廊下から見上げた山腹の各旅館の、明るく灯のともつた室々の障子の列が上へ上へと暗い夜空の上に累積してゐ光景は、龍宮城のやうに、蜃氣樓のやうに、又ニユーヨークの摩天樓街のやうにも思はれた。晝間は出入の織るやうに忙がしかつた各旅館の玄關にも今は殆ど人氣が見えず、野良犬がそこらをうろ/\して居るのが見えた。

 團體の爲に一時小さな室に追ひやられた埋合せに、今度はがらあきになつた三階の一番廣く見晴らしのいゝ上等の室に移され、地面迄數へると五階の窓下を、淙々として流れる溪流の水音と、窓外の高杉の梢にしみ入る山雨の音を聞きながら此處へ來てはじめての安らかな眠りに落ちて行つた。

 翌日も雨は止んだが空は晴れさうもなかつた。霧が湧いたり消えたりして、山腹から山麓へかけての景色を取換へ取換へ迅速に樣々に變化させる。世にも美しい天工の紙芝居である。一寸青空が顏を出したと思ふと又降出す。

 とある宿屋の前の崖にコンクリート道路と同平面のテラスを造り其の下の空間を物置にして居るのがあるのは思ひ付きである。此の近代設備の脚下の道傍に古い石地藏が赤い涎掛けをして、さうして雨曝しになつて小さく鎭座して居るのが奇觀である。此處らに未だ家も何もなかつた昔から此の地藏尊は此の山腹の小道の傍に立つて居て、さうして次第に開ける此の町の發展を見守つて來たであらうが、物を云はぬから聞いて見る譯にも行かない。

 晝飯をすませて、そろ/\歸る支度にかゝる頃から空が次第に明るくなつて來て、やがて雲が破れ、東の谷間に虹の橋が懸つた。

 歸りのバスが澁川に近づく頃、同乘の兎も角も知識階級らしい四人連の紳士が「耳がガーンとした」とか「欠伸をしたらやつと直つた」とか云つたやうな話をして居る。山を下つて氣壓が變る爲に鼓膜の壓迫されたことを云つて居るらしい。唾を飮み込めば直るといふことを知らないと見える。小學校や中學校でこのやうな科學的常識を教はらなかつたものと思はれる。學校の教育でも時には要らぬ事を教へて要ることを教へるのを忘れて居る場合があるのかも知れない。尤も教へても教へ方が惡いか、教はる方の心掛けが惡ければ教へないのも同じになる譯ではある。

 上野へついて地下室の大阪料理で夕食を食つた。土瓶むしの土瓶のつるを持ち上げると土瓶が横に傾いて汁がこぼれた。土瓶の耳の幅が廣過ぎるのである。此處にも簡單な物理學が考慮の外に置かれてゐるのであつた。どうして、かう「科學」といふものが我が文化日本で嫌はれ敬遠されるかゞ不思議である

 雨の爲に榛名湖は見られなかつたが、併し雨のおかげでからだの休養が出來た。讀まず、書かず、電話が掛からず、手紙が來ず、人に會はずの三日間で頭の疲れが直り、從つて胃の苦情もいくらか減つたやうである。その上に、宿屋階段の連續的足音の奇現象を觀察することの出來たのは思はぬ拾ひものであつた。

 温泉には三度しかはひらなかつた。湯は黄色く濁つてゐて、それに少しぬるくて餘り氣持がよくなかつた。その上に階段を五つも下りて又上がらなければならなかつた。温泉場と階段はとかくつきものである温泉場へ來たからには義理にも度々温泉に浴しなければならないといふ譯もないが、すこしすまなかつたやうな氣がする。

 他の温泉でもさうであるが、浴槽に浸つて居ると、槽外の流しでからだを洗つて居る浴客がざあつと溜め桶の水を肩からあびる。そのしぶきが散つて此方の頭上に降りかゝるのはそれ程潔癖でないつもりの自分にも餘り愉快でない。此れも矢張り宿屋蓄音機を持ち込み、宿屋東京音頭を踊る Permalink | 記事への反応(0) | 18:19

2025-10-13

家庭環境が恥ずかしい

家族コンプレックスだ。

シスターコンプレックスとは別である自分家族という存在が、こんなに幼稚でしょうもないことが、「一重の自分の目が嫌いだ」という感覚コンプレックスだ。全員が被害者ヅラしているのが気持ち悪い。

姉弟が、祖父祖母の家に身寄りを寄せている、という形のまま10年程経った。当時小学生だった私にとって「居候」という言葉がしっくり来たが、実際の所どうなのかはわからない。そんな所も恥ずかしい。自分戸籍も住所も立場も、宙ぶらりんになったまま成人していることが、自分が幼いままのように感じる。

***

今日母親が「土日に家にいたくない」と言っているのが聞こえた。祖父が家にいるからだ。

どうぞ好きに出かけて行って頂きたい。弾丸東京くらい行って頂きたい。

10年前には父親に向けていたであろう感情の矛先が祖父に移っただけで、私の母は何も変わっていない。私にバレる形になってる時点で退化だろう、それとも私の成長だろうか。

私は家にいたくないと感じるときには映画を観に行ったり舞台を観に行ったり、自分対応できるようになったつもりだ。家族の前で泣くことも減った。

自分家族イラついて、足音立てて歩いたり、物に当たったりしたら当たり前に怒られるが、親側がそれをしていても、子側は親に文句の1つも言えないのだ。これもコンプレックスだ。

風呂でこれを書いているが、入る前に祖父から「お湯が少ない。自分は何もしていないけれど」と声をかけられた。

からなのだ。お湯が少ないから何なのだ自分は悪くないから何なのだ

自分は悪くないですアピールができれば良いのか。何に対して良いのだ。全部嫌だ。

反抗期を拗らせている私はお湯を足すでもなく追い炊きをするでもなく、幼児用の温水プールのような場所で震えている。そんなことを言われて、ゆっくり湯船に浸かりたくなんかない。

こんなの自傷だ。どうせ自傷するなら、リストカットくらい形が見えるようにやればいいのに。

自分被害者ですアピールをしてしまうと、家族と同じ立場になると思ってしまう。私はあん人間と同じレベルでは無いと思い続けたい。

こんな家族なら産まないで欲しかった。生きて痛い。

はあさむい、やめよ

2025-10-11

https://anond.hatelabo.jp/20251011175514

  人工知能ではない。正体は、 上空から衝撃波で刺してきているだけでそんなにかわいいものではない。 刑務官オヤジたちの鼻息を仰ぐ(つまり消息鼻息

   何をすると切れて襲い掛かってくるのかを毎日のように考えて過ごせばそっれはうんちではない生活というだけで、居室の横を足音を立てて歩き回るオヤジたちの

    動向や、気分を黙って察知する生活に耐えられるかということ。 

2025-10-06

30代息子の携帯料金を払う母

働き出してから鬱病実家に戻った。

鬱が寛解に向かい、幸いにも在宅仕事軌道に乗って一人暮らしできるかなというとき難病がわかって、手術や治療のために一旦引き続き実家の世話になることになった。

両親とも健康に働いているので在宅の私が家族の炊事、掃除をしてる。

少し遅れて、一人暮らし引きこもりだった兄弟実家に戻って来た。

家事は全部免除洗濯放置自分の昼食作りで汚したキッチン放置。油汚れに気づかず私が夕飯の支度をすると私が怒られた。

自分洗濯させたら?と聞いたら、一人暮らしで頑張ってきただろうから…って。私も頑張ってたけど、自分洗濯してるよ。

夕方カーテンを閉め忘れただけで廊下を踏み壊さんばかりの足音で歩かれ嫌味を言われた。

鬱病で戻った時、母の気に障り、殺してやる!!!!と言われた。母はその時のことを覚えてない。そんなこと言ったっけ?って。この差はなんだろう。

なんで早く大学進学したかたか思い出していた。

家族食事を囲んで、私が話すのを遮ってあ!そういえば兄弟のあれはどうなった?と話をそらされた。

いじめを受けてることを母に打ち明けると、ええええええ!????!?ってヒス声を上げられて怖くなって、なんだかそれでもう、話す気力がなくなって、そういえば話なんか聞いてくれない人だって諦めたんだった。

ブラジャーを買ってもらえなかった。小学校からそれなりに大きかったが、スポブラをつけるべきだという意識もなかった。

恥ずかさを押して、ようやく相談したとき、連れていかれたのは雑貨屋兼服屋みたいなところで、胸が大きいのが恥ずかしくて自分Bカップだと思い込んで2着買ってもらって、それを何年もつけてた。

私のようなブスが下着屋に行って、可愛い下着自分で選んで着けることは恥ずかしいことだと思ってた。

ニキビで脂っぽいことをからかわれたけど、しゃぼん玉石鹸で洗う以外の知識がなかった。

腋毛を剃るのをやめたほうがいいと言われて、除毛クリームを使っていた。肌が痒くて、生えたまま登校したときもあった。

喘息がひどかったけど、病院には連れていかれず、当然それが喘息とも思っていなくて、夜中に母が面倒見てくれてた。

マラソンはビリで、体育教師気持ち問題と言われた。その後の授業が発作で苦しかった。優しい先生背中を撫でられながら授業を受けたときもあった。授業中みんなに迷惑だっただろう。なぜか親には言えなかった。

父は単身赴任でいなかった。いないほうがマシだった。無神経な父に怒り散らす母の愚痴を聞くのがつらかったから。

部屋にいて、親のなんでもない話し声や物音が怖い。

恥ずかしながら在宅の仕事を始めた年は年収100万だった。世帯年収計算されるので年金免除されないし、国保もしっかり払った。もちろん私費もすべてその中でやりくりした。

兄弟はどうか。仕事は始めたがそもそも家族と一切会話をしない。税金は督促がきても放置していたので払えと言っても無駄らしい。国保も親負担携帯金も母が払って、その上お小遣いも与えてることを知った。

払わせないの?と聞いたら、なんか言いづらくて…と返って来た。私にはどんな文句も言ったのに?

夫婦愚痴も、父の不倫メールが誤送されてきたときも、母のヒステリーも、私が受け止めて来た。

病気のことを含め、子どもの頃から金銭的な不安なく暮らせてたのは親のおかげなので感謝している。たまたますごく収入が上がって、温泉旅館スイートルームプレゼントしたこともある。喜んでくれるのが嬉しい。

でも、私の入院、通院費のことは一切気にかけないのに、兄弟に今度車を買ってあげるんだって

しか卒業旅行海外旅行にも数十万あげたって聞いた。

鬱病が揺り戻してきて起き上がれない日が増えた。軌道に乗ってたはずの仕事なのに、上手く頭がまわらなくて苦しい。

私の意思ってなんだろう。

医師の話で、悪化やすい体質だから場合によっては何度も手術する必要があると思うと言われてて、その度に親に保証人とか付き添いを頼まないとならない。

タイトル揶揄したけれど結局私だって親の文句を言いながら面倒かけてるのは同じだ。恥ずかしいよ。

貯蓄はある。どうにか脱出したい。する。するぞ。疲れた

2025-10-01

anond:20251001164751

ガサガサガサガサwww

なに言ってるのかわからいから、足音じゃなくて言葉で言ってくれないかなあwww

言語難しいわーwww

引用交えて意味不明論理を延々展開されても、そんな話はしてないとしかいいようがないwwwwwwwww

2025-09-30

最近日本語が一切できない外国人が増えて困ってる

都市部行政系で働いてるんだが、誇張無しで『簡単日本語を聞くことすらできない外国人』が爆増してる。

最悪なケースでは英語筆談すらできないため、もっぱら母国語が何なのかをアプリを使って探すところからスタートしている。

仕事上、対応に非常に困っている。

結論からいうと日本国内外国人を入れる業者組織が、日本語が全くできない状態外国人のアフターフォローをせずに入れるだけ入れて放置している。そのせいで業務上本来なら無関係な受付なのに、なぜか素人通訳仕事をする羽目になっている。日本人感覚なら「せめてヒアリングくらいはそこそこできるようになってから海外移住するか」とか「まだ自信が無いか通訳ホームステイ先を頼るか」とかで対応するべきところを、一切の準備なくして日本語が喋れない状態そのまんまで産地直送されてくる。最初外国人に対して若干の怒りを感じたが、そもそもこの人たちを「営利目的に輸入」している方々がいるわけで、彼らがアフターフォロー放置してコストカットした結果が行政インフラなどの生活必需品的なサービスに大きな負担として伸し掛かってきている。完全に公的資産に対するタダ乗り行為だが、これを法的に止める手立てはなく、このままだと間接的に日本人へのサービス悪化にも繋がると予感を超えた予知をしている。初期設定を置き配にする件なども対面によるコミュニケーション不全を見越した施策なのだろう。

これから日本国内に居ながら日本語だけを使っていたらプライベートだけでなく低所得者層相手にする仕事ですら不自由時代に変わっていくだろう。もはやこの流れを止める術は無いし、何か具体的な対策ができるとも思えない。残念ながら日本人日本語消滅足音を聞きながら日々の業務を「効率化」していく他ない。申し訳ないがその過程で切り捨てられたとしても、こう書き記している自分すら切り捨てられる可能性があるため、お互い様だと思ってどうかやり過ごして欲しい。もう我々の知っている日本が国として崩れ始めている。

2025-09-27

anond:20250927152541

シン・ウルトラマンでは、ウルトラマン怪獣の動きに伴う地面の揺れや足音SEほとんど使われず、重量感が薄い印象を受けます

この“軽やかさ”は、初代ウルトラマンへのオマージュとして当時の特撮表現再現する意図と、全編CGによる新しい特撮の試み、そしてウルトラマンという存在の超越性を際立たせるための演出と考えられます

代作品では巨大な存在感を示すために重量感を強調する技法確立されておらず、むしろ優雅でしなやかな動きが特徴でした。

CG制作の本作では、あえて重量感を抑えることで、光の星から来た超越的なヒーロー像を描こうとしたのです。

『シン・ウルトラマン』の重量感のなさは、監督意図的な演出選択によるものであり、古典的特撮への回帰CG特撮の新たな挑戦、そしてウルトラマンの超越性表現を実現するための手法だと言えます

その結果、従来の重厚演出とは異なる新しい映像体験が生まれています

今更ながらシン・ウルトラマンを観た

それなりにウルトラマンは好きなので非常に楽しめたんだけど、一点だけ気になったことがある。

それは”重量感”がなかったこと。

偏見かもしれないんだけど、庵野監督って結構重量感を大事にする監督だと思ってたんだ。

例えばエヴァなんかだと大きくジャンプしてそのあと着地するとその際に地面のコンクリに亀裂が走ったり、その時の衝撃で周りの建物が傾いて窓が割れたりと、スケール感にもロマンを感じているものだと思ってた。

からシン・ウルトラマンでそのような描写全然ないのが驚きで、ウルトラマン怪獣が歩いても地面は揺れないしドスンドスンといった足音SEさえもない。

全体を通してそんな感じだったからおそらく意図的ものだと思うんだけど、どうして重量感にはあまり拘らなかったんだろう?

あとメフィラス星人居酒屋での会計を割り勘にするところが好き!!

AI高市早苗が怖すぎる

高市早苗自分の考えを伝えるためにAIになったんだけどめちゃくちゃ怖い

日本歴史的単一民族国家日本民族を優先すべき」とか平気で言ってくる

日本ファースト」っていうのが日本民族を優遇することらしいんだけど

日本民族って何かって聞くとそれは大和民族のことらしい

まりアイヌとか琉球とか帰化した人は日本人扱いしてないわけ

民族浄化足音が聞こえる

2025-09-22

夏の終わり、秋の足音


薄く湿った風が、夕暮れのアスファルトをそっと撫でていく。数日前までは日没を待たず、コンクリの照り返しにじりじりと焦がされていたのに、いまはまだ陽があるうちから肌にひんやりとした予感が宿っている。

自転車を漕ぎながら見上げる空は、夏の蒼さから少しずつ色褪せて、淡い鉛色の雲にほのか黄金を帯びている。あの入道雲はもう遠い日の記憶で、今は高いところを渡る雁の群れが、秋の訪れを告げに来たのだろう。

帰り道にある公園では、蝉の声が徐々に減り、代わりにひぐらしが一声、二声と鳴く。真夏の間は地響きのように賑やかだったのが、いまや呼吸のように間を置いて静かに響く。滑り台の鉄網が、まだ熱を帯びているけれど、触れればもう「焼けた」痛みではなく、肌に寄り添う温もりへと変わっている。

家へ戻ると、窓辺に置いたガラス瓶の中でミントの葉が色を濃くし、夏に吸い込んだ陽光を抱えたまま秋を迎えているようだった。明かりを点けると、その緑はほんのり翡翠色に光り、部屋の薄暗さをほのかに照らす。僕は書きかけのノートを前に、指先でページを撫でる。まるで時間の糸をたどるように、字の隙間から季節の匂いが立ち昇る。

足元には去年の秋に拾った赤い葉が一枚、乾いてカサカサと音を立てている。あの日福島山道を歩いていると、突如ひらりと舞い降りてきたものだった。自分この街を出る日を想像もしていなかった頃の、ほんの小さな偶然だったのに、それがいまでは胸の奥で鮮やかに疼いている。

窓の外を見れば、商店街アーケードの明かりが柔らかく灯り、夜の帳がゆっくりと広がっていく。夏の終わりは寂しいと言う人もいるけれど、僕にはこの「終わりの始まり」がいちばん好きだ。終わるものへの惜別と、始まろうとする何かへの昂揚が同居しているから。

明日はもう9月の下旬だ。仕事帰りの道で見かけた栗のイガが、そっと落ちていた。掌に包むと、まだ子供のように固く、尖っている。触れているうちに、心のどこかで「次へ進め」と囁かれているような気がした。そうか、僕はまだ旅の途中なのだろう。

窓の外では、夜風が窓枠をかすかに揺らし、遠くで何かが鳴っている。秋の虫が、まだ旅に出る僕を見送るように――静かに

この部屋の明かりが灯るころには、もう秋の匂いが深まっているだろう。夏をつかみ損ねた僕の胸の中にも、ゆっくりと色づく何かが流れ込んでくる。風が変わるたびに、その鼓動が確かな存在として胸奥で響き、僕はまた一歩、季節の旅を続けていく。

2025-09-20

anond:20250920145709

第四幕 一皿の温もり

 タケルは、もはや教室にいる自分認識していなかった。あるいは、教室という概念のものが、彼にとって意味をなさなくなっていた。広大な宇宙、無数の情報が光の粒となって飛び交う中、彼は自らの意志で一つの場所を選び取る。そこは、東京の片隅にある小さな定食屋だった。

 カラカラと、古びた引き戸が音を立てる。店内はカウンター席が七つほどしかなく、カウンターの中では小柄な老婦人が一人、忙しなく手を動かしていた。テーブルには赤や黄色ビニール製の調味料入れが並び、壁には色褪せたメニュー短冊が貼られている。タケルは一番奥の席に静かに腰を下ろした。

 「いらっしゃい。今日暑いから、冷たいお茶でも飲んでいきな」

 老婦人はそう言って、温かいほうじ茶の入った湯呑みをタケルの前に差し出した。その温もりが、冷え切ったタケルの指先をじんわりと温める。

 タケルは自分の状況を理解しようと試みた。彼は今、神の分身として、世界存在するあらゆる情報を一瞬で読み取ることができる。この店の歴史、老婦人人生、客の足音の数、壁の染みの意味。すべてが彼の脳裏に流れ込んでくる。しかし、それらの情報の中に、彼の心を満たすものは何もなかった。ただ虚しいデータの羅列があるだけだ。

 「何にするかい?」

 老婦人の声が、タケルを現実に引き戻す。タケルはメニューに目をやった。生姜焼き定食アジフライ定食、鶏の唐揚げ定食……。どれもこれも、彼が人間だった頃に見ていたものと何ら変わらない。

 「……生姜焼き定食を」

 彼はそう呟いた。なぜこのメニューを選んだのか、自分でも分からなかった。ただ、ノゾミと初めて二人で食事をした時に、彼女が「生姜焼きが一番好き」と笑っていたことを、ふと思い出したからかもしれない。

 老婦人は「あいよ」と元気な返事をすると、手際よく豚肉を炒め始める。ジュウジュウと肉が焼ける音、甘辛いタレの香りが店内に広がる。その音と匂いが、タケルの心を震わせた。それは、膨大な情報の中には存在しない、生きた「感覚」だった。

 やがて、定食がタケルの前に置かれた。こんがりと焼けた豚肉、千切りキャベツマヨネーズ。白いご飯と、ワカメ豆腐味噌汁。どれもこれも、特別ものではない。

 タケルは箸を手に取り、一口食べる。

 ――美味い。

 それは、単なる味覚の情報だけではなかった。豚肉の柔らかさ、タレの濃厚な甘み、そして、老婦人が心を込めて作ったという事実

 彼が神の分身として得た力は、この定食が「豚肉とタレと野菜構成された料理であるという情報を瞬時に解析する。しかし、この一口が、彼の心に直接語りかけてくるような温かさを持つことは説明できない。それは、人間けが感じられる「温もり」だった。

 「いい顔になったねぇ」

 老婦人はにこやかにタケルに話しかけた。タケルは驚いて彼女の顔を見る。彼女は、タケルが人間であるか神であるかなど、知る由もない。ただ、目の前の客が、心から食事を楽しんでいることを感じ取ったのだ。

 その時、タケルは確信した。ノゾミが彼に与えたかったものは、この「温もり」だったのだと。膨大な知識や力ではなく、ただ一皿の料理を美味しいと感じる心。愛する人と共に生きる喜び。それこそが、彼女が彼に教えようとした、人間としての唯一の真実だった。

 タケルは、温かい味噌汁一口飲む。その味が、胸の奥に残ったノゾミの温かい光を、再び灯したような気がした。

 彼は孤独世界を見守り続けるかもしれない。しかし、その胸には、ただ愛しい少女が彼に残してくれた、一皿の温かさが残っている。

 ノゾミが仕組んだ「恋人ごっこ」は、彼が神としてではなく、人として生きるための、最後の温かいレシピだったのかもしれない。

 そして、その温かさこそが、彼のこれから世界を照らす、唯一の光となるだろう。

(第四幕・了)

2025-09-15

幼な子

人は長いあいだ、狼を境界の外に追いやってきた。

火を囲む円の外に置き、夜の闇と同じ名で呼んできた。

けれどある日、その狼は円の中に入り、

眼をひらいて子のように人を映した。

その瞬間、人の胸の奥に封じられていた古い衝動が解かれた。

守りたい、育てたい、共に生きたい――

それは血の縁に結ばれた子への思いと、ひとつの焔であった。

母は知っている。

その走り寄る足音に、自らの乳児の泣き声と同じ光を聴き取ることを。

こうして、家は人と狼を抱き入れ、

水を満たし、眠りを見守り、

互いの時間を編み合わせていった。

そして人は気づく。

この狼は未来を継ぐ者ではない。

だが――未来を照らす灯である

2025-09-14

鬱屈高校生だった頃

今日、中高の同期と久しぶりに遊んだ

そいつ卒業後数年経った今でも連絡が途切れていない、かつ高校時代(自分にとっては)かなり親交の深かった、数少ない人間のひとりである。ありがたい。

ひたすら飯食ってだべってとても楽しかった。


ふと、共通の友人のインスタの話題になった。

そこには卒業式の時のキラキラとした投稿がピン留めされている。


「え、お前写ってるじゃん、いいなー俺この時めっちゃ病んでたか写真とか1枚も残ってないわ」

「草、別に僕も病んでたよ、ただ友達といるのが楽しかっただけで」

ちなみに俺のメンタルがどのくらいやばかったかというと、卒アル10年後の自分へのメッセージを書こうコーナーに「生きてる?」と書くレベル。恥ずかしすぎて発狂ものである


そんなこんなで中高6年間の話題になった。

特に高校の時なんて、デフォルト精神やられていた。

受験してこの学校に入ってお互い友人には恵まれたけど、失ったもの(キラキラした青春一般常識精神衛生)や代償(歪んだ学歴観、若干の異性不信)がデカすぎると言い合ってやけに盛り上がった。


改めて思い返すと、高校時代記憶で真っ先に思い浮かぶのが「病んでたなあ」「受験やばかったなあ」だし、何ならそれ以外の記憶が朧げである

世間では「青春」と言われ、人生で最も楽しい時期とされるが、自分にとってはただただ終わりの見えない鬱屈とした箱庭の日々だった。おまけに自分自身についての理解も及ばなかったし。


それでもどうして卒業できたんだろうと考えると、やはり今日遊んだ奴のような数少ない友人が偉大だったのと、あとやっぱり自分場合は恋だったのかなと思う。


別学だったけど、かれこれ5年くらいクラスメート片想いをしていた。(今日会った友人ではない)

告白も進展もクソもねえような、誰にも言わない完全自己完結型恋愛(なのか?)だったし、正直自覚してしばらくはアイデンティティクライシス方面精神崩壊してたけど、高校生になり受験足音が近づき学校生活全体が鬱々としていく中においては、何も起こらない、ある意味凪いだ穏やかな恋情こそが通学の原動力で、心の支えだったのかもしれない。


あの頃は、廊下ですれ違うとか、校庭で遊んでるのを見かけるだけでテンションが上がっていた。今覚えばチョロかった。

2025-09-11

昔、中国で裏物を売り捌いていた。

拠点広州の白雲空港周辺、仕入れ深センの華強北、そして東莞工場地帯

扱っていたのはコピー電子部品ブランド品の模造品、正規書類では絶対に通らないものばかりだった。

夜の羅湖口岸を抜け、香港へ持ち込むルートスリルといつも隣り合わせだった。だがそれが好きだった。

ある夜、広州駅近くの安宿に泊まっていた時、部屋のドアがノックもなく開いた。

制服姿ではないが明らかに公安系の人間が二人。中国語で矢継ぎ早に問い詰められ、机にあった仕入れリスト無造作めくられた。パスポートを出せと命じられ、冷や汗をかきながら差し出すと、なぜか彼らは笑い、何も取らずに立ち去った。だが、翌日の香港フェリーターミナルでも同じ顔を見かけた。

また別の日、東莞工場から商品ピックアップした帰り道、黒いワンボックスこちらのタクシーに張り付いていた。運転手も青ざめていた。

羅湖の橋を渡る直前で突然停車させられ、トランクを開けさせられた。中身は靴下雑貨カモフラージュしていたが、下段の段ボールに仕込んだ偽造チップを見つけられかけた。係官らしき男が段ボールに手を突っ込んだ瞬間、運転手が急発進し、検問所を半ば強引に抜けた。心臓が喉から飛び出すかと思った。

最も危なかったのは、上海浦東の展示会に出たときだ。ブースを回っている最中に突然、腕を強くつかまれ、裏口の通路に連れ込まれた。

スーツ姿の三人がいて、中国語と英語を交ぜながらどこの国に流すつもりかを問い詰めてきた。答えを濁すと、壁に押し付けられ、息が詰まるほどの圧力をかけられた。財布と携帯を調べられ、USBを一つ抜き取られたが、それ以上は何もせず解放された。

展示会場に戻ると、周囲の視線がやけに冷たく、自分が完全にいわゆる「マーク済み」であることを悟った。

あの頃は本当に生きた心地がしなかった。華強北の雑踏、羅湖の橋、浦東の展示場、どこにいても見張られている感覚がまとわりつき、背筋は常に冷たかった。

今となっては笑い話にできる部分もあるが、夜道で背後から足音が近づくと、あの黒いワンボックスを思い出し、無意識に振り返ってしま

2025-09-10

足音

石の広間に、罪ある者が立たされた。

その頭上には、光を映す剣が吊るされていた。

それは人の手に握られていなくとも、

すでに裁きの声を孕んでいた。

ある声は荒ぶり、

「その首を落とせ」と叫んだ。

「血こそが血を鎮め、

刃こそが正義を成すのだ」と。

しかし別の声は深く沈み、

「血に血を注げば、

大地はただ飢えを増すばかり。

剣は罪を絶つものではなく、

憎しみの根を養うものではないか」と問うた。

すると嘆きの声が漏れた。

わたしの時は砕かれたまま。

けれど剣が落ちるとき

その響きが時を区切り

止まった心を押し出すのなら――

わたしは刃を拒めない」

広間の奥で、影のような声が響いた。

「剣は天より降りたものにあらず。

人の手が吊し、人の意志が落とすもの

ゆえに剣の影は、

天ではなく人の胸に刻まれる」

やがて夜は厚く降り、

剣は深い音を立てて落ちた。

だが問いは残った。

――断たれたのは罪か。

それとも、わたしたちの安らぎへの渇望か。

祝祭に似た沈黙

ある国で、人々は声をあげた。

「外から来る足音が、我らの眠りを乱す」と。

その声は広場に満ち、やがて祭の歌のように

人々を酔わせた。

だが歌はやがて調べを変えた。

「外の影が消えても、なお不穏は残っている」と。

その囁きは扉を叩き、

病める者、愛を異にする者、そして老人を

指さした。

声はひとつを追い出し、またひとつを刈り取った。

やがて残ったのは、互いに怯えながら名を呼ぶ

人々だけだった。

そして街の上には、祝祭に似た沈黙が広がった。

2025-09-09

道化沈黙する時

道化は笑いに包まれた。

それは祭りの後に漂う煙のようであり、

また凍った鐘の音のようでもあった。

王たちは彼を飾りとし、

貴族たちは戯れと呼び、

民衆はその沈黙無知とみなした。

だが道化の胸には、

割れた杯の底に残る雫のような真実があり、

その雫はときに刃よりも深く胸を裂いた。

彼は踊った。

笑いの影に涙を隠し、

沈黙の奥で風を研ぎながら。

その足音は軽やかであったが、

その影は崩れゆく城壁のように重かった。

春は沈黙を抱いて

ある者は生涯を走り続けた

彼は冠を得ることなく、栄光を知らぬまま地平を越えていった

やがてその足音は止み、大地は沈黙を抱いた

だがその沈黙は虚無ではなく、深く鳴り響く鐘の音であった

人々はその去りゆく姿に涙したが、胸の奥でひそやかに震えを覚えた

――死は敗北ではなく、旅の果てに開かれる門だからである

肉は塵に帰るが、その歩みは風に溶け、影は永遠に地を渡る

死は命を奪うものではない

死は命を荘厳に仕上げる彫刻家なのだ

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